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Tag [続刊レビュー] [4コマ] 2009.12.29
作品紹介はこちら→宮原るり「恋愛ラボ」
3巻レビュー→莉子のヘアスタイル集を作ってみたよ~ 《誰得続刊レビュー》 宮原るり「恋愛ラボ」3巻
関連作品→宮原るり「となりのネネコさん」宮原るり「みそララ」



1102820181.jpg宮原るり「恋愛ラボ」(4)


お前と…っ
ずっと親友でいたい…



■4巻発売です。
 リコ・マキ親友コンビ危機!?モテモテ女子という話がウソであることを、未だ打ち明けられずにいるリコ。加えて恋愛研究が、新聞同好会との協力によって本格始動する運びになり、ますます言いづらくなってしまう。いつか…いつか…そう躊躇している中、なんとマキがナギとヤンの通う塾に入ることにしたと聞く。あの塾に通われてしまったら、ウソがあっという間にバレる!!けれど言うタイミングが…。そしてついに…!?


~女の子同士の友情っていいよね~
 ドラマCDだれか私に買ってください。ということで、充実一途の4巻発売です。ついにウソがバレてしまう…!?という展開の4巻。進んでいなそうで、しっかり話が進んでいるあたり、さすがです。大きな動きは、ウソバレからの女同士の友情と男たちのカッコいいフォローに、恋愛ラボ本格始動フラグの二つでしょうか。恋愛研究に関しては、5巻以降展開するための布石にすぎないので、ハイライトはウソバレ展開か。しかし中学生とは思えないほどカッコよかったですよ、ナギ。そんでもってその後のヤンも。もう高校生設定で良いじゃないか!と言いたいところですが、それだとマキはもっとおりこうさんになって、あんなにも純粋にリコを信奉したりしないのかな、と思うとこの年齢設定は絶妙だなぁ、と。二人でワンワン泣くシーンには、思わず感動。いいよね、ああいう関係。男同士だと泣きあって抱き合うみたいな展開は、よほどのことがない限り良い画にならない気がするので(情けなさや悲しみ演出なら別だけど)。


~リコの髪型集~
 さて、前回のレビューが思いのほか好評だったので、4巻でもやってみました。リコのヘアスタイル集。今回はこんな感じでしたよー。ネーミングは私が勝手につけたので、合ってるかはわからないです。


riko髪型集完成



 ぱっと見8種類ですが、ちょんまげに関してはリボンかゴムかで分けたので、実質7種類。3巻と違いネタの髪型がなかったので、大体このパターンで確定かなぁという感じですかね。以前に比べると、ふたつ結びの位置が高くなった感じもあります。またあみこみが初登場。女の子って時折こういう髪型にしてきますが、よく一人でできるなぁといつも感心してしまいます。それとノーマルショート(セミロングか?)は、髪ゴムを先生にとられてしまった後での髪型。彼女はノーマルの状態で学校に来ることはないんですよね。オシャレ意識が見てとれます。そういえばリコはスカート丈も短いんですよね。今まであまり気にしたことなかったのですが、9ページの挿絵を見ると、その短さが際立っていることがわかります。そりゃ先生にもマークされるわな。

 5巻に向けてですが、ヤンとナギはどう絡んでくるのでしょうか。気になる所です。どっちがどっちなんだろうなぁ。それとヤンはもっと「らいか・デイズ」(→レビュー)の竹田くん化してほしい。今のままだとまだ毒気が多すぎるのよ!!


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Tag [4コマ] 2009.12.09
07194879.jpg森ゆきなつ「タマさん」(1)


わかったやろ?
アンタらが気づかないだけで
この世の中は不思議なモンでいっぱいなんやで



■耳が垂れてて丸々の体、しっぽは2本で関西弁を話す、ごくごく普通のどこにでもいる猫(自称)、タマさん。如月さん家のひとり娘で保育園児のふるるちゃんと、そのパパでイラストレーターの夕人、そして如月さん家に入り浸るお隣さんの女子高生・杏ちゃんと一緒に日々を過ごすタマさんの毎日は、平穏なようで実はとっても不思議でいっぱい。みんなの前に立ちふさがる、不思議生物たちに、タマさんたちはどう立ち向かう!?

 ネコ漫画…ではありません。猫っぽい不思議生物を軸に描く、なんとも不思議な日常の風景を描いた、色モノ4コマでございます。物語の主人公となるのは、タイトルにもなっている猫(?)のタマさん。しっぽが2本で関西弁をしゃべる彼ですが、飼い主である如月夕人にはそのことは内緒。不思議耐性が極端にないのです。その代わり、娘のふるるちゃんと、お隣りの杏ちゃんには秘密はナシ。いつもいっしょにつるんでは、次々現れる不思議生物たちと戯れます。


タマさん
いつどこに不思議生物があらわれるか分からない。油断は禁物。


 不思議な存在であるタマさん。どんな存在が一番近いのかと考えると、おそらくそれは神さま。しかし関西弁であるが故に、どうにもうさんくさい。そんな彼を中心に、メインキャラ数名で話を進めるのかと思いきや、さらにそこに単発キャラとして不思議生物たちを投入。不思議さはより一層強くなっていきます。そんな不思議現象に驚き慌てるレギュラー陣に、冷静に対処するタマさん、そして何事にも動じないふるるちゃん。この誰も遠慮せず、自分の動きたいように動いている感じが、独特の作風を作り出していて、ひとつの魅力に。絵的には萌絵に近いのかもしれませんが、一応ファミリー要素があるからということでこっちのレーベルなのかな。杏ちゃんかわいいですよね。
 
 タマさんのフォルムだけ見るならば、「夏目友人帳」(→レビュー)のニャンコ先生ですが、関西弁でより神的というところを見ると、むしろイメージとして近いのは、小説「夢をかなえるゾウ」のガネーシャだったりする。マイペースながらも、なんだかんだで良いこと言ったりやったりしているし。


【男性へのガイド】
→絵的に押す。ファミリー層がターゲットとは思えないものの、かといって萌えラインでもないという、扱いが難しい存在です。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→不思議生物で、自由に広げる4コマ。いわば何でもありの状態を、カオスで面白いと捉えるか、ちょっとまとまりがなさすぎるととらえるかの違い。全体的に可愛らしいです。


作品DATA
■著者:森ゆきなつ
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイム,まんがタイムオリジナル
■既刊3巻
■価格:各571円+税

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Tag [オススメ] [新作レビュー] [4コマ] 2009.11.12
07231559.jpg後藤羽矢子「コミカプ」(1)


チーちゃん…
これも気のせいかもしれないけど
でもマンガの神様って…
やっぱりいると思うんだ



■小さな頃から漫画家を目指しているういちゃん(女)。しかし漫画家デビューが決まったのは、お隣に住む幼なじみのチーちゃん(男)で、ういちゃんはそのアシスタントをつとめる毎日。みるみる売れっ子になっていくチーちゃんを見て、いつかは自分も漫画家になって追い抜かしてやる…!そしたらなんとデビュー決定!尊敬できるマンガの先輩であり、ライバルでもある彼との、微妙な関係の行く末は…!?

 隣に住む幼なじみの2人は漫画家さんで…という4コマ。ヒロインは少女漫画系の作品を描きたい女の子。幼い頃から隣に住む男の子・チーちゃんを巻き込み、マンガを描き続けていたところ、あろうことか彼のほうが先にデビューを飾ってしまいます。彼のフィールドは萌え系作品で、気がつけば連載3本の売れっ子に。そんな彼の元で、ういはアシスタントの仕事を続けています。いつか漫画家デビューして、彼を追い抜いてやる…!と決意はしてみる、やはり技術も見る目も彼のほうが上。またライバルというよりも、幼なじみとして、そして尊敬できるマンガの先輩として、接していくことになります。


コミカプ
今はまだ、ヒロインが支えられ見守られていることが多い。ここから彼の支えになり、絆を深めていく、その過程を温かく見守りたい。ういちゃん、いいキャラです、はい。


 その後彼女も目先を変え、4コマ漫画家としてデビュー。晴れて漫画家同士として向き合っていくことになります。ヒロイン視点から、新人ならではの悩みや壁を描き、一方の幼なじみでは、人気作家ならではの悩みや壁を描きます。また作者としてのタイプもまったく別で、ヒロインはとにかく不器用。それに対し幼なじみは計算しつつ描くというタイプで、そこでの差異を見るのがまた面白いです。
 
 「バクマン」や「初恋指南」(→レビュー)のような、漫画家の技術や処世術を描くような作品ではなく、あくまで「漫画家あるある」であるとか「漫画家心構え」みたいなところに落として、話を展開。大抵どちらか一方が壁にぶつかっているので、話が澱むということはありません。現時点では恋愛関係にはなく、また意識するにも至っていないのですが、果たして…。いや、このシチュエーションでなかったら困るんですけどね、でもまだそういう気配は殆どないので。とにかくしっかりとお話は進行しますよ。
 
 後半から新人まんが家のあるあるネタが頻発し、非常に面白いのですが、多分前半で描かれているアシスタントネタもけっこうあるある要素を含んでいるのではないかと思います。私はよく知らないので何とも言えないのですが、どうしたってネタの端々に作者さん自身の経験や、マンガ家仲間からの伝聞と思しきものを感じてしまうので。マニュアルにはしない、昇華させてギャグネタにもしない。さも漫画家の日常風景を4コマ用に味付けしました…というゆるいリアルさと、わざとらしいキャラ配置によるデフォルメ感が同居する、なんとも不思議な味わいのする作品になってます。


【男性へのガイド】
→萌え的な方向に走るのかと思いきや、TIMEレーベルなのでそういった感じは抑えられています。同時に女子視点で少女漫画的な匂いも。いやでも芳文社で、そもそも男性には向いているでしょうし、表現としては「女性にも読みやすいんじゃない?」が正しいのかな。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→面白いのですが、未だに掴みきれていない感も。2巻に向けての引きがスゴく良かったので、とりあえずおすすめしておこう。


作品DATA
■著者:後藤羽矢子
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムジャンボ(2008年4月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:619円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [4コマ] 2009.11.09
07173307.jpgおーはしるい「ふーare you!」(1)


右も左もわからない育児…「専門書を買ってみよう!」→放置
いろんな人に話を聞く→混乱する
   でわけのわからないまま日々をすごしていたら
なんだかすくすく育ってました



■3巻発売です。
 「…あれ?前の生理いつだったけ…?」結婚して10年…いつまでたってもできないので、子供はとっくに諦めていました。ところがどっこいできちゃったのです。子供ができた嬉しさと、子供を育てるという覚悟に戸惑いながらも、出産予定日は近づいてくる。そして生まれた、玉のような女の子・風香。両親が心配するほどにすくすく成長するふーちゃんと、家族たちの明るい毎日を、4コマであなたにお届けします!
 
 まんがタイムラブリーなどで「Welcome!つぼみ園」(→レビュー)を連載中のおーはしるい先生の、育児エッセイ4コマでございます。主人公は、結婚10年目にしてできた娘・ふーちゃん。このふーちゃん、どうにも大物というか、ドーンとしているというか…。鳴き声はとにかく大声で元気一杯。ミルクは標準以上に飲むし、よく眠る。気がつけば、ふくふくした大型幼児になっておりました。


ふーあーゆー
その貫禄ゆえに、ピンクを着ていても男の子に間違えられることしばしば。表紙とかね…。


 育児ものは安定して面白いですよね。「ママはテンパリスト」(→レビュー)みたいな勢いはありませんが、育児エッセイ漫画としてあるべき姿としては、こちらの方が正しいかと。さて、主人公はふーちゃんで、話も当然彼女を中心として回っていくわけですが、子供を持ったことを機に変化していく、周囲の方々の描写もまた面白いです。祖父祖母など、家族総出で育児に携わるというのは、笑いと共に安心感を与えてくれます。しかし旦那さん、「子供は特にいらない、そんなに好きじゃないし」という人だったのに、いざ子供ができると、子煩悩もいいとこの溺愛っぷりを発揮します。人間て面白いですね。やっぱり実際に子供が出来ると違うんだろうなぁ。
 
 またそれが功を奏したのか、最初に放った言葉は「ぱーぱ」。その後「ばーば」、飼い猫のポパイへ「ぽぺぁ」などと呼びかけるものの、肝心の「まーま」が出てこないという(笑)実際はどちらが先の場合が多いんでしょうね。作品内では上手いことネタにしてますが、実際は結構ショックだったんじゃないかと想像してみたり。


【男性へのガイド】
→女性ならではの育児あるあるも多少はあるものの、基本的には男女共に楽しめるような作品。ほのぼのしてます。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→これぞ標準的な育児エッセイ漫画。その分インパクトには欠けるものの、笑いのネタにする=子供の恥ずかしい部分を晒すということなので、このくらいの方が安心して読めるとも言えるかも。


作品DATA
■著者:おーはしるい
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムファミリー(2005年5月号~)
■既刊3巻
■価格:各571円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [4コマ] 2009.10.25
07172949.jpgD・キッサン「共鳴せよ!私立轟高校図書委員会」(1)


いきなり12人くらい弟できねーかなぁ……


■4巻発売です。完結。
 私立轟高校図書委員会   一見ごく普通の図書委員会に見えるかもしれないが、その実、多くの変人が集う変わり種の委員会なのである。年中半ソデ、自由奔放な委員長・福家亮平。仕事をしない委員長に変わり、実質的な権力を握るローテンションメガネの副委員長・三村真亜子。ツッコミ担当のゲーマー会計・湯島凛。生真面目さが売りのメガネポエマーの書記・青山憲司。容姿端麗成績優秀、そして重度の腐女子の黒田蝶子。一見気は優しくて力持ちながら、実は超おぼっちゃまの木下久仁也。そして普通の須藤慶文。その他にも、変人たちが盛りだくさん。今日も生徒たちの快適な読書ライフを実現すること…など微塵も考えず、どこかへ向かって突き進む!

 ZERO-SUMの人気4コマ作品です。今知ったのですが、ゼロサム史上初の4コマ作品だそうです。気がつけば4巻まで刊行。すっかり定番の作品になってました。
 舞台となるのはごく普通の私立高校・轟高校(通称ドロ高)の、普通でない図書委員会。何が普通でないかというと、そのメンバーたちがそろいも揃って変わり者ばかりなのです。自由奔放な委員長を筆頭に、それぞれが好きなことを好き放題やる。そんな感じ。一見するとまったく足並みが揃っていない彼らですが、実は結構いい塩梅に棲み分けが出来ていて、なんとも言えない不思議な絡みから笑いを引き起こしてくれます。


轟高校図書委員会
図書委員会のネタもしっかりカバー。抜かりないです。


 最初から大量にキャラが登場し、しかも目的もなくバラバラにネタを繰り広げるものだから、序盤は整っていない感がものすごいです。ただその適度なバラバラ感は、キャラが定着して以降、高い安定感を持ってネタの質維持に貢献。ギャグ色の強い作品なのに、読み進めて飽きてきちゃった…ってことがあまりない、希有な作品となっています。こういう作品は、一回定着すると強いです。かれこれ5年程連載を続けているのが、その何よりの証拠。
 
 個人的に一番好きなのが、成績優秀・スポーツ万能・美人で人当たりも良い…だけど重度の腐女子という黒田蝶子。クラスメイトで妄想し、「だってあたし、ホモ大好きだもん!!」と屈託のない笑顔で話す彼女が、この変人揃いの図書委員会のなかでもひと際輝いて見えるのです。「いきなり12人くらい弟できねーかなぁ……」とか、発想がすばらしいですよね。そして彼女がそこまで輝けるのも、暴走する彼女をつっこんだりあきれたりしてくれる周囲のキャラがいるから。特に副委員長・三村真亜子とのコンビは必見ですよ、はい。というか、全体的に女子キャラの方が生き生きしている印象があります。いや、青山あたりも好きだけど、でも女子キャラの面白さは、自らの恥ずかしさをそのままさらけ出して笑いに変換しているような、そんな捨て身感とリアルさが漂っているんですよね。委員長や久仁也あたりは、完全に物語用に作られたキャラという感じがするというか、リアルさがないというか…。


【男性へのガイド】
→男性もこれはイケルはず。基本的にギャグは読みやすいですし、これは男女比も丁度良いですし。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→序盤の壁を乗り越えられるかだと思うのですが、思いのほかその壁は高いように思えるのです。まずは1巻をガッツリ読んでから、それから決めていただければ…。


作品DATA
■著者:D.キッサン
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:ZERO-SUM(平成17年9月号~連載中)
■全4巻
■価格:552円+税

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
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BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
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かみのすまうところ。
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レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。