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Tag [オススメ] 2009.07.02
■「オトヨメ」って略してみたけど、しっくりこないですね。もっと短いブログ名が良かった(´・ω・`)ショボーン

 以前、「あのさぁ、お前ポンポンおすすめしてるけど、実際全部買うなんて不可能なんだよ、わかるか?お前みたいにマンガばっかに金かけれんならいいけどさ、こっちは他にもいろいろ買わなくちゃいけない物あるんだよ、どうしてくれるわけ?」というお言葉を頂いたのですが(※誇張率3000㌫)、そういう方を意識して、上半期の新作の中から「これだけはチェックしておいて欲しい」という10作品を選んでみました。新作に限定したのは、まだ巻数が少ないので買いやすいという事と、多少なりとも話題を先取りできるのでは、という意図からです(まぁ私に見る目があったらの話ですけど)。ちなみに6か月間でご紹介した新作は145タイトル。この中での10作ならば、比率として多すぎるということもないでしょう。順位付けは一応の目安です(本当にどれも心からオススメなので)、リンクをクリックするとレビューに飛びます。ではどうぞ…


1.ろびこ「となりの怪物くん」
となりの怪物君
…別にこれを1位にする必要はないのかもしれません。もっとインパクトのある作品はありましたし。でも私はこれを1番薦めたい。だって大好きなんだもの、この作品も、ろびこさんも。「オトコでも読める少女マンガといえば、となりの怪物くんだよね」なんて思われるぐらいになりたい(キモイな、自分)。いや、個人的な思い入れもありますが、それ抜きにしても十分面白い作品だと思います。ラインナップを見ると、ややクセの強いタイトルが多くなってしまったのですが、これは結構誰でも読めるような易しい作品。是非ともチェックを!



2.西炯子「娚の一生」
おとこの一生
…連載陣の豪華さでいったら、「flowers」は群を抜いています。そんな銀河系軍団が今年送り込んできた新作がコチラ。実績のある先生とはいえ、とにかくインパクトがスゴかった。30半ばの独身女性と、50過ぎの独身男という組合わせで送るラブロマンなのですが、この設定でしっかり「ラブロマン」をやっているというところがスゴい。枯れセンとか帯に書いてありますが、全然枯れてなんかない。むしろ素敵に輝いています。



3.中村明日美子「曲がり角のボクら」
曲がり角のボクら
…上半期で一番心惹かれた短編集。実力派BL作家としてすでにその名前を轟かせている中村先生ですが、普通に少女マンガを描かせたってスゴいってことを示してくれました。変幻自在に物語のテイストを変え、どれも高いレベルで話を完成させてきます。「片恋の日記少女」も当然オススメです。また読み切り集では、安藤ゆき「不思議なひと」(→レビュー)も迷ったのですが、作品というよりは作家さんに注目してもらいたいという感じだったので、今回は選外としました。



4.モリエサトシ「白磁」
hakuji.jpg
…「白磁」と「ラブ シック」(→レビュー)、期待の新作を2作も投入してきたモリエ先生。どちらも良い意味で白泉社らしくない作品でしたが、個人的に印象に残ったのがこちら。ラブロマンスになると思うんですが、他の作品に比べて絶望感が多めだったのと、独特の淫微な雰囲気が個人的に良かったのかな。要するに、それだけ様々な感情がぐちゃぐちゃに入り交じっているということです。



5.鴨居まさね「君の天井は僕の床」
kiminotenjyouhabokunoyuka.jpg
…まったくのノーマークだったので、読んだ時の驚きはどの作品よりも大きかったように思います。日常系のコメディですが、非常に雰囲気の良い作品。登場人物が皆40オーバーなんですが、みんな味のあるキャラなんだ、これが。微かに残る若さと、押し寄せる老い、そんな間で揺れる、未婚の男女。どこにでも転がっていそうな生き方だけど、それがなんとも色鮮やかで楽しそうに見えるのです。



6.久米田夏緒「ボクラノキセキ」
ボクラノキセキ
…個人的に一迅社は好きな作品が多いのですが、その中でもっとも印象に残ったのがこちら。完全な別世界でファンタジーを展開する作品が多い中、こちらは現世で白熱のファンタジーを展開。一歩間違えると中二病。しかし物語の面白さで、しっかりラインをキープ。ストーリーもそうですが、絵もなかなかに素敵。一迅社の他作品では、酒巻行里の「イザヤカク」(→レビュー)もオススメです。



7.紺野キタ「続きはまた明日」
つづきはまた明日
…優しさに溢れた日常ほのぼの物語。ありふれた毎日の、何気ない家族の暖かさや、人の温かさを描き出すのって、本当に難しいことだと思います。読んでいると、こちらまで優しい気持ちになってくる、そんな素敵な作品。紺野先生もBLで活躍なさってる先生なんですよね。これからも続々進出してくるのだろうなぁ。楽しみ。



8.羽柴麻央「私日和」
watasgibiyori.jpg
…昨年「イロドリミドリ」(→レビュー)で話題を集めた羽柴先生の新作。切なさと優しさに溢れた瑞々しい物語を、今作でも展開しています。敢えてワードを選ぶならば、「涙」と「女の子の気持ち」。非常に雰囲気の良い、読切り形式の作品です。



9.榎本ナリコ「時間の歩き方」
jikannnoarukikata.jpg
…唯一☆4つなんですよね。「にゅーあきばどっとこむ」さんに紹介されたってのもあるんですが、全体のバランスを考えた時に、ふと浮かんできたのがコチラ。☆4ってのは、この先物語としてちゃんと味付けできるのかってところに不安があったからなんですが、どうなんでしょう。インパクトと設定の秀逸さは言う事無し。



10.衿沢世衣子「シンプル ノット ローファー」
32251012.jpg
…レーベル的に女性向けで括って良いのかわからなかったので、この位置に。現実の女子高が本当にこんな雰囲気だったら嬉しい…ってそれはないか。モブキャラどころか、脇役の生徒すらいない。生徒全員が、主人公。女子高が舞台ですが、作られた感のある萌えとは無縁。1巻完結ですので、この機会にぜひチェックを。



 以上10作品です。どれも心からオススメしたい作品ですので、ぜひチェックしてみてください。この他に迷った作品としては、水城せとな「失恋ショコラティエ」、宮川匡代「天使契約」、サトーユキエ「子供だって大人になる」、久世番子「私の血はインクでできているのよ」あたり。「失恋~」以外は一巻完結なので、どうしようかスゴく悩みました。
 
 また作品ではなく作者としては、河内遙先生安藤ゆき先生が要注目です。あ、サトーユキエ先生も。

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コメント

はじめましていづきさん!
わたしにとって少女漫画って、ある時突然読みたくなるような存在なんです。
(なんていうか日常に疲れた時。現実逃避…的な感じで)
とはいえ、最近の少女漫画には疎くて、本屋に行っても何を買っていいかわからないような状態でした。
何かオススメのものはないものかとネットサーフィンしているうちにここにたどりつきました。
前置きはさておき……。
実はわたし、ろびこさんの大ファンなんです!
特にボーイミーツガールがお気に入りだったりします。
もちろん、となりの怪物君も持ってます。
そんな怪物君を上半期ベスト1に選ばれたいづきさんとは、好みが近いんじゃないだろうかと勝手に推測して…
それで、昨日、羽柴麻央さんの「イロドリミドリ」を読んでみたのですが、良い意味で予想を裏切られるような、読み終わったあと、しばらく余韻に浸れるような素敵な作品集でした。
近いうちに「私日和」も買おうかと思っています。
本当に素敵な漫画家さんに出会うことができて大満足です。
いづきさんのおかげです!
ありがとうございました!
From: es * 2009/07/09 13:30 * URL * [Edit] *  top↑
はじめまして、管理人のいづきです。

ろびこさんのファンなのですか!しかも「ボーイ・ミーツ・ガール」がお好きとは、かなりコアなファンでいらっしゃるようで(゚▽゚*)いやぁ、esさんとはおいしい酒が呑めそうだ(笑)

マンガの新規開拓に、少しでもお役に立てたのでしたら光栄です。
ただ好みのほうは、必ずしも被るってワケではないと思うので、自分の好みと照らし合わせて購入を検討していただければ、と思います。私の場合、結構万遍なくオススメしている感があるので…。
「イロドリミドリ」が気に入ったのであれば、「私日和」もきっとお気に召すと思いますよ!
これからも、素敵な漫画家さんとの出会いをお手伝いできるよう、精進していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。

こういったお褒めのコメントをいただけると、俄然モチベーションが向上します!
ありがとうございました<(_ _)>
From: いづき * 2009/07/10 08:58 * URL * [Edit] *  top↑

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。