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2012.05.21
作品紹介はこちら→遊知やよみ「これは恋です」
3巻レビュー→変人・辺名の重要な役割 《続刊レビュー》 「これは恋です」3巻
4巻レビュー→なんというもどかしさ…:遊知やよみ「これは恋です」4巻
5巻レビュー→急転直下の大盛り上がり:遊知やよみ「これは恋です」5巻
6巻レビュー→笑った、絶対に俺の夢だ:遊知やよみ「これは恋です」6巻




1106142938.jpg遊知やよみ「これは恋です」(7)


なんだ
喜ぶ顔が見たかったのに



■7巻発売しました。
 辺名先生への想いを自覚した花巻先生。変人辺名相手の恋は成就するの!?そんな中、仲人が趣味の校長先生が、お見合い写真を用意した。ターゲットにされた先生は、必ず誰かと結婚させられるという…。戦々恐々の独身教師陣。そして餌食になったのは…!?


〜辺名先生、花巻先生パートスタートです!〜
 遠藤×綾であれば正直6巻完結でも問題なかったんじゃないかとか思っているのですが、まだまだ終われない理由がそこにはある。名脇役のお二人に明るい未来を…ということで、花巻先生の、辺名先生に対する恋物語でございます。いや、もちろん綾の恋路もあるのですが、7巻に関して言えば完全にそれは端に追いやられていたというか、ライバル登場も霞む程に、花巻先生たちの方が諸々劇的であったな、と。もう新章スタートにしちゃってもいいんじゃね?というレベル。のっけから花巻先生は辺名について考えるわけです。こんな変人を自分が好きになる?いや、ありえない。でも気にしている…。悩みに悩む、花巻先生。まぁ、そりゃそうです。辺名を好きだと認めるのはなかなか厳しいものがあるし、まして好きだと自覚したところで、どうアプローチすればよいのやら。多重苦とはこのことを言うのでしょうか…。
 
 そんな中持ち上がったのは、辺名先生のお見合い話。そしてもう一つ、花巻先生へのお見合い話でした。あーまた話がややこしく…なんて思ったら、ここからが怒濤の展開。マンガを読んでいる時の驚きでは、ここ数ヶ月で一番でしたよ、ほんとに。とにかくすごかった。
 
 自身のお見合い話は、変人っぷりを隠さないアグレッシブさで見事回避した辺名。さらに花巻先生のお見合い話について知ると、それも一気に潰しにかかります。この時の印象としては、「あー、変人っぽく見せていてもしっかり気遣いのできるいい人なんだな。少なからず花巻先生には良い印象を抱いているし、世話も焼こうとしているのか。普通にこれから良い関係を築けそうだ。」なんて感じ。これからの展開に希望を抱かせる印象という感じでしょうか。
 
 その後準備室へ戻り、花巻先生と遭遇。見回り強化の協力への署名をお願いしているのですが、
 

これは恋です7−1
何やらちょっと真剣な顔、そしてこの間…



何かと思ったら…



これは恋です7−2
婚姻届!(綾見切れ)


 ここでいきなりこう来るか!変人の辺名だからこそできる芸当ですよこれは!まじでこれはカッコ良かった…。そしてそれに見事応えてくれた花巻先生もすごく素敵です!
  
 
〜辺名先生、花巻先生パート完結です!(超速)〜
 というわけで、早くも辺名先生、花巻先生パートが終わってしまいました。早い!(笑)1巻丸々使うどころか、1〜2話での完結。こんなのありなんですか!辺名先生相手にあたふたする花巻先生を見てみたかったのですが、それだとあまりにも花巻先生がかわいそう…。なんて結婚が決まったからと言って花巻先生の毎日に平穏が訪れるわけもなく、きっとこれからも騒がしくて、微笑ましい掛け合いを見せてくれるのでしょう。もうね、後半に綾ちゃんのライバル登場とかありましたけど、前半幸せすぎて全く気にならなかったです(笑)正直あの手のタイプに遠藤が気を持つとか、まかり間違ってもあり得なそうでございます。


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2012.05.10
作品紹介→あきづき空太「赤髪の白雪姫」
4巻レビュー→読んでて素直に嬉しかった《続刊レビュー》「赤髪の白雪姫」4巻
5巻レビュー→新章スタート!:あきづき空太「赤髪の白雪姫」5巻
6巻レビュー→仄かに浮かび上がる今さらの“意識”:あきづき空太「赤髪の白雪姫」6巻
関連作品紹介→*新作レビュー* あきづき空太「青春攻略本」
あなたに魔法をかけるファンタジー:あきづき空太「ヴァーリアの花婿」




1106132933.jpgあきづき空太「赤髪の白雪姫」(7)


いつか
そこにいたいって…



■7巻発売しました。
 海賊“海のかぎ爪”に攫われた白雪を救出するため、適地に乗り込んだゼン達。そして、ゼン達に強力した山賊“山の獅子”の大将・武風の意外な素性が明らかになる!新章に突入し、白雪やゼンを取り巻く環境にも動きが…!?
 
 
〜父親登場〜
 新章突入しているらしいのですが、どのへんが切れ目なのかイマイチわかっていない私でございます。というわけで7巻発売しています。LaLaDXメインなので刊行ペースはやっぱり遅めですね。今回序盤に、思わぬ形で白雪の近しい人が登場することになります。山の獅子の主要メンバーがなんと…
 
 
赤髪の白雪姫7−1
白雪のお父さん


 唐突すぎる展開にびっくりでございました。けれどもこれで、鹿月が白雪を無茶してでも攫おうとした理由が明白になり、物語としてやっとこさ納得。正直これがなかったら、本当に鹿月を嫌ったまま終わりそうでしたもの(笑)いや、結局そんなに好きになれていないですが、でも腑に落ちるものはありますよね。しかしお父さんが山賊ってまたすごいですな。自分のやりたいことをしっかりと持ち、自分の居場所を自分で見つけるこの真っ直ぐさや拘り方は、まさに白雪が持つそれと同じで、確かに親子なんだなぁと思わされる部分もありました。


〜眠る白雪姫への王子様のキス〜
 さて、今回は所々で見所があったのですが、個人的には誘拐騒動が一段落した後の、白雪とゼンの絡みが。何かイベント事が一段落した後に訪れる静かな時間に、二人が心通わせる時間って、今までも何度か訪れているかと思うのですが、どれもこれもイイ!なんかこう、ゼンと白雪って、例えば二人が見つめ合っているその画だけで充分もっちゃうみたいなところがあるじゃないですか!(暴走して語る) 今回は白雪のちょっとしたおねだりがあって、それがとっても可愛かったです。
 

赤髪の白雪姫7
顔を赤らめつつ、うしろから腕をつかんで、「もう少しだけ一緒に…いてくれないかな」
 
 
 ストライーク!こんなこと言われたら、少しどころかずっと一緒にいたくなるだろ、と。ゼンも結局、白雪が眠りにつくまで一緒にいてあげましたし。その後、眠る白雪をベッドに運んでキスをする絵面は、「白雪姫」さながらの“眠れる姫への王子様からのキス”。ちょっとは「白雪姫」意識したのでしょうか。なんてこちらは目覚めるのではなく、安心感からより深い眠りへと落ちたと思われるのですが。なんともロマンチックなワンシーンでしたね。


〜いよいよクライマックス?〜
 さて、思わず劇をする回など、「また定番の引き延ばしパターン?」なんて思ったら、ちょっと大切な出来事がラスト付近でありました。それが、ミツヒデから発せられた「白雪 きみにも心を決めてほしい」という言葉から続く、一連の白雪の決意への流れ。宮廷薬剤師ではあるものの、やはりゼンとは身分差があります。王子としての道をすすむゼンと、共に歩んでいくのであれば、それなりの心構えを持って欲しい、と。そうして揺れる白雪に、思わぬ助け舟を出したのは、実に意外な人物・ラジ王子でした。ただのアホバカ脇役として終わるかと思いきや、ちゃんと挽回のチャンスを与えられ、さらにはこんな形で舞台を整えるとは。口からのでまかせを伏線・回収で使ってくるとは、やられました。白雪の決意やよし、身分的にも恥ずかしくなく、さて後残っている問題とは…?まだまだ続くかと思いきや、意外といつでも幕引きできる準備は整っているのかもしれません。さてさて、どうなることやら。8巻も楽しみですね。


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2012.05.08
作品紹介→椎名軽穂「君に届け」
9巻レビュー→爽子の告白などに関して思うことを少々…《続刊レビュー》「君に届け」9巻
10巻レビュー→ひとつの区切り、新たなスタート《続刊レビュー》「君に届け」10巻
11巻レビュー→くるみちゃんの魅力:椎名軽穂「君に届け」11巻
12巻レビュー→いやいや、あなたこそ、良いパパだっ!:椎名軽穂「君に届け」12巻
13巻レビュー→制服×海辺砂浜×二人で=最高:椎名軽穂「君に届け」13巻
14巻レビュー→座った距離と心の距離:椎名軽穂「君に届け」14巻



1106111639.jpg椎名軽穂「君に届け」(15)


終わらせたかったんだよ


■15巻発売しました。
 修学旅行でのキス未遂事件以来、どこかぎくしゃくしてしまう爽子と風早   。あやねのことが気になり急接近するケント   。龍からの告白を断ったことで、今までの関係が終わると感じる千鶴    。6人それぞれの立ち位置が、少しずつ変わり始める冬の始まり…
 

〜もう16巻発売します〜
 新刊が発売されても一向にレビューが上がらず、閲覧者の皆さんから「まだですか?」と催促されることが通例になりつつある本ブログですが、こちらも例に漏れず。15巻のレビューをお届けしながら、もう16巻は発売間近ですよっと(5/11発売)。でも気にせず書きます。
 

〜爽子の時とは違う、ケントのアプローチ〜
 6者6様の恋模様が浮かびつつある15巻ですが、この中で今回最も精力的に動いたのは誰でしょう。それは間違いなくケントであるはずです。沖縄で、思わずあやねを抱きしめたケントの真意やいかに。爽子に対しても、意外な程あっさりと恋心を認めた彼ですが、今回も意外な程あっさりと、自分の想いを表に出しました。
 
 
君に届け15−1
あやねが好き


 心配で、放っておけなくて抱きしめたのではなく、あの時の行動はきっと紛れもなく彼の恋心によるものでした。しかし今回のあやねへのアプローチを見ると、「え、お前本当にケント?」と言わざるを得ないというか。爽子へアプローチしていたあの頃に比べると、まるで別人のようです。まずその表情ね、表情。常に慈悲に溢れた微笑みみたいなの浮かべてるし、言葉のかけかたが異様に優しいというか、相手のことを慮っている感じ。爽子の時なんか、周囲の状況を全く気にすることなく
 
 
君に届け15−2
…なんならオレにする?


 とか言ってた男ですよ!それが今度はちょっとキモイくらいの笑顔でめっちゃ優しい言葉かけちゃうっていう。相手によってアプローチ方法を変える器用さがあるのか…いや、彼もまた爽子たちと接したことで多少なりとも性格が変わったんじゃないでしょうか。しかしこれがあやねに響くのかはまだわかりません。状況的には、未だピンと五分五分。別にピンにその気はないでしょうが、タイミング的に持ってるのはどう考えてもピンなわけで。


〜あやねはどっちが良いんだろう〜
 さて、あやねは一体どっちが良いんでしょうか。そんな二人が揃ったシーンがこちら…
 
 
君に届け15−3
不器用と言うケントと、器用だと言うピン
 
 
 これ多分どっちも正解というか、間違っちゃいない気がするんですよね。ケントは割と細かいところまで目が行き届く人間で、けれど時に必要以上にそれを肥大させて見てしまうきらいがあるように思えます。逆にピンは、押さえるべき所は押さえて、けれども必要以上に踏み込みすぎない、引き際を弁えている印象。どちらも接してもらえば、ありがたい性格。問題はあやねがどちらをより好むのかということ。あやねって、自分の本当に弱い部分に触れられた時、どんな反応するのかなっていう。結構そういうの嫌がりそうな性格ですよね。ケントが以降、あやねの弱い部分に踏み込んだ時、どういう反応をするのか、注目したいと思います。
 

〜龍とちづの過去は泣けた〜
 さて、ケントの話題ばかりになってしまいましたが、15巻の見所はなんと言っても龍とちづの過去でしょう。お互い気まぐれも頑固さもなく、ただただ相手と自分のことを思って導き出した、今の自分の気持ち。龍の過去は衝撃でしたね。普通少女漫画って、そういう過去は主人公の相手役に降りかかりがちだったりするのですが、ここで龍だとは。ああいった過去があったからこそ、ちづが「きょうだい」に拘るのもわかりますし、逆に一番理解してくれる人を好きになるという龍の気持ちも、ごくごく自然でよくわかるんですよね。動き出してしまった以上、もう戻ることはできません。そして最後の最後で龍のあの畳み掛け。「思えよ」「あのとき告白しない理由がなかった」…この二言で龍にべた惚れになった方も少なくないはず。カッコいいのなんの。ちづは一体なんて返事するんですかね。それがすぐ4日後に読めるなんて…!読み出しが遅くても得することだってあるんだと、ちょっとお得感を無理矢理出してみました。さすがに無理矢理すぎるか。。。


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2012.05.08
1106143463.jpg斉藤倫/道尾秀介「光媒の花」(1)


遠い遠い家まで…


■認知症の母と暮らす男の、忘れがたい遠い夏の痛み。幼い兄妹が草叢に隠した、赤く汚れた罪…。絶望から希望へとグラデーションを描く、珠玉の物語たち。山本周五郎賞を受賞した、道尾秀介渾身の連作群像劇を完全漫画化。儚く美しく、不穏な愛に揺れる第一集登場!

 原作となっているのは、第23回山本周五郎賞を受賞した小説「光媒の花」。作者は道尾秀介先生とのこと。正直全く原作は存じ上げなかったのですが、専用ページが設置されているなど、集英社としてはなかなかの力の入れようであることが窺えます。Amazonでの評判も上々です。そんな作品をコミカライズしたのは、「僕の部屋へおいでよ」(→レビュー)などを描かれている斎藤倫先生。個人的にとても好きな漫画家さんなので、いつもとちょっと雰囲気の違う表紙とタイトルに、すごく興味惹かれました。
 
 原作は6篇なのですが、1巻に2篇毎収録の全3巻の予定とのことです。1巻には原作の1〜2篇までが収録されています。1話目は、認知症の母親と一緒に暮らす男性の、封印された過去が、母親の描く絵によって思い起こされるというお話。2話目は、ホームレス殺害に手を染めた小学生の幼い兄妹のお話。どちらも“殺人”が主人公の今を形成する大きな出来事として描かれており、非常に仄暗く寂しいストーリーが展開されます。


光媒の花
2章「虫送り」より。思っても見ない形で人を殺めたという十字架を背負うことになる兄妹。雰囲気としては透明だけれどもどこか薄暗く、冷たい、そんなお話となっています。


 どこに向けることもできない怒りだとかやりきれなさのようなものが残る点で、1章と2章は共通しており、1巻としての感想としては少なからず気持ちの良いものではないかもしれません。これが2巻、3巻と経るにあたり救いのある方向へ進んでいくのか、はたまたより救いのない話になるのかは原作未読である以上わからないのですが、帯の「絶望から希望へとグラデーション」という言葉を信ずるならば、きっとこれから希望あるお話へと移ろっていくのでしょう。
 
 1話目「隠れ鬼」は単発の読切りとしてはありがちなお話に見えたのですが、2話目「虫送り」は主人公の兄妹二人があまりに不憫というか、救いようのない話で色々な意味で印象に残りました。「ホームレス殺害に手を染めた小学生」というフレーズからまず、小学生なのに殺害?なんて違和感を感じるわけですが、本編を読んでびっくり。時に人間というのは容赦ない鬼のようになるのですね。1話目、脇役とも言えない程度のモブとして登場し、希望に溢れる象徴として描かれる少年が、2話目にてこんな絶望を見ることになるとは。

 斉藤倫先生の絵はかわいい子供(女の子は特にかわいい)とちょっとだらしないダメな若い男がしっくりくるイメージなのですが、2話目はその組み合わせがズバリ出てくるため、余計に印象に残った部分もあるのかもしれません。原作の装丁を見るに、多分こんなキャラ造形は想像しないでしょうから、確実に原作イメージとは異なる絵で魅せていると思われ、原作既読、未読どちらもそれなりに楽しめる作りになっていると思います。作りは原作未読向け。


【男性へのガイド】
→原作者は男性ですし、主人公も男性ですから。もちろん読みやすいと思います、はい。
【感想まとめ】
→普通に面白いし楽しめます。ただ3巻揃えて2000円オーバーの一方、原作小説であれば2000円出してお釣りが来るかつ一気に読めるということを考えると、コストの面でどうなんだろうという気もします。ただ原作に漫画家さんならではの色がついているのは確実で、そういう意味では双方比べることにあまり意味はないのかもしれませんが。


■作者他作品レビュー
*新作レビュー*斉藤倫「誓いの言葉」
*新作レビュー*斉藤倫「宙返りヘヴン」
恋に芸術に悩む美大生:斉藤倫「Juicy」


作品DATA
■著者:道尾秀介/斉藤倫
■出版社:集英社
■レーベル:レーベル不明
■掲載誌:Cookie
■既刊1巻
■価格:781円+税


■購入する→Amazon

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2012.05.07
1106142928.jpgイシノアヤ「三等星のスピカ」(1)


んー、いい風!!
出会いの予感がするよ。



■高校入学を目前に控えた春のある日、拓巳は砂浜で引っ越してきたばかりの哲郎と出会う。奇しくも同じ高校、同じ学年、同じクラスになった二人は、揃って野球部に入部。のっぽの天然キャッチャー拓巳×チビの頭脳派ピッチャー哲郎。どこまでも正反対の2人だが、何故かお互いが気になって…。野球少年、気になるマネージャー、カメラ少女、ひねくれ男子、優しいおばあちゃん、それと犬!海沿いの小さな町を舞台に紡ぐ、愛しき青春群像物語…

 イシノアヤ先生初の少女漫画です。イシノアヤって誰?って方は、とりあえずBL界隈で活躍されている作家さんと認識してもらえば大丈夫かと。個人的には「椿びより」をイシノアヤ先生とか全く意識せずに読んでいたって程度でしか存じ上げておらず、ほぼ初読です。本作はKissPlusにて連載されている青春群像劇をまとめたもの。1巻には14話が収録されており、1話は結構短めです。
 
 舞台となるのはとある海沿いの小さな町。主人公は腰越高校に入学する、拓巳。入学式を控えたある日、犬の散歩で出会ったのは、背の小さな男の子。犬が異常に懐いたため、印象に残っていた彼と、登校初日に再会することになります。同じクラスで部活まで同じ彼・哲郎は、ぶっきらぼうで口数少ないけど真面目ないいヤツ。キャッチャーの拓巳とバッテリーを組めるピッチャーということで、自然と拓巳は哲郎に懐くことに。そんな二人を軸に、哲郎の従姉妹や変人のカメラ小僧、男勝りなマネージャー、野球部の先輩に飼い犬も巻き込んで、眩しい青春の日々を紡いでいきます。


三等星のスピカ1−1
視点は主人公・拓巳が中心。人懐っこくマイペースな彼が、物語自体も動かしていく。キャッチャーなのに基本相手の言うことはあんまり聞かない(聞く気はあるけど)。


 新入生バッテリーを軸とした青春群像ですが、野球を目一杯するかというとそこまででもなく。所謂スポーツものとは一線を画します。ショートストーリーで女子も織り交ぜつつ、思春期の香り立つ部活風景ということで、イメージとしては「ザワさん」みたいな感じも。ただあちらが甲子園を目指せるようなガチンコの高校野球部で有るのに対し、こちらは真面目には取り組みつつも、全員が甲子園を夢見ているような感じではない、せいぜい地方大会何勝か出来れば御の字というような弱小高校。良い意味で脱力もしており、部活以外の青春要素が入りやすい状況にあります。部活でのふとした風景、少しずつ分かり出す友人の性格、変化する人間関係…雰囲気で味わい深さを出す感じも、「ザワさん」を彷彿とさせるところでしょうか。
 
 メイン二人の関係もさることながら、個人的に好きなのは無口なピッチャー・哲郎の従姉妹で、写真部所属の山根さん。


三等星のスピカ1−2
密かに哲郎に想いを寄せているものの、従姉妹という距離の近さが素直さを削ぎ落とし、ついついキツい口調で哲郎に接してしまいます。ファインダーを通して哲郎を見る姿はまさに恋する女の子。近い距離にいるのに、なかなか想いを伝えられないその不器用さが本当に素敵です。ただ恋愛パートはどちらかというと拓巳がメイン。お相手は男性に間違われまくるくらい男っぽいマネージャー。恋と言える程自覚的ではないですが、気になって目で追ってしまうその感じがなんだかとっても甘酸っぱい。
 
 何か大きな動きのある物語ではありませんが、だからこそ感情の機微が良く描かれていて、自分達の青春時代とも重ねやすい。なんてことない日常にも、素敵な青春の匂い立つ一瞬が隠れているというものです。ああ、高校時代に戻りたい…眩しさ溢れる物語に、きっとあなたもそう思うはずです。


【男性へのガイド】
→こういう感じの作品は女性の方が響くんでしょうかね。でも男性も好きな人は好きな作風だと思います。ちょっとオサレ感あって、嫌な人は嫌かもしれませんが。私は好き。
【感想まとめ】
→ゆるりと流れる青春模様。独特のペースに慣れるまでちょっと時間がかかりましたが、気がつけば物語に身を任せ、気持ち良くなってました。なんとも眩しい青春っぷりに、ちょっと高校時代が懐かしくなってしまいました。


作品DATA
■著者:イシノアヤ
■出版社:講談社
■レーベル:KC デラックス
■掲載誌:KISS Plus
■既刊1巻
■価格:590円+税


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