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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.03.19
lovererun.jpg天沢アキ「ラブリラン」(1)



目が覚めたらそこは
新しい世界




■失われた記憶。初めてなのに、全部2回目!?
 仕事はできるが恋愛経験のないまま30歳を迎えたサヤカは、大学時代のゼミ仲間・鷺沢に十年来の片想いをしていた。ついに念願の鷺沢と初デート前夜、胸躍らせ眠りにつくサヤカ。ところが目が覚めると、感じが悪い職場の後輩・町田と同棲を始めていた!どうやらサヤカは頭を打ったショックで、1ヶ月分の記憶を失ってしまったらしく……!?

 天沢アキ先生の初連載・初単行本です。目を覚ましたら1カ月分の記憶を失っており、これまでの自分からは想像もつかないような状況に陥っていたというドタバタラブコメディ。主人公は30歳にして彼氏いない歴=年齢という、IT業界勤務の女性・サヤカ。見た目もあまり気にせず、メガネに後ろ縛りで化粧っ気はなし。そんな彼女でしたが、大学時代から密かに想いを寄せる相手が。ひょんなことからその彼とデートすることになったのですが、気が付くと見知らぬ家のベッドの上に。目の前にいたのは、同僚で感じが悪い後輩の町田で、話を聞くと彼と付き合い同棲を始めていたとのことでした。訳が分からない彼女に下されたのは、1ヶ月分の記憶障害という診断。自分の部屋にはなじみのあるアイテムのほか、華やかな服に靴、アクセサリーの数々……。何がどうしてこうなったのか…聞けば聞くほど信じられないここ1ヶ月の自分の行動に戸惑うサヤカでしたが…というお話。


ラブリラン0001
ある日突然目覚めたら、楽しみにしていたデートの予定は立ち消え、それどころかあまり良い印象を抱いていなかった後輩と同棲までしていたという、いい意味で無茶苦茶な事が起こるラブコメ。化粧っ気なんか全くなかったはずなのに、突如オシャレに目覚めたのか、コンタクトやらきれいな服やらが部屋にはたくさん。聞くと、後輩にハマっていたのはむしろ自分の方だという、到底信じられない展開。

 
 普通同棲相手がそんなことになったら後輩くんも戸惑うと思うのですが、「ハマられ過ぎて別れようかと思っていた」と意外にもドライな態度で、なんで付き合っていたのかという戸惑いは余計つのるばかりという。流れ的にはそのまま別れて同棲中の家を出て……となりそうですが、思い出さなきゃやってられんと、同棲を継続することで、物語はさらに転がっていきます。


ラブリラン0002
記憶喪失の間に脱モサは図られており、すでにある服を着ればきれいになれるという状態。ゆえに、一生懸命モサい状態から脱するというフェーズはありません。


 同棲していたのですから、もちろんキスはおろか、セックスまでしているはずなのですが、当人には当たり前ですが記憶はなし。元々ヤラミソの女性ですから、本人からしたらそれが一番の衝撃で、処女じゃないけど処女マインドというなかなか面白い状況に陥っています。後輩との恋愛感情は完全に立ち消え、再度大学時代からの想い人相手に関係を構築しようとチャレンジしていくわけですが、記憶が戻るごとに後輩への想いが呼び起こされてくるというジレンマ。されにはよくわからないつながりの男まで現れ、1巻は戸惑いだけを抱えたままに終了とかなりてんやわんや。2巻以降どうなっていくのか、非常に気になるところです。


【男性へのガイド】
→めくるめく展開は男女問わず面白いと思うんじゃないかなぁとは思います。逆ハーレム的な感じではありますが。
【感想まとめ】
→結構はちゃめちゃな展開なのですが、それが楽しい面白い。同じ記憶喪失ものの「シックス・ハーフ」あたりよりも明るくてライトに楽しめる内容でした。


作品DATA
■著者:天沢アキ
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS
■既刊1巻
■価格:円+税

■ためし読み:第1話

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Tag [新作レビュー] 2015.03.18
sorawokakeruyodaka.jpg川端志季「宇宙を駆けるよだか」(1)



元の体もしろちゃんも
取り戻さなきゃ




■かわいくて素直な性格のあゆみは、大好きな人と恋人同士になったばかり。だが、初デートに向かう途中で、同じクラスの然子の自殺を目撃し、意識を失ってしまう。目が覚めると、あゆみは醜い容姿の然子と身体が入れ替わっていて……。容姿も性格も全く違うふたりの運命が、奇妙にねじれながら交錯していく……。

 川端志季先生の別冊マーガレット連載作です。デビュー単行本の「青に光芒」もつい最近出たばかりという印象があるのですが、2冊目にして巻数付きの長期連載ということで、かなりのジャンプアップという印象が…。では内容の紹介をしましょう。

 ヒロインは、見た目が可愛くて素直な高校生・あゆみ。つい最近想いを寄せていた相手と付き合うことになり、初デートに向かいます。けれども途中で、クラスメイトの然子から突然電話がかかってきて、「今から自殺するから見ていて」と言われます。あゆみの目の前で然子は飛び降り、なぜかあゆみもそのままブラックアウト。目が覚めたら、彼女は然子と入替っていました。然子はあゆみとは似ても似つかない醜い容姿で、周囲の人間からは冷たく扱われている子。どうやら然子は、あゆみに嫉妬しわざと入れ替わりをさせたようなのです。姿が違うだけで、こんなにも世界は変わってしまうものなのかと、絶望をするあゆみでしたが…というお話。


宇宙を駆りるよだか0001
こんな見た目に。これまでの友達関係もガラリ一変、一気に距離が離れることに。


 物語のジャンルとしては「入替りもの」になるかと思います。ただ、定番の男女入れ替わりではなく、女の子同士で入替るというのがポイント。醜い容姿のヒロインというのもここ最近割と一般的になってきましたが、こういう形で投入されるのはあまりないかもしれませんね。しかし別冊マーガレットは先日ご紹介した「青山月子です!」(→レビュー)など、割と突飛な設定の作品も増えてきている印象がありますねー。こちらはまさにファンタジーという導入ですが、どれくらい定着するのか、合わせて注目したいところです。

 醜い容姿で周囲からは疎まれている自身に絶望し、好きな人と付き合っているクラスメイトに嫉妬し、入れ替わりを結構するという、なかなか捻じ曲がった性格の子です。醜い容姿が先か、捻じ曲がった性格が先かという所はあるのですが、まあわかりやすい悪役という所。一方ヒロインのあゆみは非常に素直で前向きな性格。入替ったことを周囲に訴えかけるも取り合ってもらえず一時は絶望しかけるのですが、彼氏ではないクラスメイトの火賀くんがそのことに気づき支えてくれることで、気力を取り戻します。その後、定番の戻る方法を探っていくのですが、道のりは長そうということで……。


宇宙を駆りるよだか0002
この火賀くんは、じつはあゆみに想いを寄せていたという設定があり、入替った後のサポートをしてくれるわけですが、あゆみは付き合っている彼・しろちゃんが好きというミスマッチが。ただサポートっぷりは相手役本線という感じそのもので、最終的にどういう結末となるかは定かではありません。このまま噛ませ犬ポジションだったら個人的な嗜好としては最高なのですが、そうはいかないかなというのが1巻読んでの感想。


 姿は醜くなっても、心がきれいであれば素敵な王子様が現れ、一方心が不美人だと人は離れていくという、おとぎ話的なエッセンスが落とし込まれていますが、入れ替わりものというジャンルも相まって素直に楽しめる展開になっているのかな、と思います。本作のヒロインの場合、男女関係に関しては過去の遺産によって持っている感もあるので、ストレートに性格が重要と言っているわけでもなさそうなのですが。


【男性へのガイド】
→本編説明の通り、入れ替わりものとはいえ男女ではなく女性同士で、恋愛要素は強くなくとも割と都合のよい展開はありつつ、設定に比して女性向けの要素が強いんじゃないかなと思います。
【感想まとめ】
→入れ替わりものは好きですし、興味深い内容で続きが気になる所です。意外と短く完結するんじゃないかという予感もあり。



作品DATA
■著者:川端志季
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税


■試し読み:第1話
カテゴリ「別冊マーガレット」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
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Tag [新作レビュー] 2015.03.17
kataomoifever.jpg桑佳あさ「片想いフィーバー」(1)



……ごめん俺
里沙じゃ勃たない




■全員アウト!好きって言えばいいもんじゃない。
 小学校からずっと仲良しで、同じ高校に進学した幼なじみの里沙、友弘、詩也。でもある日、友弘が前田先輩にひと目ぼれして大変なことに。焦った里沙は思い切って友弘に告白。だけど前田先輩へのアピールに必死な友弘には、相手にしてらえない。そんな中、もう一人の幼なじみ・詩也が里沙に告白してきて……。恋の熱に浮かされた高校生たちの捨て身で素敵な全力投球!全員が片想いなこの恋のラビリンスに、出口はあるの…!?

 桑佳あさ先生の初単行本です。全員片想いな青春グラフィティ。主人公は表紙にも描かれている女の子の里沙。彼女には小学校の時からずっと一緒に過ごしてきた幼馴染が二人いました。一人は友弘、里沙がずっと好きな相手。けれども里沙の想いも虚しく、友弘はツンツン美人な前田先輩に夢中で全く相手にしてもらえません。その横で、里沙に想いを寄せるのがもう一人の幼馴染の詩也。それぞれが思い思いの相手に恋の矢印を伸ばしているものの、決して交わることのない状況に、やきもきしつつも頑張る彼らですが…というお話。

 片思いの応酬というと、切なさが前面に押し出されて胸が苦しくなるような作品を思い浮かべると思うのですが、これはあんまりそういう感じを受けません。むしろコメディ一直線という感じすらあります。その源泉となっているのが、登場人物が割と全員ロクデモナイからというのがあるかもしれません。みんな真面目に片想いしているのですが、全員想いがフルオープンである楽さ加減があるのに加え、こんな感じなので……



片想いフィーバー0001
ひどくオープンエロな友弘(爽やかエロ)



片想いフィーバー0002
友弘の想いを引き寄せたいがゆえに胸を触らせる里沙(アホ)



片想いフィーバー0003
優しくしておいて出し抜こうとする詩也(ゲス)



片想いフィーバー0004
ツンツンどころか……な前田先輩(ドS)



 四六時中こんな感じではないのですが、こういったネタがちょいちょい挟まれてくるので、十代の恋愛を切なく描いた同系の作品とは一線を画する雰囲気を持っています。むしろ上記の個性とネタの強さと、定期的にオチが来る感じは、学園4コマ漫画に近いものがあるかもしれません。4コマ好きの人にちょっとおすすめしたいちょっと変わった雰囲気の物語。

 恋愛ものとして見るならば、それぞれが驚くほどに真っ直ぐに相手にぶつかるので、ストレートで気持ちが良くとも、それがやや単調に映ってしまうところはあるかもしれません。これから巻数が重なるに従い、切なさ成分も増えてくるような気もしているのですが、このままコメディ調で明るく推移することも十分に考えられ、展開はちょっと見えず。ひとまずは明るくテンポ良く読める学園ラブコメとして楽しんでいただければと思います。

 
【男性へのガイド】
→ほとばしる4コマ感は男性が読むのにあたっても良い後押しになるんじゃないかと思います。あと前田先輩、イイですよね。
【感想まとめ】
→読後に何か残るかというと別に何も残らないのですが、それが良い所なんだと思います。肩ひじ張らずに読める、デザート連載としては一風変わった雰囲気のコメディ。


作品DATA
■著者:桑佳あさ
■出版社:講談社
■レーベル:KC DESSERT
■掲載誌:デザート
■既刊1巻


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] 2015.03.16
indensanto.jpg小糸さよ「印伝さんと縁結び」(1)



君と居たら
俺は変わるかもしれん




■平凡な大学生・美山くくりは、ある日突然、京都・名家のカタブツ御曹司・印伝織之助と不思議なご縁で結ばれることに。だけど印伝さんの性格はかなり難があり、結婚や恋愛を仕事のように考えていて……。そんな印伝さんに振り回されっぱなしのくくり。しかし結婚に向けて一緒に過ごすうちに、印伝さんは人の気持ちがわからないのではなく、真面目すぎて不器用なだけだと気づいて……。ピュアな大人の初恋ラブコメ!

 NEXTコミックスをご紹介するのは初めてになりますかね。実は結構単行本も出ており、書店でも平積みされているところをよく見かけるようになりました。本日ご紹介するのは、小糸さよ先生の「印伝さんと縁結び」です。

 物語の舞台となるのは京都。普通の大学生だった彼女はある日、神の使いとかいう謎のウサギを連れた初対面のイケメンから、いきなり(嫌そうに)結婚してくれないかと言われます。いきなり何を言ってるんだと思ったくくりですが、話を聞くとうも彼は京都の名家・印伝家の御曹司とのこと。印伝家は代々縁結びの神を祀って栄えている関係から、ご縁結びの相手は神が選び認めなければならず、くくりがその相手として選ばれたという。突拍子もない話であることに加え、まるで恋愛のことをわかっていない織之助に、不信感ばかりが募るくくりでしたが、ひょんなことから彼の優しい心に触れ、結婚することを決意するのでした。結婚に向けて準備をする二人でしたが、恋愛オンチな織之助とは何かとぶつかり合う事ばかりで、その前途は多難……?というストーリー。


印伝さんと縁結び0001
このうさぎっぽいのが神の遣い。結構使い勝手よさそうなキャラなのですが、後半割といなくなりがちっていう。


 神の使いが認める、、、という設定からもわかる通り、ちょいとファンタジックな要素を織り込んだ世界観となっています。織之助はシャーマンの力を継いでおり、不思議な力を使うことも出来ます。ただそれらはあまり本編においては重要な要素ではなく、1巻読んだ感じでは、ラブイベント起動と二人を強引にくっつけるネタとして使われているぐらいという印象でした。

 では何がメインになるのかというと、恋愛もまともに知らない二人がいきなり結婚をして、後追いで恋を知っていくという初々しい恋愛模様になります。織之助は名家の跡取りで結婚というプレッシャーがあったからか、とにかく形式ばった結婚ありきで、恋愛なんて二の次。それゆえにこの歳までまともに恋愛らしい恋愛をしたことがなく、女性の想いを汲み取れない残念な男という感じになってしまっています。それがくくりと出会うことで、少しずつ変化が見られるわけですが、それがまあ初々しいという。

 くくりも恋愛経験は浅いようで、お互いが恋愛初心者。二人ともそれなりにいい歳なのですが、驚くほどにピュアでプラトニックです。婚約しているにも関わらず、1巻での一つの山場は手をつなぐとかそういうものですから。ちなみに1巻終わった時点でキスすらしてないです。素晴らしい。


印伝さんと縁結び0002
手をつなぎたいというだけでこれです。ピュアピュア。

 投入されるイベントは京都の名家らしい、ちょっと変わったものなのですが、正直あんまり深く語られることもなく、重苦しさがあるものでもなく。やはりどこまでもこの二人のウブさを楽しむ作品なのだな、と。で、全然それで持っちゃうのが良いところ。肩ひじ張らず、素直に楽しむことが出来る良ラブコメだと思います。


【男性へのガイド】
→女性向けのラブコメですが、このピュアっぷりはある意味とっつきやすいかと思います。
【感想まとめ】
→ラブコメ以上でも以下でもない、純度高めのラブコメだと思いました。


作品DATA
■著者:小糸さよ
■出版社:宙出版
■レーベル:NEXT COMICS F
■掲載誌:Next Comic ファースト
■既刊1巻
■価格:619円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] 2015.03.15
jyuuyousannkounintantei.jpg絹田村子「重要参考人探偵」(1)



よし!
重要参考人として身柄を確保!!




■弥木圭は、なぜか死体を見つけてしまう体質の男性モデル。そのせいで、しばしば犯人だと疑われ、殺人事件の重要参考人に!?自らにかけられた容疑を晴らすため、推理オタクの周防斎、ナンパ好きのシモン・藤馬の2人のモデル仲間とともに、圭は今日も難事件に立ち向かう!本格推理コメディ、待望の第1巻!!

 「さんすくみ」(→レビュー)の絹田村子先生の新連載です。今度はなんと、推理モノです。「名探偵コ○ン」が代表格とも言えるでしょうが、推理モノの主人公が出先で異常なほど殺人事件に遭遇するというあの現象、ありますよね。コナンなどは過去にどれくらい死んでいるかという数が集計されていたりと、こいつらが疫病神なんじゃないかっていう風潮すらあります。本作は、そんな推理モノの難点を逆手に取ったとも言うべき設定のキャラが主人公となっています。

 主人公の弥木圭は、探偵……ではなく、モデル。彼は幼いころからある特異体質に悩まされています。それは、行く先々で死体と出会ってしまうというもの。それも必ず第一発見者で、死に方も様々。余りの遭遇率に死体を見ること自体には慣れてしまったものの、困っているのが犯人と間違えられてしまうということ。自らにかけられた容疑を晴らすために、必死になって真犯人探しをするのですが、、、というストーリー。


重要参考人探偵0002
死体との出会いは日常。


 どうしてそういう体質になったのか、どうやらきっかけはあるらしいのですがそれは1巻では明かされず。恐らく先々明らかになってくるのでしょう。当人ですが、この体質は嫌ではあるものの引きこもりになるわけにもいかないので「仕方ない」として片づけて普通にモデル業をこなしています。容姿は優れているものの、頭脳の方は良いのかよくわからず。ただ自分が無実の罪を着せられたらたまったもんじゃないと、火事場の馬鹿力的に集中力を発揮します。

 探偵ではありませんから、当人だけで問題を解決するのは難しいです。そこで手を貸してくれるのが、同じモデルで度々現場に出くわす、推理マニア・周防とナンパ好きのシモン。結果性格バラバラの3人でどこか緩くトラブルを解決するという構図は、「さんすくみ」と同じですね。ただこちらはモデルなので、男としてのランクはグイっと上がっているわけですけれども。周防は推理マニアといえども洞察力はまるでなしで、あまり役に立つ印象はありません。シモンはナチュラルボーン・ナンパ野郎という感じで、そのテクを駆使して女性から様々な情報を引き出す役目を負います。


重要参考人探偵0001
周りの仲間もそれを知っているので、比較的慣れている。周防に関しては、待ってましたと言わんばかりにノリノリ。


 トリックはそんな突拍子もないものはありません。そこはあくまで、素人たちでも解決できるレベルのもの、という位置づけですから。難易度的には、「ぼくらの推理ノート」ぐらいでしょうか(恐らくほとんどの人には伝わらないであろう例え)。そう考えると、ミステリーという枠で捉えるよりかは、男3人のやり取りを楽しむコメディという方が正しいかもしれません。「さんすくみ」が好きだった方は、まず同じテンションで読んでもらって普通にそのまま楽しめるような感じだと思います。



【男性へのガイド】
→男子たちのゆるいやり取りは割ととっつきやすいとは思うのですが、モデルになったぶん「さんすくみ」よりかはハードル上がった感もあります。
【感想まとめ】
→表紙とタイトル見たときはものすごい方向転換だなと思っていたのですが、中身を読んで安心、これは「さんすくみ」の流れをくむ安心の絹田村子作品です。



作品DATA
■著者:絹田村子
■出版社:小学館
■レーベル:flowerコミックス
■掲載誌:flowers
■既刊1巻
■価格:429円+税


■試し読み:第1話

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