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Tag [新作レビュー] [オススメ] [BL] 2010.04.26
1102894493.jpg館野とお子「変わる世界」


だけど俺は恋すると同時に
失恋してしまったのだ



■剣道部の百瀬は、先輩である皆川に憧れを持っていた。なんとなく目で追ってしまう皆川の周りで、ただ一人だけ纏う雰囲気の異なる存在がいた。時折不機嫌になる皆川の、その感情の揺れの原因を作っているのは、恐らくこの池田という男だ。そんなある日、百瀬は図書館で池田とはち合わせる。どうにも池田のことが気に食わない百瀬は、足早に立ち去ろうとするも、なぜか呼び止められ「お前の気持ちを知っている」と、池田に皆川と付き合っている事実を見せつけられる。百瀬⇔皆川を起点に、かわるがわる登場する連立方程式の恋模様…

 館野とお子先生のBL作品でございますよ。オススメされた作品のレビューが溜まっているというのに、思わずジャケ買いした新作のレビューをするとかほんと腐ってますよね、私。ということで、「変わる世界」のご紹介です。舞台となるのはとある高校。剣道部の先輩と後輩、そしてその先輩と付き合う友人。そんな二人の情事を目撃し、こちらに興味を持ってしまう同級生。それから生徒との距離感に悩む教師。剣道部の先輩・皆川と、その後輩・百瀬を起点に、様々な青春の恋模様を描き出す学園ストーリーとなっています。


変わる世界
健気な後輩は無条件でかわいいです。静かに流れる物語でも決して単調に薄味にならないのは、絶妙な間の取り方と、こういうアツいキャラがいるから。必要以上のことは描かない、そのスマートさが素敵。でも描いてるキャラは全然スマートじゃないって言うね。


 女性はほぼ登場しません。男子校というワケでもないのに、メインキャラは男のみ。そこに剣道部ということで、結構暑苦しそうなイメージが湧いてきていたのですが、全然そういった汗臭さは感じさせません。むしろ話の描き方から、ドライな印象すら受けました。一応1話1エロという感じなのですが、局部描写がないぶんこれといった嫌悪感もなく読み進められましたし、個人的にはかなり好印象。表紙から受けた感覚は間違いじゃなかったんや!
 
 白ベースで、台詞回しも必要最低限。ごみごみしておらずスッキリ飄々とした話運びが、読んでいて気持ち良かったです。だからといってキャラまでもが淡白になっているなんてことはなく、そこはしっかりと主張。この年齢独特の、変なところ真面目で、基本的にはバカっていう性質が、よく描かれているなと思いました。己のしていることに対し、常に問いかけを用意していたり、わけの分からないところで葛藤をしていたり、そして共通しているのは、なんだかんだでみんなピュア!悩ましいその姿が、ほんとに青春やなぁ(しみじみ)と。トキメくのではなく、どちらかというと微笑ましく見守り、結果ほのぼのという、そんな素敵な一冊でした。


【男性へのガイド】
→BLでエロありですが、こういう淡々とした雰囲気が好きな人もいるはず。BLだと割り切って読めば、結構いけるんじゃないかと思うんですけどね。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→たぶんこの先生の作風が私にあっていたのかな、と。他の作品も読んでみたくなりましたね。こういう雰囲気の作品は好きです。


作品DATA
■著者:館野とお子
■出版社:フロンティアワークス
■レーベル:ダリアコミックス
■掲載誌:Daria(2009年6月号~2010年4月号)
■全1巻
■価格:600円+税


■購入する→Amazonbk1

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Tag [BL] 2010.04.12
07147969.jpgトジツキハジメ「白猫」


多分ね
好かれたきゃあ
奉仕の心で待つことです



■ゴーインに触ってはいつも逃げられる。でも、気にせず放っておくと、いつの間にか側にいる。親切な少年がいるものだと思ったら、その正体は介抱泥棒。そんな少年が、勤め先の動物病院に猫を抱えてやってきた。警戒心強く、扱いに困るその少年はまるで子猫。さてさて、どう接したらいいものやら…

 トジツキハジメ先生のBL作品。ぜんぶ読み切りで6編が収録されています。ちょいと手に入れましたので、ご紹介を。発売されたのは2005年ということで、およそ5年前の作品になります。トジツキハジメ先生というと、去年発売された一般向け作品である「俺と彼女と先生の話」(→レビュー)がツボで、その話の雰囲気から勝手に「あんまりエロっぽいのは描かないのかな」なんて勝手に想像していたのですが、全然そんなことはありませんでした。全ての作品にガッツリエロシーンが挟まれ、それこそ「メインだ!」といわんばかりに見せつけてきます。


白猫
フラグを気にしてみたり。この年頃の男の子は、見ためとは裏腹に繊細。おまじないや願掛けを、イヤと言うほど気にします。


 今までエロシーン多めの作品は意識的に避けてきたのですが、意外や意外、余裕で受け入れることができました。というか、むしろイイ!(笑)特に、頼りなかった幼なじみが、数年ぶりに再会したらヤンチャに逞しくなっていたという「SweetDays」や、道端で偶然出会ったことがきっかけで話をし始めた同じ学校の二人を描いた「エンドレスエンド」などは、ストーリーから何までドンピシャ。ストーリーや設定が図抜けて良いというわけではないのですが、主人公の心情がモノローグや吹き出しによって丁寧に説明するように描かれるので、男である私的に入りやすかったというのがあるのかもしれません。まぁたぶんトジツキハジメ先生だったら大抵合うんじゃないかって気はしているのですが。
 
 学校を舞台にした青春モノはもちろん、主人公がたとえ社会人であっても、相手は基本的に少年。高校生ぐらいで、若さと幼さが入り交じる独特の年頃。素直になれずに暴走してしまったりするその様子が、何とも微笑ましい。いわゆる「受け」側の少年たちが魅力的なのだと思いますが、こういう感想で合ってるんですかね?知らんけど、私はそう思ったのよ。あー、こういうの好きなのかもしれません。他の作品も発掘してみたいなと思った今日この頃。


【男性へのガイド】
→ガッツリエロシーンがございますですよ。これはどうなんだろうか。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→個人的にはとっても気に入ったのですが、オススメとなるとどうなんでしょう。かわいらしい少年(ショタとは違う)が好きなのでしたら、一読の価値ありかと。


作品DATA
■著者:トジツキハジメ
■出版社:海王社
■レーベル:GUSH COMICS
■掲載誌:Chips!
■全1巻
■価格:581円+税


■購入する→Amazon

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Tag [BL] 2010.02.28
sevendays.jpg宝井理人/橘紅緒「セブンデイズ」MONDAY→THURSDAY


全部がゼロになってしまうわけじゃないんだから
また少しずつ近付けるように
努力すればいいんだって



■高校3年の篠弓弦は、月曜日の朝、弓道部の後輩である芹生冬至と出会う。学年問わず女生徒に大人気の芹生は、月曜日に一番最初に告白してきた相手と必ずつき合うという変わった習慣(?)の持ち主。そして一週間きっかりで、その相手と別れる。その話を額面通りに受け取れば、とんでもない女たらしの身勝手な男だが、不思議と彼を悪く言う噂は聞かない。このとき弓弦は、ちょっとした好奇心から軽い気持ちでこんな言葉を放つ「俺とつき合ってよ、芹生」。斯くして一週間限定でつき合うことになった二人だが…?

 ご紹介を受けましたBL作品。軽い気持ちで放った言葉がきっかけで、一週間限定でつき合うことになった高校生のお話。主人公の篠弓弦は、弓道部の3年生。端正な顔立ちで女子たちからの人気もあついのですが、その見ためとは裏腹に大雑把でデリカシーのないところが玉にきず。実際に告白されてつき合っても、「イメージと違った」といつもすぐにフラレてしまうのでした。そんな彼の部活の後輩で、学校でもひと際人気を集めるのが、2年生の芹生冬至。甘いマスクはもちろんのこと、人当たりの良さと相手に合わせる誠実さを持ち合わせている彼は、月曜日に最初に告白してきた相手と付き合い、きっちり一週間経ってから別れるという不思議な習慣(?)を持っています。噂には聞くけれど、実像はあまり知らない。そんな芹生と、月曜日にばったり出くわした弓弦は、興味本位で「つき合ってよ」と言います。冗談として流されるだろう…なんて考えていたものの、どうやら芹生は本気らしく、本当につき合うことに。こうなったら仕方ない、本気で楽しんでみるかと、弓弦は一週間限定の恋人を楽しむことにしたのでした。


セブンデイズ
最初は冬至に振り回されていた感のある弓弦でしたが、開き直って楽しむことにしてからは、むしろ主導権を握る。この二人の危うい力関係ももた、見所か。


 改めてあらすじを書くと結構すごいですが、ストーリー自体は全く無理がないものになっています。どちらもはじめは冗談まじり。しかし初め抱いていた印象とは全く別の、本来の表情・性格に、それぞれに抱える悩みや葛藤が絡まり、お互いだんだんと本気になっていきます。主人公の弓弦は、外見と中身のギャップに、そして芹生は、記憶に残り続けるある女性の影に、それぞれ苦しみ前へ進むのを阻んでいたのですが、それを飛び越えさせてくれるのが、たまたま彼だったという。こういった必然性を持たせると、男でもわりかしすんなりと読んでいくことが出来るので、ありがたいですね。BLってたまに完全に開き直って男×男を描く作品ってあるじゃないですか、そういうのやっぱり苦手です。
 
 関係性を描き出しはもちろん、その設定が秀逸。「月曜日に最初に告白してきた相手とつき合う」そして「一週間限定」というルールがあるため、付き合いに至るまでのややこしいやりとりを取払い、さらに期間限定にすることによって物語を濃縮することに成功しています。たった一週間でこれだけ色々動きがあるなんて、さすがにないだろ…とは思うものの、その制約がなかったらここまで感情は走らなかっただろうし、ラストはこのルールがあるからこそのキレイなまとめを見せてくれるので、すべてチャラ。この結末はなかなか爽やかで、美しい。
  
 エロシーンはなしで、あってもキスまで。ただちょっとキレイすぎるかな。どちらのキャラも、男視点でもキレイすぎる男なんで、男じゃない別の生き物ように見えたり。いや、見えるんじゃない。弓弦も芹生も、男じゃない、男に似た何か別の生き物だ!別にそんなのはどうでもいいのですが、本当に夢物語なのだなぁ、と改めて思った次第。 
 

【男性へのガイド】
→BL基準ではもちろん読みやすい部類だとは思いますが、敢えてこれを選ぶというインセンティブはさほどないような。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→しっかりとまとまっていて、キレイな作品。しかし私には少し慌ただしくキレイすぎた感も。男性がこれを楽しむには、もう少し達観してこの二人のキャラを受け入れられるだけの余裕がないとあかんのかもしれないです。


作品DATA
■著者:宝井理人/橘紅緒
■出版社:大洋図書
■レーベル:ミリオンコミックス
■掲載誌:CRAFT(2006年No.28~2009年No.39)
■全2巻
■価格:各600円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [BL] 2010.02.21
日曜に生まれた子供紺野キタ「日曜日に生まれた子供」


どうしてあなたはいつも
いつも
私が自分でも気づけずにいる
一番聞きたいと願っている言葉を
いともかんたんに
何でもないことのように



■ダーラム家の主・ローランドのもとにやってきたのは、父の後を継いだ若き執事エリック。父・ウォルターの雰囲気を色濃く受け継いだエリックに、ローランドは驚き、そして徐々に主人と執事を超えた感情を抱くように。一方のエリックもまた、ローランドのことを意識。しかし強くなっていく思いとは裏腹に、二人の間には、いつまでも厳然たる身分の差異が存在していた…。階上と階下、主と執事の切なくも優しい恋を、名手・紺野キタがおくります。

 紺野キタ先生の作品集でございます。もちろんBL…なんですが、1話だけ百合作品が。収録の都合上こうなったらしいのですが、なんか真逆な感じが面白いですね(笑)さて、ということで、収録作をそれぞれ少しずつご紹介していきましょう。

 主と執事の身分を超えた愛を描いた表題作「日曜日に生まれた子供」。厳しい自然の森の中で、番人や精霊と共に暮らす人間の少年を描いたファンタジー作品「森の郵便配達人」。かつての教え子と教師が抱える秘密を描いた「先生のとなり」。とある寮制度の学園を舞台に繰り広げられる、少女達の密やかな時間を綴った「いずこともなく」,「昼下がりの…」。どれも性別・年齢を越えた愛情、優しい関係を淡く描き出し、非常に雰囲気の良い作品に仕上がっています。


日曜日に生まれた子供
主人のローランドは身分の差をさほど気にしていないが、執事のエリックはその身分差を強く意識。その律儀さが余計に素敵に映る。


 全体的に年齢層高めです。「日曜に生まれた子供」は、中年の主人と青年執事のカップリングで、「森の郵便配達人」は番人と呼ばれる老い先短いお爺さんと少年の関係を描いたものですし、「先生のとなり」に関しては、定年を迎えた男と壮年期に差し掛かろうとしている男のカップリングと、むちゃくちゃ渋い。唯一平均年齢が低いのが、百合作品の「いずこともなく」と「昼下がりの…」。BLと百合という対比だけでなく、年齢に関しても差を見せつけるというのは、BL期待で購入した人にとっては若干腰砕けなのかもしれませんが、別にBLにこだわらない私のような読者にとっては、むしろ色々な作品が楽しめてラッキーだったり。
 
 前回「SALVA ME」をレビューした際は、子供をモチーフにすることで、色恋を越えた普遍的な愛情をもって作品を楽しむことが出来ると書いたのですが、この作品は一見すると真逆。メインで描かれるのは初老の男性であるためです。しかしこちらはこちらでまた、色恋を越えた感情をふんだんに織り交ぜて物語が展開。年老いているからこその心の余裕といいますか、すべてを受け入れるような懐の広さが、不思議な安心感を生み出してくれています。
 
 またどの作品にも、登場人物の少年時代の過去回想がカットイン。「SALVA ME」と同様に子供を登場させるわけですが、その働きは若干異なるように思います。こちらの場合は回想という形を用いることによって、普遍的な感情を呼び起こすのではなく、その関係に必然性を与えるという役割が強い印象。だからこそ男の私でも拒絶反応を示さず、その関係性にいつも納得しながら読み進めることができるのではないかな、と。なんて「先生のとなり」なんかは枯れセンとは一線を画するような、欲望丸出しのギラギラ感が溢れ出ているわけですが。枯れセンにもまたいろいろな種類があるものなのですね。私は歳相応に枯れ、余裕と物悲しさが同居しているようなオッサンが好きです。


【男性へのガイド】
→オッサンがいやならダメでしょうか。百合ものだったらOKのような気がしますが。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→個人的には「SALVA ME」の方が好き。こちらも面白いのですが、読み手は絞られるような気がするのです。


■作者他作品レビュー
*新作レビュー*紺野キタ「つづきはまた明日」


作品DATA
■著者:紺野キタ
■出版社:大洋図書
■レーベル:ミリオンコミックス
■掲載誌:CRAFT,百合姫
■全1巻
■価格:600円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [オススメ] [BL] 2010.02.14
32109317.jpg中村春菊「Hybrid Child」


私がこの世からいなくなった後
どのくらいたてば
貴方は
私を忘れられるのだろうか



■機械でもなく、人間でもない、持ち主の愛情度合いを反映して成長する、それはある意味鏡。「ハイブリッド・チャイルド」と呼ばれるそれは、はじめ子供の姿をしていて、持ち主が愛情を注ぐことによって如何様にも自分好みに育つシロモノである。小太郎の家にいる葉月も、小太郎が8歳の時に拾ってきたハイブリッド・チャイルド。いつも小太郎の側にいて、厳しくも小太郎の面倒を見てくれる葉月だったが、ある日突然体に異常をきたして…!?

 アニメ化もされた「純情ロマンチカ」で有名な中村春菊先生のBL作品。こちらの評価も高いので、10巻以上出ていて敷居の高いイメージのある「純ロマ」に手を出す前に、こちらを読んでみました。ジャンルとしては歴史物のファンタジーになるんですかね?けれども戦闘シーンとかが出てくるわけではなく、人間ドラマがメイン。人間でもなく物でもない、感情を持ち成長もする人工物・ハイブリッド・チャイルド(HC)を巡る3つのストーリーが、江戸・明治あたりを思わせる時代を舞台に展開されます。はじまりは、名家の跡取り息子・小太郎と、かつて小太郎が拾ってきたHCで、今は執事として彼のお世話をしている葉月がメインのお話。ずっと一緒に育ち、喧嘩をしつつも強い絆で結ばれた二人でしたが、ある日突然葉月の体に異常が。突然の出来事に驚いた小太郎は、慌てて開発者である黒田という男の元に葉月を運び込むのですが、そこで思いもよらぬ宣告をされることに…というストーリー。


Hybrid child
第2話。主人のために、自分のために、はやく大きくなりたいHCが主人公。まぁとにかく皆健気で切ないです。


 2話目はまた別のHCと持ち主がメイン。こちらも持ち主とHCの強い絆を描いた作品となっており、非常に感動的な要素が詰まった内容となっております。そして最後は、1話目と2話目に繋がる、HCの開発者のストーリー。彼がどうしてHCを作ったのか、そこに込められた思いが描かれます。HCは、持ち主の愛情がいっぱいに注がれた存在ですから、自然とその間にある絆というのは強くなっていきます。加えて人間同士でないと言う、なかなか乗り越えられない壁というのも感じさせるため、感動を作り出す仕掛けは設定の時点で満載。これは設定の時点で勝ち。これを悲劇・喜劇的に表現するのなら「観用少女」(→レビュー)のような形で、感動的に進めるのならこういった形といった感じなのでしょうか。
 
 徹底してお涙ちょうだいな感動路線を進むのですが、人によっては「ちょっとベタすぎない?」と思ってしまうかも。ただ展開としては非常にキレイですし、妙に捻っていないので、読んだ後の清々しさはなかなかのものがあります。また直接的な表現はなくとも、絵や雰囲気でBLっぽさはビンビンに感じさせてくるのですが、このベタっぽい展開も相まって、読みやすさは抜群。今まで読んだどのBL作品よりも、すらすらとページをめくっていくことができたように思います。これは単に大ゴマ使いってだけでなく、読ませ方が抜群に上手いからこそという感じが。もし「純ロマ」もこんな感じだとしたら、それだけ人気が出て多くの人に受け入れられているというのも納得です。また読切り作品集かと思って読んでいたので、最後に作品としてぴしっと形になったのには正直感動。そんなにBL作品読んでませんが、この組み立てはさすがだと思いました。

 エロシーンは少なめ。キスが数回にペッティング的な描写が幾度かという感じ。そこに限らず表現がいちいちBLっぽさを感じさせるのですが、多分勢いに乗って読み進めているので、その衝撃を真正面から受けることはそんなにないはず。


【男性へのガイド】
→かなり読みやすい部類に入るのではないでしょうか(あくまでBL基準ですが)。キスとかまでなら大丈夫、クサい話も大丈夫という方は。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→スピーディーに読み終わり。最初はちょっとクサすぎないかと思っていたのですが、最後にバシッとまとめてきたところは否応無しに感動。評価の高さ、作者さんの人気っぷりも納得の作品でした。満足満足。


作品DATA
■著者:中村春菊
■出版社:角川書店
■レーベル:あすかコミックスCL‐DX
■掲載誌:BE・BOY GOLD('03年8月号,'04年6月号~10月号)
■全1巻
■価格:571円+税

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