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Tag [新作レビュー] [4コマ] 2010.05.11
1102905655.jpg矢直ちなみ「一緒にかえろう」(1)


ふみだせ
泣きむし
…ゆっくりとな!



■春・16歳、詩緒・15歳。6年ぶりに再会した2人は、ちょっとヘンテコな幼なじみ。長髪の似合う美人の詩緒は、当時見ためは男の子で、春はすっかり男の子と勘違い。あろうことか恋をし、再会するまでそのときの想い出を大切にとっていた。再会し、女の子だったと知ったときのショックは大きかったけど、今ではちゃんと友達として付き合っている。元気いっぱいだけど、いい加減な性格の春と、引っ込み思案で泣き虫の詩緒。変わった形で再会を果たした二人の、新たな毎日が始まった…!!

 矢直ちなみ先生の新作4コマでございます。とりあえず表紙が素敵ですよね。買うか迷っていたのですが、店頭で見て即決で購入してしまいました。お話は、6年の時を経て再会を果たした二人の女の子の毎日を描いた作品。話のポイントは、6年前の勘違いによる、変わった再会の仕方にあります。表紙でいうと左側にいる女の子・春は、6年前の夏休みに、表紙左の女の子・詩緒に出会います。今でこそ髪が長くて胸も大きく、実に女の子らしい詩緒ですが、当時は髪も短く男の子のような格好をしていました。そのため春は、詩緒に恋心を抱くように。間もなく詩緒は引っ越していってしまうのですが、その後も文通は続け、このたび6年ぶりに町に戻ってきたのでした。再会してみて春はびっくり。どんな素敵な男の子になっているだろうと思っていたら、目の前に現れたのは黒髪なびかせる美人さん。春の初恋は見事に天に召されるも、二人の仲は変わることなく、今度は同性の友達として、高校生活を送っていくことになるのでした。


一緒にかえろう
詩緒は驚くほど泣き虫。いつも心配を重ね、勝手にプレッシャーを感じ、そして堪らなくなってないてしまう。そんな彼女を支える、春。


 帯には「出会いは初恋のわたしたち。思い出より今がすき。」という文字が。表紙の感じも相まって、なんとなく百合を想像させてきますが、内容はまったく百合ではありません。久々に再会した詩緒は、転校が重なったこともあり、他人と仲良くする術をなかなか学べず、自らバリアを作って人を遠ざけるような振る舞いを無意識のうちにしてしまっているところがあります。本当はとっても気が弱くて、皆と仲良くなりたいのに、怖いし勇気がない。そんな彼女をなんとか溶け込ませようと、春を始めとしたクラスメイトたちがあの手この手でアプローチ。変わることのない(成長のしない)春と、変わろうと努力する詩緒。全く正反対の性質を持った仲良しの二人ですが、それだからこそ相性抜群。一緒に悩んで泣いて笑い合って…一つ一つゆっくりと精一杯解決していくそれぞれの姿が、とっても眩しいです。
 
 二人の他にも、周囲を固める脇役に個性派多数。春の仲良しで笑顔で怒る、二人の世話役的ポジション真名ちゃんに、春に想いをよせる男の子・葉月、お調子者の伊藤くん、そしてイジワルな性格の杉山さんなど、男女に4コマで動かしやすそうなキャラクターを配置しています。1巻の時点では、いつまでもウジウジしている詩緒を、いかにクラスに溶け込ませるかという部分に終始しており、友情一辺倒で話が展開。確かに良い話なのですが、それだけだとお腹がすいてきます。そのままラスト付近まで駆け抜けて行くのですが、最後になって恋愛展開と詩緒の家庭事情でのフラグが立つというスパートを見せてきます。軸としてある友情というものに、いかに恋愛と家族愛を絡めていくのか。このレーベルだからこそ、その3本両立を期待したい所ですが、果たして。個人的には、友情展開でもっと丁寧に描けばより詩緒の新條が引き立って味わい深くなるんじゃないかなぁ、と思ったのですが。なんてたぶんこれがこの作者さんのリズム感なんでしょう。


【男性へのガイド】
→まんがタイムということで、少女漫画とは別枠。もちろん男性も全力で楽しめるかと。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→友情のみに終始した1巻だけ。最後に畳み掛けるようにフラグを立てていったわけですが、どう回収するのか。大化けの予感もあります。まっすぐな女の子同士の友情というものがお好きな方は、1巻からもどうぞどうぞ。


作品DATA
■著者:矢直ちなみ
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムファミリー(2008年10月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:619円+税


■購入する→Amazonbk1

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Tag [続刊レビュー] [4コマ] 2010.05.10
作品紹介→*新作レビュー*野広実由「ダブルパティシエール!」
関連作品レビュー→*新作レビュー*野広実由「なないろレシピ」



1102905652.jpg野広実由「ダブルパティシエール!」(2)


私もやっぱり
お菓子作りしたい!



■2巻発売、完結しました。
 ニートを脱却してパティシエールになるため、奮闘するかほだったが、ちょっとしたことが原因でパティスリー・ノワをやめてしまう。もう二度と戻ることはないと思っていたけれど、まさこさんを始め、ノワの皆が待っていてくれた!もう一度ノワで働きたい!ちゃんとパティシエを目指す!気持ちも新たに、製菓専門学校に通いはじめたかほと、一人パティシエールとしての道を歩み始めたまさこさん。それぞれに、自分の決めた道を進む二人は…!?


~完結しました~
 2巻で完結です。正直「もっと続いて欲しかった」というのが本音です。どうして終わってしまったんや…。だって、やっとかほがノワに戻って、パティシエとしての道を志しはじめたというのに、一人前になることもなく終わってしまったのですよ。確かに気持ちはニートの時とは段違いに変わりました。けれども、これから…これからが楽しみだった。影の薄い新キャラの登場に心躍り、お仕事ステップアップコメディとして展開して行く状況が整ったところでの終了。あれ、これだとかほはパティシエールになりきれていないから、「ダブルパティシエール」じゃなくないですか?だからもっと続くべきだったんだってば!(←納得がいっていない)


~打ち切りの匂いが…~
 途中まではまったくそういった気配は見せず、残り数話になって唐突にまさこさんの結婚話が登場。そこから一気に終幕へと向かっていきました。それまでは、かほのノワ復帰をはじめ、比較的ゆっくり物語が進んでいたことを考えると、やっぱり打ち切りなんですかね?いい話だと思うんだけどなぁ(←まだ納得がいかない)


~しのぶさんという好材料がいたのに…!~
 2巻の見所というか、個人的にハマったのは、新キャラのしのぶさん。とにかく存在感のない彼女は、接客をしても気づいてもらえないので、ホールに出してもらえないという変わり種。けれど意外と見ためはよろしい。かほ曰く「美人」なんです。しかししのぶさん、その存在感のなさが裏目に出てしまったのか、今まで男性とお付き合いしたことがないという…


パティシエール

 この初い感じが愛いですね。これでもまさこさんよりベテランで、お菓子作りの腕も確か。しかし男性の好みは少々変わっていて、どちらかというとブサイク専だったりします。この人の絡みがもっと見たかった…!かほとまさこさんの先輩後輩の関係はもとより、すぐりちゃんの存在感や、しのぶさんのポテンシャル…楽しみだったんだけどなぁ(←まだまだ納得がいってない)
 
 何はともあれ野広先生、お疲れさまでした!


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Tag [続刊レビュー] [4コマ] 2010.04.12
作品紹介→*新作レビュー*田川ちょこ「ひかるファンファーレ」



1102894200.jpg田川ちょこ「ひかるファンファ-レ」(2)


「チューバに選ばれた子はまた嘆くんだろうね
 何でチューバ!?って」
「でもすぐ好きになるよ!
 だって…私がそうだったから!」



■2巻発売完結しました。
 表裏ありまくりの美少女に、空回り系の真面目ちゃん、どこか抜けたところのある天才少年に、やる気が微妙な幼なじみ…個性的な友達たちに囲まれて、チューバ担当のひかるは今日も行く!ちっちゃい体に特大の楽器。アンバランスな彼女が仲間と奏でる青春のメロディに、あなたも耳を傾けてみませんか?吹奏楽があたしを変える、楽しい吹奏楽四コマ、完結編です!
 

~完結しました~
 2巻で完結いたしました。1巻では主にチューバとどうつき合っていくかが描かれていましたが、2巻ではすっかりチューバとも仲良くなり、立派な吹奏楽部員の一人としてのひかるの姿が描かれます。そんな中、最も2巻にて最も存在感を放ったのは、元子役の小悪魔美少女・池森結衣と、その幼なじみで彼女を勝手にライバル視しているメガネっ子・工藤亮子のコンビでしょう。結衣を出し抜いてやろうと奔走するも、いちいちそれが空回りしてしまうというパターンが、2巻では定番化。それに伴い結衣のブラックな面がどんどん浮き彫りになってきて、キャラクターとしての魅力が存分に発揮されていました。もう後半は「結衣がヒロインなんじゃね?」とか思ってしまうほど。そしてひかるの幼なじみの影がどんどん薄くなっていくという。


~亮子よりも部長さんですよね~
 勉強をはじめ、どんなことでも何をやっても結衣に勝てない亮子。しかしながら、一つだけ結衣を凌駕する要素がありました。それは、胸の大きさ!ひかるから借りて着たジャージの胸前のチャックを壊してしまう程度の大きさで、さすがの結衣も、それに関しては敗北感たっぷり。気がつけばこの作品に置ける巨乳キャラのポジションを獲得していた彼女ですが、そんな亮子にも負けず劣らずな女性キャラが一人おるのですよ。それが、1巻のときからどことなく存在感を放っていた、部長さんです!


ひかるファンファーレ
ナイスバディ(死語)


 ときに厳しくときに優しい、頼れるお姉さん的存在の彼女ですが、海での演奏会のときにさりげなくナイスバディ(死語)を披露しております。ほら、見てください、これですよこれ。うしろにいるひかるとか、何にもないじゃないですか、何にも(失礼)。これ、全然亮子にも負けてないですよ!やっぱり亮子なんていらなかったんや!(失礼)。いや、個人的に黒髪成分が足りないと1巻の時点で主張していたのですが、まさか巨乳キャラまで包括しているとはつゆ知らず。そうすると亮子に残された売りは「メガネ」のみですよ。もうそうなったら部長にメガネかけさせちゃえば良いじゃんか!…と、なんだか暴走してしまった感じがありますが、個人的にもうちょっと部長さんを登場させて欲しかったな、という思いがあったので。なんて、そんな脇役な部長さんが素敵なんですけど…ってなんなんだこのテンション。あ、亮子いらないとかいいましたが、彼女は結衣の魅力を最大限発揮させるという重要な役目を果たしたので、もっと労われていいはずです、うん。苦労ばっかですけど。


~黒田くんに抱かれたい~
 さてさて、これだけだと部長ばっかりになってしまうので、他のお話も。この作品、部長さん以外では、クールな天才少年の黒田圭吾が好きです。少女漫画とかだと、天才キャラって例外なく鼻につくキャラだったりするんですよ。妙にクールで、やけに他の人をバカにしてるっていうか。それはそれでまた物語が盛り上がるからいいのですが、個人的には素直クールが好きでして、それが黒髪でサラ毛だったりしたらもう文句ないわけです。ええつまり、黒田くんですよ。同じような設定のキャラクターとして、「青空エール」(→レビュー)の天才トランペット少年・水島亜希なんかがいたりしますが、やっぱり彼は下手な子・頑張りきれていない子に対して厳しく接するんですよね。しかし黒田くんには、そういったところが全くありません。困っている人がいれば手助けするし、相手をありのまま受け入れる懐の深さがあります。


光るファンファーレ2-2
“それ”も含めて池森だろ?


そりゃあモテるわさ。男の私でも軽くドキッとしそうです。驕ることなく素直に成長する天才に、溺れまくりましょうよ!
 

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Tag [新作レビュー] [4コマ] 2010.02.21
1102874264.jpgみずなともみ「ちょー!えど幕末伝」


「なんか浦賀に異国の黒い船が来てるってー
 ちょっと見に行ってくるわー」
「ちょ 上さま!!!ノリ軽っ!!」



■20xx年、ここは四百年近く鎖国を続ける国ニッポン。しかしそんな国にも、ついに時代の波が押し寄せていた。浦賀にペリーが黒船を引き連れてやってきた!かわいらしい異国のお嬢さん・ペリーに、のんびり上さまは早くも開国の意思!?しかし側近の琴乃がそれを意地でも阻止。脱藩浪人…ではなく家出少女の坂本龍馬、鬼のように怖い新撰組副長の土方さん、ペリーの妹ハリスに巨乳で訛りがキュートな西郷さん…。ありそでなかった?幕末4コマ、はじまりはじまりー。

 1巻完結の4コマなんですが、表紙からこのインパクト。「あれ、これきららじゃないの?」と思わず背表紙を確認。確かにきららじゃなくまんがタイムコミックスでした。私はそこまで芳文社4コマに詳しいわけではないので、そのきららとそれ以外を分ける明確な基準はわからないのですが、なるほど、本編を読むと確かにきららっぽくない。というのもメインポジションにいるひとりは男性で、必ずしも萌えを訴えかけるような作りにはなっていないという。そのメインキャラというのが、上さま。お菓子やゲームが大好きで、基本的には能天気。そんな彼が、側近の琴乃や、幕末を彩った偉人たち(多くが女子化)と掛け合いを見せていくという展開が多く、その絡み方はある意味オールドスタイル。わかりやすいネタが多いですね。


ちょーえど幕末伝
ペリーとハリスが姉妹という設定。基本的になんでもありの自由な世界です。ここから考えられるのは、「ハリス」も「ペリー」もファーストネームだということ。でもあまり違和感ないから不思議。これがもし「デイヴィッドソン」とかだったらこうはいかなかったんだろうなぁ。


 舞台は江戸ではあるのですが、時代設定が20XX年となっているように、江戸の町に現代技術を落とし込んだような世界となっています。銀魂とか、そういったものを想像していただければ。ストーリーは、ペリーの開国要求と、それに絡む「開国だ!鎖国だ!」という争いをかわいらしいネタで描いていくというものなのですが、まぁあくまでそれはおまけみたいなもの。要は女子化したキャラたちを好き放題に動かしたいというもので、それに合わせるように、描かれる内容は史実とはだいぶ異なったものとなっています。例えばハリスがペリーの妹だったとか。ちなみに女子化されているキャラは、側近の琴乃(正体は最後にわかります)、坂本龍馬、ペリー、ハリス、西郷隆盛、土方歳三、勝海舟…。個人的にはペリーが好き。というか一番生き生きしていたのが彼女のように思います。と思ったらあとがきに、この作品はペリーの女子化ありきだったようですね。ならば納得。
 
 全部が全部女子化なら、ターゲットが明確でわかりやすいのですが、上さまをはじめ、沖田総司や木戸孝允、近藤勇などは普通に男として登場。物語自体は上さまを軸として回っている印象が強く、彼に関してはいいとしても(というかいなかったら話し回らない)、他のキャラに関して女子化を徹底しない意図がちょっとよくわからなかったな、と。いや、別にだからなんだというわけではないですが、ターゲットはどこなのだろうという。表紙や帯から受ける印象と、実際に中身を読んでのギャップに驚く読者も少なからずいそうで。そこはレーベルで判断しろということなのでしょうが、果たしてそれで判断できる人がどれだけいるのか。そこだけがちょいと釈然としないのでした。


【男性へのガイド】
→萌えではないのよ、萌えでは。そこだけはご注意。
【私的お薦め度:☆☆   】
→女の子はみんなカワイイですけど、上さまメインである以上登場シーンは少し抑えられてしまうわけで。ちょっとバランス悪かった気が。


作品DATA
■著者:みずなともみ
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムジャンボ(平成20年6月号~平成21年2月号)
■全1巻
■価格:619円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [オススメ] [4コマ] 2010.01.18
07197864.jpgテンヤ「先生はお兄ちゃん。」(1)


「うわーん ごめんねー まゆからもらったもの失くすなんて
お兄ちゃん失格だよね!」
「安心しろ普段から失格だ」



■3巻発売しました。
 桜木眞一、27歳。ごく普通の高校教師で、1-A担任。ごく普通に父と母に育てられ、ごく普通に妹に恋をし、ごく普通にシスコンになりました。何よりも妹のまゆのことを考え、常にアプローチは欠かさない。ただひたすらにまゆが好き。そんな兄に辟易しているのが、妹のまゆ。あろうことか兄が担任を受け持つ1ーAの生徒。こんな兄を持ってしまったがためか、かわいらしい見ために似合わず、口はちょっと悪い。そんな凸凹兄妹が繰り広げる、兄弟愛物語…もとい、シスコン兄と冷酷妹のドタバタコメディでございます。
 
 シスコンの兄と、それに迷惑している妹を描いた4コマです。ヒロインは、女子高生の桜木まゆ。高校生には見えない幼くかわいらしいルックスと、それに似合わない口の悪さを持ち合わせた彼女は、常々迷惑に思っている存在が。それが彼女の兄・桜木眞一。まゆの通う高校の教師で、しかもまゆのクラスの担任である彼は、なんと極度のシスコン兄貴なのです。机の上が妹の写真でいっぱいなのは当然、着ボイスも妹のものだし、授業で妹のことを語り出すこともしばしば。そして暴走する度に妹から鉄拳制裁を食らうのは、もはやお約束。それでも兄は、まゆが大好きなので、自重することはしません。そんなはた迷惑な兄と、幼い見ためながらもやけにローテンションな妹の、ドタバタな毎日を描いていきます。


先生はお兄ちゃん
何度拒まれてもめげない。それがお兄ちゃんクオリティ。


 ここまでの説明のみだと、兄と妹だけのワンパターンな4コマのように思われるかもしれませんが、実はそれを打破する非常にナイスなキャラクターが一人登場します。それが保健医の神奈月子。非常に大ざっぱな性格のも持ち主である彼女は、兄・眞一の元同級生で、しかも彼をパシリに使っていたという関係。「まゆ」というひとつの物差ししか持ち得ない兄・眞一を、普通の状態に持ってくることの出来る希有な存在で、単純に兄の切り替えを促し単調さを予防するだけでなく、何やら職場の男女みたいな関係も匂わせたりして、物語に別の味わいを付加してくれるのです。彼女がいることで、物語の面白さが断然増しているように、個人的には思います。
 
 妹のローテンションでやや口の悪いところは、「みなみけ」の千秋を思い出させます。あっちは小学生で、こっちは高校生ですけど。こういう性格になるには、何かしらの要因があると思うのですが、彼女の場合は明白すぎますね。どう考えても兄のせい。とはいえかわいいじゃないですか。10歳も歳が離れてると、やっぱり妹でもかわいく思えるものなんでしょうかね。表紙だけ見るときららレーベルでもよさそうですが、兄という強烈な存在が登場し、また家族というテーマを少なからず含んでいるために、まんがタイムってことなのでしょうか。その線引きは良くわかりませんが、とりあえずこの作品に関してはなんとなく納得できるのでした。


【男性へのガイド】
→芳文社4コマですのでもちろん男性ウェルカムウェルカム。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→兄妹のみでもそれなりに楽しそうですが、こちらの場合は+αがあるから余計に面白いです。楽しい4コマでございますね。


作品DATA
■著者:テンヤ
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムラブリー(2007年1月号~),まんがタイムジャンボ(2006年10月~)
■既刊3巻
■価格:各571円+税

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