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Tag [オススメ] [読み切り/短編] [名作ライブラリ] 2010.02.10
07178857.jpgタアモ「いっしょにおふろ」


この人のことを
好きになっちゃいけないって誓ったのに
ごめんなさい
もうとっくに手遅れです



■読切り4編を収録。それでは表題作をご紹介。
 家のお風呂が壊れてしまい、最近は兄と銭湯通いをしている。ナルシストな兄は、女の人より長くお風呂で、いつも私は待たされます。でも待つのはキライじゃない。その状況が、なんとなく「神田川」に似ているから。そしてもうひとつ、いつもいる、あの男の子に会えるから。名前も知らないその子とは、名前も知らないし声も交わしたこともない。けれどもちょっと気になる存在。そんな彼と、ある日学校で思わぬ再会を果たします。しかも、大事な親友の好きな人という紹介のされ方で…
 
 タアモ先生の、ほろ苦くて切ない恋を集めた珠玉の短編集でございます。銭湯で会う男の子が気になるも、その子は大事な親友の好きな人で、思い悩む少女を描いた表題作をはじめ、甘くて苦い恋愛に特化したストーリーが4編収録されています。それぞれのストーリーを少しずつ紹介しましょう。
 

「きらぼしのダンス」…失恋後向かったプラネタリウムで、自分のことを慰めてきたのは学校のモテキャラの男の子。けれど話をすると、学校での様子とは全然違う、意外に純情なヘタレキャラで!?

「サンタのキス」…クリスマスケーキ売りのバイトに励む少年が出会ったのは、自分のことをサンタだと信じる箱入りのお嬢様。「サンタさん、私のことさらってください!!」との彼女の一言に、彼は…!?

「オレンジの街」…中学の時好きだった男の子から届いた、結婚式の招待状。今の彼との生活に、不満がないワケではないけれど…。



いっしょにおふろ
溢れ出る想い。描き出すのは、私たちの中にもあるようなごくごく素朴な感情。


 4編収録ということで、それぞれのお話はやや長め。よって余裕を持って話を動かすことができ、甘さだけでなく苦さや切なさもしっかり描き出すことに成功しています。そうして苦みや切なさを組み込むと、反動で甘さは余計に増しますから、タアモ先生の持ち味であるふわふわの甘さを存分に堪能することができるという。それに加え、ヒロインたちの性格も素直で曲がったところがなく(あったとしてもせいぜい「意地っ張り」で済ませられるレベル)、非常にかわいらしく、ストーリーの切なさと甘さを際立たせるのに一役買っている印象。多分他のタアモ作品のなかでも、抜けて甘いんじゃないでしょうか。
 
 設定やストーリーはちょっと変わったものが多いですが、描き出す感情は非常に素朴なもの。そのアンバランスさを楽しめるのが、タアモ先生の良きところだと思うのですが、今作もどれも非日常的なシチュエーションの中で話が展開されます。家の外、学校の外が舞台の中心になっているんですよね。銭湯とか、プラネタリウムとか、あまり馴染みのない場所がモチーフとして使われるのですが、それがなんともいえないトクベツ感を醸し出しているように思えたり。あ、男の子視点なのは「サンタのキス」のみ。個人的には表題作と、「オレンジの街」がお気に入りです。こういう今あるものを改めて、“愛おしい”と思える気持ちって、いいですよね。甘さとは違う、ほっこり温かい気持ちになれるようなお話です。ああ、だから「いっしょにおf(ry


【男性へのガイド】
→かわいいお話がお好きな方は。甘さ際立つストーリーとなっております。どちら一方が幸せにするのではなく、一緒に幸せになる感じが丁寧に描かれているので、女の子視点でも男性が得する感はアリ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→4つと迷ったけど、好きなので。いいじゃないか、甘さで5つでも。このぐらいの長さが、タアモ先生は丁度良いのかもしれない。


■作者他作品レビュー
タアモ「お願い、せんせい」
タアモ「初恋ロケット」
タアモ「吾輩は嫁である。」
タアモ「ライフル少女」
タアモ「あのこと ぼくのいえ」
タアモ「少女のメランコリー」
タアモ「恋月夜のひめごと」



作品DATA
■著者:タアモ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:デラックスベツコミ(2006年6月5日号,10月5日号,12月5日号),ベツコミ(2006年12月号)
■全1巻
■価格:390円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [名作ライブラリ] 2010.02.09
07195938.jpgタアモ「恋月夜のひめごと」


何故でしょうか
泣いているのは私なのに
彼の泣く音が
聞こえた気がしました



■とあるお屋敷に住む令嬢・環。母は華族出身で、父はその家格目当てで結婚。いわゆる政略結婚というやつで、いつしか父は家から離れていきました。一緒に暮らす母も、環のことに興味などなく、親子という名の他人のよう。そんなお屋敷に、ある日ひとりの書生がやってきます。彼の名は黒田景明。母はいたく彼を気に入っているようでしたが、環は何を考えているかわからない彼のことが苦手だったのでした。けれどもある日、彼の優しさが環の心を静かに溶かし…

 タアモ先生の作品ばっかりレビューしてますが、今月末に新作が発売になるので、それまでに全部レビューしようかな、と。ということで、「恋月夜のひめごと」のご紹介です。屋敷に閉じこめられた令嬢と、書生として仕える青年のラブロマンス。書生と言うことですから、いわゆる時代物となります。ヒロインは、政略結婚で生まれた環。父はすでに家に寄り付かなくなり、母も環にはまるで興味がなく、これっぽっちも愛情を注がれずに育ってきました。そんな屋敷に書生としてやってきた、一人の青年・黒田景明。彼の出自は明らかでないものの、どうやら環の母は彼のことが大変お気に入りらしく、いつも側に置いています。そんな景明のことが、なんとなく気に入らない環。出会いがあまりいいものではなく、ついつい構えて接してしまうのでした。けれども何度か話しているうちに、お互いの心は溶け、やがて強く意識するように。しかしふたりは母に愛されない令嬢と、母のお気に入りの書生です。そう簡単に結ばれるような関係にはなく、多くの邪魔が二人の仲を隔てるのでした。


恋月夜のひめごと
もちろん逃避行を企てたりする。ベタ。けれど、ベタじゃなければこの手の話は成立しない。


 一番の壁になるのは環の母親です。ちょっと歪んだ性格の彼女は、娘である環に過剰なまでに冷たく当たります。少しでも景明と仲良くしようものなら、言葉を交わすのを禁止にし、さらには環を屋敷に閉じこめてしまったり、留学の話を勝手に進めたりしてしまいます。しかしそれは逆効果。引き離されれば引き離されるほど、環は景明を強く求め、また景明も弱っていく環の事を一層気にかけるようになっていきます。ベースとなる雰囲気は、重苦しく悲しいもので、なんとなく昼ドラのような多少ドロドロしたテイストが含まれています。
 
 メロドラマといいますか、悲劇ベースの重く切ない話で、タアモ先生の普段の作品とは一線を画するようなお話となっています。それを新境地と捉えるか、ミスマッチと捉えるかは読み手の自由。ストーリーとしてはかなりベタなのですが、だからこそ楽しめるという側面というものが、この手の話には少なからずあるわけで、試みとしては一応成功しているのか。母親の暴走っぷりにはちょっとひいてしまいましたが、ああいったキャラがいないと物語は成立しないわけで、難しところですね。また同時収録の読切りは、お堅い委員長キャラの女の子と、人付き合いの上手い男の子のラブストーリー。こちらも黒髪ロングのヒロインと、黒髪キャラがお好きな方にはたまらない一冊となっております。


【男性へのガイド】
→昼ドラっぽいテイストはちょいと男性には向かないような。相変わらずカワイイですけどね。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→タアモ先生はベタを描かせても面白く描いてきそうなのですが、こういう系統のベタはちょっと良さが削がれてしまうような気も。


■作者他作品レビュー
タアモ「お願い、せんせい」
タアモ「初恋ロケット」
タアモ「吾輩は嫁である。」
タアモ「ライフル少女」
タアモ「あのこと ぼくのいえ」
タアモ「少女のメランコリー」


作品DATA
■著者:タアモ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:ベツコミ('07年9月号~12月号)
■全1巻
■価格:390円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [オススメ] [読み切り/短編] [名作ライブラリ] 2010.02.04
07162784.jpgタアモ「少女のメランコリー」


告白みたいに話したら
照れくさいけど
泣きそうになった



■読切り5編を収録。ということで、表題作をご紹介。
 辻川英子、高校3年生。新しいクラスになった春、バレー部のグループ,オシャレなグループ,ちょっと暗い人たちのグループと、クラスの住人たちがグループを固めはじめた頃、一人の転校生がやってきた。彼女の名前は北原泉。女の匂いの充満した教室で、彼女はどこか異質だった。事なかれ主義の英子にとって、何事もハッキリと主張する北原さんは、なんだかとっても“特別”に映り、英子はまるで恋に落ちるように、彼女のことが気になっていった…
 
 ピュアでキラキラした想いに溢れる、タアモ先生珠玉の読切り集でございます。表題作である、少女達の友情を描いた「少女のメランコリー」をはじめ、10代少年少女たちの純粋でトクベツな想いを描いたお話が、計5編収録されています。それでは表題作以外のお話を、少しずつご紹介しましょう。まずは、関東から京都に引っ越してきたヒロインが、犬の散歩で迷い込んだ林で不思議な男の子に出会う「蛍火の雨が降る」。冷めた考えの持ち主だった女の子が、文化祭の劇を通して少しずつ変わっていく「ピーターパン・モノクローム」。大事な妹と片想いの女の子、クリスマスの予定がダブルブッキング!「銀のなみだ 銀のゆき」。そして先生に興味を持った小さな魔法使いのお話「先生と小さな魔女」。表題作の「少女のメランコリー」と、かきおろしの「先生と小さな魔女」をのぞいた3編は、どれも恋心を大事に大事に描いた恋愛色の強い内容。かわいらしい絵柄にマッチした、フワフワとした甘いストーリーが描き出されています。


タアモ「少女のメランコリー」
大ゴマのインパクトがいつにも増してすごい。とても印象に残ります。


 タアモ先生の作品でどれが一番好きかと聞かれたら、間違いなくこの「少女のメランコリー」を選びます。それだけ素敵な作品が目一杯なんですよ!まずは表題作になっている「少女のメランコリー」ですが、この話、男の子が全く登場しない、女の子の友情を描いたお話なんですよね。これがなかなか爽やかなお話で、先の百合姫移籍もこの話があったからこそ納得できたといいますか。恐らく系統としては「百合」とはまた違うのでしょうが、そこに繋がる欠片みたいなものは見えるのではないかな、と思います。
 
 またその他は、バッチシ恋愛色強め。どれもそれぞれキュンとする話なんだ。「蛍火の雨が降る」は、“二人だけの秘密の場所”という何とも心躍るシチュエーションが存分に活かされ、恋愛感情の芽生えがキレイに描かれているように思います。また「ピーターパン・モノクローム」は、ひねくれた性格の女の子がヒロインのお話なのですが、タアモ先生の作品には珍しく、段階としてセックスが話に組み込まれており(描写はないけど)、甘さだけではない違った一面を見ることができます。そして何といっても「銀のなみだ 銀のゆき」。終始男の子視点で描かれるストーリーなのですが、ヒロインの女の子がかわいいんですよね。そして途中まで激甘の展開なのに、突然絶望が訪れて、でも最後の最後にまた激甘というズルい構成。タアモ先生はやっぱり甘さが一番の売りだと思うんですよ。個人的にはこの作品が、一番甘かった。他の男の子視点の話でもそうなのですが、決して一途な天使のような女の子ではないんですけど、だからこそ素敵に映るといいますか。悲しさを含んでいるからこそ守ってあげたくなる感情ってのが、この話を読んでいると沸き立ってくるんですよね。とにもかくにも甘いです。しかもこれは男の方が断然得をする構成という。


【男性へのガイド】
→男の子視点の物語もあり、恋愛色強めですが、男性でも読みやすいと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→タアモ先生の作品でイチオシなのがこちら。ぜひともチェックを!


■作者他作品レビュー
タアモ「お願い、せんせい」
タアモ「初恋ロケット」
タアモ「吾輩は嫁である。」
タアモ「ライフル少女」
タアモ「あのこと ぼくのいえ」


作品DATA
■著者:タアモ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:Betsucomi
■全1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [オススメ] [名作ライブラリ] 2010.02.04
07171279.jpgタアモ「あのことぼくのいえ」


ぼくはいつでも
君を想ってる
ぼくと君のいる
この場所で



■ぼくの名前は海、恋する2歳(♂)。とある高校の寮で、アイドル犬をしている。ぼくはここに自分のことを置いてくれた朝香ちゃんのことが大好き。今日あのこは学校でどんな話をしたのだろうとか、何を考えていたのだろうとか、今日の散歩当番は誰なんだろうとか、毎日そんなことを考えて過ごしている。ここの寮の人たちは、よくぼくのところにきては愚痴をこぼしたり話をしたりしにくる。このお話は、そんな彼らとぼくの、恋のお話なんだ。

 犬視点で語るあらまししょうかいの難しさ。序盤カワイさ重視でいたはずなのに、気がつけばカラパイアのパルモさんみたいになってたよ…。ということで、タアモ先生の連作読切り集のご紹介です。まず表紙が反則なわけですよ、表紙が。ちょっとこれ可愛すぎだろ、と。担当さんのアイデアらしいんですが、ナイス担当さんと言わざるを得ない。裏表紙も可愛らしいです。そんな本作の内容は、時々犬視点で語られる生徒たちの恋物語。とある高校の寮で飼われているワンコ・海(♂)と、そこに住む生徒たちの恋模様が、ふわふわとした独特の絵柄で描かれていきます。


あのことぼくのいえ
モノローグは海のもの。他の登場人物のモノローグは挿し込まれない。


 主人公はあくまで海くん。彼もまた、恋する若者のうちの一人(一匹)であったりします。恋のお相手は、この寮に彼が飼われるきっかけとなった女子生徒・朝香ちゃん。1話目,2話目はあくまで語りという役を担う彼ですが、3話目は自ら物語に積極介入し物語をもり立てます。あくまで海視点というのが前提なので、モノローグは海のもののみ。ゆえに恋愛の当事者たちの心情は、台詞と考えを表す吹き出し、表情などに集約され、私たちは一歩引いた位置からその様子を見守ることになります。なにかとモノローグに頼りがちな作品が多い中で(例えば羽海野チカ先生の「ハチミツとクローバー」なんかその最たる例だと思う)、その“読み手”を当事者ではなく外部の存在させながら展開する恋物語ってのは、なかなかスゴいことなのではないでしょうか。ましてや2話目なんて、それに加え男の子が話のメインですからね。ベツコミという掲載誌の性格を考えても、「感情移入」というのは最優先事項なわけで、そんな中犬視点+男の子メインという二つの不利な要素を用いてくるってのは、かなり勇気の要ることのように思います。しかもそれが、しっかりときめきを残していて、面白いときてるから困る。もうね、この作品大好きなんですよ、私。
 
 表題作は3話のみ。いわゆる小学館十八番の「お試し連載」ってやつです。そこに加え、読切りがもう一編収録されています。こちらは過去と現在がクロスオーバする、ちょっとファンタジックな1作。こちらの方がよりタアモ先生っぽい印象がありますね。素朴な恋心に、少し不思議な要素を絡めて、ちょっと幻想的な雰囲気で話を展開する。ベツコミにはそぐわなそうですが、やっぱり素敵なお話。要するに個人的に大満足の1冊であるわけですよ。


【男性へのガイド】
→男の子視点の話もありますし、基本的には読みやすいと思います。可愛らしいお話が好きな方は。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→タアモ先生の作品の中でも、特に好きな作品のひとつです。犬の散歩って結構いいデート材料になるんですよね。時間を二人だけで共有できる感覚がとっても強いし、犬がいるので話も途切れることがないですし、共同作業的感覚で、なんだかやけに親しくなったような感じがしたり。そういった感覚を、よく表していると思います。


■作者他作品レビュー
タアモ「お願い、せんせい」
タアモ「初恋ロケット」
タアモ「吾輩は嫁である。」
タアモ「ライフル少女」



作品DATA
■著者:タアモ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:Betsucomi('06年6月号~8月号)
■全1巻
■価格:400円+税

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Tag [オススメ] [名作ライブラリ] 2009.11.24
07171124.jpg高宮智「HEAVEN’S WILL」


髪をのばす
ドレスを着る
妹になる
世登くんの願いは死へむかっている



■小さい頃からお化けや幽霊などの、“鬼”と呼ばれる不思議な存在が視えてしまうことに悩んでいる美葛。ある日、鬼に追われてとっさに逃げ込んだ屋敷で、美葛は2人の少年に出会う。可愛らしい女の子のような風貌のお祓い師・世登。そして、世登に飼われている吸血鬼の篝。鬼が視えるという能力を買われ、美葛は2人と共にお祓いの仕事をするようになるが…!?

 高宮智先生のちゅちゅでの連載作になります。高宮先生の作品の中では、唯一英訳されている作品(→英訳されている少女漫画リスト)。お化けや幽霊といった“鬼”を視ることができるヒロイン・美葛が、とある青年2人と出会うことをきっかけにお祓いの仕事をするようになるというファンタジー作品です。“鬼”を視ることはできるものの、対処することができない未葛は、毎日お祓い師の世登にケーキを作るという約束で身を守ってもらうことを約束。やがて美葛が鬼をおびき出すのによいエサになると気づいた世登は、彼女をお祓いの仕事のメンバーとして加えるようになります。


heavens Will
こんな見ためですが、一人称はオレ。中身は完全な男の子。


 世登くんは男の子ですが、見ためは完全に女の子。表紙の左の子がそうですね。「どうしてそんな格好を?」と聞くと「似合うから!」と自信満々に答える彼ですが、実は彼が女の子の格好をしているのにはとある理由が。それはネタバレになるので明かせませんが、どちらかというと単調でわかりやすい作品が多いちゅちゅ作品の中にあって、かなり切ない要素を盛り込んだ物語となっています。それが尾をひいたのか、最後まで暗めな雰囲気で展開されるのですが、だからといってラストで焦って底抜けに明るい方向に持っていこうとはせず、そのままのトーンで最善のラストを選択。この展開は低年齢向けの少女漫画としてはどうだろうと思うものの、1巻完結でこういった形でまとめてきたってのは、個人的にはぜひとも評価したいところ。この作品が英訳される所以も、この辺にあるのではないのかという勝手な予測。作品としてはしっかりとまとまった仕上がりになっています。


【男性へのガイド】
→オタク向け感のあるファンタジー。こういうのは男女とかじゃない気がします。ただ萌えにハマるようなキャラはいるかと言われるとどうだろう。美葛よりは世登くんに人気が集まりそう。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→やや盛り上がりには欠けるものの、キレイにまとめあげられているので読後感は良い。誰向けかと問われると難しいですが、少なくとも自分向けではあった、と。


■作者他作品レビュー
高宮智「ソラオト」
高宮智「わたしのおくすり」
高宮智「今宵音降る空の下」


作品DATA
■著者:高宮智
■出版社:小学館
■レーベル:ちゅちゅコミックス
■掲載誌:ちゅちゅ(2006年1月号~4月号)
■全1巻
■価格:390円+税

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レビュー
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レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




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レビュー
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かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
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