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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2012.02.06
1106090115.jpg梅田阿比「ブルーイッシュ」(1)


少し意識を変えれば
…世界は違って見えたりする



■人の思念・記憶を吸い込む、テレパスの亜生。直接触れずに物を動かすことのできる、サイコキネシスの綸。そして、自分を他の誰かのように幻覚を見せることのできる少女・知那。両親を亡くし、血もつながらない彼らは、「できそこない」のサイキッカー3兄妹で…!?せつなさとはかなさが絡み合う、センチメンタル・ストーリー登場です。

 週刊少年チャンピオンにて「幻仔譚じゃのめ」を連載していた梅田阿比先生の、プリンセスでの連載作になります。「幻仔譚じゃのめ」は全巻購入しているものの、未だ未読の状態にあるので(どういうことなの…)、これが初めての梅田阿比作品となります。本作で描かれるのは、できそこないのサイキッカーの少年少女3兄妹。人の思念を読み取る亜生に、物を触れずに動かす綸、そして自分を誰かのように幻覚を見せることのできる知那。元々は血のつながっていない彼らは、両親に養子として引き取られるも、今は死別したったの3人でボロボロの洋館に暮らしています。3人とも中学校に通ってはいるものの、その能力のおかげでクラスにはあまり馴染めず、いつも一緒に行動。そんな自分達を「できそこない」だと自認している彼らですが、様々な出来事を通して、自分たちの存在価値を再認識していく、そんなお話となっています。


フ#12441;ルーイッシュ
パッと見兄妹とはわからない。血がつながっていないので、見ためも性格もてんでバラバラです。


 3兄妹でありながら、全員血がつながっていないということから、それぞれ見ためも性格もバラバラ。長男としての役割は、黒髪の男の子・亜生。色白黒髪サラ毛ショタが背負う運命とも言うべき身体の弱さを持っており、相手の思念を吸い込みすぎると途端に倒れてしまうという虚弱キャラ。その分優しさと寛容さに満ちあふれたキャラクターになっているのですが、ある意味一番手のかかる子とも言えるかもしれません。弟的なポジションは、茶髪の綸。こちらは逆に元気と力が有り余っている感じで、いつもサイコキネシスが暴走して物を壊してしまう感じ。これまた手のかかる弟キャラです。そして紅一点・知那が妹&姉。割と一番まともなイメージのある彼女は、普段はアイドル的な姉という感じ。けれども、超能力で化けた相手のことを段々と忘れていってしまうという、強い副作用があるために、その実最も放っておけない存在。それぞれにどこか欠点や弱さを抱える3人は、それぞれに自分の長所を生かしてその穴を埋める関係にあり、「似ている弱さを抱えるが故に共感して依存関係に陥る」というような不健全な関係とは異なる依存関係を築いています。個人的には黒髪サラ毛ショタということで、亜生くん一択です、はい。
 
 最初は3人の中で閉じているギブ&テイクの関係も、物語の進行と共に広がりを見せていくようになります。たまたま出会った人を通して巻き込まれる出来事で、ちょっと勇気を出して自分達の力を使い解決へ。「できそこない」であった彼らの自尊心が、段々と回復していく様子が垣間見えます。1話ごとに完結していくスタイルで、そのたびに救いを用意。またそれと同時に、彼らがどうしてこの屋敷に集められたのか、最初は明らかにされていない謎が徐々にわかっていき、物語の大きな枠も明らかになっていきます。少年誌で週刊連載をしていた実績もある通り、物語の作りやまとめ方はさすがに上手で、読んでいて安心感があります。喜びと悲しみのバランス感もちょうど良く、多くの人にとって読みやすい作品に仕上っているのではないでしょうか。少女マンガと言いつつも、恋愛要素は皆無と言ってよく、割と低年齢向けの男女両方をターゲットにした良作という感じを受けます。もちろんオススメ。


【男性へのガイド】
→少年誌での連載作とのギャップ等は読んだことないので語れませんが、少女マンガ作品全体の中で見てもこれは割と男性でも受け入れやすい作品だと思います。優しいお話ですね。
【感想まとめ】
→「幻仔譚じゃのめ」も読まないと…!表紙やタイトルから、どこか仄暗い感じのお話なのかと思っていたのですが、そこにはしっかり光が差すので暗さはあまりありません。都度都度救いを提示してくれる良い作品だと思います。


作品DATA
■著者:梅田阿比
■出版社:秋田書店
■レーベル:プリンセスコミックス
■掲載誌:プリンセス
■既刊1巻
■価格:419円+税


■購入する→Amazon

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Tag [オススメ] 2011.12.10
1103003601.jpg久住昌之/水沢悦子「花のズボラ飯」


うっまーっ!
このうまさには大森貝塚やむを得ず!!



■単身赴任中の夫を持つ三十路嫁・駒沢花(30)。ズボラなところが長所か短所か。夫のいないその寂しさを埋めるように、本屋雑誌のタワーが詰み上がり、足の踏み場もないほどに部屋は散乱していたのでした。寂しくなるのは心だけではありません。お腹も減ってくるものです。今日も今日とて作るのは、ズボラな主婦にもすぐできるズボラ飯!かわいくって、おかしくって、でもちょっぴり寂しいときもある、一人暮らしの主婦による「孤独のグルメ」、堂々登場!

 このマンガがすごい!2012オンナ編第1位おめでとうございます!発売直後から話題になっていましたが、女性向け1位は予想してませんでした。というのも原作者が「孤独のグルメ」の久住昌之さんですし、作画がどう見たってコミックLOのうさくんということで、完全に男性向けの作品だと思ってたという。ちなみにこちら、秋田書店にて刊行しているエレガンスイブという雑誌で連載中です。正直全く知らなかったのですが、今日マチ子先生がいたり、施川ユウキ先生がかつて連載していたりと、なかなかコアな連載陣となっているようです。なおWikipedia曰く、読者対象「大人の女性」とのことで、結局どの辺の年齢層がターゲットなのかよくわからないという状況にあります。
 
 さて、本作はタイトルの通り、ズボラ飯なるものがテーマに描かれていきます。ズボラな人でも作れる料理とか、ズボラな作り方でOKな料理とか、そんなイメージでしょうか。ヒロインは夫(ゴロちゃん。「孤独のグルメ」のゴローと関係があるかは不明)が単身赴任中で、現在一人暮らし中の主婦・花。元々ズボラな性格であるため、一人暮らしの風景はなかなかにヒドい。部屋は汚れ、パンイチで雑誌読みながらゴロゴロ…なんてこともしばしば。けれども食事に関しては自炊することにこだわりがあり、だからといって長時間下ごしらえなんてことはする元気はなく、結果折衷案でズボラ飯が生まれるという形です。


花のス#12441;ホ#12441;ラ飯1
ズボラ飯はある種アイデア勝負。変な所であきらめがわるいのもズボラな人らしいというか。鍋にこびりついたカレーだって無駄にしません。


 じゃあ実際ズボラ飯ってどんななの?って話なのですが、ちょっとそのメニューを見てみると…鮭フレークとマヨを混ぜてパンに塗ってトーストにするとか、野菜たっぷりのサッポロ塩ラーメンとか、お味噌汁にかんずりを入れて上手さ倍増とか、コンビニおにぎりにちょっと加えてお茶漬けに…とか。こう書いていると割と普通な感じなのですが、実際マンガで絵的に見るとなかなかの破壊力。料理の描写に加えて、花のオーバーすぎるとも言えるリアクションがまた食欲を誘います(若干性欲も喚起されるような気がするのは気のせいですか?) 特に深夜にふと読んじゃったりすると、割と家にあるもので再現できちゃいそうなラインナップだけに、「お腹減った…ちょっと作ろうかな…」なんてことになって体重増加必至です。


花のス#12441;ホ#12441;ラ飯1-2
絵面はちょっと汚いです。その汚さも含めてズボラ飯の美味しさ。ズボラ飯にお上品さはいらないのです(というか多分そういう風には描けないんじゃなかろうか)。


 個人的に一番食欲そそられたのは、6皿目のキムチチャーハンでしょうか(上の画像)。辛いのが苦手なので実際作って食べるなんてことはしないのですが(ダメじゃん)。フライパンを熱してから、材料をどんどんと投入していき、一気に食べる(その間1.5頁)までの勢いが凄まじく、何度見ても無駄にお腹が減ってきます。なお各話のタイトルは料理名ではなく、○皿目であり、サブタイトルに登場する材料が全て載っているという親切(?)仕様。あなたも読んで食欲をそそられたら、サブタイトルを見て再現してみては?
 

【男性へのガイド】
→男性向けだと思ってたくらいですから。無駄に入浴シーンが多いのはわざとですか?
【感想まとめ】
→レビュー書いてたらお腹へって来たのでご飯食べてきます。


作品DATA
■著者:久住昌之/水沢悦子
■出版社:秋田書店
■レーベル:花のズボラ飯
■掲載誌:エレガンスイブ
■既刊1巻
■価格:900円+税


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Tag [続刊レビュー] 2011.11.07
作品紹介→*新作レビュー* 高殿円/藤丘ようこ「神曲奏界ポリフォニカ~エターナル・ホワイト~」
2巻レビュー→ヤンデレなプリムローズ嬢が素敵すぎる:高殿円/藤丘ようこ「神曲奏界ポリフォニカ エターナル・ホワイト」2巻
3巻レビュー→美味しそうに食べる女性って本当に素敵だと思うんです:藤丘ようこ/高殿円「神曲奏界ポリフォニカ エターナル・ホワイト」3巻
4巻レビュー→契約申し込みは告白みたいなものだ!:高殿円/藤丘ようこ「神曲奏界ポリフォニカ エターナル・ホワイト」4巻




1106079716.jpg高殿円/藤丘ようこ「神曲奏界ポリフォニカエターナル・ホワイト(5)



何かがつながる
ずっと昔
春の雪の中で感じたぬくもりと…



■5巻発売、完結しました。
 不安と猜疑心を深めブランカとの契約を解除したスノウ。そんな彼女に、ついに本性を現したミナギの罠が襲いかかる。再び訪れた精霊島の危機に、スノウとブランカは…!?人と精霊の絆を描くドラマチック・ファンタジー「インフィニティ・ホワイト」編、完結!!
 
 
~完結だそうです~
 5巻にして完結と相成りました。描かれたのはブランカとの絆であったり、ミナギの想いであったりと様々。物語として一応完結の格好とはなっているものの、プリムローズ嬢についてはぶん投げっぱなしであったり、ミナギもミナギでバッドエンド臭を漂わせながらのラストと、なんだか消化不良というか、「多分原作はもっと色々描かれているんだろうなぁ」なんて思わされた最後でした。気になって原作を…という狙いが少なからずあるのだとしたら、まんまと乗せられているわけですが。。。さて、そんな中ひと際存在感を放ったのが、スノウとブランカ…ではなく、前回もご紹介したストーカー精霊・リシュリーでした。
 

 周りに焚き付けられながら、ついにジョッシュとご対面、今までのことを彼に話したのでした。もちろん、特別な感情を持っていてそれが抑えきれないことは隠したままに。ここからは恥じらいつつの可愛いリシュリーが見れるのかな…と思いきや
 


神曲奏界ホ#12442;リフォニカ5-1
クソ竜がああああ


 テンション上がりすぎちゃった(てヘペロ☆)。この後も「くたばりなさい」とか「トカゲ野郎」とか、暴言連発。意外と切れると見境なくなっちゃうあたり、この辺もなんだかストーカーチックというか、ちょっとヤンデレ気質ですよねっていう。早々にドン引かれる姿を晒してしまったわけですが、当人も後からそれを自覚。騒動が一件落着した直後、一目散に逃げ出してしまいます。このギャップが危うげでよいよい。しかし今回は最終回ということで、それだけでは終わりませんでした。「ここでちゃんと気持ち伝えんかい!」的に姉(突如登場して大活躍)が助け舟を。自ら気があるように見せかけて妹を焚き付けると…
 

神曲奏界ホ#12442;リフォニカエターナルホワイト5-2
イヤッッホォォォオオォオウ!


 これはかわいい。誰がなんと言おうとこれはかわいい。見境のなさが、いい方向に出た形となりました。めでたしめでたし。なんて幸せ者なんだジョッシュ。しかしこのあとジョッシュは衝撃のですね。。。真面目というか真面目というか、真面目というか。「罪を洗い流せた」と言って来てくれた子を、さらに待たせる罪な男でございます。もうほんとエピローグとかもジョッシュとリシュリーが一番最終回っぽかったというか。何気に美しく纏まっていたなぁ、と。この二人がいなかったらもうちょっととっちらかったイメージを持っていたかもしれないです。

 

~バトル展開がメイン~
 5巻はミナギの策略をきっかけに起こる物語の山場ということで、終始バトル展開になっていました。ファンタジーということで、これも一つの形なのかもしれませんが、割と不思議な力を使っているので状況としてどうなっているのかよくわからんというのもあったり。「07-GHOST」とか群青先生の「橙星」とかも割とバトル状況わからんという感じだったのですが、それを思い出しました。ファンタジーを読む以上、それを読み解く力ももちろん必要なのですが、私の場合なかなか向上してこないです。小さい頃バトルものって本当に苦手で、だから少年漫画じゃなくて少女漫画に流れたっていう過去があったりするのですが、その時に触れてなかったのが割と今にも影響しているのかな、なんて思ったりしました。


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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.07.24
1106047215.jpgアサダニッキ「青春しょんぼりクラブ」(1)


やっかいな恋しかできないやつには
冷静な他人がそばにいてくれるのは
いいもんだよ



■好きになった男子が、ことごとく自分の目の前で彼女を作ってしまうというジンクスを持つ少女・桃里にま。恋愛不成就率・100%という驚異のハイスコアを誇る、超絶当て馬体質の彼女に声をかけたのは、何やら怪しげな活動を行っている「部」。部長である三刀屋依子によれば、その集まりは「他人の恋愛を観察・研究する」という。そんな部に、幸か不幸かその資質を見出されたにまは、なんだかんだでその部に所属することになってしまうのですが…!?

 アサダニッキ先生の初単行本になります(多分)。同人での活動歴はあるようですが、商業はこれが初めての単行本のはず、きっと。というわけで「青春しょんぼりクラブ」のご紹介です。これ最初書店で見かけたとき、プリンセスの単行本だということ全然気がつかなくてですね、その清々しい色使いの表紙絵の他に、背表紙も通常のプリンセスコミックスとは異なった青をベースとしたデザインで、「秋田書店もこういうことするのかぁ。。。」とちょっと驚いた覚えがあります。そして中身を読んでさらにビックリ。これが初とは思えないほどに熟れた、そして面白い作品に仕上っていましたよ!(ちょっと興奮気味)
 
 物語の主人公は、驚くほどの当て馬体質を持つ女子高生・桃里にま。彼女が少しでも好意を持った相手は、例外無く数日以内ににま以外の彼女が出来てしまうというジンクスがあり、これまでに彼氏は出来た事がありません。もはやそれは、恋愛の神様として他の女子に崇められるレベルにまで達しつつあり、余計ににまを苦しめるという状況。そんな彼女に目をつけたのが、学園長の娘で何やら怪しげな行動を取る女子・依子。今日も今日とて恋愛不成就したにまに対し、「お見事!!」と言い放ち、さらにはとある“集まり”に勧誘されます。その“集まり”とは、「他人の恋愛を観察・研究する」というちょっと変わった部活動。他人の恋愛観察に余念がない依子をはじめ、女装する美少年や二次元にしか興味のないイケメンオタクなど、変人揃いのその部活に、何故かにまも加わることになるのですが…というお話。



青春しょんぼりクラブ1
ベースはコメディ。しょんぼりコメディとでも言いましょうか。当て馬体質というのは、他人からすれば非常にありがたい存在であるわけで。にまちゃん、私の前にも現れてくれないですかね。


 「他人の恋愛を観察・研究する」というわけのわからない名目であるにもかかわらず、そんな部活がまかり通っているのは、部長である依子が学園長の娘であることから。半ばサボり場・ダベリ場・たまり場として機能しているその部室ですが、所属するメンバーは、確かにこの部活に所属するに相応しい恋愛体質をお持ちの方々。部活に所属したことを皮切りに、物語は序盤、それぞれの恋の在り方を中心に展開していくことになります。
 
 最初はもちろん、ヒロインになんとか恋人ができるようにと動くのですが、その過程で、メンバーの恋愛の方も明らかに。部長の依子は、こんな部活を立ち上げるキッカケとなった理由と、不意に落ちてしまった叶う事のない恋について、また麗しの女装男子である隠岐島武が、なぜそんな格好をするようになったのか。どちらも成就しない想いを抱えており、恋愛に関しては恵まれていません。残る一人のイケメンアニヲタ・簸川くんも、二次元キャラに恋している時点で、両想いになることはないわけで、これまた成就しない想いを抱えていると言えなくもありません。要するに所属メンバー全員が、恋愛に関しては芳しくないわけで。そんな彼らが、それでも前向きに恋愛していく青春の様子が、本当に甘酸っぱくてそして面白い!


青春しょんぼりクラブ1-2
一人で思い悩む必要はない。辛い事があれば相談したりぶちまけたりすればいいし、暴走を止めてくれたり、盲目気味な恋の道中、第三者の存在ってのは結構ありがたいんだよ、特に不器用な人たちにとっては、というのが根底にあるような気がします。越える所は自分で越えなきゃですが、その地点に立つのすら難しい子達が揃っているので。


 こういったあらましだけを書いていくと、どうしても切なかったり辛かったりという感じが強く出てしまうようにも思えますが、ベースは学園コメディであり、非常に賑やかで脱力感のある、非常に親しみやすい青春もの。また絵の雰囲気も描きこみすぎず、シンプルすぎずで、耽美さ溢れるプリンセスの中にあっては、こちらもまた非常に親しみやすいのではないでしょうか。
 
 なんだかんだで皆さん美男美女で、モテる素養はある人達なんですよ。それでもどうにも上手く恋愛できないのは、それぞれに弊害となる理由があるから。基本的にはそれぞれが自分の中に壁を作ってしまっていて、肝心なところでブレーキを引いてしまう、タイミングを逃してしまう…という形になっており、今後はそれをどう取り払うかというところが焦点となってくると思われます。皆々不器用で、そう簡単にはいかないのですが、その不器用さに苦しむ姿もまた、青春っぽさが溢れていて、非常に好感がモテるのですよね。全然関係ないですが、自分もちょっと当て馬体質があるところを自覚しているので、他人事にはなかなか思えない登場人物たちに、ガッツリ心掴まれたというのも、この作品を楽しめた要因の一つになっているかもしれません。長々と書きましたが、オススメですよー。これは是非ともチェックを。


【男性へのガイド】
→男性も楽しめるんじゃないでしょうか。レビューサイト周りでも、男性で買ってる方結構いるのですが、皆々評判良いですよ。
【感想まとめ】
→これは面白かったです。表紙から受けた期待感以上の、良き青春コメディを繰り広げてくれました。こういうオーソドックスなのがたまに出たりするから、プリンセスは面白い。オススメです。


作品DATA
■著者:アサダニッキ
■出版社:秋田書店
■レーベル:プリンセスコミックス
■掲載誌:プリンセス(連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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Tag [続刊レビュー] 2011.06.14
作品紹介→軽妙なストーリーに思わずにんまりの、新感覚ブリリアントファンタジー:木々「天然王子の宝石箱」1巻



1106036961.jpg木々「天然王子の宝石箱」(2)


精霊がいるのなら
美しい夢を
見させてくれますように



■2巻発売です。
 少し前までの俺は、これといってフツーな毎日を送っていて、単調で退屈だと思っていた。でも、16歳の誕生日にそれは崩れはじめた。見知らぬ老人に手渡されたピアスが、勝手に耳に挟まって取れなくなり、そのピアスの精霊だとか言うヘンな物体が、俺を貴石の王子だとか良い出し、実際それからあちらこちらで宝石の精霊とやらが見えるように…。ほら今日も、関わりたくもないのに精霊が目に…


~なんともユルおもしろい~
 久々の2巻発売ですよー。大判で、しかも秋田書店の作品ということで、かなりマイナーな印象のある本作ですが、非常にゆる面白いのですよ。刊行ペースが遅いのも相まって、なかなか話題になりにくいのですが、私は地道にPR致しますよ。というわけで、2巻です。今回も相変わらずゆるい…というか主人公に危機感なく進行していきます。そのマイーペースっぷりが王子っぽくてイイ!なんていうか、王子っぽいのですが、どちらかというと残念な王子ですよね、つばめくん。シスコンだし(そこか)。それにどう考えてもヘタレだし、やたらと親しみやすくて。でも容姿は良くて、そして鈍感…くそうやっぱり王子だい!


~恋する女の子が呼び込む災難~
 さて、そんな鈍感な王子のことを好きになってしまった子が、今回登場します。すごく地味。これまでの登場人物の描写から、皆々登場するキャラクターは派手目なのかと思ったら、ちゃんとクラスでも目立たないような感じが伝わる容姿の子なんですよこれが。そしてその想いを、自分の持っている石に伝えるなんて、女の子らしくて素敵ではないですか!そして数少ない、話すチャンス。そこでのつばめくんの言葉に…
 
 
天然王子の宝石箱2
もう、なんてことない言葉も嬉しくて、赤面。これ絶対そのままナースさんになっちゃいますよ、もう。


 これだけ見ていれば、すごく可愛らしい、恋の一幕で終わるわけですが、もちろんそうは問屋が下ろすわけがなく。願いを聞いた石の精霊が、暗躍してしまいます。「想いが届く」 なんていうとステキな話ではありますが、そこに「石の意思」(ダジャレではないです)が挟まれることによって、変な方向に行ってしまうという。そうそう、今回面白かったのが、宝石を再加工したことによって、精霊がちょっと変化したというところ。精霊というのは、元々その宝石に宿っているというだけではなく、加工の仕方や相性によって、如何様にも変化するのだな、と。宝石に魅力を見出すのは、地球上で人間だけだと思うのですが、ゆえに宝石側からしても、人というのは対峙すべき特別な存在であるわけで、二つの要素が絡まり合って、結果精霊が形作られるというのは、すごく納得がいきました。 


~脇役がどう絡んでくるのか~
 さて、2巻ではかなり花園さんが活躍します。後半には、何やらちょっとすごいことをしていたりと、益々楽しみなわけですが、これつばめくんとの恋愛展開はあるのですかねぇ。見た感じロン毛のクラスメイトの方がまだ脈有りな気がしないでもないですが。というかこのロン毛の友人・晃平くんも、なんだかつばめに似て女性っぽさがあるというか。いや、性格はすごく男っぽいのですが、髪切らないですし、何よりお見舞いで貴石を持ってきちゃうとか、なかなか高校生の男の子がすることじゃないような。宝石がテーマのお話なので、さらっと受け入れていましたけれど、これってなかなか…(ごくり)なんて、これが今後の物語のキーになりそうな予感。さてさて、どんなお話が待っているのか、きっと3巻は来年でしょうが、楽しみに待ちたいと思います。



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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。