作品紹介→鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」
4巻レビュー→花ゆめで今一番ラブでコメしてるのはこの作品に違いない《続刊レビュー》「神様はじめました」4巻
5巻レビュー→天狗の鞍馬はいらない子じゃなかった!《続刊レビュー》鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」5巻
6巻レビュー→神様ではなく、あくまで女の子として:鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」6巻
7巻レビュー→求める裏にある、奈々生の悲観的な未来観測:鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」7巻
8巻レビュー→ただただ純粋に想い続ける姿が、本当にかわいい:鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」8巻
9巻レビュー→隠しきれない喜び方にニヤニヤ:鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」9巻
10巻レビュー→「守ること」を守りすぎた巴衛:鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」10巻
鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」(11)
私は結婚なんかしないわよ
多分
■11巻発売しました。
奈々生が結婚を申し込まれた!?「巴衛がOKなら受けようと思って…」そう恥じらいながら話す奈々生に、瑞希は卒倒寸前!一体どういう事!?更に、年末になり奈々生達は辰年神様のお社へご挨拶に向かうことに。そこで、巴衛と瑞希は奈々生の過去を見てしまって…!?
~結婚式ですって~
11巻発売です。二桁に巻数乗せてから早々に奈々生が結婚!?なんて思ったら、沼皇女の方ですって。なんてオチに使われてますがこっちの方が衝撃ですわ。てかそんな結婚云々以前の状態だったような気がするんですが、初めての恋に舞い上がる女の子って感じがして良いですねー。自分も初めて付き合った子と結婚するもんだと思ってましたもん。なお、割とあっさり振られたのを覚えてます。
~奈々生の生い立ちが明らかに~
さて、私の中学時代のお話はどうでもよくてですね、今回書きたかったのは他でもない、奈々生の幼少時代です。学校生活もあまり描かれない彼女ですが、その生い立ちも割と謎に包まれていて、白泉社の作品にありがちな「父親が蒸発(他界したり失踪したり)で路頭に迷った」という事くらいしか明らかになっていませんでした。このまま明らかにされることなく終わりを迎えると思っていたのですが、今回思わぬ形でじっくりと描かれることになります。どこにでもあるような、本人による回想ではなく、巴衛と瑞希の二人が、彼女の記憶を覗くという形で。そんな奈々生は…

鍵っ子でした
当時は実質母親と二人暮らし。父親は絵に描いたようなダメ男で、家にもいたりいなかったりを繰り返し、訪れるのは借金取りばかりというひどい状態であったようです。そんな中、無理して働く母親もまた子供の面倒を十二分に見ることができない状態であり、奈々生はそんな状況の中、かなりしっかり者の子供として幼い頃を過ごしていたようです。今の奈々生のキャラって、どこか行き当たりばったりで能天気な感じが強いのですが、当時の奈々生は、鍵っ子であることはもちろん、知らない人についていかないアクションを見せたりと、持っていたイメージとは正反対の女の子像でした。また巴衛の「アイスクリームが欲しいのか?」という問いに対しては…

断る
この辺も、直前の出来事と絡めつつ「ぜいたくしちゃいけない」という感覚が脊髄反射で出て来たもののように感じられます。この頃の子供なんて、贅沢したい盛りじゃないですか。それが親でもない人に対してこの反応。当時の彼女を取り巻く生活状況が、なんだか伝わってきますよね。また回想で、そういったお菓子屋さんなどが鮮明に思い出されているところとか、本当に涙ものですって。その反動か、今の奈々生って割とわがままキャラじゃないですか?いや、反動というより、わがままを言える相手がいる環境に、やっと身を置くことができたということか。
なんてとってもしっかり者と見せておいて、巴衛には初対面でホイホイついていってしまうし、結局巴衛の押しに負けてアイスクリームとか、美味しいものをおごられてしまっているあたり、やっぱり最後はガード緩くて詰めが甘い(笑)この辺がいかにも奈々生っぽくてちょっと安心しました。そんな奈々生、今となっては…

「しっかりしないと」と意識しないとしっかりできない
やっほう!これでこそ奈々生ですよ!(失礼)
~有形のもので無形の縛りを解く~
さて、11巻での一番の見せ場は、先の奈々生の過去と絡んでの奈々生の結婚観の変化でした。彼女の家系的に非常に男運が悪いということで、母親から口が酸っぱくなる程「結婚しちゃだめ」と言われて来ただけあり、彼女の「結婚しない」という意思は未だ固くあるようでした。それは彼女自身の考えというよりも、亡き母の遺言を守り続けるような感覚に近かったのだと思います。そもそも自分自身の損得感情で生きるような子じゃないですしね、奈々生。それが、この過去回帰を終えた時点で「絶対」が「多分」へと変化。これは、夢の中で巴衛から求婚されたことももちろんあるとは思うのですが、それ以上に大きいと思えたのがこちら…

母親の写真
年神様によって生成された母親の写真。今まで「母親の遺言」(のような)無形のもので保たれていた母親との関係は、この写真によって有形のものへ。唯一守るしかなかった彼女へのある種の“縛り”は、これによって代替され、巴衛との約束を守ることで生まれるジレンマを解消できたように見えました。
しかし奈々生の家系の男運の悪さ、今も継続しているのでしょうか。だとしたら巴衛はダメ男だという可能性が微粒子レベルで存在する…?そもそも彼をそういう枠に収めてよいものなのかわかりませんが、ちょっとだけ、ちょっとだけ不安な種が。このことに特に言及されないままもし結ばれたとしたら、きっと私はこのことを思い出して心から晴れやかな気持ちにはなれずに本を閉じることになるやもしれません(笑)
■購入する→Amazon
4巻レビュー→花ゆめで今一番ラブでコメしてるのはこの作品に違いない《続刊レビュー》「神様はじめました」4巻
5巻レビュー→天狗の鞍馬はいらない子じゃなかった!《続刊レビュー》鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」5巻
6巻レビュー→神様ではなく、あくまで女の子として:鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」6巻
7巻レビュー→求める裏にある、奈々生の悲観的な未来観測:鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」7巻
8巻レビュー→ただただ純粋に想い続ける姿が、本当にかわいい:鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」8巻
9巻レビュー→隠しきれない喜び方にニヤニヤ:鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」9巻
10巻レビュー→「守ること」を守りすぎた巴衛:鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」10巻

私は結婚なんかしないわよ
多分
■11巻発売しました。
奈々生が結婚を申し込まれた!?「巴衛がOKなら受けようと思って…」そう恥じらいながら話す奈々生に、瑞希は卒倒寸前!一体どういう事!?更に、年末になり奈々生達は辰年神様のお社へご挨拶に向かうことに。そこで、巴衛と瑞希は奈々生の過去を見てしまって…!?
~結婚式ですって~
11巻発売です。二桁に巻数乗せてから早々に奈々生が結婚!?なんて思ったら、沼皇女の方ですって。なんてオチに使われてますがこっちの方が衝撃ですわ。てかそんな結婚云々以前の状態だったような気がするんですが、初めての恋に舞い上がる女の子って感じがして良いですねー。自分も初めて付き合った子と結婚するもんだと思ってましたもん。なお、割とあっさり振られたのを覚えてます。
~奈々生の生い立ちが明らかに~
さて、私の中学時代のお話はどうでもよくてですね、今回書きたかったのは他でもない、奈々生の幼少時代です。学校生活もあまり描かれない彼女ですが、その生い立ちも割と謎に包まれていて、白泉社の作品にありがちな「父親が蒸発(他界したり失踪したり)で路頭に迷った」という事くらいしか明らかになっていませんでした。このまま明らかにされることなく終わりを迎えると思っていたのですが、今回思わぬ形でじっくりと描かれることになります。どこにでもあるような、本人による回想ではなく、巴衛と瑞希の二人が、彼女の記憶を覗くという形で。そんな奈々生は…

鍵っ子でした
当時は実質母親と二人暮らし。父親は絵に描いたようなダメ男で、家にもいたりいなかったりを繰り返し、訪れるのは借金取りばかりというひどい状態であったようです。そんな中、無理して働く母親もまた子供の面倒を十二分に見ることができない状態であり、奈々生はそんな状況の中、かなりしっかり者の子供として幼い頃を過ごしていたようです。今の奈々生のキャラって、どこか行き当たりばったりで能天気な感じが強いのですが、当時の奈々生は、鍵っ子であることはもちろん、知らない人についていかないアクションを見せたりと、持っていたイメージとは正反対の女の子像でした。また巴衛の「アイスクリームが欲しいのか?」という問いに対しては…

断る
この辺も、直前の出来事と絡めつつ「ぜいたくしちゃいけない」という感覚が脊髄反射で出て来たもののように感じられます。この頃の子供なんて、贅沢したい盛りじゃないですか。それが親でもない人に対してこの反応。当時の彼女を取り巻く生活状況が、なんだか伝わってきますよね。また回想で、そういったお菓子屋さんなどが鮮明に思い出されているところとか、本当に涙ものですって。その反動か、今の奈々生って割とわがままキャラじゃないですか?いや、反動というより、わがままを言える相手がいる環境に、やっと身を置くことができたということか。
なんてとってもしっかり者と見せておいて、巴衛には初対面でホイホイついていってしまうし、結局巴衛の押しに負けてアイスクリームとか、美味しいものをおごられてしまっているあたり、やっぱり最後はガード緩くて詰めが甘い(笑)この辺がいかにも奈々生っぽくてちょっと安心しました。そんな奈々生、今となっては…

「しっかりしないと」と意識しないとしっかりできない
やっほう!これでこそ奈々生ですよ!(失礼)
~有形のもので無形の縛りを解く~
さて、11巻での一番の見せ場は、先の奈々生の過去と絡んでの奈々生の結婚観の変化でした。彼女の家系的に非常に男運が悪いということで、母親から口が酸っぱくなる程「結婚しちゃだめ」と言われて来ただけあり、彼女の「結婚しない」という意思は未だ固くあるようでした。それは彼女自身の考えというよりも、亡き母の遺言を守り続けるような感覚に近かったのだと思います。そもそも自分自身の損得感情で生きるような子じゃないですしね、奈々生。それが、この過去回帰を終えた時点で「絶対」が「多分」へと変化。これは、夢の中で巴衛から求婚されたことももちろんあるとは思うのですが、それ以上に大きいと思えたのがこちら…

母親の写真
年神様によって生成された母親の写真。今まで「母親の遺言」(のような)無形のもので保たれていた母親との関係は、この写真によって有形のものへ。唯一守るしかなかった彼女へのある種の“縛り”は、これによって代替され、巴衛との約束を守ることで生まれるジレンマを解消できたように見えました。
しかし奈々生の家系の男運の悪さ、今も継続しているのでしょうか。だとしたら巴衛はダメ男だという可能性が微粒子レベルで存在する…?そもそも彼をそういう枠に収めてよいものなのかわかりませんが、ちょっとだけ、ちょっとだけ不安な種が。このことに特に言及されないままもし結ばれたとしたら、きっと私はこのことを思い出して心から晴れやかな気持ちにはなれずに本を閉じることになるやもしれません(笑)
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