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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.04.13
1106512673.jpg鳥飼茜「地獄のガールフレンド 」(1)



利害一致に乾杯!



■一軒家でルームシェアを始めた3人の共通点は「友達がいない」。女たちの食卓では非モテの根源。オバサン問題、受け身の性格。“女の人生”比べ、……とおしゃべりが止まらない!世間におののく女たちに捧ぐ、デトックス同居物語!

 「おんなのいえ」(→レビュー)などの鳥飼茜先生のフィールヤング連載作です。なかなかインパクトのあるタイトルですが強烈な内容というわけではなく、むしろほっこりする同居ものです。物語のメインとなるのは女3人。ひとまず一人ずつ紹介した方が良さそうですね。まず一人目は、31歳シングルマザーの加南。結婚に疲れ離婚をしたばかりで、人見知りな4歳の息子の通う保育園を変えたくない一心で、ルームシェアの募集を発見、申し込むに至りました。もう一人が、28歳OLの悠里。まじめを絵に描いたような女性で、よく眉間に皺が寄っているセカンドバージン。長年住んだアパートが取り壊しにあい、たまたまルームシェアの募集の張り紙を発見し、住むに至りました。そして最後が、36歳ファッションデザイナーの奈央。ゆるふわな雰囲気でかなりモテる恋愛体質な女性。付き合っては別れを繰り返している中で、「興味のない“女の人”と一緒に暮らしたら?」という友人の助言から、住んでいた一軒家でのルームメイトの募集をするのでした。それぞれ違う立場ながらも、何かしらの不満を抱える女性たちが一つ屋根の下で共同生活を送る中で、毒を吐き出したり助言を貰ったりと、一人の時とはちょっと違う充実感を得ながらの日常が描かれます。


地獄のガールフレンド0002
それぞれ近くに頼るところがないくらい、友達がいない。知り合いはいるけれど。そんな人たちだから、最初はちょっと距離を保ちつつ、けれども打ち解けると一気に近く。共感もあり、時に意見が対立することもあり。けれどもそんな感覚が彼女たちにとっては新鮮だったりするのかも。



 別に何かするわけじゃないんです。3人が同居して、日々日常を送るのみなのですが、帰ってきたら誰かがいてその日たまった鬱憤を吐き出せば、それだけでスッキリするし、誰かに感化されてちょっと違ったことをしてみたりとか。そういう誰かと過ごす尊さみたいなものがほんのりと感じられる作品です。終わりなき日常を繰り返すわけではなく、おそらくこの先にも色々と変化は訪れるのでしょうが、1巻終えて訪れた変化はとっても小さいものなので、やや日常ものとしての色香も感じることができる、不思議な味わいがありました。どっちつかずとも言えるのかもしれませんが、個人的には全く嫌な感じや違和感はなく、面白かったなぁと。

 3人同居ものと言いつつも、先の人物紹介であったように加南はシングルマザーということで、子供も一緒に住むことになります。4歳なので寝るのも早く、女同士のディープな会話は子供が寝てから。残りの2人も時に子供に癒される場面もあるなど、子供を連れての同居生活は思いのほか順調です。子供がある種プラスになっていると言いますか。また3人とも職業の違いからか(OL、デザイナー、イラストレーター)、生活圏や生活時間、男性の好みなどがバッティングすることはあまりなく、だからこそ良い関係が築けているのかなという感じがあります。ここでお互いに干渉せざるを得ないような人間関係が出てきたりしたら、色々とややこしそうではあるのですが、そういう方向には流れないのではないかと1巻を読んだ雰囲気では思えます。

 またこの家には奈央の友達というか同僚というか、とにかく近しい男の子が頻繁に出入りしてきます。女性ばかりの家に若い男が出入りというとなかなか刺激的な展開を想像してしまうのですが、彼は「処女にしか興味がない」という変態嗜好の持ち主でそれを公言しており、上手いこと一線引き・引かれ関係を保っています。女性たちだけでバイアスがかかりがちな状況で、ズバッと現実的な意見を突き付けてくれる存在です。


地獄のガールフレンド0001
この男だけは違和感ありありな存在なんですけれども、それがうまく作中では機能している感あり。


 物語の内容とは別に、各話のタイトルがなかなかイカしてるんですよ。セリフっぽいんですが、作中でそのまま登場したセリフを使っているワケではなく、けれども誰が言っているかとか、意味合いが通じる内容でして。たとえば1話は「たしかに子供は産んだけど お前らまで産んだ覚えはないっつーか」、6話は「しかもその『怒り』が世界中の巨大地震とかを起こすっていうんだから怖い」など、長いけどなんだか頭に残ります。


【男性へのガイド】
→女性たちだからこそ実感できる話だとは思うのですが、毒吐きだしつつもその様子はなかなか面白く、男性が嫌と感じるような内容でもないと思われ。
【感想まとめ】
→作者さんの他の作品に比べ、笑いの要素が多く面白かったです。いい意味で脱力しているというか。「おんなのいえ」に通ずる部分は残しつつも、本作ならではの楽しさもあり、オススメです。


作品DATA
■著者:鳥飼茜
■出版社:祥伝社
■レーベル:FC Swing
■掲載誌:フィールヤング
■既刊1巻
■価格:680円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] 2015.03.13
1106500670.jpgねむようこ「三代目薬屋久兵衛」(1)



魔女に会ったらよろしくね



■2か月前に地元に戻ってきた25歳の三久は、祖父の漢方薬局「薬屋久兵衛」を継ぐために修行中!店を訪れるお客さんの体と心のお悩みに、時に漢方で、時にはおしゃべりで、祖父と共に応える毎日。その一方で、初恋を忘れられずにいる三久だったが、植物好きの超人見知り青年・カナエに出会って、彼のことが少しずつ気になり始め……?本格漢方×大人の純情ラブ、開幕!

 「午前3時の無法地帯」(→レビュー)などを描かれているねむようこ先生のフィール新連載です。フィールでの作品はこれまで現実世界が舞台となっていましたが、今回はちょっと不思議な雰囲気をはらんだ内容となっていました。主人公は25歳の三久。久しぶりに地元に帰って来て、就いた仕事は祖父の漢方薬局の見習い。漢方医でも薬剤師でもない彼女は、一人前の店主となるために、奔放だけれど面倒見のよい祖父の元で勉強を重ねています。そんな彼女はある日、魔女が出るという森の中で一人の青年と出会います。くすぶり続ける初恋の想い出に悩まされていることから、魔女に会いたいと感じていた三久は、彼を魔女と出会う手がかりだと感じ、彼に近づこうとするのですが……。


三代目薬屋久兵衛0001
 ヒロインの三久は25歳ではあるものの、人の言うことはすぐに真に受けてしまう過剰なまでの素直さがあり、その容姿も相まってなかなか25歳には見えなかったりします。なんていうか、不思議な世界でフラフラする感じは、ジブリ作品のヒロインたちに通じるような部分もあるのかも。また相手役のカナエについては、口数少ないシャイボーイというぐらいしかわからず、どういったバックグラウンドがある人なのかという事はまだわかりません。今後色々と紐解かれ、再び絡み合っていくのでしょう。


 さて、あらすじ読んでいただいてもよくわからないと思うのですが、マジでわからないです。物語として破たんしてて意味不明とかいうわけではなく、色々と意図があってのことだと思うのですが、一つと物語として捉えるには、まだあまりに輪郭がぼやけていて掴みどころがないと言いますか。25歳で未だに初恋を引きずっているヒロインが、ひょんなことから興味を惹かれる男の子に出会うという流れはあるものの、その心の揺れ動きもまたおぼろげで、どういう展開を見せてどう着地するのか全く想像がつかない感じです。


三代目薬屋久兵衛0002
 不思議な感じは物語展開のみにあるわけではなく、描かれる世界が奇妙さに溢れているというのも特徴でしょう。一応現代が舞台だとは思うのですが、プードル専門のトリマーがいたり、かき氷屋と物さがしを兼業している人がいたり、近くの森には魔女が住んでいたり……そのどれもがごく自然に存在し、受け入れられている世界です。


 不思議な雰囲気で心地よく初々しい恋を楽しむ大前提となるのが、そこが優しい世界であるということ。本作の場合、ヒロインをはじめ、悪人は全く登場してくることなく彼女を包んでいるため、読んでいて非常に気持ち良いです。ただなんとなく、ヒロインの過去など後ろ暗そうな部分もありそうで、2巻以降どういった雰囲気で進むのかはちょっとわからないところ。しかしいきなりこういうふんわりした雰囲気の作品を投入してきたのは「トラップホール」の反動もあるのかもしれないなぁ、とかふと思ったりしました。


【男性へのガイド】
→ふんわりした雰囲気で来るタイプの作品って、割と女性向け度が高い印象があります。
【感想まとめ】
→如何とも形容しがたい内容で、未だに掴みあぐねている感もあり、判断が難しい所。読んでいての心地よさはあるので、2巻以降で判断してみたいと思います。ねむようこ先生ですし。


作品DATA
■著者:ねむようこ
■出版社:祥伝社
■レーベル:フィールコミックス
■掲載誌:フィールヤング
■既刊1巻
■価格:900円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] 2015.02.16
1106481919.jpg阿弥陀しずく「からっぽダンス」(1)



付き合って……
るんだと思います……




■惚れちまったらストーカー。
惚れる→追いかけ回す→フラれる……の3連コンボを繰り返す、ストーカー警官・久我が出会ったのは、片思いに破れたばかりの美人OL・月島さん。さっそく近づきデートに誘ってみたら、彼女に連れていかれたのは女だらけの東京ドーム。そして爆音と共に始まったのは、男性アイドルのコンサートで……!?

 阿弥陀しずく先生のフィールヤング連載作です。阿弥陀先生は存じ上げなかったのですが、主にBLで活躍されている漫画家さんのようです。本作はフィーヤンですから当然普通の男女の恋愛を描いた作品です。どういう話か説明するときに、如何とも言い表しがたい内容なのですが、まずはあらすじをばご紹介しましょう。

 メインで描かれるのは二人。まずは表紙に描かれている久我からですかね。彼はかなり惚れっぽい性格の警官で、これまでも様々な女性にアタックをしては付き合いフラれを繰り返しています。今回も意中の女性にフラれ、ラーメン屋で友人に愚痴を言っていたところ、一人でそのラーメン屋に現れたのが相手となるOL・月島さんでした。月島さんも失恋したばかりで、不意に涙が出てきたところを久我に見られてしまいます。それが彼の心を掴んだのか、久我はあっという間に一目惚れ。月島さんが自分の友人の知り合いだと感づくと、名前も知らないのに執念で月島さんまでたどり着き、連絡先を交換することに成功します。久我の積極性にたじろぐことなく、ひとまず食事、次にはデートと距離を縮める二人でしたが…というお話。


からっぽダンス10001
久我はストーカーと描かれていますが、いわゆる危ない感じの男というわけではなく、かなり行動力に長けた惚れっぽい男という感じです。暴力的というわけでもなく、自分勝手というわけでもなく、相手のことをとにかく思って行動するあたりは、割と好意的に受け取れると思うんですけどね。ただ時にそれがヘンな方向に働いて、彼女に会うために職場前でずっと貼りついていたり(制服姿で)してしまうことも。それを怖いとか思う人がいるようで、過去にストーカーとして通報された過去あり。


 一方の月島さんは「失恋した」と言っても彼氏と別れたとかではなく、告白をしたもののダメだったというのみ。実は長年彼氏がおらず、数年来アイドルグループの熱烈なファンをしています(ジャニーズ的な)。久我にこそ問題ありという感じの描かれ方ですが、月島さんの方も色々と問題はありそうで、そんな変わった二人が出会ってみたらどうなるだろうというのを描いたのが本作ということになります。

 かなりの積極性のある男と、消極的な女というところでなかなか合いそうな感もあるのですが、久我は相手の趣味に興味を持って突っ込んでいく性格の持ち主のようで、アイドル趣味とどう付き合っていくかというのも一つ見どころになりそうです。かくいう私も彼女がSMAPファンでコンサートに連れて行かれるという経験をしたことがあり、久我の反応を見るたびに「あるある」と思ったりも。ちなみにSMAPのコンサートは一般人にも知られている曲を中心に構成されていることから、私のような人間もすごく楽しむことができるので、万人向けにおすすめできるイベントです。チケ取りのためにファンクラブに入るよう勧められるってのもお約束なんですかね。


からっぽダンス10002
一応デートと言えどぶれはない。その後彼女は反省することになるのですが、彼女の様子に圧倒された久我はむしろ興味を強めることに。


 最終的にどういう所に落ちていくのかがあまり見えないのですが、カップルとして一つの形になったところで完結という感じなんでしょうか。お互いにカップルっぽい感じが1巻時点では見られるのですが、恋人らしい触れ合いは一切なく、これから楽しみな感じですね。


【男性へのガイド】
→変わったキャラではあるものの、総合的に見れば実に現実にありそうな二人の話で、ハードルは高くないものの読んでみて何かあるかというとそうでもなく。判断に難しいところがありますです。
【感想まとめ】
→アイドルファンと付き合うというところで謎のあるあるを感じてしまったのですが、それがなければ実に普通の恋模様。リアルさがあってそれが一つの味となっているのですが、一方でそれにみんなが面白味を感じるかというと、ちょっとそれはわからないですという感じでしょうか。



作品DATA
■著者:阿弥陀しずく
■出版社:祥伝社
■レーベル:FC Swing
■掲載誌:フィールヤング
■既刊1巻
■価格:680円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.02.06
1106491297.jpg都陽子「地下アイドル、職場の男にバレまして」



また踊ってみせてよ
俺のために



■田中桐子、27歳。平日は“派遣の田中さん”、週末は“地下アイドルのキリちゃん”として2つの顔を持つ彼女は、ある日、路上で撮影イベントをしていたところを職場の性悪男・平野に見つかってしまう。平野は「バラされたくなかったら俺のいうこときいてよ」と言い出して……?いじめっ子サラリーマンと卑屈なアイドルの脅し口説かれラブコメディ!

 「彼は女とシたことない」の都陽子先生のフィール2作目の単行本になります。あらすじはもうタイトルを見れば一目瞭然ですので説明は不要でしょう。それ以上でもそれ以下でもありません。それぞれの登場人物に触れておくと、ヒロインは27歳の派遣OLさん。アイドルになりたいという夢を捨てきれず、この年になっても地下アイドルとして活動を続けています。職場ではメガネで地味めに過ごしていますが、ひとたびアイドルにギアチェンジすればキラキラ輝き、地下ではある程度人気を博しているようです。そんな彼女に気づいちゃったのが、同僚の平野という男。顔が良く、仕事もできる、若手の中では一番の出世頭という優良物件ですが、そのハイスペックが災いしたのか、歯に衣着せぬ物言いで敵も非常に多い人物です。加えてドSの気があり、ヒロイン・桐子のアイドル姿の写メをネタに、アレコレと彼女に要求するようになります。


地下アイドル、職場の男にばれまして0001
ヒロインの地下アイドル業に対する心持ちは、非常に気高いものがあります。ファンには全力でサービスをし、身体のコンディションは常に最高の状態をキープできるよう、手入れに余念がありません。ちょっとイタめのヒロインなのかと思っていたのですが、彼女がアイドルを目指した背景を知れば知るほど応援してしまいたくなる不思議。あー、こうしてアイドルにはまってしまうのか……と、ふと読み終わりに気づいたのでした。


 「彼は女とシたことない」は童貞男が相手役でしたが、今回はハイスペックイケメンを据えてきており、全く異なるタイプ。また前回はメインの2人がぶつかり反発し合いながらも、それを越えて距離を縮めるという関係構築を見せていたのに対して、こちらは全く軸がぶれない相手役にヒロインが振り回されながらも、なぜだか心開いてしまうという展開で、キャラもアプローチもだいぶ異なる内容で、作者さんの引き出しの広さが垣間見えます。どちらも面白いお話だと思うのですが、私はこちらの作品の方が好きですかね。

 俺のいうこときいてよと脅されるわけですが、具体的にどういうことをさせられるかというと、休日に家に呼び出されて踊らされたり、仕事をあれこれ頼まれたり、一緒に食事させられたり…。普通であればうんざりするはずなのですが、時折キュンとするような言葉やしぐさを織り込んでくるので、嫌いになりきれないという。冒頭では「性悪」と紹介されていましたが、悪意あるタイプではなく、自分の興味や感動に非常に素直な性格であるというだけかと思います。結果的にドSであることには疑いの余地はないのですが、いわゆる圧をかけるタイプではなく、どこか物腰柔らかくズケズケと物言う不思議なジャイアンという感じでしょうか。


地下アイドル、職場の男にばれまして0002
二人だけのやりあいではそこまで急に仲が進展するわけではないので、そこに色々なトラブルを投入してくるわけですが、それもアイドルならではのもので、ちょっと普通の恋愛ものとは違ったテイストで楽しむことができます。ストーカーだったり、スキャンダルだったり、ライバルだったり、実際の地下アイドルってのもやっぱりそうなのでしょうか。大変です。

 長年こうして意識高く続けていると、これが彼女のアイデンティティになってきますので、普通の女としての自分と、アイドルとしての自分の間での揺らぎが生まれ、彼女を思い悩ませることになります。元々はアイドル活動こそ全てで、そこがメインだったわけですが、平野の登場により、普通の女性としての自分が少しずつ大きくなるという。アイドルであれば当然恋愛は禁止なのですが、一人の女としては恋愛もしたい。そうした葛藤の中で、本作は最後に収まるべきところに収まるのですが、これがなかなか心地よく泣かせるんです。



 
【男性へのガイド】
→キャラ配置とか見るとまさに女性向けという感じなのですが、アイドルを応援する気持ちがいつしか生まれていたので、割と男性もいけるんじゃねーかと思ったり。
【感想まとめ】
→面白かったです。出オチ系・おバカ系かと思っていたのですが、なんだか思いのほか良い話で、読み終わりにすごく得した気分に。オススメです。



作品DATA
■著者:都陽子
■出版社:祥伝社
■レーベル:FC swing
■掲載誌:フィールヤング
■全1巻
■価格:680円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.01.25
1106481917.jpg高野雀「さよならガールフレンド」



この町じゃ
何十年も前の喧嘩の話を引きずってるバカが
山ほど居るんだよ




■「わたしが男子だったら先輩とは絶対やりません」
 セックスばっかりしたがるうざったい彼氏。噂話しかゴラクのないクラスメイト。この町の人間が嫌いな母。ここは、どんづまりの小さな町。いろんなことに嫌気がさしてた高校3年の夏。ちほは、自分の彼氏と「やった」らしい“ビッチ”先輩と出会い……?
 心ひりつく“ガール ミーツ ガール”を描き、単行本化が熱望されていた表題作に加え、アラサー女の迷い道、こじらせ女子の憂鬱、思春期少年少女の甘酸っぱい夏など、個性ゆたかな短編5作品も収録!

 コミティア見本誌読書会第一位獲得の新人デビューと帯にはでかでかと書かれております。高野雀先生のデビュー単行本になります。表題作のほか、短編も複数収録されており、イメージ的には短編集が近いでしょうか。表題作も8話完結での構成となっているのですが、トータルでも70ページほどだったりします。ではまずは表題作についてお話しましょうか。
 あらすじは冒頭に書いてある通りで、舞台となるのはセックスや噂話ぐらいしか楽しむことがない「どんづまり」の田舎町。そんな場所で鬱屈とした日々を送る女子高生・ちほが、ひょんなことから町中の男とやっていると噂される“ビッチ先輩”と出会い、自分の進路や生き方について考えていくという物語です。彼氏は盛りのついた猿のようで、会えば必ず体を求めてくるような男で、女子たちは誰と誰が付き合っただの、噂話ばかり。町は狭く、ひとたび噂が立てばあっという間に町中に広がり、またその話はいつまでもいつまでも語り残され、またよそから来た者には一定距離を置く閉鎖的な環境。周囲の人間たちはそんな世界を何とも思わず楽しそうに生きており、そんな中で唯一自然に、一歩引いた視点で世界を捉える“ビッチ先輩”に、ちほはどうにも惹かれてしまうのでした。


さよならガールフレンド1
彼氏とやった相手ということで、出会いは最悪のはずが、話しているとどうにも惹かれ、癒されるヒロイン。なんだかとっても脱力していて自然体な先輩は、確かに素敵な女性です。


 こういった空気感は私の地元・長野にも少なからずあって、読んでいて「ああ、こういう感じあったな」と度々思わされました。この環境に適応した者たちはいわゆる「マイルドヤンキー」としてその地を我が物顔で歩くのでしょうね。一方そういう空気感が苦手な人間はその土地を去ります。その時は割と孤独で寂しい離れ方をするイメージがあるのですが、ひとつ出会いがあることで、その別れが少しだけ彩られるという。“ガール ミーツ ガール”という言葉から、出会いのイメージが強くなりますが、地元との決別という意味で、本作は別れの物語としての側面の方がより強いかと。一つの終わりを描いて、新しく踏み出せるという、そういった意思は、表題作に限らず同時に収録されている読み切りにも度々見つけることができます。そのためか、表立った大きな感動はなくとも、どの作品も心に訴えかけ、自分の思い出の端を引っ掻かれるような感覚に苛まれます。訴えかける原動力になっている一つの要素が、モノローグの強さでしょうか。なんていうか、一つ一つがむき出しの心情の表れになっているので、それ単体でのパンチ力が強いと言いますか。


 表題作のほか、気になった作品としては、「面影サンセット」でしょうか。学生時代から彼氏と付き合い、気が付けばお互い30手前。けれども彼は一向に大学の時から内面は変わることなく(悪い意味で)、外見は段々と変わっていきます。周囲も結婚し始める中、どうにも結婚のイメージが沸かないのは、おそらく彼のせい。なんとなく行き詰った感のある付き合いの中で、とある出来事が起きるのですが…というお話。これもどこか表題作に通じるところがあるのですが、マンネリからの脱却ということで、読み終わった時に色々な感情が湧いてくるお話でした。


さよならガールフレンド2
 また物語の登場人物たちの年齢は割と幅広く、たとえば最後に収録されていた「エイリアン/サマー」は中学生の男の子が主人公。クラスで特に話したこともないような女の子が突然自分の家に遊びに来て、そのまましばらく居ついてしまうという、ボーイミーツガールな青春物語。設定・シチュエーションはキラキラの青春ものなのですが、物語自体はそこまでキラキラしておらず、どこか爽やかになりきれないもやもや感が残るという(でも結構イイ話なんですよ)。これはこの漫画家さんが持ちたる空気感だと思いますので、このままでいてもらいたいところです。

 
【男性へのガイド】
→女性視点のお話が多いですし、割としょうもない男の人が多く出てくるのも…いや、これはむしろ良かったりするのでしょうか。
【感想まとめ】
→文章振り返ってみるとあんまりおもしろかったって言ってない感じがありますが、すごく良かったです。ぜひおすすめしたい作品です。


作品DATA
■著者:高野雀
■出版社:祥伝社
■レーベル:FC Swing
■掲載誌:フィールヤング
■全1巻
■価格:680円+税


■試し読み:第1話

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レビュー
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有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
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