
絶っ対
あの人の研究室希望する!
決めた!
■【赤く灼けた金属】に胸ときめく工学系女子・野瀬ちなつ。そんな彼女が大学で所属することになった研究室には、個性的な男子がいっぱい!ひなつの大学生活は、一体どうなるの?
「カカフカカ」(→レビュー)などを描かれている、石田拓実先生のCookie連載作になります。金属萌えの工学系女子ということで、ここ数年のトレンドである理系的要素を落とし込んだ大学生活グラフィティでございます。ではではあらすじをご紹介しましょう。ヒロインは表紙に描かれている女の子。幼いころから熱せられ赤くなった金属に言いようのない興奮を覚え、「鋳造がやりたい!」と工学部に進学したという経歴の持ち主。とにかく金属第一の彼女ですが、大学生活に期待するものはそれだけではありません。工学部は女子が少ないからモテるかも…そんな期待も少しばかり持って入学してはみたものの、金属への想いに勝る男子は現れず。そんな彼女に転機が訪れたのは、3年次の研究室への所属でした。たまたま訪れた先で鋳込みをしていた大学院生の先輩に胸ときめき(本当は鋳込みに胸ときめいた)、そのまま希望してその研究室所属に。金属も恋も一気に順風満帆に!?と思ったのも束の間、先輩含めてゼミメンバーは個性的でなかなか手ごわくて…というストーリー。

鋳造+あこがれの先輩 でこんな感じ。こういう表情を見せるものの、ヒロインはかなりの奥手でかつ鈍感ということもあり、なかなか事はスムーズに進みません。
研究室で繰り広げられる青春模様って大好物なんですよね。最近だと「海とドリトル」(→レビュー)や「長閑の庭」(→レビュー)など、もはや定番になりつつある研究室(ラボ)プラス的な物語。没頭すべき対象があること、そして閉鎖的な空間に、ある程度自由な時間、話題には事欠かず、恋も芽生えやすいというものです。実際私も経験あるので、色々と思い出すことも…。
さて本作は工学部の研究室ということで、やはり男子比率が高めでございます。ヒロインは金属萌えとは言いつつも、学術的知識に長けているワケではないため、優等生かというとそうではありません。そのため先輩や同級生に助けられつつ、研究室での仕事をこなすという日々。これが一つ、交流の起点となるわけです。ゼミの主要人物は3名いますので、それぞれ少しずつ紹介を。
まずは研究室所属のきっかけとなった、大学院生の先輩である守屋さん。無表情で心情が読みづらいところがある人物ですが、とにかくまじめで優しい性格が行動からにじみ出ているような男。研究大好きで、そのほかのことには割と無頓着です。そしてそんな彼と同学年で、アパートも隣室という仲良しさんが、白長谷先輩。彼は守屋とは対照的に、チャラめの風貌で察しの良いタイプ。研究室では指導担当として大学院の先輩が付くのですが、ヒロインのひなつの指導担当は彼が務めます。そして最後は、同い年の男の子・後岡。非常に飄々とした性格の彼、なぜか女装してます。しかもかなり可愛いという。言葉遣いや仕草は男性そのもので、さらに研究室に所属する前は普通に男の子のかっこうをしていたという謎っぷり。人付き合いが苦手で、異性はやはりハードルが高いというひよりにとっては、一番頼りやすいゼミメンバーです。

女装男子・後岡くん。一人称は“俺”であることからわかる通り、格好こそ女の子ですが、中身や振る舞いは完全に男です。その飄々としたキャラから、こんな感じですけど普通にゼミにはなじんでいるという、不思議だけど魅力的なキャラです。
鋳型に関する解説はあるものの、メインテーマとしてがっつり扱う姿勢ではなく、あくまでコミュニティとして研究室を描きます。そのため主軸となるのは恋愛だと思うのですが、ヒロインがかなり奥手で人間関係の造成に消極的であるため、お互いの矢印がうっすらと見えだしたというレベルに留まっています。ヒロインは最後までこんな感じな気がするので、周りのメンバーが活発に動いて物語が転がっていくのではないでしょうか。現時点で一番の期待株は、女装男子の後岡くん。いや、この回りくどく健気な独特のアプローチ素晴らしいですわ。応援してあげたくなる子ですよ。
独特の空気を醸し出すマイペース男子たちに翻弄されつつめぐる恋愛模様ということで、石田拓実的な要素が多分に含まれた物語だと思います。「カカフカカ」を読んで良かったと思った方は、こちらもまず間違いなくイケます。また石田先生というと、ちょっと生々しいエロというイメージがあるのですが、本作はまだそういったエッセンスは匂わせず。ただ大学生ですし、ゆくゆく出てくるんじゃないかと期待してみます。1巻時点で盛り上がっているかというと、決してそうではないのですが、準備状況から2巻以降面白くなる予感がかなりしており、早くも発売が待ち遠しいという状況。
【男性へのガイド】
→理系大学の研究室ということで、とっつきやすいフィールドではあると思います。恋愛要素がどういう形でどれだけ投入されてくるのか現時点では判然としないので難しいところですが、このある程度距離を置きつつの関係形成は、男性が読んでいても胸焼けはあまりしないんじゃないでしょうか。
【感想まとめ】
→理系的ワンテーマ、研究室、女装男子…好きなやつですわ、ツボです、ツボ。気になった方は、とりあえず試し読みを…
作品DATA
■著者:石田拓実
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックスCookie
■掲載誌:Cookie
■既刊1巻
■価格:419円+税
■試し読み:第1話
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