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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.01.31
1106481733.jpg石田拓実「トライボロジー」(1)



絶っ対
あの人の研究室希望する!
決めた!




■【赤く灼けた金属】に胸ときめく工学系女子・野瀬ちなつ。そんな彼女が大学で所属することになった研究室には、個性的な男子がいっぱい!ひなつの大学生活は、一体どうなるの?

 「カカフカカ」(→レビュー)などを描かれている、石田拓実先生のCookie連載作になります。金属萌えの工学系女子ということで、ここ数年のトレンドである理系的要素を落とし込んだ大学生活グラフィティでございます。ではではあらすじをご紹介しましょう。ヒロインは表紙に描かれている女の子。幼いころから熱せられ赤くなった金属に言いようのない興奮を覚え、「鋳造がやりたい!」と工学部に進学したという経歴の持ち主。とにかく金属第一の彼女ですが、大学生活に期待するものはそれだけではありません。工学部は女子が少ないからモテるかも…そんな期待も少しばかり持って入学してはみたものの、金属への想いに勝る男子は現れず。そんな彼女に転機が訪れたのは、3年次の研究室への所属でした。たまたま訪れた先で鋳込みをしていた大学院生の先輩に胸ときめき(本当は鋳込みに胸ときめいた)、そのまま希望してその研究室所属に。金属も恋も一気に順風満帆に!?と思ったのも束の間、先輩含めてゼミメンバーは個性的でなかなか手ごわくて…というストーリー。

トライボロジー0002
鋳造+あこがれの先輩 でこんな感じ。こういう表情を見せるものの、ヒロインはかなりの奥手でかつ鈍感ということもあり、なかなか事はスムーズに進みません。


 研究室で繰り広げられる青春模様って大好物なんですよね。最近だと「海とドリトル」(→レビュー)や「長閑の庭」(→レビュー)など、もはや定番になりつつある研究室(ラボ)プラス的な物語。没頭すべき対象があること、そして閉鎖的な空間に、ある程度自由な時間、話題には事欠かず、恋も芽生えやすいというものです。実際私も経験あるので、色々と思い出すことも…。

 さて本作は工学部の研究室ということで、やはり男子比率が高めでございます。ヒロインは金属萌えとは言いつつも、学術的知識に長けているワケではないため、優等生かというとそうではありません。そのため先輩や同級生に助けられつつ、研究室での仕事をこなすという日々。これが一つ、交流の起点となるわけです。ゼミの主要人物は3名いますので、それぞれ少しずつ紹介を。

 まずは研究室所属のきっかけとなった、大学院生の先輩である守屋さん。無表情で心情が読みづらいところがある人物ですが、とにかくまじめで優しい性格が行動からにじみ出ているような男。研究大好きで、そのほかのことには割と無頓着です。そしてそんな彼と同学年で、アパートも隣室という仲良しさんが、白長谷先輩。彼は守屋とは対照的に、チャラめの風貌で察しの良いタイプ。研究室では指導担当として大学院の先輩が付くのですが、ヒロインのひなつの指導担当は彼が務めます。そして最後は、同い年の男の子・後岡。非常に飄々とした性格の彼、なぜか女装してます。しかもかなり可愛いという。言葉遣いや仕草は男性そのもので、さらに研究室に所属する前は普通に男の子のかっこうをしていたという謎っぷり。人付き合いが苦手で、異性はやはりハードルが高いというひよりにとっては、一番頼りやすいゼミメンバーです。


トライボロジー1-10001
女装男子・後岡くん。一人称は“俺”であることからわかる通り、格好こそ女の子ですが、中身や振る舞いは完全に男です。その飄々としたキャラから、こんな感じですけど普通にゼミにはなじんでいるという、不思議だけど魅力的なキャラです。


 鋳型に関する解説はあるものの、メインテーマとしてがっつり扱う姿勢ではなく、あくまでコミュニティとして研究室を描きます。そのため主軸となるのは恋愛だと思うのですが、ヒロインがかなり奥手で人間関係の造成に消極的であるため、お互いの矢印がうっすらと見えだしたというレベルに留まっています。ヒロインは最後までこんな感じな気がするので、周りのメンバーが活発に動いて物語が転がっていくのではないでしょうか。現時点で一番の期待株は、女装男子の後岡くん。いや、この回りくどく健気な独特のアプローチ素晴らしいですわ。応援してあげたくなる子ですよ。

 独特の空気を醸し出すマイペース男子たちに翻弄されつつめぐる恋愛模様ということで、石田拓実的な要素が多分に含まれた物語だと思います。「カカフカカ」を読んで良かったと思った方は、こちらもまず間違いなくイケます。また石田先生というと、ちょっと生々しいエロというイメージがあるのですが、本作はまだそういったエッセンスは匂わせず。ただ大学生ですし、ゆくゆく出てくるんじゃないかと期待してみます。1巻時点で盛り上がっているかというと、決してそうではないのですが、準備状況から2巻以降面白くなる予感がかなりしており、早くも発売が待ち遠しいという状況。

 
【男性へのガイド】
→理系大学の研究室ということで、とっつきやすいフィールドではあると思います。恋愛要素がどういう形でどれだけ投入されてくるのか現時点では判然としないので難しいところですが、このある程度距離を置きつつの関係形成は、男性が読んでいても胸焼けはあまりしないんじゃないでしょうか。
【感想まとめ】
→理系的ワンテーマ、研究室、女装男子…好きなやつですわ、ツボです、ツボ。気になった方は、とりあえず試し読みを…


作品DATA
■著者:石田拓実
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックスCookie
■掲載誌:Cookie
■既刊1巻
■価格:419円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2013.07.27
1106301444.jpg小畑友紀「春巡る」(1)


オレは
生き続けるよ
誰がなんと言おうと



■イジメに遭い自殺を図った梅乃。入院先の病院で出会った悠聖に惹かれ、彼と約束を交わす。彼が背負った苛酷な運命を知らず…。一方、悠聖は空手のために生まれてきたような男の子。才能に恵まれ伸び盛りだったが、ある日、稽古中に突然倒れ…!命の灯火が揺らぐ病棟を舞台に魂を震わす命と希望の物語。

 「僕等がいた」(→レビュー)の小畑友紀先生の新作。今度の連載先は、ベツコミではなく集英社のCookieになります。それではあらすじをご紹介しましょう。物語は、高校でいじめに遭っている少女・梅乃が、川に飛び込んで自殺を図る所から始まります。目を覚ましたら、そこは病室。彼女を覗き込むのは、看護士や家族の他に、同い年や年下の子供達がちらほら。肋骨を折っただけではあるものの、心に深く傷を負っている梅乃は、入院生活で出会った歳の近い友達たちとのやりとりを通して、自分の居場所を見出し、少しずつ傷を癒していきます。中でも一番心通わせることができたのが、同い年の男の子・悠聖。彼が入院しているのは、骨肉腫だから。彼が仮退院する時になって初めてその病名を知った梅乃。彼女が入院するここは、全国有数の小児がんの治療施設だったのです。
 


春巡る1−1
 小児がん病棟を舞台に繰り広げられる、命の灯火の物語。しかし導入は、癌ではなく自ら死を選ぼうとした、癌とは無関係の少女が主人公となります(ここに入院したのは、父が病院の先生だから、そのツテで)。自分達なりに病気と死に向き合い、命を燃やしている少年少女がいる中で、この導入の仕方がなかなか斬新。確かに導入としては印象的で、またそれでも明るく前向きに生きる悠聖の魅力もしっかり描き出されていました。
 
 以降、この病院に入院している子や、その近くにいる同世代の少年少女達の視点から、1話完結の形でストーリーは進んで行きます。Cookieは視点の切り替えで読ませる作品が多く、この方式は読者にも馴染みやすいのでしょう。ここ最近では「潔く柔く」「愛しの可愛い子ちゃん」など、「女の子の食卓」なんかもそうか。都度視点が切り替わるので、現時点では、このまま収束して一つの大きな物語を形成するのか、切り替わりながら話の裾が広がっていくのかはちょっと分からないのですが、小畑先生はエピソードを重ねてこそ旨味が出て来る先生だと思うので、多分前者になるのではないかなぁ。

 さて、表紙を見て「あれ、これ矢野じゃね?」っと思った方もおられるのではないでしょうか?って私が思っただけなんですが、やっぱり似てません?ちなみに性格というか、キャラクターも結構似ております。運動神経抜群で、女子にモテる。性格は割とゴーイングマイウェイでイタズラっぽいけれど、面倒見が良く根はいい人。そしてどこか遠いところを見ている。ただ一つ、違う事があるとすれば、矢野は一人の女性のことばかり考えていたのに対して、悠聖は、色恋には目もくれず空手一筋であることでしょうか。これが結果的に物語に大きな違いを生んで来ると思われるのですが、今のところはそこまで動いておらず。なんとなく、矢野も悠聖も根本は一緒のような感じがすると言いますか。こう、役名は違えど結果的に似てるという意味で、キムタク的な存在なのかな、とか思いました。
 

春巡る1−2
悠聖を支えるのは、同じ道場に通う黒髪の女の子・菜のは。こちらはどこか千見寺さんの立ち位置と被るものがあります。この子、良い子なんですよ(早くも心奪われた)。
 
 
 話は変わりますが、この話を読んでいて「小畑先生の実体験か何かが起因になっているのかな」という感じがすごくしたんですよね。病院・医療ものって凄く多いんですが、エンターテインメント的に描かれるのって、治す側が多くて、逆に患者側って自分自身の体験だったり身内だったりといった実体験が発信になっている場合が凄く多い印象でして。で、あとがきにまさにそのことが書いてあったのですが、本作は小畑先生のお母さんが肺がんで亡くなったことがきっかけで描かれているようです。だからこそなのか、重いところはとことん重い。
 
 収録されている最後の物語で、まさに癌で亡くならんとしている子のモノローグが流れるのですが、そこで強調される「喉が渇いた」というフレーズが個人的に結構くるものがありまして。私は祖父祖母を癌で亡くしているのですが、弱ってくると物も飲み込む力が無くなって、水すら飲ませてもらえなくなるんですよね。唇を湿らす程度で。で、いつも祖母が「喉が渇いた。喉が渇いた。水を飲ませて欲しい。」なんて悲しんでいるのを見て、父は「殺してもいいから、水をガブガブ飲ませてやりたい。」なんて言っていたのを思い出したり。別に本編全く関係ないのですが、少なからず自分にとっては、死別の体験を想起させる装置になっているのだな、と。
 
 さて、本作ですが、落としどころがどうなるのか現時点では全く想像がつきません。恐らく恋愛を絡めて進行していくのではと思っているのですが、テーマがテーマだけにそう簡単には行かなそう。恋愛の純度が高いものではなく、それ以上に命の重みがかかって来るため、複雑。これは前作でも見られた傾向ですが、バランス次第で耐えられない程に重くなり、同時に物語に厚みをもたらしてもくれる。本作はこと重い方向に倒れる頻度が高そうですので、前作よりも読み手を選んできそうな印象があります。間口の広い、「命を大事に」的な感動物語とも、ちょっと雰囲気違う感じなんですよね。前作からファンであった身としては、何も見ずに「凄いっす!」とか言ってしまいそうな勢いなのですが、一旦冷静になったとき、本作がどのような評価を世間で受けるのか、非常に気になる所でもあります。


【男性へのガイド】
→悠聖は男性読者受けそこまで良いほうではないような気が。とはいえ既に一定層読者いそうですから、その人達に訴求できればOKなのかな、と。正直知らない人がどう受け取るのかとか、想像つかないです。
【感想まとめ】
→正直背景とか過去作とか一切知らずに読んだら、おすすめするかはわかりませんが(なんかゆっくりだし重いし)、やっぱり小畑先生なんで。


作品DATA
■著者:小畑友紀
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックスCookie
■掲載誌:Cookie
■既刊1巻
■価格:419円+税


■購入する→Amazon

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Tag [続刊レビュー] 2013.03.08
作品紹介→女子高の王子様を巡る青春純愛物語:サトーユキエ「愛しの可愛い子ちゃん」1巻



1106246735.jpgサトーユキエ「愛しの可愛い子ちゃん」(2)


今のこの気持ちのままで
この花の匂いを覚えてる



■2巻発売しました。
 今まで冴えない人生を歩んで来た教師・撫子。男ウケのいい夕奈の本音は?クールで品方向性な中島先輩の秘密…。女子校の王子様・潮を巡って織り成される純愛オムニバスシリーズ、第2弾!!
 

〜2巻発売です〜
 2巻発売しました。1巻、すごく良かったのですがタイトルと表紙で損しているような…。そして2巻も同じく…ということで、地道にレビューをして行くことにしましょう。とりあえず2巻で終わりではなく、まだ続くみたいなので良かった良かった。
 

〜1巻より一層ビターな2巻〜
 2巻も1巻と同様、毎回主人公が変わりオムニバス形式で進行していく内容になっています。物語の軸となるのはもちろん王子様・潮。ここまでは1巻と全く同じなのですが、読んだときの印象は、「1巻よりも更にビターだな」というものでした。今回収録されているのは4話なのですが、どれも恋愛を絡めつつ、話中で成就する恋愛というのは一つもないという状況。もちろんその中に希望を見出したり、救いは提示されるようになっているのですが、その過程としてどうしても痛みを伴うという。これがおそらくサトーユキエ節であり、魅力なのだと思いますが、なかなか読むのにエネルギーを使いますな。
 

〜男女の恋愛一色ではない〜
 1巻と大きく異なるという点では、今回収録されているお話のうち男女のガッツリ恋愛ものは1話しかなかったというところでしょうか。2つは自分自身の存在・生き方について、そしてもう一つは百合要素のあるお話でした。
 
 個人的に印象的だったのは、最初の2話「私の憧れの人」と「可愛い女の子」でしょうか。なによりこの2話の対比がとにかく徹底していて。「私の憧れの人」は、学生時代に自分らしさ・女らしさを出せずにコンプレックスとして抱えたまま大人になってしまった女性がヒロイン。学生時代の憧れの存在を前に、ダメな自分を変えようと鼓舞するお話です。一方「可愛い女の子」は、とにかく男の子の目を気にするような恋愛体質で可愛い女子生徒がヒロイン。この子もまた理想的な女の子を目の前に、自分と対比してイヤな気持ちを溜め込みます。片や歳相応の女子らしく生きれずに悩むヒロインで、片や女子らしく生きすぎたがために生き辛いヒロイン。わかりやすいほどに正反対の主人公を連続した物語に持ってきながら、どちらも現状不幸せで、どうにか抜け出そうともがいている。どこまでいっても女性というのは生きにくさを抱えるもので、大変なんだなぁ、と(若干他人事なのは、男なので口が割けても「わかる」とか言えないから)。
 

愛しの可愛い子ちゃん2−2
 ここから見るに、潮という存在は、生きにくさ=対象との比較で生まれる劣等感を吹き出させるための良い装置の役割を果たしているんですね。発露の仕方はひとそれぞれで、そして解決へのアプローチも人それぞれ。ここでのバリエーションの持たせ方が、物語の幅につながってくる。劣等感をぶつけられるなんて、潮は作中でもとばっちり食らって可哀想な役回りなのですが、そもそもの人物配置の時点で結構可哀想なのかも。なんて今回は潮に関しては、描写少ないとはいえずっとラブラブでしたから、当の本人は至って幸せなんでしょうけど。
 

〜やっぱり恋愛の話が好き〜
 3話目は百合要素が含まれており、そして今までの物語の中で一番ビターな内容となりました。ここまで来るとなかなか読み進めるのがしんどいのですが、4話目が実に少女漫画って感じのストレートな内容でして!とても良かったです。


愛しの可愛い子ちゃん2−1
ザ・青春恋愛もの


ここで改めて思ったのは、私はやっぱり青春恋愛ものが好きで、その純度が高い方が好みなのだな、ということ。4話目の二人は実に初々しくて、一生懸命恋してることが伝わってきて素敵でした。
 
 というわけで、2巻も引き続き面白かった本作。次回作も非常に楽しみでございます。


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Tag [新作レビュー] 2012.07.23
1106121674.jpg草野魚「拝啓アインシュタイン」(1)


今 わからなかったあの言葉の意味が
わかりそうな兆しを感じているのは
なぜだろうか



■秀才ばかりが集う高校に、マークシートの選択運だけで奇跡の入学を果たした環。早々に勉強について行けない中、学校一の秀才・原田と出会う。人との接触を嫌い、アインシュタインを尊敬する彼と接するうちに惹かれ始める環だったが…。ごくごく普通な女の子・環と、変わり者の秀才・原田君が織り成す、凸凹ラブコメディ!

 2012年最注目新人と帯にあるように、草野魚先生にとっては初の単行本となります。しかもいきなり巻数付き!すごい!作品のタイトルは「拝啓アインシュタイン」。表紙がアインシュタインをイメージしたものとなっていますが、物語は科学者が出てきたり科学的なお話が出てくる事はありません。物語の舞台となるのは、とある進学校。そんな学校に、あろうことかマークシートの選択運だけで入学してしまった女子・環が主人公になります。早速授業について行けず困っていたところ、ひょんなことから泣きつくことになったのが、同じクラスの学校一の秀才・原田君。その傍若無人とも言える態度から、周囲の人間から距離を置かれていた原田君ですが、勉強のレクチャーを請うと意外にも丁寧に教えてくれる。話を聞くと、どうも単純に人との距離の取り方がわからないだけの、変わり者のよう。そんな彼に興味を持った環は、以後ことあるごとに原田君と過ごすようになるのですが…というお話。


拝啓アインシュタイン
原田君のキャラクターをイメージしやすいのは「となりの怪物くん」(→レビュー)のハルでしょうか。とにかく勉強が出来る秀才であるけれど、愛を知らず、他人との距離の取り方がわからない。ハルの場合それゆえにとにかく近づいてくる人を信用してしまいますが、一方こちらの原田君は、それゆえに頑なに他人を拒み「人を嫌い」と言い放つような気難しさがあります。

 人に触れられるのもダメで、唯一ちょっとした拍子に環のみが触れられるように。環は勉強ができないため、一方原田君は問題行動が多いために学校を辞める危機に立たされるのですが、環は原田君に励まされたからと勉強を頑張り、一方の原田君も「なぜ環のみ触れられるのか」を解明するために学校に残るという関係。この時点で二人の関係は盤石とも言えるのですが、如何せん原田君が人に対して向ける感情の様々を知らないため、なかなか関係は進展しません。
 
 物語は、環や原田君が巻き込まれる出来事を通して、環と原田君との関係及び原田君の感情の醸成を描いていきます。環と原田君の関係の進展も良いのですが、何より原田君がひとつひとつ感情を知って行くその様子が実に微笑ましいというか。個人的にはそこが見所だと思っています。普段は無表情に冷たい事を言ったりする原田君が、環に対して時折素直で弱々しいところを見せたりするところなど、頭ナデナデしてあげたくなるような可愛らしさなんですってば!
 
 またアインシュタインが全く関係ないかと言うとそうではなく、アインシュタインの名言を物語のシチュエーションに当て嵌めて例えるような、素敵な演出もあり。馴染み深い台詞もあったりするので、伝わりやすいです。また新人さんということもあって、最初は絵が安定しません。後半段々安定してくるので、これからも多少キャラの雰囲気は変わってくるのかも。


【男性へのガイド】
→普通の女の子視点で、変わり者の男子を見るという関係性はやはり女性こそ楽しめるものという印象が強いです。お互いにもっと主張しあうようになれば、男性も、という感じが。
【感想まとめ】
→新人さんでこれなら充分すぎるほどに面白いです。巻数つきも納得。着地点が想像しやすいので、現時点での過程をしっかり楽しめるかが鍵でしょうか。


作品DATA
■著者:草野魚
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックスクッキー
■掲載誌:クッキー
■既刊1巻
■価格:419円+税


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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2012.07.21
1106176662.jpgサトーユキエ「愛しの可愛い子ちゃん」(1)


今のおまえって
すげぇ可愛いい



■勉強はできるし、部活でも全国大会出場、生徒会活動もこなす十朗澤潮(じゅうろうさわうしお)は、女子高の王子様。彼女に憧れる生徒達は数知れず、いつも周囲からの注目を浴びている。しかし近寄りがたい雰囲気とは裏腹に、その内面は純情で乙女。幼い頃からずっと一途に想い続けるその相手は…。オムニバスで贈る、潮を巡って織り成される切なく愛しいストーリー。

 サトーユキエ先生のオリジナル連載になります。本当に待ち遠しかったです。原作付きの「ハナミズキ」(→レビュー)を挟んで、オリジナル作品が単行本になるのは実に3年ぶりでしょうか?「子供だって大人になる」(→レビュー)が本当に良くて、ずっとずっと待っていたのですが、ついに登場、そしてなんと巻数付き!ちょっとした驚きと共に発売された本作は、待った甲斐があったと思える内容でした。
 
 物語は、一人の女子高生の姿を中心に描かれます。その女子高生とは、とあるお嬢様女子校に通う・十朗澤潮。身長170センチオーバーの彼女は、端正な顔立ちに加え勉強・部活でも好成績を残し、さらに生徒会活動までこなすという学園の王子様。憧れの眼差しは向けられるものの、どこか近寄りがたい雰囲気のある彼女ですが、その内面は恋する普通の女の子。


愛しの可愛い子ちゃん1-1
お隣に住む同い年の男の子に想いを寄せており、彼の言動に一喜一憂していたりします。意外と乙女なその姿が、なんとも可愛らしい。中心に据えるのに納得のキャラクターでございます。


 物語はそんな彼女の傍にいる人物たち(メインヒロインの潮の学校の仲良したちと、優がいつもつるんでいるメンバー)の視点から、1話完結のオムニバス形式で進行。想いを寄せられる男の子や、クラスで一番の仲良し、そして彼女に憧れる女の子まで、置かれている状況・関係は様々です。それぞれの瞳から映る潮の姿と、その想い。それぞれに色の違う、青春の様々な想いを丁寧に描き出して行きます。
 
 実際だれが一番可愛いかというと、間違いなくメインヒロインの潮なんですよ。ただそれはあまりにも明白すぎるし、周囲の面々がまた味のある物語を紡ぐんです。「子供だって大人になる」でもそうだったのですが、叶う事のない想いや不満を突如抱えてしまい、それに向き合い消化していく過程というのを描くのが、本当に上手というか印象的。


愛しの可愛い子ちゃん1-2
全ての話で救いは提示されているものの、1話目以外は感情の総量は喜びよりも悲しみや怒りといったネガティブな感情の方が多く、表紙から来る印象とは裏腹に結構ビターでしっとりとしたお話が多いです。


 個人的にお気に入りだったのは、2話目「私のお姫さま」(作中では第1話扱い)。お嬢様学校や潮への反骨心のある、白ギャルっぽい見ための女の子が主人公なのですが、意外と文学少女であったり、情に厚いところがあったりと段々と明らかになる隠れた一面が可愛くて可愛くて。女の子っぽいキャラはたくさん登場してきますが、一番内面が女の子っぽいのは案外彼女なんじゃなかろうか、と。良い意味で夢を見ている感が素敵でした。


【男性へのガイド】
→男性視点の話もあるので、それなりに楽しめる人はいるかと思います。女性向けの感は強いですが。
【感想まとめ】
→表紙とタイトル見た時はどうしちゃったのかと思いましたが、読んでみて安心。そして面白かったです。2巻以降どう転がすのかわかりませんが、とにかく楽しみですねー。


作品DATA
■著者:サトーユキエ
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックスクッキー
■掲載誌:Cookie
■既刊1巻
■価格:419円+税


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
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かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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