作品紹介はこちら→藤沢志月「キミのとなりで青春中。」
藤沢志月「キミのとなりで青春中。」(3)
いつだって
オレがとなりにいてほしいと思うのは
美羽だけだから
■3巻発売でございます。
3年越しの片想いを実らせ、ついに幼なじみの慶太と付き合いはじめた美羽。少しずつ心の距離を縮めていた2人だったけど、ある日、ちょっとしたヤキモチが大げんかに発展してしまう。カップル成立後も、なお慶太に迫ってくる七瀬さんに、なおも美羽を諦めない小林くん。なんとも微妙な四角関係だと思っていたら、今度はとんでもないライバルが出現!?慶太の気持ちがわからなくて、不安でたまらない美羽は…!?
祝3巻!!藤沢先生の新記録ですよ~。先の雑記で、藤沢先生に「非常にベツコミライクな作風」という評を付けたのですが、3巻も相も変わらずベツコミっぽい感じでストーリーが進んでいます。今回は、この作品のどのへんがベツコミっぽいのか、頑張って挙げてみようかな、と思います。多分読者の方は、皮膚感覚で分かっているのでしょうが、言葉にするとなるとなかなか難しい…
▶ヒロインはやや地味
ベツコミのヒロインの特徴として、とにかく普通ラインのヒロインが多いということが挙げられます。多少暗かったり元気すぎたりといった子もいたりするのですが、あくまで「個性」まではいかず「特徴」で留まっている程度。とことん個性が排除されている子が多いんですよね。加えて恋愛に保守的という特徴もあります。その分ヒロインの魅力に説得力を持たせるのが難しくなるのですが、丁寧な恋心の描き出しと、一途さを前面に出してカバー。読み手とのシンクロ率は、かなり高いんじゃなかろうかと思います。この美羽も、ちょっぴり所帯染みている普通の子という、普通ラインのヒロイン。
ただ、ずーっと地味というわけではなく、ちょっとしたきっかけで可愛くなったりします。美羽の場合は、浴衣と化粧。ちなみにお相手は、十中八九複数人から告白される程度のイケメン。
▶相手役ないしヒロインに後ろ暗い過去がある
少女漫画では、相手役の男度を上げるために、不幸な過去を背負わせるということがかなり頻繁に行われるのですが、ベツコミはその率が異様に高い気がします。相手役が不幸でなくとも、ヒロイン自身が不幸だったり。そしてそれを、しっかり心の傷と捉えて話を展開していきます。この作品も、慶太になにやら後ろ暗い過去があるようで。またヒロインの美羽も、母親が男を作って家を出ていったという過去があり、それがしっかりとトラウマとして刻まれています。白泉社とかだと親が死んでても、そう簡単にセンチメンタルにならないですし、基本的には逞しく生きている感じ。これはもう完全な持論なのですが、個性を主張できない=ヒロインの魅力を担保しきれない分、相手に傷をつくり、それを補完できるのはヒロインしかいないんだよ、という「自分が恋人である理由の確保」的な側面が色濃く出ているのではないのかな、と。お互い傷持ちであるのなら、わかりあえる感を出すという面もありますし。その辺は作者さんの意図次第ですが。

この伏線は3巻では発動せず。ただこれ発動した所でそう事態が急変するって感じでもないんで、引っぱる必要はそこまで感じないんですが…。
▶モノローグ
ベツコミ作品の魅力の一つと言ってもいいのが、そのモノローグ。ヒロインの等身大の恋心を描き出すために、切ない恋心をうたったモノローグが頻繁に挿入されます。特に一山あったあとのまとめとかに。この作品も、モノローグが秀逸。派手さのない、身近な恋を描いた話だからこそ、ヒロインの心情が表れたモノローグが、ズドンと心に入ってきます。素で読むと恥ずかしいんですけどね、でもそれくらいじゃないと、いざ話に入り込んだ時、響かないんですよ。特にキスシーンで、ページ見開きの大ゴマ+モノローグという構図は、いかにもだなぁという感じがして好き。
こうやって具体的にどうだと挙げていくと、「別に他のレーベルもそうじゃない?」と思ってしまうのですが、やっぱり違うんですよ、どこかが。で、この「キミのとなりで青春中。」は、いい意味でマイルドにベツコミさらしさが出た作品だと思うんですよね。だからこそ、ベツコミという雑誌の作風を知るには、一番いい作品なのじゃないかな、と。ここから入るのが吉というわけではありませんが、少なくとも雑誌の雰囲気はよくわかるよね、という。
3巻では、伏線が張られていた慶太の過去については何も明らかにならず。これ結構長くなるのかな?あまり伸ばしすぎてもぐだぐだになるので、いい塩梅で回って欲しいのですが、果たして。とりあえず七瀬さん次第だろうなぁ。
■購入する→Amazon
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bk1

いつだって
オレがとなりにいてほしいと思うのは
美羽だけだから
■3巻発売でございます。
3年越しの片想いを実らせ、ついに幼なじみの慶太と付き合いはじめた美羽。少しずつ心の距離を縮めていた2人だったけど、ある日、ちょっとしたヤキモチが大げんかに発展してしまう。カップル成立後も、なお慶太に迫ってくる七瀬さんに、なおも美羽を諦めない小林くん。なんとも微妙な四角関係だと思っていたら、今度はとんでもないライバルが出現!?慶太の気持ちがわからなくて、不安でたまらない美羽は…!?
祝3巻!!藤沢先生の新記録ですよ~。先の雑記で、藤沢先生に「非常にベツコミライクな作風」という評を付けたのですが、3巻も相も変わらずベツコミっぽい感じでストーリーが進んでいます。今回は、この作品のどのへんがベツコミっぽいのか、頑張って挙げてみようかな、と思います。多分読者の方は、皮膚感覚で分かっているのでしょうが、言葉にするとなるとなかなか難しい…
▶ヒロインはやや地味
ベツコミのヒロインの特徴として、とにかく普通ラインのヒロインが多いということが挙げられます。多少暗かったり元気すぎたりといった子もいたりするのですが、あくまで「個性」まではいかず「特徴」で留まっている程度。とことん個性が排除されている子が多いんですよね。加えて恋愛に保守的という特徴もあります。その分ヒロインの魅力に説得力を持たせるのが難しくなるのですが、丁寧な恋心の描き出しと、一途さを前面に出してカバー。読み手とのシンクロ率は、かなり高いんじゃなかろうかと思います。この美羽も、ちょっぴり所帯染みている普通の子という、普通ラインのヒロイン。
ただ、ずーっと地味というわけではなく、ちょっとしたきっかけで可愛くなったりします。美羽の場合は、浴衣と化粧。ちなみにお相手は、十中八九複数人から告白される程度のイケメン。
▶相手役ないしヒロインに後ろ暗い過去がある
少女漫画では、相手役の男度を上げるために、不幸な過去を背負わせるということがかなり頻繁に行われるのですが、ベツコミはその率が異様に高い気がします。相手役が不幸でなくとも、ヒロイン自身が不幸だったり。そしてそれを、しっかり心の傷と捉えて話を展開していきます。この作品も、慶太になにやら後ろ暗い過去があるようで。またヒロインの美羽も、母親が男を作って家を出ていったという過去があり、それがしっかりとトラウマとして刻まれています。白泉社とかだと親が死んでても、そう簡単にセンチメンタルにならないですし、基本的には逞しく生きている感じ。これはもう完全な持論なのですが、個性を主張できない=ヒロインの魅力を担保しきれない分、相手に傷をつくり、それを補完できるのはヒロインしかいないんだよ、という「自分が恋人である理由の確保」的な側面が色濃く出ているのではないのかな、と。お互い傷持ちであるのなら、わかりあえる感を出すという面もありますし。その辺は作者さんの意図次第ですが。

この伏線は3巻では発動せず。ただこれ発動した所でそう事態が急変するって感じでもないんで、引っぱる必要はそこまで感じないんですが…。
▶モノローグ
ベツコミ作品の魅力の一つと言ってもいいのが、そのモノローグ。ヒロインの等身大の恋心を描き出すために、切ない恋心をうたったモノローグが頻繁に挿入されます。特に一山あったあとのまとめとかに。この作品も、モノローグが秀逸。派手さのない、身近な恋を描いた話だからこそ、ヒロインの心情が表れたモノローグが、ズドンと心に入ってきます。素で読むと恥ずかしいんですけどね、でもそれくらいじゃないと、いざ話に入り込んだ時、響かないんですよ。特にキスシーンで、ページ見開きの大ゴマ+モノローグという構図は、いかにもだなぁという感じがして好き。
こうやって具体的にどうだと挙げていくと、「別に他のレーベルもそうじゃない?」と思ってしまうのですが、やっぱり違うんですよ、どこかが。で、この「キミのとなりで青春中。」は、いい意味でマイルドにベツコミさらしさが出た作品だと思うんですよね。だからこそ、ベツコミという雑誌の作風を知るには、一番いい作品なのじゃないかな、と。ここから入るのが吉というわけではありませんが、少なくとも雑誌の雰囲気はよくわかるよね、という。
3巻では、伏線が張られていた慶太の過去については何も明らかにならず。これ結構長くなるのかな?あまり伸ばしすぎてもぐだぐだになるので、いい塩梅で回って欲しいのですが、果たして。とりあえず七瀬さん次第だろうなぁ。
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