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Tag [続刊レビュー] 2011.07.08
作品紹介→小4女子のリアルファイトってまた秋元さん…:秋元康/香純裕子「まりもの花~最強武闘派小学生伝説~」1巻



1106036028.jpg香純裕子/秋元康「まりもの花~最強武闘派小学生伝説~」(2)


花とともに
おまえは散る



■2巻発売です。
 花を愛する小学生・野上まりもは怒ると左手にアザが浮かび上がり、無敵の力を発揮する。次々に迫り来る不良達を、片っ端から返り討ちにし、一躍名を挙げたまりもは、ついに青嵐会のトップを引き継ぐ。そしてより一層激しくなる、他校からの侵攻に、まりもは…
 

~秋元先生ってどれだけたくさんいるんだろう~
 今やテレビを点ければ必ずと言っていいほどに、AKB48の話題を目にしますが、そのたびに秋元康って人についてアレコレと考えるわけで。どんな気持ちで「ヘビーローテーション」の歌詞とか考えてるんだろう…とか、どうして儲けのあるところに必ずいるんだろう…とか。そしてこの漫画を読んで、私は一層秋元康という人がよくわからなくなるというか、もう秋元康っていうプロデュース集団がいるんじゃないかとか思ったりするわけですよ。というわけで、かなりぶっ飛んでいる小学生ヤンキー漫画(もうこのジャンルからしてよくわからない)「まりもの花」の2巻のご紹介です。
 
 1巻は比較的ヤンキー漫画というか、喧嘩漫画の様相は薄かったのですが、今回はもうヒロインが自力で脱せるような状況にあらず、あれよあれよという間に厄介ごとに巻き込まれていくことになります。もう突っ込み所しかないわけですが、まぁそれこそが魅力でもあるわけで、全力でお届けしますよ!


~あくまで小学生漫画~
 というわけで、辞めろ辞めろと言われても頑として辞めない総理大臣がいる中、こちらではいきなり政権交代から始まります。これまでれんげ小学校を守ってきた「青嵐会」のリーダー・カヨちゃんが、青嵐会の解散を宣言。まりもを筆頭とした、まりも会を結成し、自分はその下につくと言い放つのでした。まず小学生で「青嵐会」ってうネーミングがすごいですよね。小学生でこれを「せいらん」と読める人はどれだけいるのか。ちなみに私は高校のとき「東雲」を「とううん」って読んで恥ずかしい思いをしたことがあります。 そしてその後を継ぐのが、まりも会。れんげ小学校のまりも会って、なんか全体的にすごく弱そうなんですが、基本的にはこんな会話が繰り広げられています
 

まりもの花2-1
注:小学生です


 そもそも編みタイツにヒールの小学生って時点ですごいわけですが、この作品ではそういうのは割と平然と受け入れられています。さて、斯くしてれんげ小学校のヘッドとなったまりもは、その後周囲の力を持つ学校との、勢力争いに巻き込まれていくことになります。以下、ダイジェストで
 
 
まりもの花2-2
注:小学生です

この安易なネーミングがなんとも素敵です。



まりもの花2-3
注:小学校ではよくある風景



まりもの花2-4
もう君たちみたいのがいる時点で、学校としては終わってるんじゃないかな。。。とかいうコメントは野暮ですか、そうですか。ちなみにヤンキーはオールバック率高い気がします。リーゼントはさすがにいないっすか。いわゆる「ツッパリ」スタイル。

 というわけで、静かに暴走している「まりもの花」、色々な意味で要注目ですよ。勢力図を見る限り、まだ今のところ登場しているキャラは生易しい方みたいなので、これからどんなとんでもない小学生が出てくるのか、楽しみです。ちなみにこれ、こういったお話を作り出してる一つの要因として、全く大人が話に介入してこないということが挙げられるかもしれません。押さえつける大人が一人でもいると、どこかでブレーキがかかってしまって、物語は違う方向に流れてしまいそうなものですが、こちらは止める大人は皆無。そのため子供達が、ノーブレーキで暴れ回ることができるのでしょう。多分「ありえないところ」の筆頭は、そこなのかもしれませんね。


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Tag [続刊レビュー] 2011.02.27
作品紹介→「りぼんで女の子同士のキス…」各所で話題のガールミーツガール青春白書:えばんふみ「ブルーフレンド」1巻




 bluefriendえばんふみ「ブルーフレンド」(2)


ずっと
あんたのそばにいてあげる



■2巻発売、完結しました。
 男勝りのまっすぐな性格で、女子に人気の少女、歩。男子に人気だが、どこか影を潜めた美少女、美鈴。突然のキス、嫉妬、誤解…。様々な壁にぶつかるも、そのたびに乗り越え、互いに惹かれ合っていく。。。だが、美鈴の過去を知る謎の美少女、東の登場で事態は思いがけない方向へ動き出す。そんな中、美鈴の過去を知らされた歩は…
 

~帯は煽りすぎも、良き完結~
 完結です。2巻とは、少々早いような気もしますが、なかよしで同じ百合系統の「野ばらの森の乙女たち」(→レビュー)もまた早期完結ということで、このぐらいが一つの限界(掲載誌的)なのかもしれません。しかし帯の煽り方がえげつなくて心配になるレベルです。「この百合マンガがすごい!」…個人的には、1巻の作品紹介時にも書いている通り、この作品から百合感はあまり感じることがなく、やはりタイトルから受ける通り、フレンド=友情から発展した恋愛に限らない様々な感情がミックスされた青春物語という印象が強いです。てか1巻と2巻の両方にコメントがある、(23歳 IT関係)って同一人物としか思えないのですが。両方「まさか…とは」口調ですし。
 
 とはいえ物語の良し悪しに、プロモーションの仕方は無関係。もしそれに引っぱられたとしたら、不幸です。1巻ラストから考えて、どんどん重い方向に行き、出口が見えなくなるのでは…と若干思っていたのですが、2巻完結、しかも思いのほかあっさりと、そして爽やかに物語は幕を閉じました。


~美鈴の物語だった~
 元々物語は歩の視点で進行しており、ラストに近づくにつれて美鈴視点へと変化していったのですが、ストーリーは一貫して美鈴のものでした。二人の前に立ちはだかる問題は、いつだって美鈴のもの。クラスメイトたちとの確執に、東という美少女の登場、中傷の貼り紙に、過去の傷。それらの彼女を縛る過去からの解放が、この物語を形成する軸となっているのです。そんな中、その救世主となってくれたのが、歩。自分一人では身動きができず、頼らざるを得なかった美鈴と、そんな彼女をどうしても放っておくことのできなかった歩。逆に歩が美鈴に救われる場面は、殆どありませんでした。

 物語の段階としては、出会い→過去の露呈→過去からの解放→解放してくれた歩からの一人立ちという過程を踏んでおり、それが完了した時点で完結と、文脈的にスッキリするのは美鈴からの視点であるということです。そういうところからも「物語の世界の創造者と、登場人物の一人」「常に助けられる側と、常に助ける側」という構図が見てとれるわけですが、その非対称性が、この作品を単純な「百合マンガ」と感じさせない一つの要因になっている気がします。
 

~挿込まれるべき、一枚のカット~
 それでも、でもやっぱりラストは感動。逆に歩に複雑な事情を持ち込まなかったのがよかったのかもしれません。何かしらの影を抱えるヒーローよりも、ただ純粋にヒロインのことを支え守るその姿は、最近の少女漫画のヒーローよりも、余程ヒーロー然としていました。そんな歩に支えられながら、もう一度頑張り、自分一人でも何かできるようにと頑張った美鈴もまた素敵。そんな二人が迎えた卒業は、それまでの残りの中学生活と二人の関係の充実が、そしてこれから二人の未来が、輝き方は違うにしてもきっと明るいものであることを暗示させるような、感動的なものでした。このラストへ向かう過程の中、特に注目すべきは、二人のキス…ではありません(というかこの作品においてキスってどんな役割を果たしてたのかよくわからなかったり。中学生というアンバランスな年頃の象徴?)。本当に注視すべきだったのは、卒業式の前の文化祭でのラストシーンと、物語の冒頭にありました。
 

ブルーフレンド2-1
 文化祭で演劇を成功させることによって得た、美鈴の再生への兆し。その光を導いたのは、他でもない歩。そこに描かれていたのは、包帯が巻かれた美鈴の手と、歩の手。そしてこのカットと全く同じ構図のカットが、物語の一番始めに描かれています…


ブルーフレンド2 
 こちらのカットでは、包帯はほどけ、服は制服、そしてバックには桜の花びらが舞っています。2巻ラストから繋がる、1巻冒頭の一コマ。暗示しているのは、美鈴の歩からの一人立ちというところでしょうか。傷を癒す包帯となってくれた歩からの、一人立ち。卒業の日のくだりは、これがあってこそ。だからキスとか(以下略



~美鈴の意外な設定~
 物語中で明言されることはありませんでしたが、描写から読み取れる美鈴のキャラ・設定というのが実に興味深い。まずは彼女、どうやら左利きみたいなんですよね。それが窺えるのは、彼女が自傷を図ったシーン。巻かれた包帯からも分かると思いますが、彼女が傷を付けたのは、右手。基本的に刃物というのは利き手で持つもので、ましてや自分の体を傷つけるとなれば、より慎重になります。。。なーんて、1巻とかでは普通にペンを右手に…。ここで浮上する説と言えば、あ、両利きだったのか、と。まぁそんなどうでも良い指摘は置いておいて、注目すべきは別荘にて歩と一夜を明かした後です。美鈴に手料理を振る舞うのですが(どこから食材を持ってきたのかは謎)、その料理がまた…
 

ブルーフレンド2-3  
別荘持ちのお嬢様で、かつこんなにも見目麗しい美鈴ですが、意外にも朝はパンではなくご飯派。そしてさらに絵を見ると、どうも鮭の塩焼き的な何かと煮物っぽいものがそこに見てとれます。ええ、むっちゃ和食!てか中学生でこのラインナップを作れるってどんだけなんですかって話で、あまりのギャップにこのコマだけずっと見てしまったという(笑)そもそも美鈴がお米を磨いで炊飯器セットしたってだけでもかなりシュール。


 というわけで、意外なところで美鈴に癒された2巻でしたが、最初に書いた通り、最後は驚く程の爽やかさで読み終えることができました。どこか話題先行で、かつテーマとして難しいものでもあったとは思うのですが、えばんふみ先生は見事に描き上げたな、とただただすごいという気持ちが溢れて来ます。さすがに次回作も百合ってことはないと思いますが、楽しみです。


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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.01.18
1103001384.jpg秋元康/香純裕子「まりもの花~最強武闘派小学生伝説~」(1)


ならば咲かせよう
この花が消えるまで



■小学4年生の野上まりもは、花や植物が大好きな、心優しくほんわかとした女の子。けれどもある日、不良の争いごとに巻き込まれ、大事な花壇が荒らされてしまう。加えてクラスメイトにも危害が。。。なんとか止めないと…そう願ったまりもの左手が、突如疼き、気がつけば別人のような喋り方、そして身のこなしに。そして、ばったばったと不良たちをなぎ倒していた。可愛いけれど、超武闘派。野上まりもの伝説が、今始まった。。。

 またりぼんですごいマンガが登場しました。タイトルからも分かる通り、描かれるのは戦う女子小学生。しかも普段は花を愛でる心優しい天然系の女の子で、ピンチだったり感情が高ぶったりしたときにだけ、その能力が発揮されるという設定です。ついでに能力発動の時は、左手の痣が浮かび上がり疼くという、中二病のテンプレにありがちな「くっ!鎮まれ…俺の左手…」みたいな設定を地で行くという素晴らしさ。そしてそして、何といっても原案者には、かのAKB48で乗りに乗っている、秋元康氏ですよ。彼が少女漫画の原作を手がけるというと、思い出すのはNHKでもアニメ化された「あずきちゃん」ですが、今回は全く違ったテイストの作品に仕上げてきました(ちなみに「あずきちゃん」はりぼんではなく、なかよし連載でした)。


まりもの花
小4女子がリアルファイト。そのありえなさだけで十分笑えるというか、面白いというか。ちなみにふだんはもっとほんわか。目つきも可愛らしいです。


 小4女子が戦わなくてはいけない状況ってどんな状況やねんって話なのですが、まず彼女の通っている小学校がかなり荒れている状況にあり、小4、小5、小6各学年にたいそうガラの悪い不良集団がいるという。しかもちゃんと軍団だったりチームを組んでいるものだから、お前ら中学生か!みたいな。さらに物語が進行してくると、中学生やインターナショナルスクールなども参戦し、一大派閥争いが繰り広げられていくという状況です。ヒロインは、一度喧嘩で実績を上げてしまったものだから、臨んでもいないのに巻き込まれて行くという感じ。この植物を愛でる主人公が、勢力争いに巻き込まれながら、戦って行くという状況は、サンデー連載の「地上最強の弟子 ケンイチ」を思い出します。あちらは高校生で、かつ主人公が話を追う毎に成長を遂げて行くわけですが、こちらは最初からチート級の能力の持ち主であり、いかに戦い、いかに場を鎮めるかという所が焦点となってきます。
 
 なんでこんな能力を持っているのかというと、ヒロインの父親がかつて伝説の不良であり、その能力を知らずか受け継いでしまったという。能力発現時は、口調が関西弁に変化し、極道の女的なイメージをかき立てます。全体的にありえない設定であり、また戦う美少女や派閥争いというモチーフは、昭和に置き忘れて来たイメージすらある古いもの。けれども一度読み出せば、テンポは良いし、アクションシーンは迫力があり、また平常時のヒロインがかなり可愛いなど、グイっと引き寄せられる面白さがあります。そこは、原作者である秋元康の力でもあるでしょうし、画的に魅せる方法を心得ている漫画家さんのの能力でもあるのでしょう。これはちょっと色々な意味で続きが気になる作品であります。


【男性へのガイド】
→安心の秋元クオリティ。ヒロインが可愛らしく、またヒーローがちょっと抜けすぎているあたり、意図しているか否かはわかりませんが、男性でも読みやすいようになっております。ただ少年漫画でありがちな、バトルで能力成長というベクトルではなく、友情の醸成であるとか、人間的成長を描くのがメインとなりますので、その辺はしっかりとご承知を。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→この先どうなるのかわからないし、最後尻すぼみで終わる感もあるのですが、現時点では続きがきになっており、2巻も買ってみたいかな、と。全てがネタというのも、面白いと思うんです。

作品DATA
■著者:秋元康/香純裕子
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックス
■掲載誌:りぼんn(連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税


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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2010.09.24
1102960153.jpg大岡さおり「モバイルガールめもり」


勝手なことを言うのは…
私に勝ってからにしな



■西暦2222年   小日向めもりは、モバイルマスター養成学校に通う、新米モバイルマスター!モバイルマスターとは、異常電波から発生する「ウイルス」を倒すために発明された機械「モバイル」を操ることのできる人間。亡き母のモバイル・スペードと共に、一人前のモバイルマスターを目指す日々。けれど、めもりはマスター養成学校では落ちこぼれ。そんなめもりが、ある日を境に次々とピンチに巻き込まれて…!?掟破りのおバカ系超弩級魔法少女ファンタジー開幕!!

 「ぷちパレード!」(→レビュー)の大岡さゆり先生の新作は、おバカ系の魔法少女ものでございました。元々かわいらしいキャラクターで、ファンタジーの匂いはさせていた大岡先生ですが、魔法少女でここまで自由に駆け回るとは、正直意外。舞台となるのは、西暦2222年の未来。日々世間を騒がせるのは、異常電波から発生する「ウイルス」。そんなウイルスを退治するのが、対ウイルス用の機械「モバイル」を操るモバイルマスター。ヒロインの小日向めもりは、そんなモバイルマスターを養成する学校に通う生徒です。亡き母の形見であるモバイル・スペードと共に、一人前のモバイルマスターを目指して頑張る日々ですが、なにせめもりは極度の恐がりで、ウイルスを間近に見ると失神してしまうような子。スペードとの意思疎通もイマイチで、養成学校では落ちこぼれという存在でした。そんな彼女に、ある日転機が訪れます。突如現れたウイルスと対峙した際に、スペードちゃんとシンクロ、「モバイルリンク」という合体技により、魔法少女へと大変身を遂げます。


モバイルガールめもり
ふだんのめもりは、黒髪でメガネで内気。それが変身をすると、表紙のような強気な魔法少女に。


 モバイルリンクを遂げためもりは、普段とは見ためも性格も正反対。いつもはおどおどした、メガネの黒髪ロングの彼女が、モバイルリンクを遂げると、強気ツンデレの、金髪少女に大変身。そしてモバイルリンク後は、もうやりたい放題。パートナーであるスペードちゃんの意思も混ざりつつ、舞台を縦横無尽に駆け回り、敵を倒していきます。何度か変身するシーンがあるのですが、変身後の姿は毎回異なり、ある種のコスプレを楽しめるという設定。やりたい放題やる爽快感と、敵を難なく倒していくお手軽感で、非常に気楽に、そして楽しく読み進めることができるようになっています。
 
 連載とはいえ、長期は見据えていないので、バトルものにありがちな、敗北や挫折からの成長という描写はほぼありません。基本的に、「魔法少女もの」を真っ正面から真っ当に描こうなんて意思はあまり感じられず、どちらかというと「魔法少女」というのは雛形程度の認識で、そこに自分の好きだと思うものをこれでもかと詰め込み、バカっぽく楽しく展開できればOKという空気感が感じられます。でもだからこそ、自由で面白い。基本的にバカで自由なノリの作品って大好きなのですが、これは結構ハマりましたね。敵をただ倒すというのは、深く考えなくとも消化できる展開ですし、おバカ系の話とは結構相性が良いのかもしれません。


モバイルガールめもり2
遊助の「ミツバチ」人気を見越してか、ライバルキャラはまさかの蜂化。とりわけ残念なのが、イケメンの彼。素晴らしい働きを見せてくれますよ。


 色々と、意図的に残念な要素を用意しているのですが、特に残念なのが、ライバルの剣沙己くん。「モテたいからに決まってんだろー!」などと叫んだり、巨大化しためもりのパンツを盗撮したりと、ヒーローポジションのイケメンにあるまじき言動の数々をこれでもかとやってのける所が素晴らしい。また後半には、女体化までカバーするなど、こちらもまたやりたい放題でございます。やはり魔法少女は2人揃ってこそ(ry
 
 最後には、元ネタとなった読切りが収録。色々と話題になった、りぼんファンタジー増刊の作品がプロトタイプとなったようですが、こちらはヒロインの性格がきつめで、世界観は「サマーウォーズ」みたいな感じになっています。こちらはこちらでまたアリかも。1巻で終了ということを考えても、決して人気が出そうな作品ではありませんが、個人的には応援したいと思う作品でした。男女関係なく、ネタ的に物語を読むことができるのであれば、楽しめるのではないかと思います。


【男性へのガイド】
→男性も楽しめそうですね。萌えも広くカバー。但しあくまでネタ的に。お馬鹿系がお好きなら、一度チェックを。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→ノリの良いバカ系作品は大好物。これをオススメにするのは憚られるような気はするものの、1巻完結でもうご紹介する機会もないということで、オススメにしておきます。


作品DATA
■著者:大岡さおり
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックス
■掲載誌:りぼん
■全1巻
■価格:400円+税


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Tag [オススメ] [新作レビュー] 2010.09.20
1102960152.jpgえばんふみ「ブルーフレンド」(1)


いつしか
名前も知らないこの気持ちに
あたしは溺れていった



■中学2年生の歩が出会ったのは、どこか影のある美少女、月島美鈴。背が高くて、運動神経抜群、竹を割ったようなサッパリと明るい性格の歩。目を引く美しい容姿で、男子からの告白が後を絶たないものの、その難しい性格から、友達のいない美鈴。全く正反対の性格の2人だったが、クラス替えでとなりの席になったのをきっかけに、話をするように。日々を重ねるごとに、段々と打ち解けてきた2人は、やがて特別な感情で惹かれ合うようになっていき…。恋と友情の狭間で揺れる、10代の危うい青春グラフィティ、第一巻登場です。

 「りぼんで百合」ということで、連載開始当初から、各所で話題になっていた本作が、このたび単行本として登場。恋と友情、そして名前も知らない気持ちに溺れ揺れ動いていく、中学生の青春を描いた物語でございます。ヒロインは、運動好きでソフトボール部に所属している世の高い中学生・歩。クラス替えで、隣の席になったのは、学校でも随一の美少女と話題の月島美鈴。見ているだけなら実に美しい彼女ですが、男からのアプローチにうんざりしているのか、他人に対する当たりの強さがかなり強め。最初はその正確に驚いていた歩でしたが、さっぱりと、そして底抜けに明るい性格の彼女は、特に意識することもなく、自然に美鈴と接していきます。気がつけば、歩は美鈴の唯一の友達に。そしていつしか、歩は美鈴から、友情を超えた強い感情をぶつけられるようになっていくのでした。。。


ブルーフレンド
不意に生まれた、美鈴の歩への感情は、日に日に形を変えて、都度違った形で発露されるようになってくる。


 「百合」という触込みでしたが、「憧れ」や「恋心」を百合と捉えるのであれば、この作品は現時点では百合作品にあらず。あまりカテゴライズして型にはめてしまうのは良くないと思うのですが、どうなのでしょう。そもそも私は百合とか詳しくないので、そこについて語ることはできないわけですが。

 男性不信・人間不信の美少女が、初めて出会った、心から思える本当の友達。初めあった嬉しさは、いつしか友情の枠を超えて、「精神的依存」や「独占欲」といった感情へと広がりをみせていきます。段々と束縛が激しくなっていく美鈴に、歩は一時うんざりするも、紆余曲折を経て、「自分が守ってあげなくてはならない存在」という認識へ。そこから生まれる、新しい感情に、お互い溺れていくことに…(これは予想)。「友情」と表すには、余りに余計な感情が渦巻いており、また「恋」と捉えるにはあまりに幼く、そして重苦しい。作者さんがあとがきにて、「思春期に、人に言えない悩みを抱える女の子達の繊細な気持ちを表現できたら…という思いから生まれた作品」と書いてありましたが、一筋縄ではいかない複雑さと、触れたら壊れてしまいそうな繊細が、絶妙に描き出されているのではないでしょうか。
 
 女の子同士のかけ合いであるとか、百合作品という意味では、もっと優秀な作品はあると思うのですが、これのすごいところは、低年齢向けの「りぼん」でそれをやってのけているというところ。あくまで「友情」というテーマを表立って見せているのは、メインの読者層を考慮してのことなのかもしれません。ストーリーとしては、雰囲気系ではなく、わかりやすいイベントからの関係性の変化みたいなところが見せ所で、これからは美鈴の過去と、それを知る人物とのやりとりがメインとなっていくようです。一発ネタの話題倒れではなく、しっかりと伏線を貼りつつの進行は、意欲の現れ。期待感も高まるというものです。低年齢向けですから、雰囲気で押す感じではないので、そこだけはご注意を。それ以外は、評判通りの面白い、そして興味深い作品に仕上っていると思います。これは続き買いたいですね。オススメです。


【男性へのガイド】
→ネットで話題ってのは、やっぱり男性の声が大きいのでしょうか。百合苦手でなければ大丈夫かと思われます。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→全年齢で読める内容ながら、表向きはしっかりとりぼんにシフトさせているあたりがすごい。実際面白かったですし、オススメです。


作品DATA
■著者:えばんふみ
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックス
■掲載誌:りぼん(連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税


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