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Tag [続刊レビュー] 2011.04.14
作品紹介→宮坂香帆「僕達は知ってしまった」
7巻レビュー→魅力再考…したかった《続刊レビュー》宮坂香帆「僕達は知ってしまった」
8巻レビュー→兄貴に全部持ってかれた《続刊レビュー》「僕達は知ってしまった」8巻
9巻レビュー→ダレルるかと思ったら、予想外に面白かったです:宮坂香帆「僕達は知ってしまった」9巻
10巻レビュー→まさにバカップルである:宮坂香帆「僕達は知ってしまった」10巻



bokutatihasittesimatta.jpg宮坂香帆「僕達は知ってしまった」(11)


こんな誕生日も悪くないか


■11巻発売です。
 別れて以降、意識しつつもギクシャクしたままだった小鳥と雪斗。けれども思い切って誘ったお祭りをきっかけに、二人の仲は修正。やっとふたりは想いを伝え合い、仲直りをする。そして、風邪をひいてしまったことりのお見舞いに行った雪斗は、熱のせいかやけに積極的なことりを前に、我慢の限界…!?


~表紙が~
 まず表紙についてどう突っ込もうかって話なわけですが、ついに表紙ですよ、ケンケン。ピンクベースに無意味な羽毛、そして裸。もう擬人化ならどうにでもしてやれという、宮坂先生の意気込みを感じます。先生からのメッセージでは「犬Ver.ケンケンと擬人化ケンケン…どちらをメインにしようか迷いましたが。とりあえず擬人化で」そもそも表紙にするところで迷わなかったのだろうかっていう突っ込みは良いですか、そうですか。しかも「とりあえず」という言葉が使われているあたり、あれもしかしてさらに長期化すれば2度目の登場も夢じゃないってことですか…?


~密着!密着!密着!の11巻~
 今回は全編通して、密着密着密着の巻となっておりました!しかも二人仲直りしてからのあれこれですから、当然ニヤニヤ度も増してくるわけで。もう端から見たら「お前ら何やってるんだよ(笑)」って感じなのですが、当事者たちはそんなラブラブムードを見せつけようなんて一ミリも思っていないわけで、その分余計に滑稽でそしてお腹いっぱい(笑)そんな滑稽だけどとってもうらやましいラブラブっぷりが一番発揮されたのが、雪斗の家で料理を作ることになったとき。煮立ちすぎたコンロの火を消したあと…
 
 

僕たちは知ってしまった11-1
※お台所です

もうこれ東京ガスのあのCMのBGMしか流れてこないっていう
 
 
 しかしそれだけじゃないんです。こんなのはほんのジャブ程度のもの。というかこの一件があったために、お互い一層にテンパリ、ことりも雪斗もわけのわからない大胆行動に出始めます。そう、ガスが点火されたかのように(よくわからない例え)
 
 まずはことりの攻撃。汗をかいてきた雪斗の様子を見て、優しく汗を拭いてあげるのですが、勢い余ってはだけた胸にまで手を…。めちゃくちゃ意識している雪斗に対して、無自覚でいることりの鈍感っぷりが凄くいい。すごく。しかしそんなことりも、すぐに無自覚ではいられないことに。今までやられっぱなしであった雪斗が、こんな暴挙に出ます。
 
 
僕たちは知ってしまった11ー2
脱いだ   


 しかもこのとき、二人はフライパンでひき肉を炒めているところ。ええ、めちゃくちゃ油が跳ねます。「ドントクライガール」(→レビュー)で圧倒的裸族っぷりを発揮した舛田さんも、お料理する時だけは、絶対にエプロンをしていました。それほどまでに、裸と油は相性が悪いわけで、どう考えてもこれはアホな行動なのですが、「油飛ぶじゃん」などと冷静な対処であしらえる程、ことりに余裕もあるわけなく、状況はますますワケの分からない方向に。それでもギリギリのところで、雪斗がふんばりました(へたれました)。とりあえずシャワーへ一時避難。しかし彼の闘争心は衰えてはいないわけですよ。このシャワーを、決して「頭を冷やすため」のシャワーにせず、あわよくば「これから起こるイベントのため」のシャワーにしようと、想いを巡らせます。
 

僕たちは知ってしまった11-3
触りたい
キスしたい
エロいことしたいっ
(←漫画用にぼやかしてるんじゃなくて、変なところが無駄にピュアなヘタレ君は、セックスだエッチだじゃなく、脳内でも本当にこう言っている気がする
でもガツガツしてると思われたくねぇっ


 いやぁ、この葛藤がすごい面白い(笑)結局答えは出ず、普通に風呂を出るわけですが、戻ってもなお上半身は裸であり、こう流行る気持ちと火照った身体を抑えられない感じがしてすごく良いです。まぁ最後はあんな形ではありましたが、こういういっぱいいっぱいでもにゃもにゃするシーンというのは大好物ですので、これだけと言わず是非またやって頂きたいところです(笑)しかしキスの現場を兄に見られるってのはどうなんでしょうか。身内に見られる恥ずかしさって、尋常ではない気がするのですが、その辺意外とさらっと流されたので、不思議な兄弟関係なのかな、とか思ってしまったり。いや、多分そんなこと考える余裕もなかったのか。


~「高2の時、相手の家で」の難しさ~
 その後校内でもいちゃつきやがって(ひどい言い回し)、もう残すところは一つだけなのですが、オーソドックスな場所である、お互いの家というのは結構難しそうな雰囲気が漂っております。というのも両家には、大魔神佐々木もびっくりな、炎のストッパーがいるため。一人は再三セーブポイントを挙げている、梶家(両方梶家ですけど)の長男。もうこの人がいる限り、雪斗の家では絶対に無理な気がしますよ。そして一方のことりの家にも、ケンケンという不動の門番が。犬ってすごくお客さんのいるところに来たがりますよね(笑)妹が家に彼氏を連れてきたとき、何度も妹の部屋に愛犬が突入して行って非常に迷惑がられていたのを覚えております。もちろん自分も被害には…。ましてや雪斗とケンケンは折り合いが悪そう。さてどうなることやら。最後雪斗が「俺んち寄ってく?」と締めますが、これ絶対に未遂フラグだと思う(断言)


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Tag [続刊レビュー] 2011.03.01
作品紹介→*新作レビュー*藤間麗「黎明のアルカナ」
2巻レビュー→本領発揮しつつあります《続刊レビュー》藤間麗「黎明のアルカナ」2巻
3巻レビュー→ナカバの想いを知ってか知らずか、大きくなっていく物語:藤間麗「黎明のアルカナ」3巻
4巻レビュー→「なんかいつもと違って調子狂う(赤面)」みたいな感じがイイ!:藤間麗「黎明のアルカナ」4巻
5巻レビュー→段々と異世界ファンタジーの醍醐味が…:藤間麗「黎明のアルカナ」5巻



reimeinoarukana.jpg藤間麗「黎明のアルカナ」(6)



君は
俺の良心



■6巻発売です。
 ナカバは大切な仲間を守るため、アルカナの力を使うが、見えてきたのはレミリアの悲しい未来。そしてさらに知る、カインのシーザに対する憎しみ。急いで村へ引き返すナカバだったが、村はすでに火を放たれ、戦いは始まってしまっていた。そんな中、あろうことかレミリアが村へ戻ってきてしまう。アルカナで視た未来を、なんとかして食い止めなければ…そう願ったナカバの想いは…


~6巻でなお緩まず~
 6巻と、Cheese!でも結構な長期連載になってきましたが、なお話は中盤にさしかかるか否かという段階。緊張感もなお保ち続けています。企画ありきの作品にありがちな、最初の勢いだけで、あとは失速というパターンも踏むことなく、しっかりと一貫した歩様で物語は進行しています。もうそれだけですごい。そして今回は、本編に絡んだ形の、サイドストーリーが秀逸でした。


~充実のサイドストーリー~
 今回スポットがあたったのは、ロキの兄であるカイン王子。終始敵として描かれた彼ですが、元々その表情などを見た感じ、悪人っぽく描かれておらず、どこかその振る舞いには無理があるような印象さえありました。そして倒れた後に描かれた、彼を巡る物語。それが本当に涙を誘う、良いお話だったのですよ。
 
 彼は根っからの悪人というわけではなく、むしろ「良い人」を絵に描いたような人間でした。王族でありながら、血は完全な王族のものではなく、その髪の色もまた王族とは異なるブロンドでした。当然王室内での扱いも良いものではなく、居づらさを常に抱えていたはずです。髪色が異なるという意味では、ナカバも同じ。彼はナカバのことを見たときに、密かに自分へとその存在を重ねていました。
 

黎明のアルカナ6
王族かそうでないか、その格を決定付けるのは髪の色。そのコンプレックスは計り知れないものがあったはず。結婚相手にすら、そのコンプレックスは抱いていた。

 そういう意味では、半人であるロキなどよりも、余程ナカバに近い位置にいたカイン。お互いの立場がもう少し違ったものであれば、王族の中でも良き理解者になってくれたのかもしれません。
 
 そんなカインの人柄の良さを表すエピソードもまたありました。それは、カインの結婚相手であったルイスの回想。ルイスは元々シーザを想っており、カインとの結婚は不本意なものでした。それでもカインは、その力で押さえつけることなく、「すまない」とあやまし、さらには「それでも構わないから、俺の側にいてくれないか」と頼みます。またルイスの意地悪なワガママにも、しっかりと誠意を持って応える。もうね、ここだけ見たら、彼の人柄は「誠実」の一言に尽きます。こんなにも素敵な人が、あんな形で死んでしまうというのは、残念でなりません。とはいえ、こういった展開があるからこそ、この物語は緊張感を保ち続けることができているとも言えるわけで。なんとも複雑な気持ちです。
 
 というか、先のルイスの回想の部分は反則です。なんですかこの悲恋を描ききったラブロマンスは。もうここだけで6巻買って良かったってレベルです。ベタなんですが、徹底して敵役の良いお話を、しかも死んだ後に描くというのがあざとい。


~RPGっぽい感じに~
 さて、物語は完全にロードムービー調に。俄然RPG然としてきて、もしアルカナのゲーム化とかがあったとして、RPGじゃなかったら抗議するレベルですよ、はい。この後どのような展開を辿るのかはわかりませんが、あまりに城を離れ続けてもいられないはず。追われる立場にはなりましたが、事件は現場よりも会議室…ではなく王室で解決した方がより迅速で効果的。さてさて、どうなるのやら、楽しみに7巻を待ちたいと思います。
 
 
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Tag [続刊レビュー] 2011.01.30
作品紹介→…先生、はじめてキスしたのっていつ?:藤原よしこ「だから恋とよばないで」1巻
2巻レビュー→こんなに近くにいて、絶対に届かない:藤原よしこ「だから恋とよばないで」2巻
関連作品レビュー→やっぱり私は、どうしようもなくこの作品が好きなのだ《続刊レビュー》「恋したがりのブルー」6巻



1103000641.jpg藤原よしこ「だから恋とよばないで」(3)


先生のこと
好きでいても
いいですか?



■3巻発売しました。
 2学期も終わり、学校は冬休みに。楽しみなはずのお休みも、先生に会えないから、ちっとも嬉しくない。けれど、妹のちょっとした計らいによって、なんと初詣に一緒に行くことに。思いがけない展開に、嬉しさいっぱいの心だったけど、神社で2人は、ミヅキという女性と出会ってしまう。その人が、先生の好きだった、あのピアスの持ち主であったと知った心は。。。


~この告白の仕方は不意打ちすぎて~
 先生への募る想い。けれどもその気持ちは、届きこそすれ返してくれることはないと、強く自覚している心。それでも犬をダシに、先生と接点を持とうとするあたり、本当に可愛いですね。何度も何度も年賀状を書き直したり、こういう何気ない描写が、藤原先生は上手いなぁ、と。「恋心」の描写の上手さというか。そうやって、核心には迫らずとも繋がりを得たいとする心でしたが、先生との面談のときに思わず想いがあふれてしまいました。このときの言葉が、本当に良かった。自分のことを貶める先生に対して…
 

だから恋とよばないで3-1
これ以上
あたしの好きな人を悪く言わないでください



 告白という流れまでは予想できたとしても、こういった言葉での告白は全くの想定外。自分を責めるその行為を叱責しつつも、大好きだと伝える。ただ「好きだ」と伝える告白も、真っ直ぐで好きなのですが、こういった形での告白も素敵です。また敬語で言って、そのあとに普通の言い方で言い直しているところとか、もう…。ここを読んだ時「おおおおおお…!」となりました(笑)



~呼び方は完全に「先生」に~
 そんな心の告白ですが、そりゃあ先生ですから受け取れません。デコレーションしてくれたあのイスに座りながら、優しく彼女に断りの言葉を投げかけます。
 

だから恋とよばないで3-2
オレ
「先生」をちゃんとやりたいと思ってる
オマエが毎日
オレのこと「先生」って呼んでくれるのがうれしいから

 
 このとき強調されたのは、「先生」というフレーズ。「先生」をちゃんとやりたいし、「先生」と呼ばれると嬉しい。その言葉は、彼女の心にしっかりと届きました。今までは、彼への呼び名が敬語とセットの「先生」とフランクな話し方の「ジローちゃん」で混在していたのですが、これ以降、心は先生の呼び方を「先生」に統一。そこに有るのは、抗いようのない「先生」と「生徒」という立場の違い。今一度、2人を隔てるものの大きさを自覚した上で、彼女は自分の恋心と向き合って行くことになります。それでも同じ「先生」でも、鍵括弧つきかそうでないかで、彼女の言葉の真意はある程度読み取れるのですが…ってこの辺はヤマカムさんが書いていたかな。
 
 ていうかね、告白断ったあとに、次郎ちゃん心のリクエストで頭ポンポンしてくれるんですよ。これってもう女子の心掴まれまくりの行動なわけで(めざましテレビでやってた)。瞬間、ニヤニヤが止まりませんでした。


~不破くんが急ピッチでアップをしています(噛ませ犬行き)~
 1巻のダシとして完全に終わるかと思われた不破くんですが、ここにきて急ピッチでアップをはじめております。もちろんポジションは、かませ犬。かませ犬というのは、本人にとっては辛いポジションではあるのですが、見ている側からすると、その愛情がわかりやすく表現されるので、ニヤニヤポイントが高いのもまた事実。今回、こんなに不破くんにニヤニヤさせられるとは思っていませんでしたよ。わざわざ欠席している心の部屋に訪れて、得意でない面白い話を披露しようとしたり、他人に興味を持たなそうな彼が、サブローのことを気にかけて、序盤の心と同じように、犬を預かり接点を作るという。ああ、なんてわかりやすい、そして健気な行動。しかも彼のような、不器用そうで恋愛に消極的に見える子が、そんなカワイイ行動を取っていると思うと、もういてもたってもいられなくなります。これから一気に物語に介入してくると思うのですが、これからもこういったニヤニヤな行動を連発してくれると思うと、楽しみで今から頬と口元が緩む緩む。。。


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Tag [新作レビュー] [オススメ] [読み切り/短編] 2010.12.13
1102980119.jpg湯町深「席替えゲーム」


なかったことになんて
できないよ



■読切り5編を収録。それでは表題作をご紹介。
 高校一年生の珠美は、夏休みも終わった9月、友人との会話で「三井ってたまみのこと好きなんだって」という話を聞かされる。三井くんは、同じクラスだけど一度も会話をしたことがない男の子。その直後、席替えをして隣になったのは、なんとその三井くん!何をやっても鈍臭い、そんな私のことを好きだなんて、ホントでしょうか…?ありえない、けどもしかしたら…結局わからず月日は過ぎて…!?
 
 湯町深先生の読切り集でございます。湯町先生の作品って、実は一度も手に取ったことがなかったのですが、それは「エロさ先行で自分の苦手なタイプの作品描いてそうなんだよな…」と勝手に思っていたから。今回エロそうではあるものの、可愛らしい表紙に惹かれ、購入してみたのですが、あらイメージと全然違う。そこで繰り広げられていたのは、なんとも初々しくて可愛らしい、プラトニックで健全な、中高生たちの恋愛模様でございました。ちょっとこの表紙はと帯は煽りすぎ…と思ったら、帯をよく読むとプチコミ掲載で今月発売された単行本の方は結構エロいとのこと。いやはや、こちらを読んでいてもそういった感じは殆ど受けず、描き分けのスキルすごいなぁと思ったのでした。


席替えゲーム
ヒロインがみんな子犬っぽいんですよね。瞳をうるうるさせて悲しい顔をしたり、喜んでる時にはしっぽが見えそうなくらいはしゃぐっていう。


 どのお話も、体が小さく、目はウルウルで自信なさげなヒロインが主人公のお話。なんていうか、とってもチワワっぽいんですよね、ヒロインたちが。平常時から実に頼りなげで、ギュッと掴んだら壊れてしまいそうで、喜ぶ時は目をキラキラさせながらぴょんぴょん喜ぶっていう。恋心以前、片想い中、両想いだけどこの現状に、それぞれの段階にいるヒロインたちの、等身大の恋の悩み。本当に「恋の悩み」だけに絞っており、その他の余計な要素は一切なし。すごくちんまりとしたお話なのですが、その小さな世界に懸命になる物語の世界観は、「純正な恋愛少女漫画を読んでる!」という感覚を与えてくれて、とっても気持ち良いのですよ。


 相手役をつとめる男の子達は、少コミライクなチョイ悪でオレ様気質のある少年たち。けれども少コミヒーローに多く見られるような強引さや主張の強さは陰をひそめており、あくまでピュアに、静かに。不器用ってラインに収まるレベルだと思います。その辺もまた、自分にとっては読みやすさ・親しみやすさに繋がって良かった。エロさを匂わせるシーンとしては、物語のラスト、問題が解決して晴れてくっつけたシーンに「エロいことするかもよ」みたいな台詞がある程度。恐らくエロいバージョンで作者さんが描かれる場合、この続きをメインに据えるのかな、と想像できたのですが、実際のところはどうなのやら。“かわいい”は“最高にエロい”との言葉が帯にあるわけですが、ピュアとエロを繋げて捉えて、その切り離しでそれぞれの売りを分けるのだとしたら、上手いなぁと思うのです。


【男性へのガイド】
→ピュアピュアな少女漫画。これは男性構えてしまう可能性高いと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→食わず嫌いはよくないな、と思わされた作品。恋愛のみに絞った可愛らしい少女漫画、久々に読んだ気がします。


作品DATA
■著者:湯町深
■出版社:小学館
■レーベル:cheese!フラワーコミックス
■掲載誌:cheese!
■全1巻
■価格:400円+税


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Tag [続刊レビュー] 2010.11.07
作品紹介→*新作レビュー*藤間麗「黎明のアルカナ」
2巻レビュー→本領発揮しつつあります《続刊レビュー》藤間麗「黎明のアルカナ」2巻
3巻レビュー→ナカバの想いを知ってか知らずか、大きくなっていく物語:藤間麗「黎明のアルカナ」3巻
4巻レビュー→「なんかいつもと違って調子狂う(赤面)」みたいな感じがイイ!:藤間麗「黎明のアルカナ」4巻



1102969625.jpg藤間麗「黎明のアルカナ」(5)


視なければ
知らなければ
疑う自分なんていなかった



■5巻発売です。
 戦いを阻止するため、亜人の村へ赴いたナカバ達。ベリナスの協力もあり、無事亜人の村へと到着するも、退避してくれという訴えは聞き入れられず。そして気がつけば、カイン率いるベクルートの軍勢は、すぐそこまで迫っていた。それでも亜人たちを助けることを諦めないナカバは、とある作戦を提案するが…。その後知らされる、レミリアの秘密と、カインの想い。まさかの兄弟対決の勃発に、ナカバは…!?


~ファンタジーっぽくなってきました!~
 ファンタジーには別に闘いなんて必要ないと思うのですが、世界観がなんとなく異世界RPGっぽいと、戦闘イベントが登場すると無条件にテンションがあがってしまいます。パーティーを組んで、ミッションをこなす。狙っているのかわかりませんが、RPGのコミカライズを見ているような展開に、ワクワク感が止まりませんでした。亜人といい、不思議な力といい、剣といい、なんとなく幻想水滸伝っぽい印象。ナカバとか、シーザとか、ロキとか、レミリアとか、普通にキャラクターにいても違和感なさそうな気がします。幻想水滸伝はⅢまでしかやったことないので、そのイメージですけど…って毎度のことながら関係のない話に。。。
 
 
~レミリアに感じた違和感と、その正体~
 さて、今回ナカバの他にも数人のアルカナの持ち主が現れました。亜人はもちろんのこと、思わぬキャラがその持ち主でした。それがレミリア。戦闘云々を考えると、完全にお荷物で、キャラ要因かと思っていたので、この展開にはびっくり。読心のアルカナというのもまた、能力から想像させるセンシティブさとは正反対の、積極的で放言家みたいな印象で、良いギャップを与えてくれます。そもそも読心の能力の持ち主=人と関わりたがらないという印象は、他の読心の能力を持つキャラたちによって植え付けられたもの。例えば「HonerBitter」(→レビュー)の珠里などがその典型的な例だと思うのですが、彼女たちに共通するのは、無条件で人の心が流れ込んできてしまうということ。それに対しアルカナは、ある程度発現のタイミングを調整することができるので、必要なときだけ読めるという便利さ。それ故に、不意に思わぬ本音を聞くことで閉じこもりがちになるというパターンを、あまり踏まずにこれたのかなということが、想像できます。だからこそナカバに対しても、常に核心に迫る発現を遠慮なく言い、さらにこんな距離感で対峙できる、と。
 

黎明のアルカナ5 
戦い前の、穏やかな夜。
 

 この時に、レミリアは17歳でナカバは16歳であるということが明かされる(ナカバは情報アリ)のですが、レミリア17歳には見えんですよ。。。14ぐらいかと思ってました。そしてナカバも16歳でしたっけ。改めてその行動力と意志の強さに驚きます。この頃は16と言えばそれなりに大人として見られるのかもしれませんが、それにしても。
 


~未来は変えられる?~
 4巻で焦点となったのは、レミリアの命を守れるかというものでしたが、5巻では結局結論は出ず。ナカバのアルカナは、未来を見通す能力というだけで、「未来を変えることができる」とか、逆に「未来は変えられない」という話は一切されていません。今ナカバは未来は変えられるという考えの元動いていますが、もしそれが覆されてしまったら、それは非常に辛い状況となります。だって全てが決定事項だとしたら、彼女の能力はなんの意味ももたなくなってしまうのですから。そう考えると、未来は動かせないという考えは棄却するのが自然な流れであり、最終的には未来を変えるための難易度の問題に話は移っていくのかなという気がします。例えば悪い事象を回避するには、何か代替となる大事なものを犠牲にしなければならないとか、まぁそこまでルールめいたものはないとは思うのですが、果たしてどうなるのか。いよいよファンタジーの醍醐味が出てきたアルカナ、改めてプッシュしておきます。


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
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トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
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池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。