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Tag [オススメ] [新作レビュー] 2015.03.02
1106491135.jpg勝田文「マリーマリーマリー」(1)



一生ものの
お買い物よ




■鍼灸師のリタは、往診で行った先のライブハウスで「ワンダー」と歌うあやしい男と出会った。ブルースのミュージシャンでギターを弾く森田という名のその男は、リタに超接近!そして二人は……!?これが、今一番キュートで奇妙なケッコン・コメディ!!

 「ちくたくぼんぼん」(→レビュー)などを描かれている勝田文先生のCocohana連載作です。それではあらすじをご紹介しましょう。ヒロインは鍼灸師として色々な場所を車で往診に回っている女性・リタ。ある日往診で訪れたライブハウスで見かけたギタリスト・森田になぜか気に入られた彼女は、以来彼から猛烈アタックを受けるように。素性は謎に包まれていて気まぐれ、けれども自然で居心地は悪くない。なんだかついつい彼のペースに乗せられてしまい、気が付けば同居し、果てには婚姻届けを渡されます。余りの急展開に戸惑うリタでしたが、これも何かと縁と、結婚を決意して……というめくるめく物語です。


マリーマリーマリー0001
謎多き男森田。ギタリストとして食べてはいるものの、安定した仕事はなくしばらく不在になることもしばしば。人間的にはかなり魅力的で、誰とでもすぐに仲良くなります。いわゆる“人たらし”的素養があるように見られます。住むところも不定で、リタと出会ってようやく彼女の家に居つくようになったという。とにかく自分の生きたいように生きているので、ストレスはゼロ。それが本人の魅力にもつながっているのかもしれません。物語は基本的に彼のペースで進みます。


 「ちくたくぼんぼん」もそうだったのですが、目まぐるしくシーンが変わり、休むことなく物語が転がっていく様子が本当に気持ちよくて、奇妙に感じつつも気が付けばグッとこの世界に引き込まれているんですよね。マンガを読んでいるというよりは、テンポの良い音楽を聴いているとか、戯曲的な印象に近いでしょうか。森田という謎に包まれた、けれども非常に印象的で魅力的なキャラクターを筆頭に、キャラや展開はどこか現実離れしているのですが、だからこそ楽しくて面白い。普通にしてたらポップスターと出会ったり、手に汗握るカーチェイスをしたり、なかなか無いではないですか。


 一応物語の舞台は現在になるのですが、登場する人やモノのせいなのか、抱いている雰囲気はどこか昭和的で温かさと古臭さを感じさせます。ライブハウスだったり、森田がブルース好きだったり、リタが古い車に乗っていたりするからかも。人と人のつながりかたも、ご近所づきあい的な昔ながらの匂いを感じさせたり。

 リタは常識人的ではあるのですが、かなり慌てんぼうだったり、決断が思い切っていたりと、どこか普通とは外れた感じのある人です。そういうリズムが、森田には合うのかもしれません。


マリーマリーマリー0002
いきなりこんなのに巻き込まれたりするという。この非現実感というか、浮遊感が好き。


 いやー、この空気感やテンポは恐らく実際に読んでいただかないと伝わらないとは思うのですが、ともかく面白くてオススメですよっていう話です。「ちくたくぼんぼん」を読んでいる方がいたとしたら、もうそのまんまの雰囲気を想像してもらえればいいかもしれません。ちょっと慌てんぼうなヒロインが、謎多き男に振り回されつつも愛を育むという、構造的にはそう変わらない物語になっているんじゃないかと思います。この後どう転がっていくかはわかりませんが、どこまで行っても基本的には陽気に進んでいってくれるんじゃないかと。


【男性へのガイド】
→勝田文先生の作品は割と男性女性関係なく楽しめる内容になっているかと思うんですが、いかがでしょう。
【感想まとめ】
→文中で書ききった感はあるのですが、とにかくテンポが良く読んでいて楽しいです。オススメです。


作品DATA
■著者:勝田文
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:Cocohana
■既刊1巻
■価格:419円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.02.25
1106491130.jpg湯木のじん「青山月子です!」(1)



私は
ここにいるよ




■事故で記憶喪失となった「青山月子」は以前の性格のように振舞おうとするが、空回りの連続。転校してきた加賀美くんに対して、月子は興味を示したようで……!?記憶喪失×ほっとけない男子が織りなす物語。

 「藤代さん系」(→レビュー)の湯木のじん先生の新連載です。今度のタイトルは「青山月子です!」と名前を前面に押し出したものとなっているのですが、藤代さん系といい、タイトルに名前を使うというのが通例なのでしょうか。なんてそんなことはさておいて、内容のほうをご紹介しましょう。

 主人公はタイトルにもある通り、青山月子さん。高校に入学して早々に交通事故に遭い、しばらくの意識混濁の後に記憶喪失となって目を覚まします。何も思い出せないまま再び高校に通い始める(留年して高1から)のですが、過去を全く思い出せないので、親や友達だという人たちの言う「青山月子」像を再現しようと頑張ります。けれども伝え聞いていた「優しくて明るくてポジティブ」という性格は全く再現できず、空回りの結果周囲からは奇異の目で見られるようになります。そんな中に現れた、転校生の加賀美くん。ひょんなことから彼に興味を持った月子は、半ばつきまとうようにして彼と仲良くなるのですが……というお話。


青山月子です!0002
加賀美くんはあまり笑顔は見せないですが、笑ったときはとっても優しい。受け入れられてるなぁという感じのする、素敵な男性です。普段厳しめですけど。


 記憶喪失のヒロインが、記憶喪失のままに学園生活を送っているという、なかなか突飛な設定の作品です。記憶喪失後の月子は感情の起伏に乏しく、他人の感情も今一つ読み切れないといった、ジト目デフォのローテンションな女の子。そんな彼女が周りの求める「明るくて優しい青山月子」として振舞おうとしても、無表情&棒読み&空気読まないタイミングでの仕掛けと、裏目に出るばかりで周りとの距離は遠ざかっていくばかりです。一方でそういった状況になっても本人は無自覚で全くダメージを受けていないという強さも見せるという。詰まる所、人間関係のすべてにおいて鈍感になっているという感じです。そんな彼女を放っておけないのが、今回相手役となる加賀美くん。別に優しいタイプの男の子ってわけではないのでしょうが、自分を慕ってくれている女の子がふらふらとしていたらどうにも気になるもので、いつしか保護者のような立ち位置に収まります。それが結果的に良い方向に働き、彼自身はクラスでも慕われるようになったりも……。

 月子は記憶を戻したいという欲求はあまりなさそうで、自然に思い出すのに任せている感じがあります。最終的に戻るのかはわかりませんが、加賀美くんとの関わりのなかで少しだけ思い出す瞬間があったりと、最終的には戻る方向に倒れるのかもしれませんね。ともあれ二人の関係構築は、「誰も承認してくれない記憶喪失後の自分を唯一受け入れてくれる存在」としてのヒーローですから、そうなるのはあったとしてもだいぶ先なのでしょう。面倒見の良いヒーローというと語弊があるかもしれませんが、そういう相手役がお好きな方はまず読んで間違いない作品になっているかと思います。

 個々人の背景や性格は全く異なりますが、友達を増やしたいと願うもののその挙動で裏目に出て孤立しており、そんなヒロインを人気の男の子が臆することなく接し、その他の人たちとも関わりを持つようになる……というのは、同じ別マで連載している「君に届け」の爽子と風早くんを想起させます。こちらはもっと閉じた関係で、かつ記憶喪失という背景がある分より根深い問題を抱えてはいるのですが、1巻読んだ感じを受けると、加賀美くんは第二の風早くんになり得るのではとちょっと思いました(優しさの度合いは雲泥の差ですが、ベクトル的には一致してる)。無条件の承認ってのは、やっぱり読んでいても嬉しくて泣けてくるもので、この手のヒーローにはめっぽう弱いんです、私。


青山月子です!0001
ちなみに月子も初期の爽子っぽい雰囲気はあるのですが、変なテンションで感受性に乏しく人間関係に不器用という意味では、「ラストゲーム」の九条さんのイメージの方が近いかも(でも上の画像見ると全然違いますね…!)。ちなみに学年3位の秀才で、見た目も可愛い方という設定でございます。


 記憶喪失のヒロインに対し、周囲の面々も親も冷たいという状況はかなり辛いはずなのですが、ヒロインがとにかく鈍感なので、そういった感じがあまり表に出てきません。なので設定の割に1巻はほのぼのした印象がありました。もちろんシリアスなシーンはあるのですが、突飛な設定の割にはかなりオーソドックスな男女関係の構築図をなぞっています。掴みとしてはこのぐらいでOKで、今後時間をかけてより深い所(暗いところ)を出していけば良いのかなと思います。


【男性へのガイド】
→他の少女漫画比になりますが、キラキラしすぎていない分読みやすいんじゃないでしょうか。変なヒロインですけど。
【感想まとめ】
→流行るかはわかりませんが、個人的には非常に好みな作品でございました。オススメしたいです。


作品DATA
■著者:湯木のじん
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.02.21
1106491271.jpg雁須磨子「こくごの時間」



何 覚えてる?



■教科書に載っていた作品で好きだったのはなんですか?
忘れていた、あの時間、あの文学、あの気持ち。国語の時間に読んだ本がつなぐ、「あの頃」と「今」。教科書オムニバスストーリー!

 雁須磨子先生のmotto!連載作です。国語の教科書に載っていた文学作品をテーマに描く、オムニバスストーリーです。取り上げられる作品は「走れメロス」や「山月記」といったメジャーなものから、「くまの子ウーフ」「言葉の力」「夕焼け」など、聞いてもいまいちピンとこなかったり、フレーズを聞いて「ああ、そういえばあったね」とやっと思い出すようなものまで。使っていた教科書や時代にもよってくるのかと思いますが、人それぞれ思い出に残っている作品は違うのでしょう。本作はそんな作品の登場人物やエピソードに重ねつつ、現代に暮らす人たちの心の機微を描き出します。


こくごの時間0001
こくごの時間あるある。見込んでた場所とズレて当たって焦るとかありましたよね。


 私はあまり国語は得意な方ではなかったのですが、それでもやけに印象に残っている作品というのは幾つかあります。作中にはタイトルのみ出てくるだけですが、「スイミー」は小学校の時に劇をやって、自分がスイミーのセリフを言ったということもあってよく覚えていますねぇ。あとは「赤い実はじけた」の朗読がやけに気恥ずかしかったり、エーミールの出てくる「少年の日の思い出」ですごく嫌な気分になったり、「ちいちゃんのかげおくり」でしんみりしたり……。そうそう、「少年の日の思い出」は別枠でコミカライズとして収録されているのですが、今読んでもなかなか味わい深い内容で、久々にあの時の気持ちを思い出しました(笑)

 個人的にお気に入りだったのは、大岡信「言葉の力」をモチーフに描いたお話。つけまつげモリモリのギャル子ちゃんが、同じクラスの地味なメガネの男の子に興味を抱き、声をかけてみるという内容。お互いに友達も住む世界も違う、ぱっと見相容れない存在の二人なんですが、静かながらも妙に居心地よさそうなギャル子ちゃんと、珍しい人に声をかけられ焦りながらも悪い気分はしていないメガネくんの関係がめちゃくちゃ「恋」という感じがして素敵なんです。別に手をつなぐわけでも、好きだと言うわけでもないんですが、どこまでも恋だなぁ、と。本作に「言葉の力」がどう絡むかは、読んでからのお楽しみということで。

 もうひとつのお気に入りは吉野弘の「夕焼け」をテーマに描いた作品。夕焼けは夕暮れの電車の中でよくある光景を書いた詩なのですが、本作もお年寄りに席を譲る話が描かれています。主人公は満員電車で色々と考えながら通勤しているのですが、私も満員電車で通っているので「あるある……」と思うシーンがしばしば。お年寄りに席を譲るべきかってのは、いつも悩ましい問題で、周りの目や自分自身の善意の度合いや、相手が本当に席を譲られることを欲しているのかとか、色々なことをぐるぐる考えてしまいます。もちろん作品に登場するような「娘」も出てきます。

 先述の通り、エーミールが登場する「少年の日の思い出」はそのまんま原作をコミカライズした形になっており、これはこれで面白いっていう。当時は「なんて後味の悪い話なんだろう」ぐらいにしか思っていなかったのですが、今となっては主人公の気持ちがよくわかる。


こくごの時間0002
多くの人が覚えているであろうセリフ「そうか、そうか、つまりきみはそんなやつなんだな。」


 上のセリフのほかにも「この少年は非の打ちどころがないという悪徳を持っていた」ってのは言いえて妙な素晴らしい表現ですよね。訳者さんの力によるところも大きいのかもしれません。当時このことについて授業で考えたりしたのかもしれませんが、全く覚えていません(笑)このお話は『思い出』とあるように、主人公が過去を回想して話すというスタイルを取っています(全然覚えてなかったですが)。自身の中で冷静に整理がされているからこそ表現できる言葉たちなんだな、だからむしろ大人にこそ響く作品なんだな、と思わされたお話でした。


【男性へのガイド】
→motto!は男性にも親しみやすい作品が多いのですが、本作もその類のうちのひとつかと思います。
【感想まとめ】
→良かったです。なんとなく続き物になっている序盤のお話よりも、むしろ単発の作品の方が心に響いたのですが、他の人はどうだったのでしょうか。オススメです。


作品DATA
■著者:雁須磨子
■出版社:秋田書店
■レーベル:Akita Lady's comics motto!
■掲載誌:motto!
■全1巻
■価格:680円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.02.15
1106491027.jpg有賀リエ「パーフェクトワールド」(1)



あの頃閉ざした感情が溢れてくる
もう 止められないほど
溢れてくる




■この世界は不完全……君がいなければ―――
 インテリアデザイン会社に就職した川奈つぐみ(26歳)は設計事務所との飲み会で、高校のときの同級生であり初恋の人・鮎川樹と再会する。樹にトキメキを覚えるつぐみだったが、彼は車イスに乗る障害者になっていた。「樹との恋愛は無理」。最初はそう思うつぐみだったが…。

 車イス生活者となった初恋の相手との再会・恋を描いたストーリー。作者の有賀リエ先生はこれが初単行らしいのですが、かなり扱いの難しいデリケートなテーマをメインに据えたにも関わらず、かなり読ませる内容に仕上がっております。帯の「Kiss連載時より反響殺到!」という言葉も、決して過剰な表現じゃないのではとも思えてきます。

 主人公はインテリアデザインの会社で働く川奈つぐみ。とある設計事務所との飲み会で、高校時代の初恋の相手である鮎川と再会するところから、物語は始まります。すっかりかっこよくなった鮎川を前に、高校時代に自覚しきれなかった想いが再び湧き上がってきたつぐみでしたが、その後鮎川が車イス生活を送る障害者となっていることを知ります。高鳴った胸と、事実を知り一歩引いてしまった自分……。複雑な想いを抱えたまま、それでも鮎川が気になるつぐみは、以来彼と積極的に連絡を取るように。少しずつ距離が縮まっている…そんなつぐみの想いとは裏腹に、「誰とも恋愛する気はない」とやんわりと壁作る鮎川は。というようなお話。


パーフェクトワールド0002
鮎川を強く意識するつぐみと、そんな彼女の心を知ってか知らずか、壁を作る鮎川。この時はまだ、車イスの人と恋愛をする大変さを全くわかっていなかった。


 初恋の彼と再会するも、相手が下半身不随の車イス生活者であるという壁があるという物語。Kissなので取り上げるワンテーマについてはしっかり掘り下げるため、車イスで生活していることの大変さ、そしてそんな人と寄り添い生きていく大変さというものがかなり詳細に描かれます。座りっぱなしによってできる褥瘡や、尿路感染による腎不全のリスク、行動範囲はどうしても制限され、また排泄も知らぬ間にしてしまっていることもあるという辛さ。我々の想像を超える不自由やリスクを前に、簡単な決意で恋愛などできようはずもなく、ヒロインは決心することをためらいます。

 鮎川もそんな苦しみを与えたくないと「恋愛はしない」と宣言してガードをかけているのですが、一方で夢を追いかけ一人東京で暮らしているという環境の中、精神面・身体面の両面でサポートがあった方が助かるというもどかしい状況。結果、つかず離れずの微妙な関係が1巻では続いていくことになります。決心をしていざ付き合うとなったとしても、周囲の視線や心身への負担など、色々と苦労は予想され、その道のりは平坦でないことは容易に想像がつきます。


パーフェクトワールド0001
鮎川は子供の頃からの夢を叶え、一級建築士として仕事をしています。夢を追いかけているという真っ直ぐさと爽やかさはやはり魅力的で、女性向けマンガの相手役たる男性と言えるでしょう。ちょっと無理をしすぎるというところも「放っておけない」という心を刺激して、女性からしたらどうにも惹かれてしまうという側面もあるのかも。いやはやなかなかなイケメンです。建築士という仕事においても自身が障害者ということもあり、バリアフリーの視点で様々提案できるなど、ある意味でそれが強みにもなったりしています。


 こういったテーマの作品は時折説教がましくなってしまうのですが、本作は上手く「ヒロインや相手役がぶつかっている壁」として作中に落とし込まれるため、一つの物語としてまとまりがあるように映ります。この手の作品では「IS~男でも女でもない性~」や「だいすき!ゆずの子育て日記」など、最終的にドラマ化する流れが顕著という印象がありますが、本作もある程度人気を博すようであればその辺まで視野に入ってくるような気がしています。「受けがいい」なんていうとやや不謹慎かもしれませんが、人気を集める傾向があるのは事実で、なかなかこれは注目しておきたい作品でございます。


【男性へのガイド】
→いかにも女性向けの恋愛マンガという感じはありますが、車イス生活者とのかかわりという面でも一つ勉強になるところがあるかと思います。
【感想まとめ】
→これは予想以上に面白かったです。今後悲恋の匂いが強いロマンスになっていくことはないとは思っているのですが、障壁は変わらず大きく、読むのに体力使う作品にはなっていきそうではあります。キャラや話運びもツボで、オススメしたい作品でした。



作品DATA
■著者:有賀リエ
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS
■既刊1巻
■価格:円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.02.11
1106491075.jpg田中相「その娘、武蔵」(1)



でっかい波だ
見たこともないでっかい波




■中学女子バレーボール界の頂点に立ち、名を馳せた巻田中学校のエース・兼子武蔵。全中優勝インタビューでバレーを辞めると公言した彼女は、心機一転、大仙高校で自由な日々を謳歌しようとしていた。しかし、身長184センチメートルと目立つ彼女はバレー部主将・律から目をつけられ……!?

 「千年万年りんごの子」の田中相先生の新連載です。なかなかインパクトのある表紙だと思いませんか?見ての通り、バレーボールマンガです。主人公は表紙に描かれ、タイトルにもなっている兼子武蔵。飛びぬけた身長と身体能力で中学バレー界を席巻し、難なく全国制覇を成し遂げます。バレー界を背負う至宝だと、その進路に注目が集まる中、彼女が放ったのは「バレー辞めます。部活なんて必死にやっても意味ない。」という言葉。兄が通っているバレー部のない高校・大仙高校へと進学をするのですが、そこには無いと思っていたバレー部が。部員は4人で同好会への格下げギリギリという状態の中、主将の律に目をつけられ、バレー部へ入ってくれと勝負を挑まれるのですが……という話。


その娘、武蔵0001
バレー部ということでキャラクターはたくさん登場してくるのですが、メインとなるのは2人に絞られてくるかと思います。まずは主人公の武蔵。184cmという高い身長の持ち主で、それに対する男子のからかいも全く気にしない、心も体も大きい女の子。類まれなバレーの才能はあるものの、中学時代にバレーをすることに違和感を覚え、以来頑なにバレーをするのを拒否してきました。そんな彼女に狙いをつけて、バレー部再建を目論むのがバレー部主将の律。イギリスとのハーフという変わり種ですが、そのきれいな見た目とは裏腹に、かなり気が強いご様子。バレーに前向きでない武蔵の気を引くために、わざと逆上させるような言い回しをしたりと、目的を達成させるためにはなんだってしてやるというような、意志の強さを感じさせる選手です。なおバレーの実力もなかなかのもの。実は大仙高校、元々バレー部は競合で春高にも出場するぐらいだったのですが、顧問の体罰問題が明るみに出てバレー部は解体、顧問は辞任し、選手たちの大半はバレーが出来る高校へと転校してしまったという背景があるのです。


 もうびっくりするくらいにスポーツもの。バレーものといえば「少女ファイト」なんかが最近だと目立つところですが、女性向けというところでいうと別冊マーガレットで連載されていた「紅色HERO」が記憶に新しいところですね。最近めっきり少なくなったスポーツものということで、それだけで無条件で応援したくなりますね。

 部員数は新人交えてギリギリの状態ではあるものの、部員達の実力はそこそこあるという背景があるため、1からチームを作って長期計画で頂点を狙うというアプローチはしないと思われます。3年生が卒業する前までにチームを作って、春高を目指すという比較的短期の計画。とはいえ順調にレベルアップが図れる環境かというとそうではなく、体罰問題の影響は尾を引いており、周囲からの風当たりは強く、また練習時間もある程度限られてきているようです。

 通常バレー部と言えば、目標に向かって一丸となって進んでいくという印象ですが、本作はちょっと変わっています。律はその行動からもわかるように、残り1年に懸けて本気で春高を狙っています。他の部員はそこまでの熱量かというと少し疑問で、それぞれの思惑を持って部に残っているという感じ。武蔵も一度は嫌になりやめたバレーをもう一度始めるのですが、上を目指して…というよりは、自分にとってバレーとは何かを見出す試行錯誤のアプローチを見せます。最終的に各人の思惑がどういったところに着地するのか、またその結果チームはどこまで勝ち進めるのか、大小2つのアプローチで少女たちの青春を鮮やかに描き出していきます。


その娘、武蔵0002
田中相先生の絵柄でスポーツってあまり結びつかなかったのですが(割とかっちりと収まったコマ割りとか、キャラ造形なので)、バレーのシーンでは変則コマで動きを表現。ダイナミックさにはやや欠けるかもしれませんが、スローモーションを連想させる描き方で、手に汗握るシーンを描き出します。


 そうそう、あと気になったのが新たに顧問になってくれた先生が完全に宮史郎なところ。これ偶然宮史郎的になってるんですかね?不祥事後ということでなかなか顧問になってくれる人がいない中、素人ながらバレーファンである彼が奮闘する姿も、今後見られそうで楽しみ。1巻時点ではバレー部が動き出したというところで終了。2巻以降、いよいよ活動が加速してきそうで、非常に楽しみです。

 
【男性へのガイド】
→スポーツものなので、やはり他作品比で読みやすいんじゃないかと思います。どうして部活をやるのか…という所があるぶん、動き出しは遅くなっているのですが、2巻以降で取り戻すんじゃないかと。
【感想まとめ】
→スポーツものであるってだけで応援したいのですが、それを差し引いても普通に面白いです。オススメです。



作品DATA
■著者:田中相
■出版社:講談社
■レーベル:KC ITAN
■掲載誌:ITAN
■既刊1巻


■試し読み:第1話

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