作品紹介はこちら→咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」
6巻レビュー→安堂のヘタレっぷりに拍車がかかってきたんですが… 《気まぐれ続刊レビュー》咲坂伊緒「ストロボエッジ」6巻
7巻レビュー→あれ、仁菜子ってこんなカワイかったっけ…?《続刊レビュー》「ストロボ・エッジ」7巻
8巻レビュー→蓮にニヤつき、仁菜子には渋い顔を…:咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」8巻
咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」(9)
いくらことばで諦めるって言い聞かせても
心が『好き』って感じちゃうんならどうしようもないもんね…
■9巻発売です。
自分の蓮への告白が蓮や安堂を傷つける 。仁奈子は蓮への気持ちを再度押しとどめようとするが、思ったように上手くはいかず、むしろ苦しさやモヤモヤが大きくなるばかり。そして迎えた体育祭。団長の励ましもあり、少しずつ前向きになってきた仁菜子は…!?一方蓮は、団長の存在に焦りが増長。体育祭が終わったら、気持ちを伝えると決めるが…?また安堂は、元カノ・真央とリレーで一緒になるのだが、そこで思わぬ出来事が起きて…?急展開の9巻に、あなたはきっと目が離せない!!
~仁菜子の恋心の破壊力~
スゴいことになってますよ、ホントにすごい…これ読んでる時の私の様子が。一人部屋でニヤニヤしながら、「おいおいおいおい…!」とか「それはズルいだろ~」とか「それはダメだろ…」とか、時に漫画に顔を埋めたりして、言ってるわけですから、キモイキモイ。しかしわかっちゃいるけど、ニヤニヤしてしまう、赤面してしまう。それくらい激動の、そして嬉し恥ずかしの、素晴らしい展開だったのですよ、9巻は。今までのくすぶりがウソのように、仁奈子と蓮、そして安堂の関係は大きく動いていきます。どうしたって、空気感は両想い。けれども一度フラレているため、仁菜子は必死で思考を制御します。けれども、それだって限界がある。ストッパーをかけていても、隙間からこぼれ落ちるように好きな気持ちと期待は溜まっていき、いつしかこんな思いを抱くように…
蓮くんにすきって言ったら
困るかな
きっと困るよね
でも
困らせたいな
おいおいおいおいおいなんつー破壊力。「困らせたいな」ですよ、「困らせたいな」。 困らせてもらいたいに決まってるじゃないですか。まさかこんなモノローグが飛び出すとは思っていなかったので、完全に不意打ちくらいました。これ、言われたら困っちゃうよなぁ、そして嬉しいだろうなぁ、と。しかしこれだけでは終わらない。恋の良さが伝わってくるシーンが、この直後にもありました。それは、蓮くんに電話をかけるシーン…

すでにこの時、告白することを決めていた彼女は、電話一つでド緊張。しかもこれは、留守番電話にメッセージを残すというだけの好意です。いざ告白しようと決めると、それだけでやたらと緊張してしまうのですが、告白の段取りの電話となれば、そりゃあもう心臓が爆発するんじゃないかってくらい緊張するわけで(経験談)。告白の時の緊張は、「告白が成功するか否か」という部分が大きいと思うのですが、告白の段取りを整えるという段階では、告白の正否ではなく、「告白するしかない」と逃げ場をなくしたことが緊張を生んでおり、「緊張」の性質としては両者大きく異なります。「恋心を、丁寧に丁寧に描く」というコンセプトで描かれている本作だからこそ、告白の前段階での緊張までも堪能することが出来る。本当にこの作品の良さがよく出たシーンだったと思います。なんて、カバンに顔を埋める仁菜子が可愛いというのが、気に入った一番の理由だったりするのですが…。
~へこたれない蓮くんとヘタレた安堂…~
おおよその決着はついてしまったわけですが、そこに至る段階でも、蓮くんと安堂の間には、それぞれヒーローらしい行動・かませ犬らしい行動が見え隠れしていたように感じられました。安堂は、最後まで食い下がろうと、ギリギリまで仁菜子にアプローチをするわけですが、まさかのあの展開。散々ヘタれて愚痴った後に、元さや(?)に慰められ、以降自堕落な生活に戻ってしまいます。一度こっぴどくやられて、もう立ち直れない。確かに彼にとっては気の毒としか言いようのない、辛い状況ではありましたが、一方の蓮が一度も落ちていないかというと、そうではありません。今回蓮は、一度フラれています。しっかりと、仁菜子の口から断りの言葉が投げかけられています。それでも彼は、決して腐ることはありませんでした。そして最後にはまさかのあの行動です。直前に、一度フラレているにも関わらず。その逞しさ、やっぱりヒーローだなぁ、と。それに蓮くんは、しっかりとチャンスに出くわせるんですよね。仁菜子がああやって、机に座っているところに、偶然。偶然、タイミングよく二人きりになれるというのは、少女漫画でヒーローだけが持つアドバンテージ。もし安堂が、蓮くんがフラれたことをもう少し前に耳にしていれば、もしかしたらまた状況は変わっていたのかもしれません。なんてそれが絶対にありえないのが、かませ犬なんですが。
~脇役二人のお話~
9巻の急展開は、比較的最近になって登場した、二人の脇役によるところが大きいと思います。一人は応援団長。そしてもう一人は、安堂の元カノ・真央。どちらも大きく3人の関係に影響を与えたのですが、その影響のさせ方が、まったく正反対で面白いな、と。元カノ・真央は、初登場時から仁菜子を困惑させる言動が多く、悪意が見え隠れしていました。また9巻にて、その本音を告白したことで、悪い印象は解けたのですが、一方で安堂を活気づけ、結果仁菜子と蓮の恋路の邪魔をすることに。とにかく直接的にも間接的にも、二人の関係の進展を妨げる役割となっていました。一方の団長は、落ち込み悩む仁菜子に対し、気の利いた助言をして前向きにさせます。また仁菜子と一緒にいる時間が多いことによって、蓮の焦りも意図せず誘発。結果蓮の告白の決意を早めるという、思わぬ効果ももたらしてくれました。どう転んでも、二人の関係を強化させる、そんな存在。真央とは真逆です。しかしどちらも、魅力的なキャラクターですよね。罪悪感と恋心にしっかりと向き合い、不器用ながらも精一杯動いていた真央は、それでけでもう可愛いですし、今を精一杯生きる、違った形での青春・生き方を提示してくれた団長もまた、カッコ良かった。しかし二人の関係を一気に進展させておいて、当の本人はそんなこと一切気にせず、颯爽と学校を去って行くという団長さん…本当にカッコ良すぎますよ。。。9巻のMVPは間違いなく団長、あなたですよ!
■購入する→Amazon
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6巻レビュー→安堂のヘタレっぷりに拍車がかかってきたんですが… 《気まぐれ続刊レビュー》咲坂伊緒「ストロボエッジ」6巻
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8巻レビュー→蓮にニヤつき、仁菜子には渋い顔を…:咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」8巻

いくらことばで諦めるって言い聞かせても
心が『好き』って感じちゃうんならどうしようもないもんね…
■9巻発売です。
自分の蓮への告白が蓮や安堂を傷つける
~仁菜子の恋心の破壊力~
スゴいことになってますよ、ホントにすごい…これ読んでる時の私の様子が。一人部屋でニヤニヤしながら、「おいおいおいおい…!」とか「それはズルいだろ~」とか「それはダメだろ…」とか、時に漫画に顔を埋めたりして、言ってるわけですから、キモイキモイ。しかしわかっちゃいるけど、ニヤニヤしてしまう、赤面してしまう。それくらい激動の、そして嬉し恥ずかしの、素晴らしい展開だったのですよ、9巻は。今までのくすぶりがウソのように、仁奈子と蓮、そして安堂の関係は大きく動いていきます。どうしたって、空気感は両想い。けれども一度フラレているため、仁菜子は必死で思考を制御します。けれども、それだって限界がある。ストッパーをかけていても、隙間からこぼれ落ちるように好きな気持ちと期待は溜まっていき、いつしかこんな思いを抱くように…

蓮くんにすきって言ったら
困るかな
きっと困るよね
でも
困らせたいな
おいおいおいおいおいなんつー破壊力。「困らせたいな」ですよ、「困らせたいな」。 困らせてもらいたいに決まってるじゃないですか。まさかこんなモノローグが飛び出すとは思っていなかったので、完全に不意打ちくらいました。これ、言われたら困っちゃうよなぁ、そして嬉しいだろうなぁ、と。しかしこれだけでは終わらない。恋の良さが伝わってくるシーンが、この直後にもありました。それは、蓮くんに電話をかけるシーン…

すでにこの時、告白することを決めていた彼女は、電話一つでド緊張。しかもこれは、留守番電話にメッセージを残すというだけの好意です。いざ告白しようと決めると、それだけでやたらと緊張してしまうのですが、告白の段取りの電話となれば、そりゃあもう心臓が爆発するんじゃないかってくらい緊張するわけで(経験談)。告白の時の緊張は、「告白が成功するか否か」という部分が大きいと思うのですが、告白の段取りを整えるという段階では、告白の正否ではなく、「告白するしかない」と逃げ場をなくしたことが緊張を生んでおり、「緊張」の性質としては両者大きく異なります。「恋心を、丁寧に丁寧に描く」というコンセプトで描かれている本作だからこそ、告白の前段階での緊張までも堪能することが出来る。本当にこの作品の良さがよく出たシーンだったと思います。なんて、カバンに顔を埋める仁菜子が可愛いというのが、気に入った一番の理由だったりするのですが…。
~へこたれない蓮くんとヘタレた安堂…~
おおよその決着はついてしまったわけですが、そこに至る段階でも、蓮くんと安堂の間には、それぞれヒーローらしい行動・かませ犬らしい行動が見え隠れしていたように感じられました。安堂は、最後まで食い下がろうと、ギリギリまで仁菜子にアプローチをするわけですが、まさかのあの展開。散々ヘタれて愚痴った後に、元さや(?)に慰められ、以降自堕落な生活に戻ってしまいます。一度こっぴどくやられて、もう立ち直れない。確かに彼にとっては気の毒としか言いようのない、辛い状況ではありましたが、一方の蓮が一度も落ちていないかというと、そうではありません。今回蓮は、一度フラれています。しっかりと、仁菜子の口から断りの言葉が投げかけられています。それでも彼は、決して腐ることはありませんでした。そして最後にはまさかのあの行動です。直前に、一度フラレているにも関わらず。その逞しさ、やっぱりヒーローだなぁ、と。それに蓮くんは、しっかりとチャンスに出くわせるんですよね。仁菜子がああやって、机に座っているところに、偶然。偶然、タイミングよく二人きりになれるというのは、少女漫画でヒーローだけが持つアドバンテージ。もし安堂が、蓮くんがフラれたことをもう少し前に耳にしていれば、もしかしたらまた状況は変わっていたのかもしれません。なんてそれが絶対にありえないのが、かませ犬なんですが。
~脇役二人のお話~
9巻の急展開は、比較的最近になって登場した、二人の脇役によるところが大きいと思います。一人は応援団長。そしてもう一人は、安堂の元カノ・真央。どちらも大きく3人の関係に影響を与えたのですが、その影響のさせ方が、まったく正反対で面白いな、と。元カノ・真央は、初登場時から仁菜子を困惑させる言動が多く、悪意が見え隠れしていました。また9巻にて、その本音を告白したことで、悪い印象は解けたのですが、一方で安堂を活気づけ、結果仁菜子と蓮の恋路の邪魔をすることに。とにかく直接的にも間接的にも、二人の関係の進展を妨げる役割となっていました。一方の団長は、落ち込み悩む仁菜子に対し、気の利いた助言をして前向きにさせます。また仁菜子と一緒にいる時間が多いことによって、蓮の焦りも意図せず誘発。結果蓮の告白の決意を早めるという、思わぬ効果ももたらしてくれました。どう転んでも、二人の関係を強化させる、そんな存在。真央とは真逆です。しかしどちらも、魅力的なキャラクターですよね。罪悪感と恋心にしっかりと向き合い、不器用ながらも精一杯動いていた真央は、それでけでもう可愛いですし、今を精一杯生きる、違った形での青春・生き方を提示してくれた団長もまた、カッコ良かった。しかし二人の関係を一気に進展させておいて、当の本人はそんなこと一切気にせず、颯爽と学校を去って行くという団長さん…本当にカッコ良すぎますよ。。。9巻のMVPは間違いなく団長、あなたですよ!
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