
ああ
だめだ あたし
好きだ
こいつのこと
■新装版として再リリース。
「僕等がいた」でおなじみの小畑友紀先生の、デビュー3作目から7作目までの読切り5作が収録されています。とりあえず表題作をご紹介。
中沢亜由は同じクラスのモテ男子・片岡のことがあまり好きじゃない。それは、4月にあったとある出来事がきっかけ。以来、片岡のことをなんとなく性格が悪いと思っている亜由だったが、席替えであろうことか隣に。けれど思ったよりヤな奴じゃない…。気がついたら片岡に惹かれている自分がいて
小畑先生の初単行本を新装版で再発売。全て読み切りで5作品が収録されています。一貫して描かれているのは、ふたりが両想いになるまでの過程。小畑作品の特徴とも言えますが、大体がマイナスからのスタート、ないし途中で関係がマイナスに転じ、そこから修正していくという展開。ページ数の限られている中で、しっかりと恋心を描き出し、かつ物語に起伏をつけるというのは、簡単にできる芸当ではありません。やはり描ける人は読切りでも描ける。その才能の萌芽を垣間見れる作品だと思います。

感情描写の上手さはこの頃から高いレベルにあった。
これらの作品が掲載された当時は、1999年あたり。その時代感を反映しているのかは分かりませんが、男の子の髪がみんな長めですね。最近だとこのぐらいの長さの男の子は珍しい(あくまで少女マンガでですが)。とはいえいつの時代も恋する乙女の心は同じもの。感情移入して読む漫画家さんの代表格だと思うのですが、この短編集もご多分に漏れず。さすがに連載作と比べると見劣りはするものの、初コミックスだということを考えれば、この完成度の高さはサスガの一言。一読の価値は十分にあると思います。
ただ新装版買わなくとも、古本屋に行けば簡単に通常版手に入りますけどね。内容は全く一緒ですし。ただ新装版にはポストカードがついてきます、また装丁も新装版の方がオサレ目かな、と。
通常版はこんな装丁です。

【オトコ向け度:☆☆☆ 】
→男だ女だ関係なく、小畑さんの作品はその人の恋愛に対するスタンスがモロに感想に直結すると思います。ただ「僕等がいた」のような重苦しさはないので、軽く味わうには丁度良いかもしれません。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→読切り集としての出来はかなり高い。ただ別にこれをオススメせんでもなぁ。買う人は基本小畑ファンなわけで、オススメするなら他の作品のほうが良いかな、と。
作品DATA
■著者:小畑友紀
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックススペシャル
■掲載誌:ベツコミ
■全1巻
■価格:419円+税