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Tag [新作レビュー] 2015.04.25
51FBQQSF4ZL.jpg綾瀬羽美「セイシュンノート」(1)



この学校で
この場所で
わたし青春するんだ!




■昔から転校続きの陽芽は、今度こそ落ち着けそうな高校で青春を満喫しようと胸いっぱい。その名も「セイシュンノート」に、やりたいこといっぱいかきためてます。実現したら、1個スタンプを押すのです!でも、友達づくりになれてないから今度の学校でも早速失敗しそうに……。ひょんなことから助けてくれた近江の力を借りながら、恋に友情にスタンプをいっぱい集めたい!!

 「ビビッドチェリー」(→レビュー)などの綾瀬羽美先生の別マ連載作です。「ディアマイガーディ」などこなれた作風で、長期連載作品を是非とも読みたいと思っていたのですが、ついに巻数付きの単行本が発売されました。「セイシュンノート」というタイトルですが、文字通りセイシュンノートなるものが登場する、とある女の子の学園生活を描いた青春ストーリーとなっています。ではでは、あらすじを紹介しましょう。

 ヒロインは転校続きで一人も友達がいない陽芽。2年生になって少し経ったところで、新たな学校へと転校してやってきました。マンガやドラマの影響からか、「友達」「青春」というものに人一倍強い憧れを持っている陽芽。「今度こそは友達を作らないと」と気負う彼女は、のっけから話しかけて来てくれた女子のクラスメイトに「友達になってください!」と宣言し、プロフ帳を書いてもらうようお願いします。けれどもその勢いが悪い印象を与えたのか、あえなく撃沈。前途多難な予感がする中、陽芽に声をかけてくれたのはクラスの男子・近江。「かくれが」と呼ばれる空き教室で、近江とその友達・坂宮、そしてひょんなことから仲良くなったクール美少女・潤花と共に、青春の思い出作りを手伝ってもらおうとするのですが、、、というお話。


セイシュンノート0001
最初の「友達になってください!」という叫びや、ちょっとした触れ合いがあっただけでめちゃくちゃはしゃいだりとか、こうなんでも120%に捉えてくる所から受ける印象は「怖い」「きもちわるい」というもので、故に孤独は加速するという悪循環。イメージ的に近いのは、「恋愛ラボ」の真木とかですかね。あんなにアホじゃないんですけど、ちょっと引くレベルっていう。


 「セイシュンノート」とは、ヒロインが書いている、やってみたい青春的な行動リスト。思い立ったら書いており、日々その項目は増え続けています。例えば『お昼ごはんを一緒に食べる』とか『買い食いしながら帰る』とか、学校生活で普通にありそうな項目から『ピクニックをする』なんていうちょっとよくわからない項目まで様々。達成できたらスタンプを押していくのですが、まだ一つも埋まっていません。かくしてどんどん「青春」への憧れを膨らませていくわけですが、捌け口がないためにそれが気負いに変わり、結果それが彼女を暴走させることになります。

 そんな彼女を受け入れたのが、近江と坂宮という男子2人。近江はクールで人嫌いな気難し屋。けれども意図せず空気を察してしまい、かつ困っている人を放っておけないという優しさも持ち合わせているため、一人で困るヒロインを捨て置けないという感じ。坂宮はイケメンで女好きのチャラい男の子で、集団の中で会話を弾ませるなど潤滑油的な役割を担います。そしてもう一人、美少女の潤花はローテンションでサバサバした性格。男子にちやほやされるものの、それが周囲の女子は気に食わないらしく、割と孤立しがちです。そんなところが馬が合ったのか、ヒロインが半ば強引に友達認定をし、以降付き合っているという感じ。男女4人の青春物語というのはオーソドックスな組み合わせですが、集団で見てみたときに、坂宮と潤花は割とゴーイングマイウェイで、纏まりはそんなに感じられません。だからこそヒロインを入れても集団を保っていられるのだと思います。


セイシュンノート0002
普段は冷たいものの、面倒見はよい近江。彼がヒロインの相手役になります。このヒロインと対峙できるってのは、なかなか懐が深くないと難しいと思うのです。


 物語は陽芽がやりたいことをあれこれと提案して、それに乗っかったり乗っからなかったりして展開していきます。暴走しがちな1人と、それを制する1人と、とにかく受け身な2人という感じのパワーバランス。序盤こそ「変な子」という感じの陽芽でしたが、他人との間合いの取り方をなんとなく学び、それぞれの立ち位置が確立できた中盤以降はだいぶ「普通の子」という感じに。


 1巻はいわゆる「友情」という青春の土台構築で、1巻終わりごろにようやく恋の匂いが出てきて2巻以降展開していくという流れでしょうか。つまるところまだ準備段階という印象が強く、真価は2巻に発揮されるのではと思います。近江以外の2人についても描かれてくるでしょうし、潤花はまさに好きな脇役を地でいってますので、個人的にここも期待したいところです。2巻、楽しみですね。


【男性へのガイド】
→不自然な青春の形式を、素敵男子の手によって自然な形になっていくという流れは、恋愛色が強くないと言えどやはり女性向けの側面が強い内容なのかと思います。ともあれ鼻につくキャラ達ではないですし、みんな魅力的なので、ハードルは高くないと思いますよ。
【感想まとめ】
→本文に書いたように、本当に魅力が出てくるのは2巻からですかね。恋愛色が強くなったときどうなっているのか、気になります。


作品DATA
■著者:綾瀬羽美
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] 2015.03.18
sorawokakeruyodaka.jpg川端志季「宇宙を駆けるよだか」(1)



元の体もしろちゃんも
取り戻さなきゃ




■かわいくて素直な性格のあゆみは、大好きな人と恋人同士になったばかり。だが、初デートに向かう途中で、同じクラスの然子の自殺を目撃し、意識を失ってしまう。目が覚めると、あゆみは醜い容姿の然子と身体が入れ替わっていて……。容姿も性格も全く違うふたりの運命が、奇妙にねじれながら交錯していく……。

 川端志季先生の別冊マーガレット連載作です。デビュー単行本の「青に光芒」もつい最近出たばかりという印象があるのですが、2冊目にして巻数付きの長期連載ということで、かなりのジャンプアップという印象が…。では内容の紹介をしましょう。

 ヒロインは、見た目が可愛くて素直な高校生・あゆみ。つい最近想いを寄せていた相手と付き合うことになり、初デートに向かいます。けれども途中で、クラスメイトの然子から突然電話がかかってきて、「今から自殺するから見ていて」と言われます。あゆみの目の前で然子は飛び降り、なぜかあゆみもそのままブラックアウト。目が覚めたら、彼女は然子と入替っていました。然子はあゆみとは似ても似つかない醜い容姿で、周囲の人間からは冷たく扱われている子。どうやら然子は、あゆみに嫉妬しわざと入れ替わりをさせたようなのです。姿が違うだけで、こんなにも世界は変わってしまうものなのかと、絶望をするあゆみでしたが…というお話。


宇宙を駆りるよだか0001
こんな見た目に。これまでの友達関係もガラリ一変、一気に距離が離れることに。


 物語のジャンルとしては「入替りもの」になるかと思います。ただ、定番の男女入れ替わりではなく、女の子同士で入替るというのがポイント。醜い容姿のヒロインというのもここ最近割と一般的になってきましたが、こういう形で投入されるのはあまりないかもしれませんね。しかし別冊マーガレットは先日ご紹介した「青山月子です!」(→レビュー)など、割と突飛な設定の作品も増えてきている印象がありますねー。こちらはまさにファンタジーという導入ですが、どれくらい定着するのか、合わせて注目したいところです。

 醜い容姿で周囲からは疎まれている自身に絶望し、好きな人と付き合っているクラスメイトに嫉妬し、入れ替わりを結構するという、なかなか捻じ曲がった性格の子です。醜い容姿が先か、捻じ曲がった性格が先かという所はあるのですが、まあわかりやすい悪役という所。一方ヒロインのあゆみは非常に素直で前向きな性格。入替ったことを周囲に訴えかけるも取り合ってもらえず一時は絶望しかけるのですが、彼氏ではないクラスメイトの火賀くんがそのことに気づき支えてくれることで、気力を取り戻します。その後、定番の戻る方法を探っていくのですが、道のりは長そうということで……。


宇宙を駆りるよだか0002
この火賀くんは、じつはあゆみに想いを寄せていたという設定があり、入替った後のサポートをしてくれるわけですが、あゆみは付き合っている彼・しろちゃんが好きというミスマッチが。ただサポートっぷりは相手役本線という感じそのもので、最終的にどういう結末となるかは定かではありません。このまま噛ませ犬ポジションだったら個人的な嗜好としては最高なのですが、そうはいかないかなというのが1巻読んでの感想。


 姿は醜くなっても、心がきれいであれば素敵な王子様が現れ、一方心が不美人だと人は離れていくという、おとぎ話的なエッセンスが落とし込まれていますが、入れ替わりものというジャンルも相まって素直に楽しめる展開になっているのかな、と思います。本作のヒロインの場合、男女関係に関しては過去の遺産によって持っている感もあるので、ストレートに性格が重要と言っているわけでもなさそうなのですが。


【男性へのガイド】
→本編説明の通り、入れ替わりものとはいえ男女ではなく女性同士で、恋愛要素は強くなくとも割と都合のよい展開はありつつ、設定に比して女性向けの要素が強いんじゃないかなと思います。
【感想まとめ】
→入れ替わりものは好きですし、興味深い内容で続きが気になる所です。意外と短く完結するんじゃないかという予感もあり。



作品DATA
■著者:川端志季
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税


■試し読み:第1話
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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.02.25
1106491130.jpg湯木のじん「青山月子です!」(1)



私は
ここにいるよ




■事故で記憶喪失となった「青山月子」は以前の性格のように振舞おうとするが、空回りの連続。転校してきた加賀美くんに対して、月子は興味を示したようで……!?記憶喪失×ほっとけない男子が織りなす物語。

 「藤代さん系」(→レビュー)の湯木のじん先生の新連載です。今度のタイトルは「青山月子です!」と名前を前面に押し出したものとなっているのですが、藤代さん系といい、タイトルに名前を使うというのが通例なのでしょうか。なんてそんなことはさておいて、内容のほうをご紹介しましょう。

 主人公はタイトルにもある通り、青山月子さん。高校に入学して早々に交通事故に遭い、しばらくの意識混濁の後に記憶喪失となって目を覚まします。何も思い出せないまま再び高校に通い始める(留年して高1から)のですが、過去を全く思い出せないので、親や友達だという人たちの言う「青山月子」像を再現しようと頑張ります。けれども伝え聞いていた「優しくて明るくてポジティブ」という性格は全く再現できず、空回りの結果周囲からは奇異の目で見られるようになります。そんな中に現れた、転校生の加賀美くん。ひょんなことから彼に興味を持った月子は、半ばつきまとうようにして彼と仲良くなるのですが……というお話。


青山月子です!0002
加賀美くんはあまり笑顔は見せないですが、笑ったときはとっても優しい。受け入れられてるなぁという感じのする、素敵な男性です。普段厳しめですけど。


 記憶喪失のヒロインが、記憶喪失のままに学園生活を送っているという、なかなか突飛な設定の作品です。記憶喪失後の月子は感情の起伏に乏しく、他人の感情も今一つ読み切れないといった、ジト目デフォのローテンションな女の子。そんな彼女が周りの求める「明るくて優しい青山月子」として振舞おうとしても、無表情&棒読み&空気読まないタイミングでの仕掛けと、裏目に出るばかりで周りとの距離は遠ざかっていくばかりです。一方でそういった状況になっても本人は無自覚で全くダメージを受けていないという強さも見せるという。詰まる所、人間関係のすべてにおいて鈍感になっているという感じです。そんな彼女を放っておけないのが、今回相手役となる加賀美くん。別に優しいタイプの男の子ってわけではないのでしょうが、自分を慕ってくれている女の子がふらふらとしていたらどうにも気になるもので、いつしか保護者のような立ち位置に収まります。それが結果的に良い方向に働き、彼自身はクラスでも慕われるようになったりも……。

 月子は記憶を戻したいという欲求はあまりなさそうで、自然に思い出すのに任せている感じがあります。最終的に戻るのかはわかりませんが、加賀美くんとの関わりのなかで少しだけ思い出す瞬間があったりと、最終的には戻る方向に倒れるのかもしれませんね。ともあれ二人の関係構築は、「誰も承認してくれない記憶喪失後の自分を唯一受け入れてくれる存在」としてのヒーローですから、そうなるのはあったとしてもだいぶ先なのでしょう。面倒見の良いヒーローというと語弊があるかもしれませんが、そういう相手役がお好きな方はまず読んで間違いない作品になっているかと思います。

 個々人の背景や性格は全く異なりますが、友達を増やしたいと願うもののその挙動で裏目に出て孤立しており、そんなヒロインを人気の男の子が臆することなく接し、その他の人たちとも関わりを持つようになる……というのは、同じ別マで連載している「君に届け」の爽子と風早くんを想起させます。こちらはもっと閉じた関係で、かつ記憶喪失という背景がある分より根深い問題を抱えてはいるのですが、1巻読んだ感じを受けると、加賀美くんは第二の風早くんになり得るのではとちょっと思いました(優しさの度合いは雲泥の差ですが、ベクトル的には一致してる)。無条件の承認ってのは、やっぱり読んでいても嬉しくて泣けてくるもので、この手のヒーローにはめっぽう弱いんです、私。


青山月子です!0001
ちなみに月子も初期の爽子っぽい雰囲気はあるのですが、変なテンションで感受性に乏しく人間関係に不器用という意味では、「ラストゲーム」の九条さんのイメージの方が近いかも(でも上の画像見ると全然違いますね…!)。ちなみに学年3位の秀才で、見た目も可愛い方という設定でございます。


 記憶喪失のヒロインに対し、周囲の面々も親も冷たいという状況はかなり辛いはずなのですが、ヒロインがとにかく鈍感なので、そういった感じがあまり表に出てきません。なので設定の割に1巻はほのぼのした印象がありました。もちろんシリアスなシーンはあるのですが、突飛な設定の割にはかなりオーソドックスな男女関係の構築図をなぞっています。掴みとしてはこのぐらいでOKで、今後時間をかけてより深い所(暗いところ)を出していけば良いのかなと思います。


【男性へのガイド】
→他の少女漫画比になりますが、キラキラしすぎていない分読みやすいんじゃないでしょうか。変なヒロインですけど。
【感想まとめ】
→流行るかはわかりませんが、個人的には非常に好みな作品でございました。オススメしたいです。


作品DATA
■著者:湯木のじん
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税


■試し読み:第1話

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Tag [続刊レビュー] 2015.02.23
1106481730.jpgオザキアキラ「ハル×キヨ」(5)



君に会ってから
僕はどんどんかっこ悪くなってる気がする




■16歳の誕生日を迎えて、なんだかラブラブな小春と峯田。そんな中、事もあろうにモジャ夫こと志村が恋に落ちた!?実は小春のプレゼントを用意していた志村。それが原因で事態はさらにややこしく!!


~5巻は志村の回~
 5巻発売しています。早いものでもう5巻、オザキアキラ先生としては最も巻数が多いタイトルということになるでしょうか。名前をカタカナ表記にした甲斐があるってものです。

 さて、5巻も色々とイベントごとがあるのですが、総括するのであれば5巻はまさに志村の回だったと言えるでしょう。噛ませ犬は大好きなものの、どうも志村のことはさほど気にならない管理人なので、これまでもあんまり気に留めていなかったのですが、さすがに今回は頑張ったなぁとちょっと応援してあげたくなりました。ああいったタイプは自分の気持ちに自覚的になると、その行動力と相まって色々仕掛けられますから見ていて面白いですよね。本命党からしたら、厄介な存在なのでしょうが。まぁでも一番萌えるのは、ちょっとしおらしくなってるところなんですが。1巻通じて散々頑張った後のこれとか……


ハルキヨ0003
クッション抱いてセンチメンタル


 これはずるいかわいい。これはなかなか可愛らしいです。しかし悲しいかな、全く小春には意識してもらえてないっていうね。むしろ意識するのは峯田のほうばかり。それって結局敵に塩を送っている状態なわけで、なかなか志村には厳しい状況が続きます。これだけ頑張って6巻に突入するのですが、さてこれ以上打つ手はあるのでしょうか?引き続き奮闘して、時折落ち込んでもらいたいところです。

 ところで彼、噛ませ犬ではあるのですがあまり手を引く想像が出来ないんですよね。噛ませ犬の見どころの一つとして、どの時点であきらめて手を引くのかってのがあるのですが、彼の場合あきらめるってあるのかな、と。彼におあつらえ向きな女の子キャラもぱっと思いつかないですし、もうちょっとこの状況は続くんですかね……?


~小春がものすごくいい女なんですが…~
 志村の奮闘が目立った5巻ですが、小春も負けてませんでした。なんだかやたらイイ女なんです。志村からもらったプレゼントを必死に探すところとか、もうそんなんちょっと意識してた男だったら完全に好きになりますやんっていう。


ハルキヨ0001
相手にその気持ちを隠さずに、すべてバカ正直に話してしまう所とか、いいなぁと。


 損得勘定とかなく、ただただ自身の良心に従う姿は本当に素敵だと思います。たぶんこういう性質は元から持っていたのだと思われ(志村の回想とか見るに)、普通のコミュニケーション能力さえいったん身についてしまえば、こんなに素敵な女の子の出来上がりだよ、と。そしてそんな魅力は峯田にも十二分に伝わっています…


ハルキヨ0002
だから峯田くんはかっこ悪いままでいてください


 これもまた、余計好きになりますやんっていう。さらにあざといのが、ここで器広く受け止める発言をした直後に、「もっと褒めてください」と甘えるモードに移ってバランス調整しているあたり。先のような発言ばかり終始していたら仏様なわけですけれど、たまにぶっこむから効果もテキメンなわけで。小春の末恐ろしさを感じたエピソードなのでした。


■関連記事
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Tag [続刊レビュー] 2014.09.08
1106429394.jpg咲坂伊緒「アオハライド 」(11)



でも
俺が見つけた




■11巻発売しました。
 中学時代のつらい記憶を、みんなと塗り替えることのできた洸。洸の気持ちは次の段階へ―――。双葉は冬馬との関係を作っていこうと努力するが、洸とある行動に出てしまう。波乱広がる修学旅行―――。


~メディアミックスが止まらないよ~
 10巻のレビュー出来ていなかったのでしばらく間が空いてしまったのですが、メディアミックスが続々。アニメ化は以前から予告されていましたが、絶賛放送中。更には実写映画化も決定ですよ。ヒロインは本田翼さんで、洸はあの東出昌大さんがやるということで、キャスティングからも気合が伺えます。本田翼ちゃん好きなので嬉しいのですが、ドラマや映画でヒット作に恵まれていない感もあるのがどうか。
 全然関係ないですが、竹野内豊さん主演の映画「ニシノユキヒコの恋と冒険」で本田翼ちゃんが演じた面倒くさい年下の女の子はかなり良かったです。


~今回はちょいと双葉にイライラ~
 さて、それでは本編の話をしましょう。10巻に引き続いて、舞台は修学旅行です。洸が自分の気持ちに素直になり猛チャージをかけてくるわけですが、のっけから二人抜け出し洸が育った町へ行くという出来事が。誘う洸も洸ですが、ついていく双葉も双葉でして、これまで散々洸にダメ出ししてきたのですが、ここはさすがに双葉が悪いかなぁ、と。ヒロイン目線で見ると別に弁解すればよさそうな程度の出来事ではあるのですが、冬馬側からしたらこれたまったもんじゃないですよね。ただでさえ意識しているライバルに修学旅行という特別なイベントで連れ出されるって、自分がやられたとしたらもう不信感と嫉妬に狂いそうになると思います(笑)


アオハライド11-3
そんな中で、内心穏やかじゃないでしょうが、一見落ち着いて見せている冬馬くんはなかなかの度量の持ち主だぞ、と改めて思うわけですよ。

 双葉は本心と良識と、本当に五分五分の所で揺れています。ただ頭で正しい行動がわかっていつつも、気持ちに逆らえないって、もう半ば答えが出ているようなものだと思うんですけどね。そしてふと冷静になって、


アオハライド11-2
自分はクズだ


 なんて落ち込むという。ただ個人的には、こうして自省しても次の行動につながらないと意味がないと思うのです。こうして「自分はダメだ。自分はダメだ。」と言いつつそこからの脱却を図らない人間が、現実の世界には何と多いことか。だから双葉には、対話の場を持って謝るだけではなくて、何かその次の行動を起こしてほしいところです。そしてその行動は、早ければ早いほうが良い。11巻では結局そこまで行かずに終わってしまいましたが、12巻、何かしらのアプローチをしてくれることを期待しています。


~流れは完全に洸の方ですけどね~
 なんて、11巻の流れを見ていると完全に洸に分があるような感じですよね。まず無意識でのじゃれ合いとか。バスのこれ、とかもう。。。


アオハライド11-1
あざとすぎる


 咲坂伊緒先生が描くヒロインは総じてあざといのですが、これもまたあざとい。こんなん高校生がやられたら下半身が穏やかじゃないですよ、もう。女性って結構好きだった相手を匂いで記憶している人が多い印象で、元カレがつけていた香水の香りがしてドキッとしたなんて話をたまに聞いたりします。別に香水じゃなくともいいのですが、とにかく無意識に匂い嗅いで笑顔になってるとか、半ば「好き」って言っちゃってるようなもんじゃないですか、と。あと髪を食べるという無防備さね。警戒していませんよっていう最大限のアピールです。あー、やられたい(願望)

 あと決定的だったのは、行方がわからなくなっている双葉を、冬馬ではなく洸が見つけるところ。ついつい所在がわからなくなりがちな少女マンガのヒロインを見つけるのは、昔からヒーローだって相場が決まってるわけですよ。この時に洸が言い放った「でも 俺が見つけた」は、ヒロインの進む先を決定づけるこの上ないセリフであったように思えます。立場的には平行線ですが、状況的にはだいぶ洸に傾きつつあるような現状。冬馬が何巻もかけて必死に築き上げてきた高さに、ヒーローはちょいと1巻くらい本気を出したら到達できちゃっていて、少女マンガという世界の厳しさを改めて思い知らされたのでした。


【関連エントリ】
作品紹介→君にまた会えたこの奇跡を、新たな軌跡に変えて:咲坂伊緒「アオハライド」1巻
2巻レビュー→変わった君にドキッとした:咲坂伊緒「アオハライド」2巻
3巻レビュー→こんなの絶対好きになる:咲坂伊緒「アオハライド」3巻
4巻レビュー→過去も含めて今の君:咲坂伊緒「アオハライド」4巻
5巻レビュー→付き合うまであと1ミリのドキドキ感:咲坂伊緒「アオハライド」5巻
6巻レビュー→一番の盛り上がりと一番のモヤモヤ:咲坂伊緒「アオハライド」6巻
7巻レビュー→恋することはいつも難しい:咲坂伊緒「アオハライド」7巻
8巻レビュー→「好き」と言える勇気があるから前に進める:咲坂伊緒「アオハライド」8巻
9巻レビュー→冬だってのに春めく心:咲坂伊緒「アオハライド」9巻
作者他作品紹介→今 伝えたい この想い:咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」10巻

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
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王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




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池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
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有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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