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2010.02.09
07213200.jpg榧世シキ「ねじまきの庭」(1)


みつけてごらん
ふしぎはすぐそこに



■2巻発売、完結しました。
 美しい森に囲まれたここは、クラシカルな寄宿学校。学校のある辺りは、人里離れた山の中。昔から妖精だの精霊だのの伝承が多い場所で、学校は神秘な湖に守られるように佇んでいる。ここに来て間もないトゥリに、オカルト好きのヤン、ちょっと変わった体質を持つラウム、そして落ち着き払ったカレル。少年少女はこの学校で、少し不思議なことを体験する   
 
 ちょっと前に完結していたのですが、レビューしていなかったのでご紹介。とある山奥にあるクラシカルな寄宿学校を舞台におくる、少年少女たちの不思議体験記でございます。主人公はよくわかりません。一応はちょっと変わった体質の持ち主であるラウムがそうなのかな。ここに移ってきて間もないトゥリに、オカルト好きのヤン、マイペースの変わり者カレルの、仲良し4人組を中心に、この学校で起こる少し不思議な出来事を、舞台の空気感をそのまま伝えるように、幻想的に描いていきます。


ねじまきの庭
中心となる男の子4人組。変わった力を持つラウムは、そういった力を持っているがゆえにこういった物事に積極的でない。しかし基本的に巻き込まれやすい人間揃いなので、イベントはほぼ不可避。


 舞台となる学校は、人里離れた山奥にあり、妖精や精霊がいるとされる湖の近くにあります。そのせいか、学校でもしばしば不思議な出来事が起こります。そんな出来事に対して、積極的に首を突っ込みたがるのが、オカルト好きのヤン。また他の3人も、何かにつけて不思議な出来事に巻き込まれていくことに。そんな中、ちょっとした力を発揮するのがラウム。彼は周りの空気や他人の想いに同調してしまい、その心の内が見えたりしてしまうという、不思議な体質の持ち主。不可思議な出来事の核心へ迫る役目は、往々にして彼が担うことになります。
 
 不思議な出来事というのは、例えば猫が人間になったり、想いが具現化したりと、何かしらの形になって現れることが多いです。人間の形をしているから最初は気がつかないものの、あくまでそれらは「異質な存在」ですから、少しずつ「ズレ」が生じてきます。そこから主人公たちは、事の真相に迫っていくのですが、その全貌が明かされることはありません。基本的にはぶつ切りラスト。「不思議なこと」の真相のヒントはわかりやすく提示されるものの、答えが出されることはありません。これはそうすることで意図的に、物語の持つ幻想的な雰囲気を助長し、さらにラストを明確にしないことで読者の中に余韻を生むようにさせているのでしょう。感受性豊か、想像力に溢れるような人はより楽しめると言うような感じ。物語の核になる部分は、暗かったり寂しかったりする要素ではあるものの、最終的には名言はせずとも明るい形、救いを提示する形で終わるので、読み心地は非常に良いです。


【男性へのガイド】
→雰囲気系で、かつファンタジックなものがお好きな方は。男性でも基本的には大丈夫かと。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→こういうスタイルは、万人には受けなくとも、しっかり支持してくれる人も確実にいそう。個人的にも、これから注目してみたい漫画家さんですね。親切な作りではないですが、雰囲気の良さが際立っていました。


作品DATA
■著者:榧世シキ
■出版社:一迅社
■レーベル:CERO-SUMコミックス
■掲載誌:WARD
■全2巻
■価格:各552円+税

■購入する→Amazonbk1

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2010.02.09
07195938.jpgタアモ「恋月夜のひめごと」


何故でしょうか
泣いているのは私なのに
彼の泣く音が
聞こえた気がしました



■とあるお屋敷に住む令嬢・環。母は華族出身で、父はその家格目当てで結婚。いわゆる政略結婚というやつで、いつしか父は家から離れていきました。一緒に暮らす母も、環のことに興味などなく、親子という名の他人のよう。そんなお屋敷に、ある日ひとりの書生がやってきます。彼の名は黒田景明。母はいたく彼を気に入っているようでしたが、環は何を考えているかわからない彼のことが苦手だったのでした。けれどもある日、彼の優しさが環の心を静かに溶かし…

 タアモ先生の作品ばっかりレビューしてますが、今月末に新作が発売になるので、それまでに全部レビューしようかな、と。ということで、「恋月夜のひめごと」のご紹介です。屋敷に閉じこめられた令嬢と、書生として仕える青年のラブロマンス。書生と言うことですから、いわゆる時代物となります。ヒロインは、政略結婚で生まれた環。父はすでに家に寄り付かなくなり、母も環にはまるで興味がなく、これっぽっちも愛情を注がれずに育ってきました。そんな屋敷に書生としてやってきた、一人の青年・黒田景明。彼の出自は明らかでないものの、どうやら環の母は彼のことが大変お気に入りらしく、いつも側に置いています。そんな景明のことが、なんとなく気に入らない環。出会いがあまりいいものではなく、ついつい構えて接してしまうのでした。けれども何度か話しているうちに、お互いの心は溶け、やがて強く意識するように。しかしふたりは母に愛されない令嬢と、母のお気に入りの書生です。そう簡単に結ばれるような関係にはなく、多くの邪魔が二人の仲を隔てるのでした。


恋月夜のひめごと
もちろん逃避行を企てたりする。ベタ。けれど、ベタじゃなければこの手の話は成立しない。


 一番の壁になるのは環の母親です。ちょっと歪んだ性格の彼女は、娘である環に過剰なまでに冷たく当たります。少しでも景明と仲良くしようものなら、言葉を交わすのを禁止にし、さらには環を屋敷に閉じこめてしまったり、留学の話を勝手に進めたりしてしまいます。しかしそれは逆効果。引き離されれば引き離されるほど、環は景明を強く求め、また景明も弱っていく環の事を一層気にかけるようになっていきます。ベースとなる雰囲気は、重苦しく悲しいもので、なんとなく昼ドラのような多少ドロドロしたテイストが含まれています。
 
 メロドラマといいますか、悲劇ベースの重く切ない話で、タアモ先生の普段の作品とは一線を画するようなお話となっています。それを新境地と捉えるか、ミスマッチと捉えるかは読み手の自由。ストーリーとしてはかなりベタなのですが、だからこそ楽しめるという側面というものが、この手の話には少なからずあるわけで、試みとしては一応成功しているのか。母親の暴走っぷりにはちょっとひいてしまいましたが、ああいったキャラがいないと物語は成立しないわけで、難しところですね。また同時収録の読切りは、お堅い委員長キャラの女の子と、人付き合いの上手い男の子のラブストーリー。こちらも黒髪ロングのヒロインと、黒髪キャラがお好きな方にはたまらない一冊となっております。


【男性へのガイド】
→昼ドラっぽいテイストはちょいと男性には向かないような。相変わらずカワイイですけどね。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→タアモ先生はベタを描かせても面白く描いてきそうなのですが、こういう系統のベタはちょっと良さが削がれてしまうような気も。


■作者他作品レビュー
タアモ「お願い、せんせい」
タアモ「初恋ロケット」
タアモ「吾輩は嫁である。」
タアモ「ライフル少女」
タアモ「あのこと ぼくのいえ」
タアモ「少女のメランコリー」


作品DATA
■著者:タアモ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:ベツコミ('07年9月号〜12月号)
■全1巻
■価格:390円+税

■購入する→Amazonbk1

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2010.02.08
作品紹介→宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」
6巻レビュー→恋愛のスタンスに見る、ダイキチとコウキの強い繋がり的なもの 《続刊レビュー》宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」6巻



usagidrop7.jpg宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」(7)


「わたしはお母さんと会っても
 ダイキチんちの子でいい?」
「あったり前だ
 いつまでもうちの子だよ」



■ダイキチのぎっくり腰をきっかけに、今後のことや、自分の生い立ちが気になりだしたりん。このままずっと、この生活が続くのか…。もしダイキチが結婚したとしても、私はこの家に居ていいのか…。みんな“かわいい子”だけど、私のお母さんから見た私は…?なんだか急に、自分の母親のことが気になりだしたりんは、ダイキチに秘密で戸籍を取り寄せようとしたけれど…!?


〜今回のメインは母親との再会〜
 あっという間に7巻です。7巻では、久々にりんの母親である正子さんが登場。りんがその生い立ちと、ダイキチとのこれからについて深く考えるようになる巻という感じでしょうか。こういったことは中学のころにすでに消化していて、過去を振り返る形で展開されるのかと思っていたのですが、高校生になってからですか。ちょいと遅いような気もしますが、全てのことを自分で受けとめて考えられる歳になってから、という考えもあったのかもしれません。しっかり者のりんですから、苦悩しつつも一つ一つしっかり消化していこうとするあたり、本当に大人ですよねー。けど7巻のりんはちょっと読めない感じが強く、今までになく距離を感じてしまったというか、親しみにくかったり。難しいお年頃ってことなのでしょうか。


〜りんのとる、ダイキチの両親に対する距離に感じる違和感〜
 引き取られて以来、ダイキチと共にりんの面倒を見てきたダイキチの両親。始めは怖がっていたもののすぐに打ち解け、描かれていなかった小学校から高校生になる間も、きっとより親交を深め、家族のようになっていったと思っていたのですが…ここでりんの発言が気になったり。
 
うさぎドロップ
ダイキチのお父さんとお母さん

 ここ、コウキだったら普通に「おじいちゃんとおばあちゃん」で通じるんじゃないのかな、と。いや、説明的に言ってるのかもしれないですけれど、ダイキチの実家に対する妙な距離を感じるというか。そりゃ血縁的には兄妹ではありますが、なんとなく不思議に感じたのでした。また他では、

うさぎ7−3
ダイキチの実家

 これも別に「おじいちゃんち」とか「おばあちゃんち」って言えば通じるように思うんですよね。しかもぎっくり腰になったばっかりで、結構余裕のないとき。咄嗟…ではないかもしれませんが、なぜこんなにも遠回りな言い方をしたのか。このとき感じたのが、ダイキチやその両親との関係性が、完全に固まることを避けているのかな、と。ダイキチの「娘」や、ダイキチの親にとっての「孫」として取り込まれるのではなく、まだ「りん」と「ダイキチ」でいたいというか。なんて深く考えすぎか。実はその後普通に、「おばあちゃん」なんて言ってますし。

 けどこのブレはなんなんだよ!と、ちょっとスッキリとは飲み込めない私だったのでした。だって家族になってもらいたいじゃないですか!りんには!


〜高校生編だからこそ描ける、この信頼感〜
 まぁでも、そんな違和感も、この一言で吹っ飛びました。

うさぎドロップ7−4
わたしはお母さんと会っても、ダイキチんちの子でいい?
 
 ああもうね、なんて可愛らしさ。この質問、りんは絶対答えをわかって聞いていますよね。こう聞いて、ダイキチに「あったり前だ」って言ってもらいたくて。安心したいがために。ダイキチは嘘は絶対に言えない性格だということもわかっていますから、放たれた言葉が本心からであることもまた明らか。だからこそ余計に、りんはその言葉に安心して眠ることができるのだな、と。この信頼に満ち満ちた関係は、幼稚園・小学生編では決して描けなかった情景です。高校生編になってしまって、なんだか…とか言ってるあなた、こんな二人を見てもまだそんなことが言えるってんですか!?
 
 えーと…私も子供には常に正直に接してあげたい。そんな感じです。
  

■購入する→Amazonbk1

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2010.02.07
1102874199.jpg豊田悠「野ばらの花嫁」


誰に何と言われようと
俺は彼女を守る
そのためなら
どんな茨の道もいとわない



■山田千鶴は、警戒心のちょっと強い、ごくごく普通の女子高生…だったはずが、小説家の母が一億の借金を作ってトンズラ。一人残された千鶴が、その借金を背負うハメになってしまったのだった。取り立てに追われ人生終了の危機!!そんなピンチを救ったのが、同じクラスの目立たない男子・久世光流。学校では大人しそうにしておきながら、その実有力なヤクザ梅垣組の三代目。千鶴の負債を梅垣組が買い取る代わりに、千鶴に縁談を断る口実として許嫁になってもらいたいと言うのだった。背に腹はかえられない千鶴は、即答でOK。彼の許嫁として暮らすことになったのだけど…!?

 豊口悠先生の初コミックスだそうです。おめでとうございます。ヤクザの跡取りの元にお嫁に行かされた女子高生のお話。ヒロインは、少し警戒心が強い以外はごくごく普通の女子高生・山田千鶴。学校では、クールで仕事ができるけど可愛げがないと言われています。そんな彼女の母は、自由な性格の小説家。ある日友人の連帯保証で一億の借金を背負わされトンズラ。その借金を千鶴が全て背負うことになります。取り立てに追われ、人生終了!?という所に颯爽と現れたのは、クラスでも目立たない存在の男子・久世光流。なんと彼、有力な梅垣組の三代目で、千鶴の背負った借金を買い取ると言うのでした。なんとかピンチを脱したものの、そう美味しい話があるはずもありません。救ったからには当然見返りが必要です。光流が出した条件は、高校を卒業するまで3年間でいいから、自分の許嫁として生活して欲しいというものでした。助けられてしまった以上逃げることはできません。千鶴はその日から、極道の三代目の許嫁として、彼の家で暮らすようになります。


野ばらの花嫁
わざわざ千鶴を助けるのにはもちろん理由がある。景明はずっと千鶴のことを想っていた。


 家では光流が主導権を握っていますが、学校では千鶴の方が頼りになる存在。というのも、光流は普段は努めて地味な存在として振る舞い、極道の匂いを極力消して生活しているのでした。そんな普段と学校での、ON/OFFの切り替えを楽しめるのが一つの見所。またストーリーは、許嫁としての千鶴の存在を良く思わない周りの人間が、彼女を狙いピンチに陥るというのが定番パターン。そのピンチを光流が救い、ヒロインは身も心も救われるという。ヒロインは母親に裏切られたということから、極端に他人を信用しなくなっています。そんな彼女を、金で買いながらも優しく気遣ってくれる光流を、信用してもいいのかどうか、ヒロインの心情はその一点に集中して描かれます。
 
 コメディとロマンスがバランス良くミックスされている印象。初コミックスですが、やはり白泉社らしくもの凄くクオリティは高いですね。絵も好みです。ただ話はやや個性に欠けたような印象も。極道ものというのは結構描かれる話なのですが、この作品ならではという部分を探そうとすると、どうだろう。ヒロインは意志が強い子で、動かし方次第では結構な活躍を見せてくれそうだったのですが、いつも捕まってしまって身動きができず、受け身パターンに。その分光流のヒーローっぷりに拍車がかかっているとはいえ、どちらも動かせば輝きそうだっただけに、ちょっとこの役回りはもったいなかったような。それでもロマンスという意味ではこちらで十分なのか。個人的にはもっと違ったパターンも見てみたかったですねー。
 

【男性へのガイド】
→ラブロマンスとしての要素がやや強め。とはいえコメディもしっかりあるので、読みにくいということはないです。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→初コミックスですが高い安定感。絵も好みで読みやすくわかりやすいストーリーでしたが、ちょっと個性に欠けた印象も。また違った話を読んでみたいですね。


作品DATA
■著者:豊田悠
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLa(平成20年増刊10月号,平成21年4月号,増刊8月号),LaLaDX(平成21年11月号)
■全1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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2010.02.07
salva me紺野キタ「SALVA ME」


あの旋律が 今も
私の心をかきならし
私の胸をかきむしる
その名前を 恋とよぶのだ



■計6話を収録。それでは表題作をご紹介しましょう。
 毎日日が暮れるまで遊んでいた空き地の隣にあった教会。そこであるとき見た、天使のように歌う少年の姿。たった一度目にしただけだけであったが、その姿は色褪せることなく、心の中にあった。その後幾度となく彼に再会するが、変わった彼の向こうに、そのときの少年の姿を浮かべる…

 紺野キタ先生の作品を読むのは、「つづきはまた明日」(→レビュー)が初めてだったのですが、温かく優しい日常の風景が非常に素敵な作品で、他の作品もコンプリートしてみようと思い手を出してみました。この作品は大洋図書のミリオンコミックスというレーベルで、いわゆるBL作品にあたります。紺野キタ先生も、メインフィールドはBL。ここから「つづきはまた明日」に繋がるようなエッセンスを、なんとなく感じることができたかな、と。
 
 BLといってもそこまでハードでディープな内容はなく、全体的にかなりライトで、雰囲気の良さで語るような、男としては非常に読みやすい内容になっていました。恋愛云々というよりは、友情にきわめて近いものや、過去の想いを回想するもの、またゲイを見守る側に置いて、メインにストレートの男の子を据えた話などで構成されていて、ガシっとBLっぽさを感じさせたのは、最後に収録されていた「天使も踏むを恐れるところ」ぐらいかも。


紺野キタ「salva me」
数年ぶりにあった息子が、女の子の格好をするようになっていた「とてもじゃないけどみつからない」。BL視点はあるけれど、家族愛的な部分が感じられ、非常に雰囲気の良いお話になっていました。


 6話収録されていますが、シリーズ的には4シリーズという構成。成人して家庭まで持った男が、過去を回想していく形で進んでいく短編「SALVA ME」。とある学校に転入してきた沢渡くん視点から、少年たちの賑やかな日常を描く「告白」と「小泉くんと愉快な仲間たち」。少女小説家をやっている男の元に別れた妻から、子供を預かって欲しいと頼まれ、何年かぶりに再会してみたら、息子が美少女になっていたという「とてもじゃないけどみつからない」と「めばえ」。そして西洋を思わせる舞台で、親友二人が再会し想いを重ねていく「天使も踏むを恐れるところ」。どれも少年ないし少女がモチーフとして描かれていますが、これは「つづきはまた明日」でも同じ。どの子供たちも生き生きしているというか、非常に子供らしく、見ていてとっても微笑ましく優しい気持ちになれます。そういうところが魅力なのかな、とふと思ったり。少年同士の想いってのは、友情の延長にあるような感覚ですし、大人視点でも少年に対峙する時は色恋を越えた“愛情”で接するわけで、「読み手を限定しない普遍的な心情」で、男の私でも容易に物語に入り込むことが出来ました。
  
 個人的に特にお気に入りだったのが、「とてもじゃないけどみつからない」と「めばえ」のシリーズ。メインとして描かれるのは、可愛らしい女の子の格好をした少年で、けれどもストレートという変わり種。感覚的には「放浪息子」のような感じでしょうか。ただあちらは女装することによって生まれる疎外感であるとか、厳しい話も描くわけですが、こちらは基本短めなのでそういった厳しい方向にはいかず、美味しい部分だけを抽出して展開します。BL要素ということでは、彼の父がゲイだったり、彼と同じクラスの男の子が彼をやたらと意識していたりと、周囲を固める人物にそういった設定をプラス。そうやって要素を外に置くやりかたもあるのだな、と目から鱗。非常に読みやすく、そして面白かったです。
 

【男性へのガイド】
→BLというよりは、BLテイストと言った方がいいぐらいのライトなBLで、比較的読みやすいと思います。少年だけでなく少女もモチーフとして頻繁に登場するので、男だらけで胸焼けするようなこともないかと。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→いやー良かったです。どれもばっちり読めて、しっかり楽しめました。やっぱり雰囲気の良さが際立っていますね。読んだ後優しい気持ちになれる一冊でした。


作品DATA
■著者:紺野キタ
■出版社:大洋図書
■レーベル:ミリオンコミックス
■掲載誌:CRAFT(2002年Vol.1214,15,2003年Vol.16,17,2004年Vol.21,22)
■全1巻
■価格:600円+税

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