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Tag [続刊レビュー] 2012.02.12
作品紹介→*新作レビュー* 勝田文「ちくたくぼんぼん」
2巻レビュー→こんなにも素晴らしい物語が読める幸せ:勝田文「ちくたくぼんぼん」2巻




1106102246.jpg勝田文「ちくたくぼんぼん」(3)


世界はいつだって君のおもい通りに進む
きっと大丈夫だ



■3巻発売、完結しました。
 三五が突然姿を消してしまい、イワに残された時計は止まったまま…。時計を動かしたいと、三五を探すイワの前に現れたのは…!?昭和乙女のちくたく初恋物語、感動のフィナーレ!!
 

~とにかく痛快、素晴らしいお話だった~
 3巻で完結しました。毎年1巻づつ、ゆっくりゆっくり進行してついに。いやー面白かった。もうとにかく痛快。この作品以上に、この言葉が似合う作品に今まで出会ったことがありません。動きがあって、バカらしくて、けれども人間味溢れていてロマンチック。この時代ならではのロマンがしっかりと息づいた素晴らしい作品だったと思います。ああ、誰か舞台化とかしてくれないだろうか。なったら絶対面白いと思うんだけどなぁ。
 

~秘宝はいただいた!~
 さて今回一番の見せ場は、病院での一幕でしょう。正直このシーンが素敵すぎて、その後の残り半分くらいがやや霞んで見えたくらいでした(笑)三五に会って、止まってしまった懐中時計を直したいイワ。三五をなんとか捜し出すことはできたものの、ちょっとした宝探しに付き合わされることになります。いや、正確には、自ら巻き込まれに行ってしまったというか。。。紆余曲折あり、イワのじいさままでもが病院を訪れている中でのこのシーン…
 
 
ちくたくほ#12441;んほ#12441;ん3-1
秘宝はいただいた!


 ロマンチストすぎてもう…!もう…!この瞬間身悶えしてニヤニヤしちゃったのは、私だけではないはず。キザすぎんよ三五さん。なんて素敵な怪盗だろう。もう完璧すぎて惚れます、これは。木に登って三五の祖母の宝物を手に入れたイワを、車でキャッチ。さらにそこからの「秘宝はいただいた!」ですから。祖母の秘宝と、イワのダブルミーニング。出来すぎなところが、素晴らしいです。
 

~イワに言った「大丈夫」~
 その後のお話では、たわ子さんが香水で夏に雪を降らせるというこれまたオシャレな一面を見せてくれましたね。最後の最後でこうして見せ場を作るあたり、素敵ではないですか。そして最後、物語は感動のフィナーレを迎えます。その日は十五夜、イワが前の三五(コウモリ)と出会った時と同じでした。病院を抜け出してきた三五はもうノリノリ。そしてイワに向かってこんなことを言うのです…
 

ちくたくほ#12441;んほ#12441;ん3-2
星を世界を
全部君にあげよう



 なんて台詞でしょうか。でも多分三五は本気。だって誰よりもロマンチストなんですから。そんな言葉に対して、イワは「月も私にくれるんか?」の一言。そしてその後、月を大好きな大福に重ねてみたりします。三五とイワが出会って、初めて貰った物は、時計と大福。あれ、結局最初と全然変わってないじゃないかなんて思いつつも、一つだけ変わっているものがありました。それは、時計の音が好きになったこと。この物語で時計の針が刻む音は、自分の心臓の鼓動と同じ。はじめて恋を知り、振り回されつつも見事自分の想いを実らせたイワの未来は、きっと明るいものであるでしょう。三五も「世界はいつだって君のおもいどおりに進むだろう」って言ってますしね。あ、そうそう、この言葉は単にロマンチストってだけでなく、自分の愛する人に自分の運命(命)を託してみたんだと思います。イワの思い通りに進んでくれたら、きっと三五はこの先も生き、イワの隣にいれるでしょうから。あの「大丈夫」は、イワではなく、自分に言い聞かせた言葉だったのかもしれませんね。
 

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Tag [続刊レビュー] 2011.12.11
作品紹介→東村アキコ「ママはテンパリスト」
作者他作品レビュー→東村アキコ「海月姫」7巻



1106103673.jpg東村アキコ「ママはテンパリスト」(4)


残念ながら最終回です!


■4巻発売、完結しました。
 ごっちゃんも気がつけば、あと一年で小学生。さすがにこれ以上はまずいということで、ラストです!大人気漫画家の息子の思わぬ成長にテンパリまくる、子育てマンガの金字塔、ついに感動のフィナーレ!


 ついに完結です。というかもうごっちゃんあと1年で小学生とか信じられません。連載はじまって数年が経過していたのはわかってはいたものの、もうそこまでとは…!4巻では幼稚園の年少から年中くらいの出来事が描かれていくわけですが、さすがに当初とは違い、会話メインのネタが多いですね。けれどやっぱり意思疎通が上手くできないというのがベースで、やっぱりはちゃめちゃ。
 
 赤ちゃんの時は一方的に自分の意志を伝えるばかりでしたが、物心がついて来て、ごっちゃんも例えば気遣いだとか、親切心みたいなものを覚えてきました。そこを起因として飛び出したネタの中でも、個人的に特に印象に残っているのがこちら…
 
 
ママはテンハ#12442;リスト
もらっためだかにエサをあげようとしたのだけれど、あげたのはエサではなくふりかけだった…


 これ、ごっちゃんは面倒見ようっていう親切心から行動しているわけですが、結果それが裏目に。東村先生自身もそれはわかっているので、怒るに怒れないという、このやり場のない感情をどこに向けたらいいの…感が素敵。そしてそれをマンガという媒体に乗せて投げつけることができるなんて、ますます素敵ではないですか!てかごっちゃん5歳にして「おとなのふりかけ」がお好きみたいで、なかなかおませさんな子です。

 なんて、親切心からきまずくなるパターンはこれくらいで、他はいつも通りのバトルです(笑)特に必ずと言っていい程に男の子が通る、下ネタ期に差し掛かったもんだから、なんだか非常にお下品な雰囲気に。あー、これどこかで見たことあるなぁとか思ったら「クレヨンしんちゃん」ですね。そういえば「クレしん」のしんのすけも5歳児で、年少?ぐらいでしたよね(5歳は年中さんくらいとのこと)。ちょいとませた悪ガキは、このくらいが全盛で、やたらと下半身出したがるものなのです。自分はどうだったんだろうなぁ。当時の私はだいぶ臆病で、同年代の男の子が夢中になっていたジャンプ系列のアニメであるとか、戦隊ヒーローものは怖くて(バトル描写と悪者が怖かったらしい)、全くスルーしていたので、ちょっと下ネタ軍団からは離れていたような。。。
 
 何はともあれ、無事成長しているようで微笑ましいです。3巻あたりまでは普通に写真が登場していましたが、4巻になってからは一切なし。岡本太郎の物まねとか見て見たかった気もしますが、その辺もまた小学校に上がって以降のことを考えての配慮なのでしょう。あっという間の4巻でしたが、その間いつも爆笑させてもらいました!
 
 
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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.05.24
1106025854.jpg水城せとな「脳内ポイズンベリー」(1)


ああ どうしよう
頭の中が大騒ぎだ



■櫻井いちこ(29)は、飲み会で会って以来気になっていた男子・早乙女(23)に偶然遭遇。ここで再び出会えたのは、何かの運命?それとも偶然?どちらにせよ、この状況はチャンス…声をかけたいけれど、自分のことを覚えているかわからないし…。「話かける?話しかけない?」「押してみる?引いてみる?」…いちこの脳内で繰り広げられる、めくるめく脳内会議。ポジティブ、ネガティブ、瞬間の感情に、過去の振り返り…脳内メンバーたちの会議は、やがて紛糾!!怒濤の新感覚ラブ・パニック、開幕!!

 「黒薔薇アリス」(→レビュー)、「失恋ショコラティエ」(→レビュー)などを連載している、水城せとな先生のコーラス連載作になります。3作同時連載ってことになるのでしょうか。集英社、秋田書店、小学館と3つの出版社で…と考えるとすごい。さて、そんな「脳内ポイズンベリー」ですが、先の2作とは少し異なる、ちょっと捻ったコミカルな作品となっています。物語は、三十路目前の櫻井いちこ(29)が以前飲み会で出会い気になっていた男の子・早乙女(23)に駅で偶然出会うことから始まります。彼の姿が目に入った途端、いちこの脳内では脳内会議が開始。それぞれポジティブだったりネガティブだったり、過去を引きずっていたり今しか見ていなかったり…といった、性質の異なった面々が、今この状況をどうすべきかを話合い、都度答えを出そうとしているのでした。
 

脳内ポイズンベリー
会議はいつも紛糾
ネガティブ思考の池田
ポジティブ思考の石橋
瞬間の感情に流されるハトコ
議長の吉田
そしてここには映っていないけれど、記録係の岸


 そのシチュエーションに応じて、議会のメンバーがあーでもないこーでもないと意見を戦わせるのですが、基本的にバラバラな考えの持ち主なので、いつも会議は紛糾。時には暴走して、思わぬ行動をヒロインにさせてしまったりします。イメージ的には、テレ朝の「ロンドンハーツ」のドッキリで、仕掛人の面々がモニタから支持を出す…みたいなシチュエーション。ただヒロインはそのことに自覚的でなく、基本的には脳内会議とは意識が分離した状態で物語は進んで行きます。相手にするのは、歳下でありまた不思議系な男の子。ということで、かなり扱いにくい存在で、会議のネタは尽きません。現実世界は比較的シリアスで、会議室はコメディ一辺倒という切り離し。それぞれ独立していてもそれなりに読めた作品になっていそうですが、これが二つ合わさることで、また違った味わいが生まれています。
 
 脳内会議のイメージは、比較的多くの作品で見られる題材で、さして新しいとは言えませんが、実績のある作家さんだけに、読ませる読ませる。会議のメンバーのどれもが、誰しもが持つ思考の持ち主であるだけに、どれも「そうそう、それ思うよね!」という事が多いです。どれもその思考のみをガッと伸ばしたキャラなので、基本的に発想が極端なのですが、それもまたメリハリが出て面白いです。こういうドタバタ系のお話は、大好物なので、スゴく楽しめました。
 
 物語の序盤の展開から、歳下の不思議ちゃんに頑張ってアプローチしていく引っ込み思案な三十路女の奮闘記なのかな…と思っていたのですが、物語中盤からヒロインが、「私はこんな女じゃないんです」とか言い出したり、なんだか結局どっちもすごく面倒くさい人に(笑)脳内会議の面々は噛み合ない…そして現実世界でも噛み合ない…と、俯瞰で見た時のドタバタ感がスゴいのですが、それがある意味では売りだとも思うので、私は好意的に受け取りますよ。個人的に、一番共感できるのはネガティブ思考の池田さんです。あれ、この人自分の中にもいるんじゃ…とか思ってしまいます。



【男性へのガイド】
→テンポの良さやコミカルさはプラスに作用するはず。水城せとな先生の作品はどれも男性がちょこちょこ読んでいるイメージですので、こちらも是非とも。
【感想まとめ】
→脳内会議が自覚的でない以上、落としどころはどうなるのかという部分が気になりますが、1巻すごく面白かったのでオススメで。


作品DATA
■著者:水城せとな
■出版社:集英社
■レーベル:クイーンズコミックス コーラス
■掲載誌:コーラス(連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税


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Tag [続刊レビュー] 2011.04.27
作品紹介→この町で友と会い、礼節を知り、恋を育んだ…:くらもちふさこ「花に染む」1巻
関連作品紹介→くらもちふさこ「駅から5分」



1106005355.jpgくらもちふさこ「花に染む」(2)


もう入っていけない
でも
私には まだ
この中の陽大がいる



■2巻発売です。
 「花乃は僕の親友」。花乃は、陽大のその言葉が何よりも嬉しかった。誰よりもそばにいたかった。しかし火事で家族を亡くした陽大は、心因性ショックで心神喪失状態となり、関西のケア施設へ預けられたきり、音信不通に。そしてそれに呼応するように、花乃は早気に悩まされるように…。数年後再会した陽大は、花染町でまったく新しい生活を築いていて…。この想いを、恋とよばないで   


~ついに登場!~
 2巻発売です。元々「駅から5分」の世界とリンクしているお話だったのですが、2巻にしてついにあのキャラが登場ですよ。そう、「プリンスラインな気がする…」でおなじみ(私だけ?)の、水野ローラさんです。何人か特徴的なキャラが登場した「駅から5分」ですが、その中でも格段に存在感を放っていた彼女。もう忘れようにも忘れられるわけないです。そうそう、彼女のエピソードで、陽大を振り向かせるために弓に打ち込み、謎の努力で形にしてしまうというものがあったのですが、その謎の特訓の部分がまるまる抜け落ちていたのでした。作中で語られていることは、陽大のお姉さんが何か関わっているらしいということだけ。そこに、花乃が関わっているとは。てっきり雛さんが全て教えたのだと思っていたのですが、今読み返すとこんなカットがあったために、そう思えたのかもしれません…
 
 
花に染む2-1
弓は私に習ったと彼に伝えること


 そりゃあ花乃の存在なんて、はい。しかしながら、陽大にとっては水野さんの存在は比較的どうでも良いのかな、という感じがします。水野さんはあくまでも、陽大のお姉さんである、雛さんとの関係がメイン。雛さんは、水野さんと対峙する際に、自分の鎧が脱がされていくようと語っていますが、鎧という意味では陽大の纏う鎧は雛さんの比にはならないもの。恐らくその鎧を脱がす役目を果たすのが、花乃なのではないかな、と。


~花乃が落ち着きたい場所は、どこ?~
 というわけで、花乃にはあれこれ頑張って頂きたいのですが、どうも陽大に食われ気味。そもそも彼女は、陽大とどのような関係になりたいのか、未だハッキリしません。「隣にいたい」という強い想いがあるのは確かですが、それが恋人としてなのか、友達としてなのか、はたまたライバルとしてなのか。彼女の様子を見るに、自身も未だその気持ちが判然とせずにスッキリしない感じ。陽大ラブな水野さんよりも、むしろ同性の同級生に嫉妬心を燃やすなど、結局は距離感が彼女を制しているのかな、という気がしなくもありません。そもそも彼女が見ているのは、今の陽大ではなく、過去の陽大。未だ自分の中に残る、あの時の陽大を追いかけているという印象が強いです。そこから脱却し、今の、そしてこれからの陽大と向き合えてこそ、花乃自身も前に進めるのだと思います。

 
花に染む2-2
花乃とは正反対に、迷いなく陽大へと向かう水野ローラ。


 今回の水野さんの登場により、弓道面でのプラス効果が現れましたが、それ以外にも何かしらの影響は与えそう。陽大との関係に悩みに悩む花乃とは対照的に、一直線に陽大の元へと向かう水野さん。女子力もまた対照的。多くが正反対の二人が出会った時の、人間的なケミストリーが、どのようにして起こるのか。現状「駅から5分」で窺えるのは、水野さんの容姿の変化のみ。いやいや、それだけってことはないでしょう。その裏にあったであろう、人間模様を、これからも追いかけたいと思います。


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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.04.25
1106005356.jpg谷川史子「他人暮らし」


ああ私
誰かをちゃんと愛してみたい



■純花、頼子、サワは33歳の同い年3人組。それぞれバツイチ、独身、主婦と立場は違うものの、気のおけない親友同士で、しばしば会っては楽しい時間を過ごしていた。そんなある日、両親が遺した一軒家に暮らす純花の元に、頼子とサワが転がり込んできて、一か月限定の共同生活を始めることに…!異なる結婚観を軽妙に描く表題作のほか、亡くなった同僚への想いを描く読切りも収録!とくとご覧あれ!

 谷川史子先生の作品集です。3話収録の表題作シリーズの他に、読切り一編を収録しております。それでは表題作のご紹介をば。物語を作るのは、3人の女性。純花、頼子、サワは、33歳同い年の仲良し3人組。それぞれバツイチで独り身、仕事一筋の独身、エリートとの新婚ホヤホヤという、異なる立場にいるものの、気のおけない親友同士です。そんなある日、両親が遺した一軒家に一人で暮らすサワの元に、二人が転がりこんでくることに。頼子は自分の部屋に変質者が出たから、そしてサワはハネムーン前の痴話喧嘩で…。それぞれ一か月限定と約束した純花は、3人と一緒に生活することになるのですが…というお話。それぞれ異なる結婚観を、それぞれの視点から描いていきます。


他人暮らし
それぞれ立場が異なるからこそ、言える言葉、出せる答え。


 それではそれぞれの感想を。まずはバツイチ独身で、今は悠々自適の生活をしている純花のお話。一度の離婚と、今回の共同生活を通して、他人と一緒に暮らすことに向いていないことを痛感させられる彼女。私は離婚はもちろん結婚すら経験していないので、バツイチの方の心情を計ることは到底できないわけですが、こう他人に介入されずに悠々自適の日々を送っている中で、それが妨げられる時の不愉快さはものすごくわかるわけで(笑)それが結果として、「自分って本当に小さな人間だ…。共同生活に向いていない…。」という思いを発生させるという。結婚したら、当然そういった自由は制約され、いわば我慢の積み重ねになるんですよね。彼女は自分のことを振り返り、「もっと愛してあげることができた」と自分を責めるわけですが、導かれた救いは、「もっと色々してもらおう」という形。なまじ独力であれこれ片付けてしまえる人は、あまり他人に頼るという感覚がない人でもあるわけで、それを一緒に生活しているときも無意識に貫いてしまう部分があるのかな、と。ちょっと目先を変えれば、意外と簡単に適応できるのでしょうが、なかなか難しいのですよねぇ。。。
 
 お次は仕事を未だバリバリこなし、お相手不在の編集者・頼子。彼氏なし、実家に帰っても「結婚しないの?」は通り越して「結婚しないよね」なんて言われる始末。そんな彼女には最近、10歳歳下のバイトの男の子がいて…というストーリー。頼子としては、33歳という年齢であるが故になかなか冒険できないという躊躇があり、またこれだけ歳が離れていればそもそも相手してもらえないという想いがあったように映りました。未婚独身の社会人としては、このお話が一番親しみを持って読むことが出来たのですが、いかんせん私は20代の男子なので、シンクロするのはむしろお相手の男の子の方。そんな歳下的に言えば、33歳とかすごく素敵な年代で、しかもお仕事一緒にしているのであれば頼りがいのある憧れ的存在ですよ!とはいえ33歳ゆえの世間体や焦りを取り去る術は心得ておらず、なかなか難しいのかもしれんです。しかし33歳でもトキメクその感じがとっても素敵で…!トキメクと胸の底から風が吹いてくる感じ(だと勝手に思っている)のですが、この瞬間ときめいた時の描写、
 

他人暮らし2
ほらやっぱり風が吹いてる!


 いつまでもトキメキを忘れずに生きたいものですよ、はい。
 
 
 最後は新婚ホヤホヤのサワのお話。小さい頃からの夢は「お嫁さん」で、その夢を叶えるために、条件に合致したお相手と結婚。その後ろめたさに苛まれるというお話なのですが、条件ってやっぱりありませんかね?誰にも言わずとも。多分それって、人によって「こういう人が良い!」と「こういう人はイヤ!」という上でのハードルと、下でのハードルを設けている程度の違いはあれど、みんな持ってるものだと思うんですよ。それを意識した時に生まれる罪悪感を描くとは。それを明示的に意識してしまったとき、どう折り合いを付けるか。その答えの一つを、とてもとても優しい形で呈示してくれた谷川先生、すっごく真面目で、誠実な人なんだろうな、と勝手に思ったり。
 
 どれも現在進行形で、切なさというよりはやるせなさが先行するお話たちなのですが、どれも自分を責めて、後悔するというパターン。そしてそれを他人が、相手が、友達が補うという構成を見せており、人と人の繋がりの素晴らしさを堪能できるお話となっています。また同時収録の読切りもすごく良かった!こちらは亡くなった同僚への想いを描く一作なのですが、本当に切なくて切なくて切なくて。。。次から始まる月曜日を、もっと大事に生きようと思える素晴らしいお話でした。

【男性へのガイド】
→谷川史子先生ですし、オススメです。とはいえ結婚という部分については、男女間での違いというのもありそうで、谷川作品的には比較的女性よりな作品かも。
【感想まとめ】
もちろんオススメです。切なさ控えめも、様々な幸せの見つけ方を教えてくれる、温かく幸せな気持ちになれる一冊です。

■作者他作品レビュー
谷川史子「手紙」
谷川史子「P.S.アイラブユー」
谷川史子「おひとり様物語」


作品DATA
■著者:谷川史子
■出版社:集英社
■レーベル:クイーンズコミックスコーラス
■掲載誌:コーラス
■全1巻
■価格:419円+税


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。