
「あの人と一緒に生きていてよかった」と
お互い思って人生を終えられるような
そんなつながりをつくりあげていくことを
「結婚」というのだと思います
■8巻発売、完結しました。
離婚が成立した真木誠から、正式に結婚を申し込まれた岩谷ヨリ。だが、離島での開業準備を進める真木に、一度はあきらめたはずのドイツ留学の話が舞い込んでくる。再びのすれ違いと別れを経て、ヨリが最後に選んだものとは…!?大人の純愛ストーリー、感動の完結巻!!
~完結です~
8巻で完結しました。無事…とはいかず、最後の最後までドラマが待っていましたが、何とか終幕です。正直8巻の展開は全く想像していなかったので、最後まで手に汗握ると言いますか、まんまとしてやられた感がありました。まさかこんなにド直球な物語で来るなんて、思いもしませんもの。
~二人を隔てる最後の壁~
flowersでの前作「娚の一生」では、最後に大災害が起きることによって二人の間に危機が訪れました。この抵抗不可能な圧倒的な力によって翻弄されるという展開は、個人的に望んでいた形でなかったので、どこか消化不良的にもやもやとしたものがずっと残っていました。そして本作、同じように突拍子もないラストを迎えると思いきや、二人の行く手を阻んだのは、

一人の女だったという。
しかもその手口が実に古典的で、一昔前の韓流ドラマや昼ドラを彷彿とさせるものだったのですから、驚くほかありませんでした。これまで真木の周りにあったしがらみは、この比でなく複雑で規模の大きなものだったのですが、一人の情念によってここまで追い詰められるというのは、ある意味とてもリアルであり、女性の執念の恐ろしさみたいなものを強く感じさせられます。怖い怖い…。かくして物語はクライマックスを迎えるわけですが、これによって、「娚の一生」で抱えていたモヤモヤも合わせて供養されたような感覚があり、個人的には大満足の幕切れでした。
~ラストなんかベタ王道すぎて…!~
ラストなんかもう、ベタ中のベタ、王道中の王道すぎてよだれ出るほどでした(笑)。たとえば最後の間などは特に素敵で、お見合いに向かう直前での一幕…

ふと引いた引き出しの中に、指輪の入った袋を見つける
この何かを暗示するような意味深なコマ割り。セリフで散々真木のことを愛しているってことは語りつくされていたのですが、こうしてビシっと現物を見せられると、より納得感があるといいますか。彼女の心情をよく描いている感があります。
また最後に助け船を出す天野さん、カッコいいです。正直もう登場しないと思っていて、「人物紹介になんでいるんだろう?」なんて考えていたのですが、ちゃんと意味があったってことですね。すみません、てか天野って名前もこれ見て思い出したってくらいなんですが。
これで面白いのが、「女性の知り合いは裏切る」ってネタの後に、「男性の知り合いは助ける」ってネタになっているってこと。考えすぎ、単なる偶然なのかもしれませんが、ともあれ捨てる神あれば拾う神あり。本当に仲を深めるには、一緒にラブホテルに泊まるくらいしないといけないのかもしれないですね。(結論)
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