花緒莉「ヒミツのアイちゃん」(1)


くそ　キラキラしてんじゃねーよっ
ヤバいなオレ…
目が玲欧ばっかり見てる


■高校のバスケ部で女子人気を二分している、男バスの玲欧と、女バスの愛子。負けず嫌いで男勝りな愛子は色恋そっちのけで、ラブレターの数にバスケと、玲欧との勝負に必死。けれどどうしても勝てず、苦虫をかみつぶす毎日を送っていた。そんなある日、兄の経営するメイドカフェが人手不足になり、バイトとしてヘルプに入ることに。するとそれまで色気ゼロだった愛子は、友達の手によってとってもカワイイ女の子に大変身！そんな所にライバルの玲欧が男バスの連中とご来店。愛子改めメイドの舞ちゃんが接客をしたところ、玲欧は彼女が愛子だとも気づかず、舞ちゃんに一目惚れしてしまったようで…!?

　ハイテンションでおくる変身ものラブコメ…って感じでしょうか？ヒロインは、男勝りで負けずギライな女子高生・愛子。目下の目標は、男バスの人気者・玲欧に勝つこと。女子からのラブレターでもバスケの勝負でも、負けてばかりの彼女は、玲欧のことを「敵」と認識しいつも突っかかっているのでした。一方の玲欧は彼女のことを「おもちゃ」と言い、軽くあしらっているという感じなのですが、そんな二人の関係にある日変化が訪れます。それが、兄の経営するメイドカフェでのバイト。それまで男ウケなど考えたこともなかった愛子が、友達の手によって大変身。かわいらしいメイドの舞として、生まれ変わります。そんな所へ敵視する玲欧が、男バス連中を引き連れてご来店。バレないように接客を行ったところ、玲欧はあろうことか愛子扮する舞さんに一目惚れ、なぜかデートをする流れに。「惚れさせてメロメロにしたところで、正体ばらしてギャフンと言わせてやる！」そう目論んだ愛子は、正体を隠したまま舞として玲欧に近づくのですが…というストーリー。


使用前：ヤンチャな男前

↓

使用後：キュートな小悪魔風
どちらもカワイイです。


　当然の流れとして、いざ近づいてみたら相手の知らない表情が垣間見え、どんどん惹かれていってしまうように。この後、いかにバレずに正体を隠し続け、さらにカミングアウトまでもっていくのか…というところに重点を置いたコメディが展開されるのかと思いきや、早々に自らカミングアウトしてしまいます。これでひとつ旨味を失ってしまったような気もするのですが、その後はカミングアウトしたなりの物語が展開。実は玲欧は最初からその正体をわかっていて、近づくためにこのチャンスを利用したという裏が明らかになります。要は両想いになるわけですが、それでもすぐにめでたしめでたしとなるわけではなく、様々な障壁が二人の仲を阻んでいきます。
　
　この作品の持ち味として挙げたいのが、その勢いの良さ。とにかくハイテンション＆ハイスピードに物語が進行するので、ダレることなく読み進めることができます。初デートからラブホへ流れ込むなど（もちろん未遂）、DQNと言われるようなノリの軽さはあるのですが、ヘタに純情純粋な方向に持っていこうとしない姿勢は逆に好印象ですし、勢い重視のストーリー進行にもマッチしているように思います。肝心の好きだ～何だ～って部分は、勢いに流されての超理論がたびたび見られ、軽く破綻しているのですが、もうそっちはいいんじゃないかな。馬鹿やって騒いでみたいな部分に面白さを見出せば、結構楽しめると思うのですよ。何よりヒロインが、どちらのスタイルでもかわいらしいので、個人的にはとても楽しめました。


【男性へのガイド】
→ハイテンションさに一縷の望みを懸けるも、ちょい俺様系の相手役に、全体的にDQNなノリと、男性が最も嫌うようなラインの作品であることは、抗いようのない事実なわけで。あ、でもヒロインかわいいですよ。
【私的お薦め度：☆☆☆　　】
→話は破綻気味も、有り余る勢いでカバー。この手の作品は絶対に合わないと個人的に思っていたのですが、見せ方ひとつでどうにでもなるのだな、と目から鱗でした。おすすめにはしませんが、続き読みたいですね。


作品DATA
■著者：花緒莉
■出版社：小学館
■レーベル：Cheese!フラワーコミックス
■掲載誌：Cheese!('09年９月号～連載中)
■既刊1巻
■価格：400円＋税

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