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Tag [新作レビュー] 2010.05.01
skei.jpg小田切渚「彼はS系生徒会長」


助けてほしい?
助けてほしいかったら
俺のこと「好き」って言えよ



■男の子が苦手で、触られると反射的に殴ってしまう雫。しかも並のパンチではなく、空手柔道合わせて五段の殺人パンチ。何人もの男が、彼女に近づいて返り討ちにあってきた。そんな彼女が、極悪ドSと名高い生徒会長・静に目をつけられた!その体質を治してやると、いきなり静を自分の女に!?噛み付くようなキスをされて、さすがの雫も手が出ない…。その日以来強制的に生徒会に入れられた雫は、静のドSっぷりに振り回されっぱなしで…!?

 小田切渚先生の初コミックスでございます。ドS生徒会長に翻弄される、男が苦手な武道少女という組み合わせのラブコメディ。男が苦手で、触れられただけで相手を殴ってしまうヒロイン・雫が、ある日極悪ドSで有名な生徒会長・静に目をつけられ、その体質を改善してやると半強制的に静の女にされてしまうというところからお話はスタートします。最初は困惑していた雫も、その強引さの奥深くに覗く静の優しさに心打たれ、いつしか本当に彼のことが気になり出して…という展開です。新人さんのお試し連載らしく、速いテンポで話が展開され、あっという間にくっつき、次々と試練が訪れていきます。


彼はS系生徒会長
ドSだけじゃなく「極悪」ですから。机に足を乗っけるとは、普通にします。まぁ突っ込もうと思えば突っ込めるわけですが、ここで突っ込むべきはむしろ雫だろう、と。


 会って間もなく「俺の女になれ」宣言され、挙げ句強引にキスをされたというのに、当のヒロインは「私の体質改善に協力してくれるなんて…嬉しい!」というまさかの感想を抱くという序盤。個人的には「なんて電波な展開なんだろう」と思いつつも、「強引なドS王子」という、記号的なファクターに反応するアンテナをお持ちの読者にしてみれば、これほどまでにお手軽に楽しめる作品はないのでしょう。絵柄もどちらかというとエレガントな雰囲気で、個人的には読みやすかったです。その後も記号的な要素を組み合わせたような、消費しやすいつくりになっており、お試し連載としては結構良い内容になっているのかもしれません。ただタイトルで「ドS生徒会長」を謳っているのなら、後半もっとドSっぷりを発揮させても良かったような。ヒロインの空手柔道合わせて五段という設定も、生徒会長のドSっぷりと共に、スポット参戦のキャラに消されていたような感じがして、ちょっともったいなかったように思います。
 
 テンポが良くサクサク展開するので、ページ数の割にボーリューミーな印象。さらっと流れていくような作品も少なくない中、ワンパターンにならずに様々なファクターを取り入れられたってのは、注目すべき点かもしれません。少コミで最近まで連載してた某作品よりかは、全然面白いと思うんですけどね。


【男性へのガイド】
→少コミでもこれはしんどい部類に入るのでは。突っ込みながら読みたいという方に。
【私的お薦め度:☆☆   】
→突っ込みながら読めたという点では、十分元はとれたかなという感じ。タイトルで萌えなかったらもうダメって感じですが、少コミはそれでいいのだと思います。


作品DATA
■著者:小田切渚
■出版社:小学館
■レーベル:Sho-Comiフラワーコミックス
■掲載誌:Sho-Comi('09年第21号~)
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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Tag [新作レビュー] 2010.01.27
blue.jpg千葉コズエ「BLUE」(1)


君たちの存在はこの青に似てる
深く優しく透明な
本物のBLUE



■3年ぶりに、生まれ育った小さな島に戻ってた美海。迎えてくれたのは、ヒカリ、菫、陽介の幼なじみ3人。中途半端な時期に高校へ編入、しかも一人暮らしと、どうしても東京を出なければならない理由が、美海にはあったのだ。事情こそ知らねど、そんな彼女を気遣い優しく迎える3人。昔と変わらず、美海を優しく包みこむ海のブルーと、少しずつ変わり始める4人の想い。忘れられない物語が、いま始まる…

 千葉コズエ先生の新作でございます。前作は歌手を夢見る女の子の話でしたが、今度はとある島を舞台に描く、幼なじみ同士の青春ラブストーリーとなっています。お話の主人公となるのは、東京から3年ぶりに生まれ育った島に戻ってきた高校生・美海。高3の夏という中途半端な時期、しかも一人暮らしでの編入と、何か”事情“を感じさせる帰郷。その理由は、東京で教師との交際がバレてしまったからなのですが、幼なじみ達はそのことは何も聞かずにあたたかく迎えてくれます。静かでクールな陽介に、大人しく内気な菫、そして明るく元気なヒカリ…3年という時をまたいで再会した4人の心は、友情という枠を越えて再び動き出します。


BLUEブルー
序盤は元気ッ子ヒカリとの恋愛がメインになる。そこからヒロインの心の傷が明らかになっていき、物語はさらに違った色を見せていくことになる。


 設定だけを見るならば、なんとなくベツコミとかCheese!の作品のように見えなくもない今作。しかしながらそこはしっかり少コミで、ヒロインには教師と交際していたという過去を用意。傷ついたヒロインという部分を強調するだけでなく、さらに今後その相手が物語に絡んできそうな描写も見られ、話はよりドラマチックな方向に進んでいきそうです。また一応4人の青春物語ということなのでしょうが、現時点で幼なじみの女の子は物語にほとんどからんで来ず、ヒロインと二人の幼なじみの男の子を描いているという状況。一人はヒロインが島を離れる前から彼女のことを想っていて、もう一人は好きかはわからないものの見守ってやるくらいの構え。まだ恋愛に関しては、ヒロインと幼なじみの一人であるヒカルの間でチグハグに動いている程度で、本格的になってくるのはまだ先という感じでしょうか。ここに陽介と菫、さらに先生が混ざってくれば、それなりに面白くなってきそうではあります。

 田舎が舞台だからといって、ゆっくり時間が流れていくことはなく、展開は結構早いです。動いていないとは説明しましたが、それは脇役の動きも考慮した物語全体についての印象であって、ヒロインの心情・身辺は結構慌ただしく動きます。作者さん的にはゆっくりやってもいいのでしょうが、ただでさえ地味めでSho-Comi受けしなさそうな話なので、そんなにゆっくりはできないのか。このレーベルにはそぐわなそうな設定ですが、そこをどう埋めていくのか、注目です。その辺結構上手く立ち回れる先生なので、とんでもない超展開とかなさそうですし。


【男性へのガイド】
→脇役がどの程度絡んでくるかによって変わってくると思うので、現時点では何とも。とはいえ読めてもこのレーベル的には、というラインでしょうが。
【私的お薦め度:☆☆   】
→長期化するならば面白そうですが、ただでさえ作品の寿命が短いこのレーベルで…ということを考えると…。全体像が見えないのは強みでもあるのですが。


■作者他作品レビュー
*新作レビュー*千葉コズエ「左手のラブレター」
*新作レビュー*千葉コズエ「ひとりぼっちはさみしくて」


作品DATA
■著者:千葉コズエ
■出版社:小学館
■レーベル:Sho-Comiフラワーコミックス
■掲載誌:Sho-Comi('09年第19号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [新作レビュー] 2009.12.25
namida.jpg水瀬藍「なみだうさぎ~制服の片思い~」(1)


指先から
心臓の音って
伝わるのかな



■遠足や運動会なんかよりも、自分にとっては重要な一大イベント…席替え。わくわくハラハラ、誰のとなりに鳴るのかドキドキ。中学3年生になって初めての席替えで桃花の隣になったのは、「となりの席になると、一生彼氏ができない」と噂されるクラス一地味で変人の男の子・鳴海。少しでも仲良くなろうと、声をかけてみたりした桃花だったけど、その反応は芳しくない。この席替えは、ハズレだった…そう残念がる桃花だったけど、鳴海の意外な素顔や優しさを知る度に、少しずつ近くに感じるようになっていって…!?

 前作「センセイと私。」(→レビュー)は4巻まで刊行させた水瀬先生。その勢いのまま、新作のスタートです。今回のヒロインは中学3年生の、ちょっと気の弱い女の子。学校のどんな行事よりも、席替えを楽しみにしていたのですが、隣になったのは「クラスで一番地味で変人」「隣になると彼氏ができなくなってしまう」などと噂される鳴海くん。その時点で不安なのに、いざ話しかけたりしてみると、噂通り反応すらしてくれないような男の子で、桃花はこの席替えは失敗だったと思うようになります。しかしその後知る、彼の意外で優しい一面。マラソン大会のとき、体調の悪くなった桃花を抱きかかえて保健室まで連れて行ってくれたり、早朝の学校で、子犬相手に笑顔で写真を撮る姿を見るようになりと、そうした一面を知るごとに、徐々に彼のことが気になってくるようになります。


なみだうさぎ
メガネ男子でもあります。まぁ、なんていうか、純なんですよ、お互いに。


 少コミというと、俺様キャラの相手役で、ヒロインも走り出したら止まらないというようなキャラが多く、展開が比較的早いという特徴があるのですが、この作品はそれらとは逆をいくような作りになっています。例えば相手役の鳴海くんはメガネをとったらイケメンですが、性格自体は本当に大人しい地味な子ですし、ヒロインの桃花も、感情先行と言えどある程度スピードが出てしまっても制御できるような性格の持ち主で、それが物語がハイスピードで流れるのを食い止める役割を果たしています。そのためか、かなり大人しい雰囲気で、かつゆっくりとした流れを感じさせる仕上がりに。この思い切ったキャラ設定(特に地味な相手役)や、じらしを用いるあたりなどは、どこか作者の余裕すら感じられて、他の若手作家さんの作品との違いというのを一層際立たせているように思います。伏線も幾つか用意され、同時に2巻へのひきもバッチリで、上手く作られているなぁと感心しきり。
 
 面白いと思ったのが、「彼の隣になると彼氏ができない」というジンクス。鳴海は地味で女子から敬遠されているのですが、なぜかクラス一の人気者である天野くんと仲がよく、彼とよく話しています。で、ここからは私の勝手な考えなのですが、鳴海くんの隣になると必然的に天野くんと近くにいる時間が増え、結果天野くんを好きになる→しかし天野くんは競争率が高い→彼氏ができない…なんてからくりがあるのかなぁ、と。この辺ものしかしたら明らかになっていくのかもしれませんね。
 
 1巻ではキスどころか手すら繫いでいないというプラトニックさ。帯にあるように、純愛を貫いています。少コミってあれでしょ?エロくてバカっぽくて…とか思ってる人には、「こんなのもあるんだよ」と見せてあげたいような作品。受けるかは別として、応援したいです。


【男性へのガイド】
→恋愛特化で女性視点ではありますが、少コミ基準でいけばこれはかなり読みやすい水準ではあると思います。恋愛云々がダメだったら元も子もないけど。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→限りなく4つに近い3つ。正直おすすめにしようか迷った。ニーズとか、インパクトとか考えると、ちょっと気が引けるというか。


作品DATA
■著者:水瀬藍
■出版社:小学館
■レーベル:SHO-COMIフラワーコミックス
■掲載誌:SHO-COMI('09年第17号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [新作レビュー] 2009.12.25
sorairo.jpgくまがい杏子「空色アゲハ」(1)


あたしが猛くんになる
猛くんのかわりに日本一…
ううん 必ず
世界一になって見せる



■10歳の夏、あげはの目を釘付けにしたのは、同い年くらいの男の子のテニスのプレー。大人を相手に互角以上に戦う彼の姿に感動を覚え、いつか絶対テニスを始めよう!と心に誓ったのだった。そして時は流れ、あげはは高校1年に。高校でテニス部に入って、全国大会に出たら猛くんにまた会えるかな…そんな期待を膨らませていたら、なんと猛くんは同じ学校に!憧れの猛くんとの再会に浮かれるあげはだけど、猛くんは完全無視。しかも彼はテニスを嫌っているようで…!?

 テニスに懸ける青春!ということで、少女漫画としては珍しいスポーツ要素を含んだラブロマンスでございます。ヒロインは、かつて見た少年のテニスプレーに魅了され、いつかテニスを始めようと心に誓った少女・あげは。高校入学を機にテニス部に入ろうと決める彼女でしたが、そこでそのときの少年・猛くんにまさかの再会。当然のように一緒にテニスをしようと持ちかけます。しかしすっかり大人っぽくなった彼は、あげはの誘いを一蹴。憎しみたっぷりに「テニスはもうやめた」と言い放ちます。実は彼、小さいときから将来を嘱望されながら、怪我によってその道を諦めざるを得なかったという状況におり、無神経にその心の傷にふれてきたあげはに、強く当たってしまったのでした。しかしそれでもめげないヒロインは「猛くんがテニスをできないのなら、自分が代わりになる」と言い放ち、さらに「だからテニスを教えて欲しい」と頼むのでした。その熱意に押された猛は、それに合意。一緒に全国を目指すことになります。


空色アゲハ
テニスのシーンはなかなか魅せる。迫力もあって、今後ヒロインの実力が向上してくればさらに白熱の描写となりそう。


 くまがい先生は、陸上部を描いた作品「放課後オレンジ」で、大きくそのポジションを獲得していったわけですが、今度も部活を描いた作品と、ホームに戻る形に。前作「苺時間」(→レビュー)が中途半端に終わったので、今度こそという意気込みが強いのではないでしょうか。しかし同時に、「放課後オレンジ」を超えられるのかという所で苦しむ事にもなるわけで、ここが正念場のようにも思えます。

 さて、ここでポイントになってくるのは、この作品におけるテニスの扱い。「全国に行く!」なんて意気込んで、一見スポ魂もののように見せていますが、やはりあくまでテニスは、相手役との架け橋にするための要素に過ぎないかな、と。ヒロインはテニスをやりたいと10歳のときに決めたわけですが、それから渉と再会するまで何もせず、テニスに関してはド素人。親の反対などもあったとはいえ、せめて何かできた気も。そこに加え部活が廃部で、グランド作りと部員集めから始めるというのは、部活ものとしては何ともハードルが高い要素がチラホラ。側にいるのが天才少年で、かつヒロインも彼のアドバイスをスポンジのように吸収する成長力の高さを持っているという挽回要素は持っていようとも、部活ものとして描くのであればこれはやはりちょっと厳しいかな、と。ただ逆に何もしてこなかったからこそ、変に凝り固まっていなくて成長しやすいって捉え方もありますし、何より天才型で技術に関してはとんとん拍子で進めるというのは、恋愛方面を深く描くにあたっては、余計な道草をしなくていいぶん、明らかにプラスになります。おそらくその方が少コミという土壌を考えても受け入れられるし、部活を扱った少女漫画としても正解なのでしょう。


【男性へのガイド】
→スポーツものとして捉えるならば、あまりにリアリティに欠ける。一要素として捉えた上で、恋愛を楽しもうというベクトルを持って読み始めるなら。ただ基本的には向かないように思いますけど。
【私的お薦め度:☆☆   】
→部活と恋愛、どういったバランス感で描きたいのかが未だにはっきりしていない以上、決めつけはできないのですが、1巻時点ではまだそこまで…という感じ。2巻以降体勢が整えばいくらでも挽回しそうではありますが、果たして。


作品DATA
■著者:くまがい杏子
■出版社:小学館
■レーベル:Sho-Comiフラワーコミックス
■掲載誌:Sho-Comi('09年第18号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [新作レビュー] 2009.11.28
07230533.jpg蜜樹みこ「蜜味ブラッド」(1)


……ああ やはり
そなたの血は甘いな



■ひなたの通う学校の近所で相次ぐ吸血事件。吸血鬼なんているワケない!そうきっぱりと言い放つひなただったが、どうにも最近怪しげな人物に心当たりが…。それが隣に越してきた、吸血鬼小説で有名な作家・潤也。怪しげな言動の彼に疑いの目を向けたものの、後日違う犯人から襲われ、その危機を潤也に助けてもらう。それがきっかけで仲良くなる二人だったが、彼女の中の「吸血鬼では…」という疑念は消えず…

 吸血鬼もののラブロマンスでございます。ヒロインはごくごく普通の女子高生・ひなた。そんな彼女の通う学校の近辺で、最近女子高生を狙って血を大量に抜き取るという猟奇的な事件が連続して起こっており、学校はその話題で持ち切り。その手口から、吸血鬼が犯人では!?との噂が起こるものの、ひなたは「そんなものはいない」ときっぱり否定。ところが彼女の隣家に、吸血鬼物語の作家である潤也が越してくることで、その考えに迷いが。どうにも彼は、吸血鬼くさいのだ。後日真犯人に襲われそうになったところを彼に助けられるのですが、その疑いは拭いきれず。そして徐々に明らかになっていく、彼の真実…という感じ。落ち着いた雰囲気に、古くさい言葉遣いと、かなりの歳上に見えるものの、年齢は20歳。それ相応に歳の差ラブなのですが、設定が設定だけにその辺はあまり気にならず。


密味ブラッド
吸血鬼にエロスはつきものですよ。しかし構図としては、潤也が頑に拒むという感じ。そこがまた良い。


 吸血鬼系統の話は少女漫画ではもはや定番中の定番で、その中でも小学館は意外にもこのジャンルが充実していたりします。例えばプチコミでは「ミッドナイトセクレタリ」(→レビュー)があり、こちらは吸血鬼ものではないものの、雰囲気として非常に似ている「BLACK BIRD」(→レビュー)なんて作品がベツコミで人気を博していたり。そんな中ぶつけてきたのがこちらの作品。掲載誌的にはもっともファンタジーが根付きそうな場所ではあるものの、出版社的に考えるとどうだろう…。なんて思っていたら、人気は今ひとつのようで、2巻完結となるそうです。そのことはあとがきにてネタにされていたので、よっぽどなのでしょうか。けどその明るさがあれば大丈夫!次も応援したいです。
 
 とりあえず比較無しにさくっと感想を述べると、吸血鬼という設定に引っぱられすぎて、ヒロインが彼に惹かれていく過程がごっそり抜けおちていたような印象が。結果好きになり、自ら抑えきれずアプローチ…というのは良いのですが、そこに行くまでの心情があまり描かれておらず、吸血鬼騒動のなかに溶け落ちてしまったかな、と。ただあまりもたもたしても、少コミ的には人気でないのかもしれないですし、そもそもそんな描写にはニーズがないのかもしれませんが。また前作に続いて、相手役がどこかお上品な雰囲気を持っていて、個人的に非常に好印象。古くさい言葉遣いは必要だったのか疑問ですが、そういう雰囲気は狙って作り出せるものではないと思うので、まぁいいのか。


【男性へのガイド】
→男性にはどうだろう。ちょっと難しい気がしますが。
【私的お薦め度:☆☆   】
→個人的には前作の方が好みだったかな。こちらは吸血鬼って設定が2人の心情描写の邪魔をしている感じがして。ただその分ドラマチックになっているので、それは好みの問題。


■作者他作品レビュー
*新作レビュー* 蜜樹みこ「恋、ひらり」


作品DATA
■著者:蜜樹みこ
■出版社:小学館
■レーベル:Sho-Comiフラワーコミックス
■掲載誌:Sho-Comi('09年第16号~)
■既刊1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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