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Tag [続刊レビュー] 2015.02.23
1106481730.jpgオザキアキラ「ハル×キヨ」(5)



君に会ってから
僕はどんどんかっこ悪くなってる気がする




■16歳の誕生日を迎えて、なんだかラブラブな小春と峯田。そんな中、事もあろうにモジャ夫こと志村が恋に落ちた!?実は小春のプレゼントを用意していた志村。それが原因で事態はさらにややこしく!!


~5巻は志村の回~
 5巻発売しています。早いものでもう5巻、オザキアキラ先生としては最も巻数が多いタイトルということになるでしょうか。名前をカタカナ表記にした甲斐があるってものです。

 さて、5巻も色々とイベントごとがあるのですが、総括するのであれば5巻はまさに志村の回だったと言えるでしょう。噛ませ犬は大好きなものの、どうも志村のことはさほど気にならない管理人なので、これまでもあんまり気に留めていなかったのですが、さすがに今回は頑張ったなぁとちょっと応援してあげたくなりました。ああいったタイプは自分の気持ちに自覚的になると、その行動力と相まって色々仕掛けられますから見ていて面白いですよね。本命党からしたら、厄介な存在なのでしょうが。まぁでも一番萌えるのは、ちょっとしおらしくなってるところなんですが。1巻通じて散々頑張った後のこれとか……


ハルキヨ0003
クッション抱いてセンチメンタル


 これはずるいかわいい。これはなかなか可愛らしいです。しかし悲しいかな、全く小春には意識してもらえてないっていうね。むしろ意識するのは峯田のほうばかり。それって結局敵に塩を送っている状態なわけで、なかなか志村には厳しい状況が続きます。これだけ頑張って6巻に突入するのですが、さてこれ以上打つ手はあるのでしょうか?引き続き奮闘して、時折落ち込んでもらいたいところです。

 ところで彼、噛ませ犬ではあるのですがあまり手を引く想像が出来ないんですよね。噛ませ犬の見どころの一つとして、どの時点であきらめて手を引くのかってのがあるのですが、彼の場合あきらめるってあるのかな、と。彼におあつらえ向きな女の子キャラもぱっと思いつかないですし、もうちょっとこの状況は続くんですかね……?


~小春がものすごくいい女なんですが…~
 志村の奮闘が目立った5巻ですが、小春も負けてませんでした。なんだかやたらイイ女なんです。志村からもらったプレゼントを必死に探すところとか、もうそんなんちょっと意識してた男だったら完全に好きになりますやんっていう。


ハルキヨ0001
相手にその気持ちを隠さずに、すべてバカ正直に話してしまう所とか、いいなぁと。


 損得勘定とかなく、ただただ自身の良心に従う姿は本当に素敵だと思います。たぶんこういう性質は元から持っていたのだと思われ(志村の回想とか見るに)、普通のコミュニケーション能力さえいったん身についてしまえば、こんなに素敵な女の子の出来上がりだよ、と。そしてそんな魅力は峯田にも十二分に伝わっています…


ハルキヨ0002
だから峯田くんはかっこ悪いままでいてください


 これもまた、余計好きになりますやんっていう。さらにあざといのが、ここで器広く受け止める発言をした直後に、「もっと褒めてください」と甘えるモードに移ってバランス調整しているあたり。先のような発言ばかり終始していたら仏様なわけですけれど、たまにぶっこむから効果もテキメンなわけで。小春の末恐ろしさを感じたエピソードなのでした。


■関連記事
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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.02.08
1106472379.jpg佐藤ざくり「たいへんよくできました。」(1)



今日の私は人生初の
たいへんよくできました
だった気がする




■野々山ぼたんは、ひきこもりな人生を送ってきた女子。友達作り!恋もしたい!と寮付きの高校へ入学して華々しく高校デビュー……なんてできるワケなく、空回りばかり。でも、「友達なんかいらない!」と言い放つワケあり男子・甘藤くんとの出会いから運命が変わりはじめる!?

 「おバカちゃん、恋語りき。」や「マイルノビッチ」の佐藤ざくり先生の新連載になります。それではあらすじをご紹介。主人公は小中と引きこもって過ごしてきた女の子・野々山ぼたん。いずれも1年の時に登校拒否になったので、ほとんど学校には行ったことがありません。そんな彼女の唯一の楽しみは、自分でつくったぬいぐるみに話しかけること。けれどもこれだけじゃ虚しい……と、心機一転、寮付きの高校に入学し、華やかな高校生活をスタートさせようとします。友達たちに囲まれ、時には恋なんかしちゃったりして。。。と期待を膨らませるぼたんでしたが、そう簡単には事は運ばず、なかなか馴染めないままに日々は流れていくのでした。そんな彼女と最もよく絡みがあるのが、イケメンながら全く人をよせつけない甘藤くん。自分とは正反対の考えの持ち主である彼でしたが、何故だかぼたんと通じるところがあるようで。。。


たいへんよくできました10003
 佐藤ざくり先生の作品は、ヒロインがかなりハードモードな人生を送っている印象があるのですが、本作もなかなかにハード。過去の出来事もさもありなんですが、高校に入学してからも、純粋に友達を作りたいと思っているヒロインに対して、ちょっと性格に難ありな女の子たちからのアツい洗礼が。いやー、やさしくないですね。しかしながら、それを乗り越えてこそヒロインの魅力がより発揮されるわけで、安定の佐藤ざくり節と言いましょうか。またそういった出来事があるからこそ、相手役もヒロインを手助けしたくなりますし、距離もより縮まりますから。


 ヒロインのぼたんですが、小学校の時には男子にたくさん虫をプレゼントされたことがショックで登校拒否に、また中学の時には、学校で大人気だったサッカー部の先輩の告白を断ったところ、女子たちから無視されるようになり登校拒否にと、見た目はかなり可愛い方だと思われます(作中で言及ないのですが)。そのためひきこもりテンプレートな、暗い性格の地味めな子というわけではなく、むしろ見た目の良さが災いしてトラブルにみまわれたという、「日々蝶々」のすいれん的な子と言えるでしょう。そんな彼女の相手役となるであろう甘藤くんも、かなりのイケメン。1巻時点ではほとんど過去に触れられることは無いのですが、おそらくその見た目が災いしてトラブルに見舞われ、以来人間関係にうんざりし、人との触れ合いを拒否するようになったものと思われ、置かれていた過去はぼたんと同じなんじゃないかと匂わせています。


たいへんよくできました
 ヒロインはそんな過去を経て、より「友達が欲しい」「恋がしたい」と願うようになり、一方の甘藤くんは頑なに拒否しようとするという。相反する二人ですが、ぼたんの友達欲しいという思いは甘藤くんにも向けられ、甘藤くんもそれに少しずつほだされてくるという関係性を見せます。


 未だに「おバカちゃん~」の印象が強くて、そこからするとかなり絵がこなれていて驚くのですが、もう巻数も重ねているのだから当たり前ですよね。それぐらい印象深い作品だったのですが、本作がそのイメージを塗り替えてくれることを期待したいところです。さすがに長期連載を見据えており、1巻時点では情報が揃いきらないぐらいの進展度。巻数を重ね、ますます面白くなって来そうな予感がしています。

 
【男性へのガイド】
→相手役の性格や、ヒロインの周囲にいる性格きつめの女子たちは、男性にはややとっつきづらい所があるかもしれません。
【感想まとめ】
→一筋縄でいかないハードモードな学園青春物語ということで、爽やかさや気持ちよさはないのですが、そんな苦境に向きあい頑張るヒロインの姿に勇気づけられます。おすすめです。


作品DATA
■著者:佐藤ざくり
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] 2015.02.02
1106481739.jpgふみふみこ「神主さんと僕の彼女」



いさこのゆめは…



■有田神社の一人娘・いさ子は、神社の跡継ぎ候補として再会した幼なじみの雲居遥と突然、同居をすることに。何かと世話を焼いてくる過保護な雲居に困惑するいさ子でしたが、彼女を理解してくれる雲居と過ごす内に、本当の自分と向き合い成長していくのでした…。ふみふみこが描く、初の本格少女漫画!

 「ぼくらのへんたい」や「さきくさの咲くころ」のふみふみこ先生のYOU連載作になります。ふみふみこ先生ってマイナー誌で連載してるイメージが強くて、集英社のマーガレットコミックスで目にすることになるとは、かなり意外でした。では内容をご紹介しましょう。主人公は神社の一人娘・いさ子。日々気ままに生きていた彼女でしたが、神社の跡継ぎが登場することによって日常が大きく変化することになります。跡継ぎとなったのは、幼いころに一緒に過ごした年上の男の子・雲居。跡継ぎということで、同居をすることになるのですが、年頃の娘であるいさ子は大層困惑します。一緒に過ごしたとはいえ、いさ子は全く彼の記憶がありません。実質的に初めて知り合う男の人との同居生活。居心地の悪さはぬぐえません。しかも雲居はやたらといさ子を気にかけてきて、かなり過保護気味…なんだかペースを乱され気味な彼女でしたが…というお話。


神主さんと僕の彼女
コミカルに進みつつも、時折シリアスなシーンを入れて話を引き締めます。コミカルがベースにあるからこそ、こういったシーンも映えるという。


 少女漫画という位置づけで物語も一見恋愛メインに進んでいくのですが、本当に描こうとしているものは恋愛そのものではなく、もう少し根底的な何かなのだろうというのが、読んだ直後の素直な感想です。物語は雲居と神社で巫女としてバイトする男の娘・薫くんがいさ子を奪い合うという構図を取るのですが、当のいさ子は恋愛鈍感娘であり、雲居もどこか本意の見えないキャラであるため、恋の駆け引きでドキドキするといった要素は比較的薄め。むしろそういった表立った行動の隙間に見え隠れする、自分ですら気づいていなかった本当の気持ちや互いの慈しみあいにこそ、見所があるのかな、と。

 個人的に良かったのは、女の子同士の友情のフェーズでしょうか。個人的にふみふみこ先生はこっちのほうが主戦場という印象すらあるのですが、必要以上に説明はせず、それでも空気感や間で理解・納得させてしまうのはさすがと言ったところ。分量的に少ない中で、しっかりした濃度でストーリーを織り込んできています。

 一方の恋愛は、最後ふわっと終わってしまった感があり、Amazonのレビューで低評価が並んでいるのも、そういった所が起因なのかと思われます。確かにもう少し続いてもよかったかもしれません。一方で、序盤からの積み上げを見ても、こういう形で終わらせるのが最も納得感があるような気もします。謳い文句である「本格少女漫画」というイメージとのギャップですかね。そこは実際に読んだ方が、各々判断すればよいかと。

 
【男性へのガイド】
→ふわふわ感はまさしく女性向けという感じなのですが、一人の少女の成長譚として読めばまた違った印象もあり、そういったお話がお好きな方には良いかと思います。
【感想まとめ】
→ふんわり雰囲気で持っていかれた感はありますが、しっかりカタルシスは得られた気がします。ただ一方で、仮にふみふみこ作品をオススメするとなったらほかの作品を薦めるかなぁ。


作品DATA
■著者:ふみふみこ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックスYOU
■掲載誌:YOU
■全1巻
■価格:460円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.01.31
1106481733.jpg石田拓実「トライボロジー」(1)



絶っ対
あの人の研究室希望する!
決めた!




■【赤く灼けた金属】に胸ときめく工学系女子・野瀬ちなつ。そんな彼女が大学で所属することになった研究室には、個性的な男子がいっぱい!ひなつの大学生活は、一体どうなるの?

 「カカフカカ」(→レビュー)などを描かれている、石田拓実先生のCookie連載作になります。金属萌えの工学系女子ということで、ここ数年のトレンドである理系的要素を落とし込んだ大学生活グラフィティでございます。ではではあらすじをご紹介しましょう。ヒロインは表紙に描かれている女の子。幼いころから熱せられ赤くなった金属に言いようのない興奮を覚え、「鋳造がやりたい!」と工学部に進学したという経歴の持ち主。とにかく金属第一の彼女ですが、大学生活に期待するものはそれだけではありません。工学部は女子が少ないからモテるかも…そんな期待も少しばかり持って入学してはみたものの、金属への想いに勝る男子は現れず。そんな彼女に転機が訪れたのは、3年次の研究室への所属でした。たまたま訪れた先で鋳込みをしていた大学院生の先輩に胸ときめき(本当は鋳込みに胸ときめいた)、そのまま希望してその研究室所属に。金属も恋も一気に順風満帆に!?と思ったのも束の間、先輩含めてゼミメンバーは個性的でなかなか手ごわくて…というストーリー。

トライボロジー0002
鋳造+あこがれの先輩 でこんな感じ。こういう表情を見せるものの、ヒロインはかなりの奥手でかつ鈍感ということもあり、なかなか事はスムーズに進みません。


 研究室で繰り広げられる青春模様って大好物なんですよね。最近だと「海とドリトル」(→レビュー)や「長閑の庭」(→レビュー)など、もはや定番になりつつある研究室(ラボ)プラス的な物語。没頭すべき対象があること、そして閉鎖的な空間に、ある程度自由な時間、話題には事欠かず、恋も芽生えやすいというものです。実際私も経験あるので、色々と思い出すことも…。

 さて本作は工学部の研究室ということで、やはり男子比率が高めでございます。ヒロインは金属萌えとは言いつつも、学術的知識に長けているワケではないため、優等生かというとそうではありません。そのため先輩や同級生に助けられつつ、研究室での仕事をこなすという日々。これが一つ、交流の起点となるわけです。ゼミの主要人物は3名いますので、それぞれ少しずつ紹介を。

 まずは研究室所属のきっかけとなった、大学院生の先輩である守屋さん。無表情で心情が読みづらいところがある人物ですが、とにかくまじめで優しい性格が行動からにじみ出ているような男。研究大好きで、そのほかのことには割と無頓着です。そしてそんな彼と同学年で、アパートも隣室という仲良しさんが、白長谷先輩。彼は守屋とは対照的に、チャラめの風貌で察しの良いタイプ。研究室では指導担当として大学院の先輩が付くのですが、ヒロインのひなつの指導担当は彼が務めます。そして最後は、同い年の男の子・後岡。非常に飄々とした性格の彼、なぜか女装してます。しかもかなり可愛いという。言葉遣いや仕草は男性そのもので、さらに研究室に所属する前は普通に男の子のかっこうをしていたという謎っぷり。人付き合いが苦手で、異性はやはりハードルが高いというひよりにとっては、一番頼りやすいゼミメンバーです。


トライボロジー1-10001
女装男子・後岡くん。一人称は“俺”であることからわかる通り、格好こそ女の子ですが、中身や振る舞いは完全に男です。その飄々としたキャラから、こんな感じですけど普通にゼミにはなじんでいるという、不思議だけど魅力的なキャラです。


 鋳型に関する解説はあるものの、メインテーマとしてがっつり扱う姿勢ではなく、あくまでコミュニティとして研究室を描きます。そのため主軸となるのは恋愛だと思うのですが、ヒロインがかなり奥手で人間関係の造成に消極的であるため、お互いの矢印がうっすらと見えだしたというレベルに留まっています。ヒロインは最後までこんな感じな気がするので、周りのメンバーが活発に動いて物語が転がっていくのではないでしょうか。現時点で一番の期待株は、女装男子の後岡くん。いや、この回りくどく健気な独特のアプローチ素晴らしいですわ。応援してあげたくなる子ですよ。

 独特の空気を醸し出すマイペース男子たちに翻弄されつつめぐる恋愛模様ということで、石田拓実的な要素が多分に含まれた物語だと思います。「カカフカカ」を読んで良かったと思った方は、こちらもまず間違いなくイケます。また石田先生というと、ちょっと生々しいエロというイメージがあるのですが、本作はまだそういったエッセンスは匂わせず。ただ大学生ですし、ゆくゆく出てくるんじゃないかと期待してみます。1巻時点で盛り上がっているかというと、決してそうではないのですが、準備状況から2巻以降面白くなる予感がかなりしており、早くも発売が待ち遠しいという状況。

 
【男性へのガイド】
→理系大学の研究室ということで、とっつきやすいフィールドではあると思います。恋愛要素がどういう形でどれだけ投入されてくるのか現時点では判然としないので難しいところですが、このある程度距離を置きつつの関係形成は、男性が読んでいても胸焼けはあまりしないんじゃないでしょうか。
【感想まとめ】
→理系的ワンテーマ、研究室、女装男子…好きなやつですわ、ツボです、ツボ。気になった方は、とりあえず試し読みを…


作品DATA
■著者:石田拓実
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックスCookie
■掲載誌:Cookie
■既刊1巻
■価格:419円+税


■試し読み:第1話

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Tag [続刊レビュー] 2014.11.12
1106451769.jpgやまもり三香「ひるなかの流星」(11)



なんでこんなに
胸がざわざわするんだろ




■11巻発売しました。
 獅子尾からの突然の告白に戸惑うすずめは、その言葉を信じず、馬村との距離を縮めようとします。運動会になり、リレーで直接対決をすることになった獅子尾と馬村。すずめが応援するのはどっち!?


~獅子尾の悪あがき~
 11巻です。どうも次が最終巻になるみたいなのですが、最後の追い込み的に状況が慌ただしく動いています。ようやっと付き合って、これから少しずつ愛を育んでいこうとしているすずめと馬村ですが、付き合いたてのドキドキ感はさほど感じられず、むしろ不穏な動きを見せる獅子尾に気を揉むという可哀想な状況です。運動会(高校だと体育祭とか言いませんでしたっけ)も神の見えざる手が機能しまくりでして、おあつらえ向きにリレーで馬村と獅子尾がぶつかるという。

 ここはなんとか馬村が勝ちをおさめるのですが、その後すずめが怪我をして保健室で二人きりというまたまたおあつらえ向きなシチュエーション。獅子尾はここぞとばかりに、自分の想いを伝えようとします。が…


ひるなか11-2
すずめの抵抗


 ナイスセーブ!すずめさん、言わせないという素晴らしい守備を見せました。二人で必死に守ります。二度に渡って頑張った二人ですが、それでも拭いきれない不安感。なんというか、これらが取りようによってはフラグに見えて仕方がないんですよね。本当に安定していれば意にも介さないわけですが、そうじゃない様子がありありと見て取れるわけで、もうひと押しぐらいされたら崩れそうっていう。



~12巻はどんな着地を見せるんでしょう~
 さて、12巻はどういうルートを経て着地するのでしょうか。少なくとも確定であろうイベントは、獅子尾はどんな形であれ自分の想いを伝えるであろうということ。というか、これが一番の山場になるんだと思うのですが、一度想いを伝えることを阻んでいるという過程を考えると、嫌な予感は募るという(笑)

 ここで再度跳ね返せれば馬村と幸せに。ここで揺らいだりすると、大人な馬村(というかすずめのこと最優先の馬村)は、自ら身を引いちゃうんじゃないかなぁ、とも。これまでの姿を見ていると、獅子尾よりも俄然馬村の方が大人というか、分を弁えている感じがあるんですよね。その分勝負弱い感が、、、ってここまでの文章振り返って、スポーツの話でもしているのかっていう。いやでもそのくらい、手に汗握る展開だという。

 馬村エンドというルートを考えると、「獅子尾への想い(思い出的なものも含め)を断ち切れるか」と「真に馬村のことを好きになるか」が条件になると思うのですが、これをクリアするイベントってどんなのがあるのでしょうか。馬村との関係は時間をかければかけるほど強固なものになっていくとは思うのですが、すぐにバシっと想いが強くなるものかと言われるとよくわからないですし。獅子尾との気持ちを断ち切ろうにも、これだけ周りでうろちょろされたらなかなか傷は癒えないですから、これまたどうなんでしょうという。かと言って獅子尾ってのもなぁ、、、という。

 なんだか不安だらけのカップルですが、このシーンにすべてを懸けたいところです。


ひるなか11-1
私をはなさないでね


 このまますずめを離すことなく、幸せな結末と相成ることを願っています。決戦の地は沖縄、12巻は春の手前の2月末に発売予定です。 



【関連記事】
作品紹介→みんな自分だけの流れ星を探してる。:やまもり三香「ひるなかの流星」1巻
2巻レビュー→片想いが重なる高一の夏:やまもり三香「ひるなかの流星」2巻
3巻レビュー→馬村くんが不憫すぎる件:やまもり三香「ひるなかの流星」3巻
4巻レビュー→元カノのフォローパスが決勝点に?:やまもり三香「ひるなかの流星」4巻
5巻レビュー→ひとつの恋の成就とひとつの恋の終わり:やまもり三香「ひるなかの流星」5巻
6巻レビュー→馬村の成長記ではないのですが…:やまもり三香「ひるなかの流星」6巻
7巻レビュー→苦い思い出の“お泊まり”:やまもり三香「ひるなかの流星」7巻
8巻レビュー→大チャンスをモノに出来るか。:やまもり三香「ひるなかの流星」8巻
9巻レビュー→好きだからだろ!:やまもり三香「ひるなかの流星」9巻
関連作品紹介→「シュガーズ」
10巻レビュー→僕は君のもの:やまもり三香「ひるなかの流星」10巻


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