作品紹介→藤沢志月「キミのとなりで青春中。」
3巻レビュー→ベツコミを知るならこの作品がうってつけだと思います《続刊レビュー》「キミのとなりで青春中。」3巻
4巻レビュー→スタンダードスタイルゆえの安定感:藤沢志月「キミのとなりで青春中。」4巻
5巻レビュー→生々しいモテ方には思わず納得:藤沢志月「キミのとなりで青春中。」5巻
6巻レビュー→自分の気持ちに素直になるための勇気を…:藤沢志月「君のとなりで青春中。」6巻
藤沢志月「キミのとなりで青春中。」(8)
正直になりなさい
正直に
■8巻発売、完結しました。
GWの旅行先で、慶太と今まで以上にいい雰囲気になれた美羽。そんな時、アメリカ旅行中の慶太の母・加世子が倒れたという知らせが入り、急遽ロスに向かった慶太と美羽。幸い加世子は無事だったけれど、慶太がUCLAに進学を希望していると知った美羽は…!?
~完結しました~
8巻にて完結と相成りました。非常にベツコミらしい作品であると同時に、取り立ててこれといった特長もない作品でもあったという印象の本作が、まさか8巻まで続くとは思ってもみませんでした。とはいえ地味ながら抜群の安定感を誇ったのもまた事実。その結果がこの8巻という巻数。8巻帯には累計100万部の文字。ぱっと聞くと大したことないような感じに映るかもしれませんが、少女漫画で単巻あたり10万部超えていると考えると、やっぱりなかなかすごいんだな、と思わされます。
~前とは違う、二度目の別れ~
今回ついに完結を迎えたわけですが、その障壁となったのは家族関係やライバルの登場でも何でもなく、自分達それぞれが思い描く未来への想いでした。アメリカへ行ったことで改めて明らかになった、慶太の想い。それは、姿を見たことのない母親と、自分の幼少時代に思い描いた夢への想い。希望進路はUCLA。その夢を優先すれば、美羽とはまたしても長い間離ればなれになってしまいます。ためらわせるのは、美羽の存在。そしてそんな彼の背中を押したのもまた、美羽でした。

ずっと目標にしてきたことを諦めないで
結局彼女の言葉に励まされ、慶太はUCLA行きを決意します。慶太とはこれで2度目の別れ。けれども前の別れとは、全然中身の違う別れでした。それまでの美羽にとって、去る背中というのはとてもとても辛い姿として記憶されていました。突然家を出ていった母親。そして、想いを伝えたままにいなくなった慶太。この二人の記憶があったからです。どちらも心の準備もないままに、突然のお別れ。後悔と疑問が、彼女の心を支配しました。突然の別れは、いわば彼女のトラウマとしてこの物語では終始描かれてきました。
慶太とはその後再会し、恋人にまでなりましたが、それでも、だからこそ別れは辛いし不安。慶太と恋人として築き上げて来た時間は、あくまで隣にいる時だけ。離ればなれの状況は、全くの未知数です。それでもなお慶太の背中を押して遠距離恋愛を覚悟したのは、想いの強さゆえでしょうか。恋人のことを信じて正直に…一見それのみ描かれているシーンのように映るのですが、同時に彼女が過去の傷を乗り越える瞬間でもあったのかな、とちょっと思ったり。
~結婚ラストは割と簡単に予想できました(笑)~
さて、少女漫画ですから当然ハッピーエンドなわけですが、重要なのがラストをどういう落としどころに持って行くのかってところですよ。例えば想いが通じあってキスシーンで終わるとか、本作の場合であれば、卒業式エンドであるとか、ちょっと気どって空港での見送りエンドとかも可能性としてあるはずです。様々なあるとはいえ、大体幾つかの定型的なパターンがあって、その中でもおおまかに「二人の未来はご想像に御任せします」か「二人は結局こうなります!」っていう二パターンに分かれるんですよね。で、後者で多いのが結婚してるっていうもの。最近あんまり見なくなったのですが、割とこのタイプ好きでして。で、本作もそれにあたるのですが、正直そのオチが帯の言葉を見ただけで容易に想像できたという(笑)いや、別に不満とかではないのですが、割とそういうの楽しみにしてる人とかいると思うんですよ。その楽しみを一つ奪われて、嬉しくもちょっとだけガッカリした最後なのでした。
■購入する→Amazon
3巻レビュー→ベツコミを知るならこの作品がうってつけだと思います《続刊レビュー》「キミのとなりで青春中。」3巻
4巻レビュー→スタンダードスタイルゆえの安定感:藤沢志月「キミのとなりで青春中。」4巻
5巻レビュー→生々しいモテ方には思わず納得:藤沢志月「キミのとなりで青春中。」5巻
6巻レビュー→自分の気持ちに素直になるための勇気を…:藤沢志月「君のとなりで青春中。」6巻

正直になりなさい
正直に
■8巻発売、完結しました。
GWの旅行先で、慶太と今まで以上にいい雰囲気になれた美羽。そんな時、アメリカ旅行中の慶太の母・加世子が倒れたという知らせが入り、急遽ロスに向かった慶太と美羽。幸い加世子は無事だったけれど、慶太がUCLAに進学を希望していると知った美羽は…!?
~完結しました~
8巻にて完結と相成りました。非常にベツコミらしい作品であると同時に、取り立ててこれといった特長もない作品でもあったという印象の本作が、まさか8巻まで続くとは思ってもみませんでした。とはいえ地味ながら抜群の安定感を誇ったのもまた事実。その結果がこの8巻という巻数。8巻帯には累計100万部の文字。ぱっと聞くと大したことないような感じに映るかもしれませんが、少女漫画で単巻あたり10万部超えていると考えると、やっぱりなかなかすごいんだな、と思わされます。
~前とは違う、二度目の別れ~
今回ついに完結を迎えたわけですが、その障壁となったのは家族関係やライバルの登場でも何でもなく、自分達それぞれが思い描く未来への想いでした。アメリカへ行ったことで改めて明らかになった、慶太の想い。それは、姿を見たことのない母親と、自分の幼少時代に思い描いた夢への想い。希望進路はUCLA。その夢を優先すれば、美羽とはまたしても長い間離ればなれになってしまいます。ためらわせるのは、美羽の存在。そしてそんな彼の背中を押したのもまた、美羽でした。

ずっと目標にしてきたことを諦めないで
結局彼女の言葉に励まされ、慶太はUCLA行きを決意します。慶太とはこれで2度目の別れ。けれども前の別れとは、全然中身の違う別れでした。それまでの美羽にとって、去る背中というのはとてもとても辛い姿として記憶されていました。突然家を出ていった母親。そして、想いを伝えたままにいなくなった慶太。この二人の記憶があったからです。どちらも心の準備もないままに、突然のお別れ。後悔と疑問が、彼女の心を支配しました。突然の別れは、いわば彼女のトラウマとしてこの物語では終始描かれてきました。
慶太とはその後再会し、恋人にまでなりましたが、それでも、だからこそ別れは辛いし不安。慶太と恋人として築き上げて来た時間は、あくまで隣にいる時だけ。離ればなれの状況は、全くの未知数です。それでもなお慶太の背中を押して遠距離恋愛を覚悟したのは、想いの強さゆえでしょうか。恋人のことを信じて正直に…一見それのみ描かれているシーンのように映るのですが、同時に彼女が過去の傷を乗り越える瞬間でもあったのかな、とちょっと思ったり。
~結婚ラストは割と簡単に予想できました(笑)~
さて、少女漫画ですから当然ハッピーエンドなわけですが、重要なのがラストをどういう落としどころに持って行くのかってところですよ。例えば想いが通じあってキスシーンで終わるとか、本作の場合であれば、卒業式エンドであるとか、ちょっと気どって空港での見送りエンドとかも可能性としてあるはずです。様々なあるとはいえ、大体幾つかの定型的なパターンがあって、その中でもおおまかに「二人の未来はご想像に御任せします」か「二人は結局こうなります!」っていう二パターンに分かれるんですよね。で、後者で多いのが結婚してるっていうもの。最近あんまり見なくなったのですが、割とこのタイプ好きでして。で、本作もそれにあたるのですが、正直そのオチが帯の言葉を見ただけで容易に想像できたという(笑)いや、別に不満とかではないのですが、割とそういうの楽しみにしてる人とかいると思うんですよ。その楽しみを一つ奪われて、嬉しくもちょっとだけガッカリした最後なのでした。
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