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Tag [続刊レビュー] 2015.04.05
1106500453.jpg森下suu「日々蝶々」(10)



……もう好きじゃん
その子のこと




■10巻発売しました。
川澄の彼女。そして絶対に振り向かない。
わかっているはずなのに、後平のすいれんへの思いはどんどん募っていき、
ついに人を好きになること、好きでいつづけることの切なさがつのる第10巻。


~二けた巻数~
 日々蝶々のレビューするのもだいぶ久々という感じですね。ここ2巻ぐらいは川澄・すいれんの関係性に大きな変化は見られず、どちらかというと後平にスポットが当たるという印象がありましたが、冒頭のあらましなんかはまさにそれの典型的な症状で、後平が主人公の話なんじゃねーかっていうぐらいの勢い。そんな彼の心情の変化や行動などについては、本編で楽しんで頂くとして、当ブログ的にはむしろこっちが大事なので、こちらについてお話しましょう。はい、小春さんです

 全盛期には表紙を飾ったりもしていたのですが、川澄にフラれて以降は急激に出番が減り、気が付けばあらすじ紹介からもその名前が消えるという干されっぷりを見せていた彼女。なんと10巻にて再度表紙ですよ。ありがとうございます。もちろん本編でもその登場回数は増えてきているのですが、これがなかなかの不遇っぷりと言いますか、辛い役回りなんですよね。


~健気な小春さん~
 初登場時はお高くとまったいけ好かない女子でしたが、失恋して以降はびっくりするぐらいにおとなしい、健気な女の子という感じが強くなった彼女。しかし恋愛に対して積極的という姿勢は変わりなく、脈がないとわかりつつも後平にアタックをし続けます。まぁ今回はしょんぼりが多かったですねぇ。とにかく回りくどいことが嫌いな彼によって、ずばずばと本心を引きずり出されてしまいがちなのですが、困りつつも出したこの言葉とか……


日々蝶々100001
まだ告白したくない


 という何度目かの告白。この表情が素敵ではないですか。この後去り際に涙をぬぐうのですが、その辺りも切ない。その後彼女の頑張りが報われたのか、文化祭に彼が訪れてくれるのですが、そこでこの表情ですよ……


日々蝶々100002
めちゃくちゃ嬉しそう


 だれだこの人。なんだかよくわからないのですが、この悲しみようと喜びようの両方を見せられて連想したのは、わんこ。素直な彼女の方が俄然素敵だとは思うのですが、そこはかとなく漂う不幸感は何なんでしょうね……。

 まあ事実苦しい恋愛を強いられているのは間違いなくて、好きになった相手が両方ともとある女性のことが好きだという。実際あるのかわからないですしかなり辛い役回りではあるのですが、すいれんが「学校一の美少女」としての恋愛物語を体現しているのであれば、これもまた「学校一の美少女が近くにいる普通の美少女」にとっての恋愛の一つの姿であるのかもしれません。先に「まだ告白してない」というくだりがありましたが、彼女が本当に「告白」をしたときに、その結末がわかるのではないでしょうか。彼女が決意をするのは、いつになることやら。。。


【関連記事】
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5巻レビュー→付き合うってなんだろう:森下suu「日々蝶々」5巻
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7巻レビュー→ケガとバレンタインと誕生日:森下suu「日々蝶々」7巻

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Tag [続刊レビュー] 2015.03.06
1106491124.jpgやまもり三香「ひるなかの流星」(12)



これからもよろしくおねがいします



■12巻発売、完結しました。
 沖縄で馬村と、初めて2人きりでお出かけ。はしゃぐすずめの目に映ったのは……獅子尾!?考えないように避けてきた気持ちを確かめるため、走り出したすずめ。最後に選んだ答えは……。感動の最終巻!


~完結しました~
 12巻で完結しました。結果はどうなるかおおよそ見えていたものの、“万が一”があるかもというドキドキ感は残しつつの最終巻でした。なお最終巻の表紙は白ベースに制服の緑ろ文字の金色が映えるオシャレな色合いで、好きですねー。何より件の3人に加えてゆゆか様がちゃっかりいるってのが素敵だと思います。というわけでここから内容に入ってきますが、完全にネタバレなので未読の方はご注意ください。


~最後まで男二人にはイライラを…~
 せっかくの沖縄旅行で、本編でもその辺りがじっくりと描かれるかと思っていたのですが、ある男によってそれが邪魔されることとなりました。はい獅子尾です。もうここ2巻くらい散々書いているの通り、別れて以降女々しさマックスで分別のつく大人とは思えぬ行動の数々にイライラさせられていたわけですが、今回も同じく。なんていうか子供相手にズルいんですよね。今回も怪我をするわけなんですが、あんたなんでこのタイミングで怪我するかねっていう。土壇場での怪我・病気ってのは大抵相手本線のキャラで使われるのですが、あなたがここでそのカード切りますかという驚きがまずありました。正直馬村で間違いないと思っていたのですが、このくだりが出てきてだいぶドキっとさせられたという。

 で、そんな中馬村も引き留めておけばいいのに、当て馬が切るカードである“理解力”と“優しさ”をがっつりと繰り出します。ここで強引に抱き寄せて引き留めるぐらいの気概があってもいいのになぁとか思ったのですが、とにかくすずめのことを第一に行動するという彼の姿勢は変わっておらず、いつまでも馬村は馬村なんだなぁと安心させられました(完全にひいき目)。


ひるなかの流星120001
ここで完全に終わったと思って落ちる馬村も、噛ませ犬っぽさ満点で素敵でした。海辺に佇んでみるとか、実にベタな行動を取っているあたりもポイント高めです。


~この体勢がらしいですよね~
 かくして迎えたラスト、二人は海岸で想いを伝えあうわけでございます。最後はすずめのペースで勢いよく走り抜けたという感じがありますが、素敵でした。最後はすずめが馬村に覆いかぶさるような体勢=すずめが見下ろし、馬村が見上げ驚いている形で迎えるわけですが、これも実に二人らしい体勢といいますか。この流れはこれからもずっと続いていくんだろうなぁと予感させるものがありました。で、ようやく最後に……


ひるなかの流星120002
キス


 ようやく最後にキス。これまでも惜しいシーンはあって、12巻の水族館でも未遂で終わっていたというじらしっぷりでした。むしろあそこでキスに行かせずに東京に戻すってところは、「馬村とは終わり」という印象を少なからず補強する材料となっていた感もあり、最後までどちらかわからないようにしておこうという工夫が散りばめられていたんだなと思わされます。上のシーンで注目したいのは、馬村の手。これ抱き寄せているように見えるのですが、よく見ると少し空間が空いているように見えます。実際に触れていたのかは定かではないですが、少なくとも強く引き寄せるということはしていなかったんだろうな、と。これは馬村の女性になかなか触れられないという特質の表れかもしれませんし、壊れないようにそっと触れるという繊細さ・優しさの表れかもしれません。正直かなり腹筋使ってるんじゃないかと思うのですが、それをみじんも感じさせず、果てには「柔らかかった」というお墨付きまでもらえる馬村さん、さすがです。


 というわけで、最後までドキドキしながら楽しむことができました。ここ最近はストレートな青春恋愛ものでツボにはまるものが少なくなってきていたのですが、本作はドハマりしっぱなしで、きっとしばらくたっても何度も読み返すことになるんじゃないかと思います。馬村はここ数年でも1・2を争うほどに好きなキャラでした。どうやら本作、本編の方は完結しましたが、番外編を収録した単行本が後日出るらしいです。もう少しだけ余韻に浸りつつ、その新刊を待ちたいと思います。


■関連記事
作品紹介→みんな自分だけの流れ星を探してる。:やまもり三香「ひるなかの流星」1巻
2巻レビュー→片想いが重なる高一の夏:やまもり三香「ひるなかの流星」2巻
3巻レビュー→馬村くんが不憫すぎる件:やまもり三香「ひるなかの流星」3巻
4巻レビュー→元カノのフォローパスが決勝点に?:やまもり三香「ひるなかの流星」4巻
5巻レビュー→ひとつの恋の成就とひとつの恋の終わり:やまもり三香「ひるなかの流星」5巻
6巻レビュー→馬村の成長記ではないのですが…:やまもり三香「ひるなかの流星」6巻
7巻レビュー→苦い思い出の“お泊まり”:やまもり三香「ひるなかの流星」7巻
8巻レビュー→大チャンスをモノに出来るか。:やまもり三香「ひるなかの流星」8巻
9巻レビュー→好きだからだろ!:やまもり三香「ひるなかの流星」9巻
関連作品紹介→「シュガーズ」
10巻レビュー→僕は君のもの:やまもり三香「ひるなかの流星」10巻
11巻レビュー→私をはなさないでね。:やまもり三香「ひるなかの流星」11巻

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.02.08
1106472379.jpg佐藤ざくり「たいへんよくできました。」(1)



今日の私は人生初の
たいへんよくできました
だった気がする




■野々山ぼたんは、ひきこもりな人生を送ってきた女子。友達作り!恋もしたい!と寮付きの高校へ入学して華々しく高校デビュー……なんてできるワケなく、空回りばかり。でも、「友達なんかいらない!」と言い放つワケあり男子・甘藤くんとの出会いから運命が変わりはじめる!?

 「おバカちゃん、恋語りき。」や「マイルノビッチ」の佐藤ざくり先生の新連載になります。それではあらすじをご紹介。主人公は小中と引きこもって過ごしてきた女の子・野々山ぼたん。いずれも1年の時に登校拒否になったので、ほとんど学校には行ったことがありません。そんな彼女の唯一の楽しみは、自分でつくったぬいぐるみに話しかけること。けれどもこれだけじゃ虚しい……と、心機一転、寮付きの高校に入学し、華やかな高校生活をスタートさせようとします。友達たちに囲まれ、時には恋なんかしちゃったりして。。。と期待を膨らませるぼたんでしたが、そう簡単には事は運ばず、なかなか馴染めないままに日々は流れていくのでした。そんな彼女と最もよく絡みがあるのが、イケメンながら全く人をよせつけない甘藤くん。自分とは正反対の考えの持ち主である彼でしたが、何故だかぼたんと通じるところがあるようで。。。


たいへんよくできました10003
 佐藤ざくり先生の作品は、ヒロインがかなりハードモードな人生を送っている印象があるのですが、本作もなかなかにハード。過去の出来事もさもありなんですが、高校に入学してからも、純粋に友達を作りたいと思っているヒロインに対して、ちょっと性格に難ありな女の子たちからのアツい洗礼が。いやー、やさしくないですね。しかしながら、それを乗り越えてこそヒロインの魅力がより発揮されるわけで、安定の佐藤ざくり節と言いましょうか。またそういった出来事があるからこそ、相手役もヒロインを手助けしたくなりますし、距離もより縮まりますから。


 ヒロインのぼたんですが、小学校の時には男子にたくさん虫をプレゼントされたことがショックで登校拒否に、また中学の時には、学校で大人気だったサッカー部の先輩の告白を断ったところ、女子たちから無視されるようになり登校拒否にと、見た目はかなり可愛い方だと思われます(作中で言及ないのですが)。そのためひきこもりテンプレートな、暗い性格の地味めな子というわけではなく、むしろ見た目の良さが災いしてトラブルにみまわれたという、「日々蝶々」のすいれん的な子と言えるでしょう。そんな彼女の相手役となるであろう甘藤くんも、かなりのイケメン。1巻時点ではほとんど過去に触れられることは無いのですが、おそらくその見た目が災いしてトラブルに見舞われ、以来人間関係にうんざりし、人との触れ合いを拒否するようになったものと思われ、置かれていた過去はぼたんと同じなんじゃないかと匂わせています。


たいへんよくできました
 ヒロインはそんな過去を経て、より「友達が欲しい」「恋がしたい」と願うようになり、一方の甘藤くんは頑なに拒否しようとするという。相反する二人ですが、ぼたんの友達欲しいという思いは甘藤くんにも向けられ、甘藤くんもそれに少しずつほだされてくるという関係性を見せます。


 未だに「おバカちゃん~」の印象が強くて、そこからするとかなり絵がこなれていて驚くのですが、もう巻数も重ねているのだから当たり前ですよね。それぐらい印象深い作品だったのですが、本作がそのイメージを塗り替えてくれることを期待したいところです。さすがに長期連載を見据えており、1巻時点では情報が揃いきらないぐらいの進展度。巻数を重ね、ますます面白くなって来そうな予感がしています。

 
【男性へのガイド】
→相手役の性格や、ヒロインの周囲にいる性格きつめの女子たちは、男性にはややとっつきづらい所があるかもしれません。
【感想まとめ】
→一筋縄でいかないハードモードな学園青春物語ということで、爽やかさや気持ちよさはないのですが、そんな苦境に向きあい頑張るヒロインの姿に勇気づけられます。おすすめです。


作品DATA
■著者:佐藤ざくり
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税


■試し読み:第1話

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Tag [続刊レビュー] 2014.11.12
1106451769.jpgやまもり三香「ひるなかの流星」(11)



なんでこんなに
胸がざわざわするんだろ




■11巻発売しました。
 獅子尾からの突然の告白に戸惑うすずめは、その言葉を信じず、馬村との距離を縮めようとします。運動会になり、リレーで直接対決をすることになった獅子尾と馬村。すずめが応援するのはどっち!?


~獅子尾の悪あがき~
 11巻です。どうも次が最終巻になるみたいなのですが、最後の追い込み的に状況が慌ただしく動いています。ようやっと付き合って、これから少しずつ愛を育んでいこうとしているすずめと馬村ですが、付き合いたてのドキドキ感はさほど感じられず、むしろ不穏な動きを見せる獅子尾に気を揉むという可哀想な状況です。運動会(高校だと体育祭とか言いませんでしたっけ)も神の見えざる手が機能しまくりでして、おあつらえ向きにリレーで馬村と獅子尾がぶつかるという。

 ここはなんとか馬村が勝ちをおさめるのですが、その後すずめが怪我をして保健室で二人きりというまたまたおあつらえ向きなシチュエーション。獅子尾はここぞとばかりに、自分の想いを伝えようとします。が…


ひるなか11-2
すずめの抵抗


 ナイスセーブ!すずめさん、言わせないという素晴らしい守備を見せました。二人で必死に守ります。二度に渡って頑張った二人ですが、それでも拭いきれない不安感。なんというか、これらが取りようによってはフラグに見えて仕方がないんですよね。本当に安定していれば意にも介さないわけですが、そうじゃない様子がありありと見て取れるわけで、もうひと押しぐらいされたら崩れそうっていう。



~12巻はどんな着地を見せるんでしょう~
 さて、12巻はどういうルートを経て着地するのでしょうか。少なくとも確定であろうイベントは、獅子尾はどんな形であれ自分の想いを伝えるであろうということ。というか、これが一番の山場になるんだと思うのですが、一度想いを伝えることを阻んでいるという過程を考えると、嫌な予感は募るという(笑)

 ここで再度跳ね返せれば馬村と幸せに。ここで揺らいだりすると、大人な馬村(というかすずめのこと最優先の馬村)は、自ら身を引いちゃうんじゃないかなぁ、とも。これまでの姿を見ていると、獅子尾よりも俄然馬村の方が大人というか、分を弁えている感じがあるんですよね。その分勝負弱い感が、、、ってここまでの文章振り返って、スポーツの話でもしているのかっていう。いやでもそのくらい、手に汗握る展開だという。

 馬村エンドというルートを考えると、「獅子尾への想い(思い出的なものも含め)を断ち切れるか」と「真に馬村のことを好きになるか」が条件になると思うのですが、これをクリアするイベントってどんなのがあるのでしょうか。馬村との関係は時間をかければかけるほど強固なものになっていくとは思うのですが、すぐにバシっと想いが強くなるものかと言われるとよくわからないですし。獅子尾との気持ちを断ち切ろうにも、これだけ周りでうろちょろされたらなかなか傷は癒えないですから、これまたどうなんでしょうという。かと言って獅子尾ってのもなぁ、、、という。

 なんだか不安だらけのカップルですが、このシーンにすべてを懸けたいところです。


ひるなか11-1
私をはなさないでね


 このまますずめを離すことなく、幸せな結末と相成ることを願っています。決戦の地は沖縄、12巻は春の手前の2月末に発売予定です。 



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9巻レビュー→好きだからだろ!:やまもり三香「ひるなかの流星」9巻
関連作品紹介→「シュガーズ」
10巻レビュー→僕は君のもの:やまもり三香「ひるなかの流星」10巻


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Tag [続刊レビュー] 2014.07.28
1106412700.jpgやまもり三香「ひるなかの流星」(10)


馬村はやっぱり
せっけんの匂いがした



■10巻発売しました。
 馬村からの突然の告白に、すずめが悩んで悩んで出した答えは……“大切に思ってくれる人を、幸せにしてあげたい”。そう進んで行こうと思った矢先に獅子尾と再会して…?

 
〜ついにキター!!!〜
 10巻発売しております。9巻ラスト、リーチかかった形での幕切れでしたが、期待通り早々に“アガリ”となりました!すずめが自分の今持っている想いを馬村に伝え、馬村は…
 

ひるなかの流星10−1
今まで以上に大切にする
よろしくお願いします



 いやー、おめでとう!本当におめでとう!!これまで腐ることなくひたむきに、自分なりのやり方ですずめを想ってきた馬村が、こうして幸せになってくれて、本当に嬉しいです。しかしこの馬村の言葉。これまで以上に大切にされたら、どうなっちゃうんだろうって感じですよね。これまでもとにかくすずめ第一主義的というか、大切に大切にしてきた感が強いので、いざ“彼氏”という枠に収まったとき、どんな優しさを見せてくれるのか。。。なんという期待感と安心感。こういう言葉をかけてあげられる(表向きだけでなく、内面も伴った形で)男になりたいものです。


〜僕は君のもの〜
 さて、斯くして「すずめの彼氏」となった馬村。ふわふわした気分で学校に向かいます。高揚感に包まれているであろう中、すずめに貰ったヘッドフォンで聴いていたのは、Jason Mrazの「I'm Yours」でした。洋楽とか聴くんですね、馬村は。この曲、Billboard 100への連続チャートインの最長記録を持っていたりするので、割と知っている方も多いかと思います。タイトルを直訳するならば、「僕は君のもの」。馬村の心情を表しているのでしょうか。歌詞を見ると相手への想いを綴ったラブソングというよりも、もうちょっと広いスケールで唄われているもので、なんだかこう、馬村がものすごく大きな心の持ち主であるように見えてきてしまいます。
 
 

私もこの曲、好きでiPodに入っているのですが、晴れた日に歩きながら聴きたくなるような気持ちの良い曲ですよね。


 さて、というわけで中盤は付き合いたてのフレッシュさと恥ずかしさ全開でお送りするわけですが、個人的にこういうお気に入りカップルのこういうシーンが一番の大好物でして。もうこういう状態だけで5巻くらい続いて欲しい(願望)。今回特に破壊力があったのは…
 
 
ひるなかの流星10−2
これ
 
 
 もう、最初に何思ったかって「馬村死んじゃう!死んじゃう!」と。口に出してましたから「死ぬ。死ぬ。」て。すずめって時折こういう不意打ちをしてくるんですが、これがいい具合に馬村の反応を引き出してくれるのですよね。改めてニヤニヤが止まらないっていう。それに叔父さんにもちゃんと気に入られてるしね、前途は明るいです。
 

〜獅子尾サン…〜
 なーんて、すべてが上手く動いていたように見えたのも束の間、この男が波乱を起こしてきます。はい、獅子尾ですよ、獅子尾。前回のレビューで「不安」と書いていたのですが、その予感がなんとなく現実味を帯びてきたと言いますか…。
 
 正直なところ、「余計なことしてんじゃねーよ」感がすごかった。いやー、確かに彼単体で考えればこの行動はすべきだったのかもしれないのですが、物語全体で見た時にどうだろう。彼が辿ろうとしている道筋は、失敗して学ぶっていう割とありがちな成長ルートで、もちろん必要な行動ではあるのですが、それを年下の生徒相手にやるってのはどうなの、と。ましてやその子は、傷を抱え、迷いつつも立ち直ろうとしている子供なんですから。相手も、タイミングも誤っているようなモヤモヤ感がすごいあるのですよね。元カノは獅子尾のことを「ガキ」だと諭すわけですが、それにしてもこれはあまりにガキすぎるというか。ガキと言えど、すずめや馬村から見たら獅子尾は「大人」であって「教師」なわけで、だったら最低限大人としての振る舞いをして欲しいのですよ。ガキだと言うのなら、こっぴどくフラれて成長すればいいのだ…なんてのは暴言すぎますかね。しかし印象悪いのは確かだと思うんだけどな。これどっちに転んでも、場を片付けるのが大変そう。
 
 とはいえ馬村&すずめの関係が固まりきっていない段階でこの牽制を入れるというのは、状況をひっくり返す上ではこの上ないタイミングで、これでまた状況はわからなくなってきました。馬村はかわいそうですが、まだまだ安心感のあるドキドキを胸いっぱい楽しむ時期は遠いようです。


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