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Tag [続刊レビュー] 2014.05.01
1106377841.jpgやまもり三香「ひるなかの流星」(9)


好きだからだろ!


■9巻発売しました。
 春、すずめ達は2年生になりました。1年女子からモテる馬村を助けるため偽彼女作戦を考えますが、すぐ断られます。少しだけモヤモヤしてしまうすずめ。そんな時、獅子尾と偶然再会して…。
 

〜馬村の番がキター!〜
 9巻です、9巻。なかなかときめく展開になってきてます。というわけで、ついに来ました馬村の番。学年が上がって早々に、新入生たちにモテモテの馬村くん。そして馬村不機嫌。それを好機…とは全く見ていないすずめの友人たちは、単純に「面白いから」という理由で偽彼女作戦を提案します。
 

ひるなかの流星9−1
提案理由


 さすがゆゆか様。すずめにアシストパスを…とか全然考えてないですからね。単純に、未のほど弁えずに騒ぎ立てる新入生共が気に食わないってだけですから。そこからの行動力、さすがです。

 さっそくすずめに化粧をさせて仕込むのですが、馬村王子は意外にも素っ気ない態度でそれを断るのでした。おいおい、据え膳食わぬはなんとやらだよ…とか思っていたら、後ほどその理由が明らかに。や、まぁ少女漫画ではありがちな理由なんですけれども、非常に彼らしくて素敵でした。決してそれを相手に見せないって所とか、もうツボですわ。

 これでこの一件は収束すると思いきや、思わぬ形で再燃することになりました。獅子尾を前にしての…


ひるなかの流星9−2
こっちから宣言


 これ、完全にヒーローだって分かりきっているキャラがやるなら決定打になるんですが、馬村に関していえば心配が残るというか。こういうのがだからダメなんだって…とすら思ってしまいました(笑)こういう挑発行為をして、相手にやる気出させて持ってかれるパターンというのが、かませ犬にはとにかく多い。この行為、彼的にはものすごく勇気出してカッコいいところなんですけれど、同時にもの凄く心配っていう。いや一番怖いのはね、仮に一度馬村とくっついたとしても、獅子尾の中には燻った想いが残り続けるわけで、忘れた頃にズバっと来て、卒業の頃にでも持ってかれちゃうって展開ですよ。この、獅子尾サイドに未練を残すのが怖い怖い。だって、いちいち意味深なんですから。10巻で、一つの形に落ち着きそうではあるのですが、結末はまだまだわからないなぁ、と。
 
 
〜思い出の上塗り〜
 さて、てなわけで9巻はほぼ偽彼女作戦が描かれたわけですが、随所にニヤニヤポイントが散りばめられていて、めちゃくちゃ良かったです。一緒に帰るとか、デートとか。そう、デート。デート場所があの水族館というのがビックリ。いちいち対比で攻めて来るわけですが、これも勇気ある行為ですよ。もう今回は馬村にときめきまくりだったのですが、その中でも一番はこれでしょう…
 

ひるなかの流星9-3
ペンギンのぬいぐるみ
 

 絶対何かしてくれると思ったのですが、これできますか。しかもその理由がなんていうか、単純だけど愛があって…素敵!気づけるすずめも、さすがです。この後最大の見どころを迎えるわけですが、ガッツリ進みきらずに幕切れ。「ここで切るんですかー!!」状態です。10巻は、3ヶ月後に発売ということで、早く7月にならないかと今から待ち遠しすぎです!


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3巻レビュー→馬村くんが不憫すぎる件:やまもり三香「ひるなかの流星」3巻
4巻レビュー→元カノのフォローパスが決勝点に?:やまもり三香「ひるなかの流星」4巻
5巻レビュー→ひとつの恋の成就とひとつの恋の終わり:やまもり三香「ひるなかの流星」5巻
6巻レビュー→馬村の成長記ではないのですが…:やまもり三香「ひるなかの流星」6巻
7巻レビュー→苦い思い出の“お泊まり”:やまもり三香「ひるなかの流星」7巻
8巻レビュー→大チャンスをモノに出来るか。:やまもり三香「ひるなかの流星」8巻
関連作品紹介→「シュガーズ」

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Tag [続刊レビュー] 2014.04.28
1106390003.jpg森下suu「日々蝶々」(7)


今日が
今が
つきあって
一番幸せ



■7巻発売しました。
 つきあって初めてのすれちがい。でもすいれんと川澄は、2人なりのやり方で、お互いが好きという気持ちを確かめます。そしてバレンタイン、すいれんの誕生日、と距離が縮まる、ドキドキのイベントがいっぱいの第7巻です。
 

〜もやもやを抱えながらの7巻〜
 7巻発売しております。このマンガがすごい!2014オンナ編4位になりましたが、帯ではそれはごくごく控えめにして、アーティストのmiwaさんのコメントをメインに据えるあたりは大手出版社の余裕でしょうか。
 
 さて、6巻では付き合いはじめてからの日々を描きましたが、どうにも淡白な印象で、かつもやもや感の残る展開。付き合うと言っても、具体的にどう行動したら良いかわからず、また行動してもどうしても小さいミスが出てしまうという。そしてそんな二人の状況を知ってか知らずか、後平くんが7巻でもちょっかいを出してきます。


〜ケガを経て一層親密に〜
 この後平くんの登場ですが、彼がすいれんに興味を持って恋愛的なアプローチをしてくるのかと思っていたのですが、今のところあからさまな動きはなし。そんな中での今回のケガ。このケガが、二人の関係の修復(というか変化)に大きく寄与しているわけですが、後平くんの出の鈍さを見ると、このケガが彼を投入する一つの目的だったのかな、とかいう気もしてくるのでした。
 
 いやーなんか後半なんかすっかり良い感じで。すいれんの誕生日とか良いじゃないですか。クリスマスで参考書を贈った彼が、なんとアクセサリー。ド級の進化にびっくりでした。ちょっと尊敬しちゃいましたもの。自分は、自身のセンスに自信がない上に、相手の好みを把握するのも苦手で、アクセサリーを自前で選んでプレゼントするとかなかなかできないです。オープンハート選んで炎上とかしそう。


〜高屋りょーすけの恋が…〜
 さて、今回恋愛方面で動きがあったのはすいれん川澄ペアのみではありませんでした。バレンタインですから、そりゃあ動きだってあります。なんとザ・脇役ガヤ要員だったりょーすけに、エンジェル登場です。しかも彼から恋の矢印が伸びているのではなく、向こうからという。
 

日々蝶々7-1
それがこの子、みなちゃん。か…かわいい…。
 
 
 りょーすけの心はおおよそ決まっているようですが、確定はホワイトデーまで待ち、というところ。勝手にりょーすけはずっとカノジョ出来ないキャラだと思っていたので、この展開は意外でした。川澄にとっては、恋愛経験値が同じ友達の様子を見て、色々と学ぶことも多いのかもしれません。先の誕生日プレゼントとかもそうだしね。


〜小春さんまだ出てます…!〜
 さて、そろそろもう出ないだろうと思われた小春先輩ですが、今回も出てます。粘ります。それがこちら…
 

日々蝶々7-2 
 バレンタインで、渡しに来たものの、タイミング合わずに去る後ろ姿が描かれます。何がすごいって、顔が全く描かれなかったという。前にあったあらすじ紹介文といい、どこかしら削られる傾向が…。とはいえ登場できるだけ上出来で、さらに今回に限って言えばラストには彼女メインの番外編が収録されていたのですから、もう万々歳ですよ。本格的に登場しなくなりそうな小春先輩、あ、後平くんとかどうでしょ?合いそうじゃないですか?(もはや適当)



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6巻レビュー→試行錯誤のお付き合い:森下suu「日々蝶々」6巻


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Tag [続刊レビュー] 2014.01.22
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1106349389.jpg森下suu「日々蝶々」(6)


こんな私だけど
この先も
よろしくお願いします



■6巻発売しました。
 つきあいはじめたすいれんと川澄。初デート、初クリスマス、2人でつくる「初めて」がいっぱいです。どうすればいいかわからなくて、うまくいかないこともあるけど、好きという気持ちはどんどん強くなっていきます。
 

〜付き合いあぐねの6巻〜
 5巻でついにつき合うことになった二人。こうして巻数で振り返ってみると、意外とあっという間のような気もしますが、物語として振り返ればこんなものという感触ですかね。さてこの2人、付き合ったは良いけれども、付き合う以前に「付き合うってよくわかんない」と言っていたように、正直どう振る舞ったら良いか分からない。一応デートに行ってみたりするのですが、どうにも上手くいきません。
 

日々蝶々6-1
歩くペースが合わない



日々蝶々6-2
おまけに靴擦れ


 定番のミスですよねー。特に一緒に歩く大変さといったら…。都会だと、人ごみの中で横に並ぶのも難しくて、前に出て道を作ってるつもりでも、いつの間にかはぐれていたりとかって経験があります(反省)。あと個人的にハードル高く感じるのが、相合い傘。あれメチャクチャ難しくないですか?自分がびしょ濡れになるか、自分が濡れないようにしてたら相手が濡れる&傘の端が刺さるのどっちか。上のようなミスを、もし私のような年齢の男がやったら確実に印象悪くなるわけですが、そこは十代付き合いたてのマジック。リベンジを誓う川澄の前に、すいれんは胸キュンするのでした。いやー、初々しい。
 
 しかし「靴擦れを気遣う」ってのは、ここ最近の少女漫画では、相手役ないしかませ犬は結構な確率でこなせてしまっている印象が。川澄は珍しく、ベタ中のベタなミスをしたということで、やっぱり普通の少女漫画の相手役とは違うな、と少し思ったのでした。女性慣れしていない硬派さと、すぐに反省できて全力でフォロー&リベンジする真っ直ぐさが際立ったシーンだな、と。


〜意外にも淡白な印象でした〜
 斯くしてちょっと失敗なデートで始まったお付き合い。付き合った以前と以降で、幸福度やトキメキが増しているかというと、そういう印象はなく、むしろ停滞している感がありました。なんというか、思ってたよりも淡白だなぁ、と。好きあっているという意思が確認出来たことによる安心感と、未来への期待感こそすいれんから感じられるものの、付き合っている前後で二人の行動範囲・行動様式に大きな変化があるかというと、そんなことはないような。もちろんクリスマスでのプレゼント交換とか、ドキドキのイベントなんですけれども、どうにも慌ただしくて…あと、決定的に色気がない(笑)それが良い所でもあるのですが、どちらかというと笑った方が多かったかな(あのプレゼントですし)。
 
 「付き合う」と言いつつも、先述の通り二人は「付き合う」ということを模索している状況で、幸せはこれから段々と形になっていくのでしょう。「付き合う」というのはあくまでスタートで、決してゴールに非ず。その位置付けを裏付けるかのように、周囲の人間関係は変化を見せています。次巻7巻、どのような様相を呈するのか。6巻よりも、きっと幸せは増えていると、期待しています。


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Tag [続刊レビュー] 2013.12.31
作品紹介→みんな自分だけの流れ星を探してる。:やまもり三香「ひるなかの流星」1巻
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1106349388.jpgやまもり三香「ひるなかの流星」(8)


次の恋…


■8巻発売しました。
 獅子尾に再度失恋をし、悲しみでいっぱいのすずめは、突然田舎に帰ってしまいます。心配して迎えに来た友達と温かい家族を前に、すずめは素直な想いを口にして…。この失恋、どうやって乗り越える!?


〜まさかの失恋〜
 7巻にて獅子尾からまさかのお別れ宣言。これにより、すずめの恋はあっけなく終わりを迎えることになります。8巻は、失恋からのスタート。獅子尾の一時の気の迷い…なんてことも考えたのですが、実際どうなんでしょうか。恋愛ものでの別れ話って、復縁があるパターンとないパターンで結構ハッキリと差が出る印象なんですが、獅子尾のそれは良くわからなかったというのが正直な所です。教師と生徒という溝は、もちろん現実では大きな障壁となるわけですが、少女マンガではあまり障壁としては機能しません。ましては本作の場合、獅子尾とすずめは一度その隔たりを飛び越えてしまっていますからね。体面上は「獅子尾がすずめのことを思って」という描かれ方をしていますが、もっと根底から捉えると、単に獅子尾が怖じ気づいたという印象ばかりが強くなってしまいます。
 

ひるなかの流星8−1
未練タラタラ
 
 
 ということで、多分獅子尾には挽回するフェーズがいつか訪れるんじゃないかな、と個人的には思っています。ただそれが、ヒーローとしてなのか、ライバルとしてなのかは、判然とせず。鍵を握るのは、馬村の頑張り。ただ、それだけ。


〜驚くほどのチャンス〜
 さて、斯くして大チャンスが巡ってきた馬村。このチャンスを逃さない手はありません。恐らく最初で最後の機会。獅子尾は恋愛バトルの場から退場せども、まだ戻ってくる可能性は否定出来ず、文句なしに相手役の座に座るには、獅子尾を上回る大切な存在としてすずめに認識されなければなりません。というわけで、神様のアシストもあり、馬村頑張ってます。
 
 8巻ではすずめの実家にお泊まりして、一緒に雪かきしたり、馬村の誕生日会にすずめを呼んで築地デートなど、イベントが盛りだくさん。盆と正月が一気に来たかのような状況です。そしてそのときどきで、馬村がカッコイイ&カワイイのですよ。あと、都度思うのは、すずめと馬村って結構通じ合ってるよねっていう。たとえば雪かきしてるときとか…
 
 
ひるなかの流星8−2
馬村が雪だるまを作ろうとしているのを察して、すずめがコントロール


 まず雪だるま作ろうとするところが可愛いのですが、それを察してこう提案できるすずめとのコンビ、良いなぁ、と。あとお泊まりで良かったのが、寝癖。寝癖が、もうツボで…。直前の洗い髪でペタッとしてる所も良かったです!(結局なんでも良い) 二人が通じ合ってるなぁ、と思えたのはこれ以外も幾つかあって、例えば馬村に誕生日プレゼントを贈った時とか、ちゃんと相手のことを考えてヘッドフォンを買ってるんですよね。これが獅子尾の場合、ネクタイはネクタイでも寿司柄っていう…。そしてそのプレゼントを貰って無表情の馬村を見て「なんとなくだけど嬉しそうな気がする…」って感じたりするあたり、「気がする」じゃなくて、絶対喜んでますから!それを感じとれるくらい、すずめは馬村のこと理解できてるんじゃないのかな、と感じさせるシーンでした。


 とにかく素直じゃない馬村。感情表現、愛情表現がヘタゆえなのですが、それでも頑張ってすずめと過ごそうとあれこれ頑張る姿が良いのです。築地デートでも、


ひるなかの流星8−3
はぐれないように

 
 これ、かわいいのが手をつなぐんじゃなくて、裾を持たせるように…っていう奥ゆかしい促し。手をつないでいないのに、顔が真っ赤。もしこれ、手をガッツリつないじゃった日には、倒れるんじゃないのだろうか。ちなみに男性によっては、手をつなぐよりも裾を持たれる方がツボっていう人もいたりします(私の知り合いがそう)。


 さて、この他にもたくさんのニヤニヤポイントがあった8巻。すずめもなんとなく馬村を意識してくれているのではないかと思います。このまま一気に突っ走ってほしいものですが、さてどうなることやら。とりあえず言えるのは、次回予告に描かれている馬村の行動が、かませ犬のそれすぎて不安しか無い(断言)フラグ!フラグ立ててるって!


〜ゆゆか様…〜
 さて、馬村が頑張っている横で、ひとり想いを温めていたのがゆゆか様。まさかの「気になってる宣言」ですよ。想像以上に陥落が早かったので、ファンとしてはややショックではあったのですが、馬村はもう望めない以上、新しい恋を頑張ってもらいたいものです。9巻でもちょいちょい描かれそうですし、引き続き見守りたいと思います。
 
 はい、というわけで、本年のレビューは「ひるなかの流星」8巻で最後となります。馬村のおかげで良い年が迎えられそうです(笑)新年すぐに挨拶更新するとは思いますが、ひとまず、良いお年をお迎えください!


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Tag [続刊レビュー] 2013.11.25
作品紹介→みんな自分だけの流れ星を探してる。:やまもり三香「ひるなかの流星」1巻
2巻レビュー→片想いが重なる高一の夏:やまもり三香「ひるなかの流星」2巻
3巻レビュー→馬村くんが不憫すぎる件:やまもり三香「ひるなかの流星」3巻
4巻レビュー→元カノのフォローパスが決勝点に?:やまもり三香「ひるなかの流星」4巻
5巻レビュー→ひとつの恋の成就とひとつの恋の終わり:やまもり三香「ひるなかの流星」5巻
6巻レビュー→馬村の成長記ではないのですが…:やまもり三香「ひるなかの流星」6巻
関連作品紹介→「シュガーズ」



1106318482.jpgやまもり三香「ひるなかの流星」(7)


こわれる音がする


■7巻発売しています。
 初めての2人きりの遠出。頑張りたいすずめとは違って、なにか悩んでいる様子の獅子尾はちょっと冷たい…。両想いなのに不安なのはなぜ…?事態は思わぬ方向に進んでいく…。
 
  
〜来月8巻発売です〜
 レビュー遅れました。気がつけば来月に8巻発売ですね。さてさて、物語のほうですが、今回は年末年始を挟み、ちょっとしたイベントが起きています。はい、現実では全く見たことないものの、恋愛マンガの世界では100円拾うかの如くありふれている、悪天候による交通機関の乱れ&部屋が一部屋だけしか空いていなくて仕方なくパターンのあれです。


〜お約束のお泊まり〜
 もう幾度となくこのパターンを目にしてきましたが、ダメですね、何度だってときめく(おい)。あとさらに贅沢を言うならば、付き合ってからよりも、付き合う寸前とかそういう方がドキドキ感があっていとをかし。しかしこういうのって現実で起こりうるんでしょうか。私はこう、予定通り事が進まないとイライラして怖がられるっていうパターンを幾度となく踏んでいるので、まずありえないわけですが。あと予約の電話するのを億劫がりそう…何か振り返ると酷いですね(反省)。
 
 さて、てなわけで二人泊まることになったすずめと獅子尾。この二人の場合、他のカップルとは事情が違いすぎます。好きあってはいるものの、関係はあくまで教師と生徒。手なんか死んでも出せるはずがありません。しかもすずめはかなりテンパっていること請け合いで、提案者でもある獅子尾としては男の見せ所でもあります。どういうテンションで対応するのかと思いきや…
 

ひるなかの流星6-1
終始楽しげに


 確かに、これは獅子尾っぽいですねー。自分もテンパっているんだぞってのを開けっぴろげにして緊張をほぐすって手もあるわけですが、彼はあくまでこの余裕含みでの対応。これ、シチュエーションと自分のキャラを加味しての選択だと思うのですが、疲れそうだなぁ…。一瞬危ないシーンはあったものの、最後までちゃんと保護者としての立場を死守しておりました。
 
 今回のこのシーンで印象的だったのが、他作品では往々にしてプラスに働くであろうお泊まりイベントが、本作では今のところ全く持ってプラスに働いていないという所にあります。甘さは一切無く、むしろ立ちこめたのは暗雲。これがきっかけとなり、破局の道すら歩みかねない状況に。さすがに無いとは思いますが、これが最後の思い出に…なんてなりませんように。


〜やっぱり馬村が素敵〜
 今回はゆゆか様と馬村の出番は少なめ。とはいえゆゆかは回想形式で、現在の心境をしっかりと吐露しており、脇役としての魅力を再認識させてくれましたし、馬村は8巻でなんだかとっても良い行動をしてくれそう。今回、ラスト近くになって二人が絡むシーンがあるんですよね。


ひるなかの流星6-2
 諦めたとは言いつつも、やっぱり馬村が好きなゆゆかのこのリアクション(笑)やっぱり嬉しいんでしょうかね。とはいえ馬村のこの行動は、すずめを想ってのこと。そこがちょいとツライ所ではあります。しかし馬村のこのすずめに対しての行動力、素敵です。どうしたって気になって気になって、いつも考えてしまう。そうそう、あと馬村に関してはこんな印象的なシーンも。


ひるなかの流星6-3
マフラー


 なんかこれ立ち絵がすごい相手役然としていたやけにカッコイイという(笑)。「たいした意味なんてない」なんて、きっとウソで、けれどもすずめのことを考えての言葉。先の行動も、獅子尾の民宿での行動も、これも、みんなすずめのための行動。いい男二人に想い守られて、非常に幸せな子です、すずめは。しかし馬村と獅子尾の行動には大きな違いが。というのも獅子尾は教師と生徒という関係の元、決して手を出せないわけですから、己の欲求もどうしても抑えがちになってしまいます。一方馬村にはそんなしがらみはない。だから、マフラーをして欲しいとか言った小さい欲求を、ちょいちょいとねじ込むことができます。この若さと自由度で、なんとか食らいついて欲しいところですが、果たして8巻では如何様に…?気になるところです。


〜特別マンガ「ヒロインの流星」が面白かった〜
 さて、今回は巻末にマーガレットと別マの特別企画として作られた作品だそうで、「ヒロイン失格」と「ひるなかの流星」の女子達が合コン前というシチュエーションで、別マ&マーガレットのヒーロー達について語るという内容。これがなかなか面白かった。ネタもなかなか刺激的でして、「ヒロイン失格」の結末をめぐって2ちゃんねるが炎上したとか、獅子尾が実はアシスタントさんや家族にすげー嫌われてるとか、かなりぶっ込んでるな、と。あと何気に別マとマーガレットのヒーローヒエラルキーみたいなものも見えてきまして。風早くんとか、川澄(「日々蝶々」ね)とかいますけども、やっぱりトップはF4ですよねーと。確かに美作はまだしも、西門でさえ、そこらへんのヒーロー相手だったら勝っちゃうんじゃないかってほどに魅力的に映りますから。アジアのトップアイドル・F4を輩出してしまうほど影響力ってのは、やっぱり並ではないんでしょう。

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