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立ち止まり癖のある女、ダブルワークはじめます:おかざき真里「&」1巻
おかざき真里「&」(2)
恋愛社会人デビューは
ハードル高いです■2巻発売です。
派遣の医療事務として働くかたわら、ネイルサロンをはじめた薫。男性に触れられるのが苦手、そんな彼女が自ら触れたいと願ったのは、勤務先の病院の医師・矢飼。歳の差はあれど、お互いに惹かれつつある二人だが、矢飼の“過去”と“迷い”が彼の気持ちを邪魔をする。そしてもう一人、大学の頃より一途に薫を慕う後輩・シロちゃんの想いも絡まり合って…!?恋があふれ加速する、恋愛プチフリ女のダブルワーク!!
~もう…!もう…!なんでこんなに面白いんですか!~ 2巻発売ですよー。1巻の時もすごく面白いと思ったのですが、2巻はそれにも増して面白い!しかしながら、この面白さを的確に表す言葉が、書き方が見つからない…。レビューを書きあぐねるタイプです(笑)そんな中、キラリと光って見える帯の、羽海野チカ先生の推薦文。
「読むと叫び出したくなるラブストーリー!!先生!!恋心をそこまで微に入り細に入り暴かないでください!!心臓を触診されてるみたいです!!」。。。この「心臓を触診されているみたい」ってフレーズは絶妙だなぁ、と。なんていうか、グッと体の深いところに物語(というか作品中のキャラたち)が入り込んで、でもそれがすごく心地よくないというか、ムズムズズキズキする感じで。
~剥き出し感~ この、お互いの心の「剥き出し感」。何なのでしょうか。そんな感覚が、全編通して味わえるものですから、もう読んでるときはへにょへにょしているわけですが、2巻では特にNumber8がすごかった。流れのままにホテルへ着くと、以降事前準備ないし前戯(どこからどこまでを前戯というかよくわからんですが)の描写が延々20ページも続きます。それがそれが濃厚で。絵的な部分からの即物的なエロは薄め。濃いのは、台詞や構図、全体的な流れなどが合わさって生まれる、心情的な部分でのエロさ。

その20ページの中で、薫と矢飼の視点が何度か入れ替わって行くのですが、その中で垣間見えるのは、相手を欲する欲情的な感覚ではなく、「○○だったらどうしよう」とか「○○だし恥ずかしい」というような、自己保身的で理性的な部分。お互いに欲情はしているはずですが、それは体の動きに任せて、敢えて文字としては描かず、逆に一歩下がって冷静な、自己保身的な部分を文字情報として描き出す、この感じ。男はヘタな駆け引きを、そして女性は少しでも美しく…。なんというか、すごく、リアルです。
~心残る台詞が多かった~ さて、今回ですが、なんだかやけに心に残る言葉が多かったのも一つ強調しておきたい点です。どれもシンプルな言い回しながら、核心を突いていたり、「わかるわかる…」という感覚に陥ったり。それでは、そんな言葉の数々をご覧ください
大人になると誘い方もまわりくどい
あるある。逆にすごくシンプルになる人もいますよね。ただ作中の矢飼先生はさすがにやりすぎじゃないですか(笑)最初何かと思いましたよ。そして、その顛末を見て、「ああ!」と。
こういう風に触れたりできると
やっぱり運命とか想っちゃうじゃないですか
期待しちゃうじゃないですか
すごいわかります、うん。もう20代も半ばですけど。恋愛経験重ねると、こういう感覚も薄くなるんでしょうか。
落胆した時に
「自分が悪かったのかもしれない」
と
思う程度には自己中心的です
これはもう単純に、すごいなと(笑)確かに、「自分が悪かったかも」と自分起点で考えている時点で、ある意味では自己中心的なのかもしれません。
恋愛社会人デビューはハードル高いです
高いです。高いです。高すぎて見つかりません。。。

じゃあ イかせればいいですか? だから矢飼さん(笑)けどこの言葉、ものすごく真剣で、精一杯出した言葉なんですよね。矢飼さんの口調というのは結構わかりやすくて、ですます調になっていると、相手を諭すように見せて実は自分を諭して落ち着こうとしているパターン。このときも、実のところかなりテンパってるはずです。その結果、このどうしようもない言葉が出てくるという。凄く、素敵だと思いました。
~立ち止まる女だけじゃない。みんな回りくどく恋愛してる~ この物語の最初の触込みは、立ち止まり癖のある女の恋愛ということでしたが、厄介な性質を抱えているのは、何も立ち止まり癖のある薫だけではなく、男二人も同じです。矢飼は過去のトラウマ的経験と、その重ねた年齢ゆえに、恋愛に慎重にならざるを得ない状況にあり、ある意味では立ち止まりが発生しやすい状況です。またシロちゃんは、典型的な理系草食系男子。もう何もしなくても立ち止まっているようなもので、彼も恋愛方面では非常に苦労しそうです。そんな三人が揃ったならば、もう立ち止まりまくり…に見せかけて、意外と薫が一番頑張っているんじゃなかろうか。それほどまでに、男二人が不甲斐ないというか立ち止まっているわけですが、お、2巻ラストでは何か動き出しそうな気配。。。これは楽しみですよ。
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