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《気まぐれ続刊レビュー》草凪みずほ「NGライフ」8巻
草凪みずほ「NGライフ」(9)
お前なら大丈夫だ
自分らしくあるお前を
俺は
誇りに思う■9巻発売、ついに完結しました!!
あらすじなんて説明しないっすよ、もうね、表紙がね…これだけで十分です。
この表紙を見るためだけに、私は「NGライフ」を買い続けてきたと言っても過言ではない。この表紙を見た瞬間、ニヤニヤが止まりませんでしたよ。
作者さんのあとがきを見ると、どうやら
芹沢さんと敬大がくっつくことは最初から決まっていたようです。1巻あたりではさほど出番のなかった彼女が、最終的にこのポジションにくるなんて。期待はするものの、確信は持てないという読者は少なくなかったはず。「ハチクロ」の山田さんに次ぐ、究極の片想いキャラとして人気を博した(私の)彼女の幸せな顔を見れるだけで、もう大満足。最後に収録されていた番外編の芹沢さんの破壊力の高さといったら、凄まじかったですよ、もう。軽くイキかけました…サーセン。えー、とにもかくにも、最高のヒロインでした、と。
■転生の秘密から読み解く、ロレイウスの想い さて、最終巻では敬大のポンペイへの想いに整理がつけられるワケですが、その回想(というか幽体離脱的なもの)の中で、各キャラ達の転生の秘密が明らかになりました。
例えば敬大の前世・シリクスの妻であるセレナ。彼女はポンペイが滅びるとき、捉えられた仲間を助けにいくシリクスを追いかけられず、待つことしかできない自分の力のなさを恨み、力が欲しいと強く願いました。その結果生まれ変わったのは、体を鍛えるのが大好きな少年・裕真というわけ。

最後に明かされた、セレナの想い。
他にもセレナの姉・スミルナは、愛する妹を守れなかった自分の非力さを嘆き、結果来世は男に転生してきました。しかもちゃーんとセレナの兄として生まれてくるあたり、抜かりありません。
また9巻では、関係ないと思われていた麗奈の前世もポンペイに登場。彼女の前世は、8巻にちらっと登場した、奴隷(?)の娘・ティナ。彼女はセレナと面識があり、セレナは彼女のことを「友達」と呼んで気にかけていました。美しい容姿に、明るい性格で、いつも人の輪の中心にいるセレナに、ティナは強い憧れを持っていました。ティナ自身は顔に傷がある(?)ため、いつもうつむいて顔を隠しながら生活していました。もしセレナのような容姿だったら、自分も必要とされるんじゃないのか。そういった願いから、来世ではセレナの生き写しのような容姿で転生。しかも必要とされたいという想いが効いているのか、麗奈は物語に積極介入してきます。
他の人物達はほぼ前世のまま転生。しかし一つ大きな謎が残ります。それは…
なぜロレイウスは女に転生したのかということ
話の流れから考えれば、異性に生まれかわるにはそれ相応の願いが必要となるはずです。男から女に生まれかわったロレイウスにも、当然何かしらの理由があるはず。「単に作者さんのミスじゃね」とか「たまたまだよ、たまたま」という議論はナシで、今回は少しこの理由について考えてみましょう…
まずロレイウスのデータから。年齢はシリクスと同じで、フェリクス邸にて奴隷として住み込み中。絵が得意な食いしん坊。過去に主に刃向かい、殺されそうになった所をシリクスに救われたという経緯があります。それをきっかけに、彼はシリクスのために生きることを決意。以降ずっと彼と過ごすようになります。
さてここから考えるまでもなく、ひとつ有力な考えとして挙るのが、
「ロレイウスはシリクスのことを好きだった」という線。要は
BLですな。最後のシーンも、そう見ようと思えば見えなくもないです…。しかしながら、セレナとシリクスを引き合わせたのは彼。また番外編でも本編中でも描かれていますが、彼の願いは
「セレナとシリクスに幸せになってもらう」ということ。男と男だから、奴隷と元貴族という身分差があるから、心から守りたいと思えるセレナが相手だから…そんな想いから、我慢していたってこと?うーん、でもそんな風には微塵も感じさせないんですよねぇ、解せん。

うーん、あくまで“Like”の感情だと思うのですが…
さて、ではもう一つの説を考えてみましょう。それは
「ロレイウスは実は女だった」という考え。いや、それはねーよ(笑)とか思われるかもしれませんが、転生のメカ二ズムから考えるのであれば、これが一番しっくりくるオチなわけで。実際彼が上半身をはだけさせるシーンは皆無。これは…!!なんて思ったのですが、闘技場で腹に穴があいており、その際に見られてるわな。立ち会った人達が秘密を守った…なんてことは無さそうですねぇ、解せん。

女であれば、スミルナ姐さんのレーダーが反応しないわけがない…
でもセレナに反応しなかったロレイウスも、男としては不可解…
というわけで、結局ロレイウス転生の理由は分からずじまいでしたが、やっぱり一番有力なのは「BL説」でしょうか?そのほうが夢が広がりますしね(腐女子の)。時を超えて、ロレイウスの想いが実った…なんて考えるのも、なかなか良いものじゃないですか。前世も現世も、結局一番印象に残ったのはロレイウス・芹沢ペアだった、と。こんな感じで締めていいですかね?素晴らしい作品を届けてくれた草凪先生に、心から拍手!
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