
この学校で
この場所で
わたし青春するんだ!
■昔から転校続きの陽芽は、今度こそ落ち着けそうな高校で青春を満喫しようと胸いっぱい。その名も「セイシュンノート」に、やりたいこといっぱいかきためてます。実現したら、1個スタンプを押すのです!でも、友達づくりになれてないから今度の学校でも早速失敗しそうに……。ひょんなことから助けてくれた近江の力を借りながら、恋に友情にスタンプをいっぱい集めたい!!
「ビビッドチェリー」(→レビュー)などの綾瀬羽美先生の別マ連載作です。「ディアマイガーディ」などこなれた作風で、長期連載作品を是非とも読みたいと思っていたのですが、ついに巻数付きの単行本が発売されました。「セイシュンノート」というタイトルですが、文字通りセイシュンノートなるものが登場する、とある女の子の学園生活を描いた青春ストーリーとなっています。ではでは、あらすじを紹介しましょう。
ヒロインは転校続きで一人も友達がいない陽芽。2年生になって少し経ったところで、新たな学校へと転校してやってきました。マンガやドラマの影響からか、「友達」「青春」というものに人一倍強い憧れを持っている陽芽。「今度こそは友達を作らないと」と気負う彼女は、のっけから話しかけて来てくれた女子のクラスメイトに「友達になってください!」と宣言し、プロフ帳を書いてもらうようお願いします。けれどもその勢いが悪い印象を与えたのか、あえなく撃沈。前途多難な予感がする中、陽芽に声をかけてくれたのはクラスの男子・近江。「かくれが」と呼ばれる空き教室で、近江とその友達・坂宮、そしてひょんなことから仲良くなったクール美少女・潤花と共に、青春の思い出作りを手伝ってもらおうとするのですが、、、というお話。

最初の「友達になってください!」という叫びや、ちょっとした触れ合いがあっただけでめちゃくちゃはしゃいだりとか、こうなんでも120%に捉えてくる所から受ける印象は「怖い」「きもちわるい」というもので、故に孤独は加速するという悪循環。イメージ的に近いのは、「恋愛ラボ」の真木とかですかね。あんなにアホじゃないんですけど、ちょっと引くレベルっていう。
「セイシュンノート」とは、ヒロインが書いている、やってみたい青春的な行動リスト。思い立ったら書いており、日々その項目は増え続けています。例えば『お昼ごはんを一緒に食べる』とか『買い食いしながら帰る』とか、学校生活で普通にありそうな項目から『ピクニックをする』なんていうちょっとよくわからない項目まで様々。達成できたらスタンプを押していくのですが、まだ一つも埋まっていません。かくしてどんどん「青春」への憧れを膨らませていくわけですが、捌け口がないためにそれが気負いに変わり、結果それが彼女を暴走させることになります。
そんな彼女を受け入れたのが、近江と坂宮という男子2人。近江はクールで人嫌いな気難し屋。けれども意図せず空気を察してしまい、かつ困っている人を放っておけないという優しさも持ち合わせているため、一人で困るヒロインを捨て置けないという感じ。坂宮はイケメンで女好きのチャラい男の子で、集団の中で会話を弾ませるなど潤滑油的な役割を担います。そしてもう一人、美少女の潤花はローテンションでサバサバした性格。男子にちやほやされるものの、それが周囲の女子は気に食わないらしく、割と孤立しがちです。そんなところが馬が合ったのか、ヒロインが半ば強引に友達認定をし、以降付き合っているという感じ。男女4人の青春物語というのはオーソドックスな組み合わせですが、集団で見てみたときに、坂宮と潤花は割とゴーイングマイウェイで、纏まりはそんなに感じられません。だからこそヒロインを入れても集団を保っていられるのだと思います。

普段は冷たいものの、面倒見はよい近江。彼がヒロインの相手役になります。このヒロインと対峙できるってのは、なかなか懐が深くないと難しいと思うのです。
物語は陽芽がやりたいことをあれこれと提案して、それに乗っかったり乗っからなかったりして展開していきます。暴走しがちな1人と、それを制する1人と、とにかく受け身な2人という感じのパワーバランス。序盤こそ「変な子」という感じの陽芽でしたが、他人との間合いの取り方をなんとなく学び、それぞれの立ち位置が確立できた中盤以降はだいぶ「普通の子」という感じに。
1巻はいわゆる「友情」という青春の土台構築で、1巻終わりごろにようやく恋の匂いが出てきて2巻以降展開していくという流れでしょうか。つまるところまだ準備段階という印象が強く、真価は2巻に発揮されるのではと思います。近江以外の2人についても描かれてくるでしょうし、潤花はまさに好きな脇役を地でいってますので、個人的にここも期待したいところです。2巻、楽しみですね。
【男性へのガイド】
→不自然な青春の形式を、素敵男子の手によって自然な形になっていくという流れは、恋愛色が強くないと言えどやはり女性向けの側面が強い内容なのかと思います。ともあれ鼻につくキャラ達ではないですし、みんな魅力的なので、ハードルは高くないと思いますよ。
【感想まとめ】
→本文に書いたように、本当に魅力が出てくるのは2巻からですかね。恋愛色が強くなったときどうなっているのか、気になります。
作品DATA
■著者:綾瀬羽美
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税
■試し読み:第1話
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