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2011.10.06
■9月です。といっても9月刊行作がどれだけあるんだっていう(略)10月は更新数ぐっと少なくなる予感。というわけで、駆け込みで面白い作品はレビューしているつもりです。充実のラインナップを、とくとご覧あれ。リンクをクリックすると、レビューへ飛びます。



1.よしながふみ「大奥」7巻
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…ここで1巻へと繋がる。こう来たかと、思わず唸ってしまいました。益々面白さを増すよしながふみワールドに、全力で夢中です!





2.有川浩/弓きいろ「図書館戦争LOVE&WAR-」8巻
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…王子様が誰か知るという以上に、柴崎&手塚にドキドキニヤニヤできた8巻。この二人のファンにとっては、永久保存版の一冊となりました。





3.西炯子「兄さんと僕」
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…今年は落語ものが当たりな気がする。というわけで、名手・西炯子先生のメロディ連載作でございます。いい感じに脱力したゆるーいコメディ。素敵な雰囲気で、とても楽しいです。





4.チカ「これは恋のはなし」3巻
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…成長の3巻。日々成長し、大人へと変わっていく遥ちゃんが、本当に頼もしく、そして美しかったです。今年の話題作ということで、改めてここでチェックを。





5.時計野はり「学園ベビーシッターズ」4巻
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…恋の風吹く4巻。こんなにも早く恋愛パートが訪れるとは…!牛丸さんも含め、女の子の赤面具合が可愛すぎるのです!





6.野口芽衣「フィンランディア-サンタ養成学校-」2巻
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…完結しました。フィンランドのサンタ養成学校を舞台にした、学園ラブコメ(ファンタジーに非ず)。残念カワイイヒロインの変化の様子が本当に素敵でした。





7.椎名軽穂「君に届け」14巻
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…それぞれの恋を踏み出す修学旅行。いつだって、乙女は悩むもの(だと思う)。嬉しい悩み、楽しい悩み、悲しい悩み、よくわからない悩み。。。それに向き合い立ち向かう少女達の強さに、惹かれるばかりでした。






8.咲坂伊緒「アオハライド」2巻
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…2巻で振り落とされる人結構出てくる気が。でも追って味があるのが咲坂先生だと思っていますので、まだまだ追いかけます。というか単体ではすごく面白いし、良く出来てるんですよ。期待との方向の違いが、それをかき消してる。
 




9.こうち楓「LOVE SO LIFE」8巻
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…梨生ちゃんがとにかく頑張った8巻でした。こういう友達がいるだけで、すごく学校生活が楽しくなるんだろうなぁ。そして気になる双子ちゃんの未来。ホントには慣れちゃうのでしょうか。。。





10.あさのあつこ/木乃ひのき「No.6」1巻
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…原作とアニメの話題から、手に取ってみたら当たりでした!面白かったです!近未来をイメージしたディストピアもの。2巻も既に発売中、ということで手に入り次第レビューお届けします!





 粒ぞろいだけども突き抜ける感がないのは、気のせいでしょうか。その殆どが続刊となったわけですが、9月は全体的に新作のご紹介が少なかった気もします。新作ではダントツで西炯子先生の「兄さんと僕」。ゆるゆる落語コメディは、それ自体が落語っぽく読めて、本当に面白かったです。こういうノリは大好きですとも。それとアニメ化している「No.6」も面白かったです。原作の評判がスゴく良いので、続きも楽しみ。
 
 続刊では、もう鉄板ばかり。その中でも注目して欲しいのが、今回完結と相成った「フィランディア」。今年は残念かわいい女子がトレンドだったと勝手に思っているのですが、このヒロインもまたその一派。物語も綺麗にまとまっていたし、サクッと、だけどしっかり楽しめる作品でございますよー


 
■その他オススメタグを付けた作品&オススメ続刊
鈴木ジュリエッタ「神様はじめました」10巻
リカチ「明治緋色綺譚」1巻
鈴木有布子「星河万山霊草紙」1巻
佐藤ざくり「マイルノビッチ」2巻
遊知やよみ「これは恋です」6巻
緋桜泉「メタモ☆レイヤーLV.0」


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Tag [オススメ] 2011.09.04
■一応月次区切りでオススメをまとめているのですが、ここ最近は発売から1~2か月経過後にレビューというのがザラで、月次区切りにする意義ってあるのだろうかと思ったり思わなかったり。とはいえ一定期間ごとにまとめるのは良いことだと思ってますので、今後も発売日とか気にせずご紹介を続けたいと思いますー。というわけで8月まとめです。8月にご紹介した作品も面白い作品が盛りだくさんでした!順位はあくまで目安です、リンクをクリックするとエントリーへ飛びます。



1.岩本ナオ「町でうわさの天狗の子」8巻
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…自分の気持ちに気づく、甘酸っぱい1巻。そして嵐の前の静けさをも感じさせる、静かな静かな日々。山場へ向けての助走の段階だと思われるのですが、とにかく濃密。苦くて甘かったです。




2.阿仁谷ユイジ「テンペスト」1巻
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…男が絶滅してから2000年後の世界を描くSF作品。ITANのコミックスは当たりが多いと思っているのですが、この作品もまた大注目のタイトルです。大きな世界と小さな世界、その二つが絶妙に絡み合ってこの上なく面白い物語を作り出しています。




3.黛ハル太「ダダダダン。」1巻
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…女性が苦手な男子高校生3人組のドタバタアクションコメディ。今月一番の拾い物であったかもしれません。テンポの良さに、意外なほどにたくさん登場する女性キャラのかわいさ、そして出てくるキャラが皆々残念。。。そのどれもがツボでした。




4.しばの結花「ランウェイの恋人」2巻
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…小説原作のモデルもの。とにかくアツいです。ここまで仕事に本気で、黒い感情も抱えた泥臭い主人公、10代向けの少女漫画じゃなかなかいないですよ。ベツコミの作品の中でもかなり続きが楽しみな作品でございます。




5.草川為「八潮と三雲」3巻
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…高め安定。相変わらず三雲がかわいいです。だんだんと八潮が三雲に対して心開いていっているのですが、それに反して三雲が空回りっていう、そのかけ合いににやにやが止まりません。




6.河原和音「青空エール」7巻
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…勝負の厳しさを知る7巻。死ぬほど努力しているのに、それでも報われない時がある、それでもなお努力するしか道はなく新たなる決意を持って踏み出すヒロイン達の表情に感動。さぁここから新たな物語のはじまりです。




7.会田薫「梅鴬撩乱-長州幕末狂騒曲-」1巻
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…こちらもITANの新作でございます。高杉晋作とその愛人、おうのの物語。幕末に生きる人々を、軽妙洒脱にアレンジして。非常にカッコいい物語に仕上っています。こちらも要チェックの一冊。




8.斉藤倫「僕の部屋へおいでよ」2巻(完結)
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…2巻で完結しました。ヒロインが最後までかわいかったなぁ、という感想はもちろん、お互いの抱えるコンプレックスや悩みを、しっかりと補い癒し合う形となったのがスゴく良かったです。微笑ましいラストでした。
 



9.河内遙「夏雪ランデブー」3巻
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…こちらも佳境。夢の正体、そして島尾の抱える想いと最後の悪あがきが描かれます。この世に踏みとどまらせたのは、意外にも店長の発言がきっかけだったのかもしれませんが、とにもかくにも幸せなラストへ向かってくれることを願います。




10.芦原妃名子「Piece」6巻
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…今回は礼美にスポットが当てられました。これほどまでにコウジにこだわる理由が明らかに。何より意外であったのが、彼女の自己評価。ここまで低いとは。どのキャラも味があって、けっして無視出来ない存在ということを改めて知ることになりました。




+α.幸村アルト「六百頁のミステリー」
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…白泉社の新人さんでございます。文学少女と図書館司書の恋。純粋すぎるヒロインがやたらとかわいく、また文学作品をもじっての物語展開もまた素敵でした。ちょっとクサいかもですが、それがまた良いのです。




+α.熊岡冬夕「花君と恋する私」1巻
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…こちらも新作。別フレ期待の作家さん、熊岡先生の新連載。前作とは異なり、ゆったり系の生徒会長ヒロインが、純情停学男子に思わず恋をしてしまうお話。どちらも純粋でニヤニヤできる青春モノです。




+α.渡辺カナ「マシカク・ロック」
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…こちらは集英社の新人さんでございます。青春の楽しさ溢れる表題作もさることながら、主人公の男の子の回想のみで語られる読切りがまたいい味出してました。色々なテイストのお話が楽しめるデビュー単行本です。




 というわけで、なんだかやたらとオススメ作品が増えてしまったわけですが、新作が多かったぶんこうなったという印象です。ITANに加えて、白泉社の新人フェアに集英社も新人フェアを。たぶん来月もこんな感じになります。中でも要注目なのが、阿仁谷ユイジ先生の「テンペスト」。こちらは結構な話題になりそうですので、是非ともチェックを。同じくITANの「梅鴬撩乱」、黛ハル太先生の「ダダダダン。」は好き嫌いありそうですが、ハマれば超絶面白いはずですので、こちらも是非。連載作については皆々高め安定でございました。
 
  

 
■その他オススメタグを付けた作品&オススメ続刊
風都ノリ「祓魔師な嫁ですが。」3巻
壱村仁「coda」2巻
西炯子「恋と軍艦」1巻
御徒町鳩「腐女子っス!」4巻
松本花「星屑町のパンのミミ」2巻
藤間麗「黎明のアルカナ」7巻
ふじつか雪「桃山キョーダイ」2巻
水森暦「はじまりのにいな」
宮坂夏帆「僕達は知ってしまった」12巻


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Tag [オススメ] 2011.08.05
■7月の新作の豊作っぷりはとんでもないものでした。というのもその殆どがITANの新刊によるものだったのですが。レビューできていない作品についても、良作揃いで実に至福の一か月でした。そちらについては、今月ご紹介できればと思います。というわけで、7月分のオススメ作品のご紹介。順位付けはあくまで目安。リンクをクリックすると、レビューに飛びます。


1.雲田はるこ「昭和元禄 落語心中」1巻
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…出所したての元ヤクザの青年が、気難しい落語の名人の元に弟子入りするという、落語の世界を描いた物語。個人的にはこれが今年の私的新作一位になるんじゃないかと。それぐらい面白く、何度も読み返したい気持ちにさせてくれる作品でした。是非ともチェックを。




2.海野つなみ「小煌女」4巻
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…ここに来てまさかの恋愛大驀進。こんなお話になろうとは、全く想像していませんでした。巻が変わるごとに、その表情を大きく変え、そして夢中にさせてしまう、その引き出しの多さに脱帽です。完結手前の4巻、ここで一つ是非ともチェックを。




3.葉月かなえ「好きっていいなよ。」7巻
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…デザートの連載作では「となりの怪物くん」と並んで楽しみな作品です。今回はライバルであるめぐみの魅力と、その裏返しの弱さが多く描かれました。ますます素敵。どのキャラも、みんな自分を持っていて、そしてちゃんと相手と向き合える真っ直ぐさを持っているわけで、それがそのまま物語の魅力へと繋がっているのだと、改めて思わされたのでした。




4.びっけ「赤の世界」
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…びっけ先生の贈る、珠玉の短編集。びっけ先生の作品はどれも大好きなのですが、これは予想を上回る面白さでした。短編集ということで、個々の物語が魅力的なのはもちろん、しっかりと各話でつながりを用意し、作品全体としての厚みももたらしています。




5.藤原よしこ「だから恋とよばないで」4巻
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…こちらの恋も、駆け出してきましたね。ついに先生が振り向いた…?キスというサプライズもさることながら、個人的にはやっぱり頭なでなでが好きでして。。。急展開を見せそうな5巻へ、ターニングポイントとなる4巻でした。




6.アサダニッキ「青春しょんぼりクラブ」1巻
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…全ての非モテの皆さんに贈る、学園ラブコメディ。恋愛に向いてない、恋愛運がとことんない、そんなちょっと哀しき男女が贈る、恋愛奮闘記。これが初の単行本とは思えない熟れ具合と、テンポの良さ。良い意味で秋田書店っぽくない、とっつきやすさのある一冊でした。




7.亜樹新「フェティッシュベリー」2巻
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…変態揃いのフェチッ子コメディになるのかと思いきや、2巻では切なさ&青春の風味大増量で、ちゃんとした恋愛ものの様相を呈してきました。どちらに転んでも、個人的には美味しい作品。まぁとにかく男女共に可愛くてですね、もう大好物です、はい。




8.八寿子「失恋のススメ」
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…ベツコミの非モテ代表(と勝手に思ってる)八寿子先生渾身の、失恋ラブコメ。とにかく空回りしまくりのヒロインと、その思考回路にあなたもきっと共感するはず。八寿子先生持ち前のパワフルさに加え、今作は何か特別なものを感じるお話でした。
 



9.末次由紀「ちはやふる」13巻
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…毎巻クオリティ高いと、なぜか月間オススメでは埋もれる印象があるのですが、多分気のせいじゃないです。今回も試合が多くて面白かったです。そして一試合ごとに、スポットの当てられる選手が違う。団体戦を、しっかりと団体戦として描くその真摯さに胸が熱くなりました。




10.羽海野チカ「スピカ」
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…「ハチクロ」 羽海野チカ先生の初期短編集です。確かに羽海野先生の作品であって、そうじゃない何かがある、不思議な印象。「原点」とまでは行かないまでも、確かに羽海野先生を形作っているものが感じられる作品集となっていました。大判ですが、お値段は抑えめでお手頃。




+α.田中相「地上はポケットの中の庭」
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…ITANが満を持して送り込んだ、期待の新人さんのデビュー単行本。独特の雰囲気で描かれるその世界は、その場所の、季節の匂いや音が聞こえてきそうなほど。派手ではないですけれど、確かに引き込まれるもののある、要チェックの漫画家さんの登場です。




+α.壱春コマ「オズのかかし使い」
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…オズの魔法使いからのインスパイアとでも言いましょうか。不器用というか、人付き合いが苦手な魔法使いと、そんな彼女に選ばれたかかしが紡ぐ物語。ちょっと拙さを感じる絵だからといって侮る事なかれ、温かさと優しさに触れられる親しみやすいお話なんですよ。
 
 



■その他オススメタグを付けた作品&オススメ続刊
宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」9巻
南塔子「360°マテリアル」4巻
サカモトミク「こどものもーど」
K「八月光」
いくえみ綾「プリンシパル」1巻
神尾葉子「虎と狼」4巻
西炯子「姉の結婚」1巻


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Tag [オススメ] 2011.07.03
■毎年上半期オススメ新作をご紹介しているのですが、今年は6作品に絞りました。というか、10作品にしたらきっと数が足りなくなるぞ…と。単純に読む量・書く量が減ったというのもありそうですが、ここ最近はビビッと来る新作がガタっと少なくなったような気もします。感覚が鈍ってるのか、それとも新作自体が減ってるのか、それはひとまず置いておいて、こちらが2011年上半期のオススメ新作でございます!(順番には特に意味はありません)


山川あいじ「やじろべえ」
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…今まではどちらかというと原作付きで、というイメージの強かった山川あいじ先生のオリジナル新作でございます。血の繋がりのない父と二人で生活をしている、一人の少女の成長と絆を描いた温かい物語。家族ものを軸に据えるのか、これから少女漫画らしく恋愛に倒していくのか、今はまだどちらの可能性も残しているのですが、そういった様々な感情がアンバランスにミックスされているところが逆に味わい深いというか、新鮮。話題になるかはわかりませんが、抑えておいて欲しい一作です。



やまがたさとみ「12」
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…こんなあぶない作品を、まさかフィーヤンで読めるとは思ってなかったです。未発達なカラダと、成熟したココロを持て余す少女を描いた短編集。少女のカラダとココロということで、当然エロティックな描写もございます。けれどもやたらとアブナイ印象が先行するのは、各話のヒロインがどこまでも自分自身の性的な部分やその存在に自覚的であるからでしょうか。そしてそれに引き寄せられるようにして寄ってくる男どもがまたアブナイ。2011年で、読んでいてビビった新作は、たぶんこちらで揺るぎないです。そしてね、本当にいいお話なんですよ、これが。



咲坂伊緒「アオハライド」
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「ストロボ・エッジ」の咲坂先生の新連載。前作がものすごく話題になっただけに、プレッシャーのかかる中でのスタートだったと思われるのですが、安易に前作踏襲のようなお話にはせず、しっかりと違う味付けをしてきました。1巻読んだ時点ではちょっとピンとこない所もあったのですが、実は前作「ストロボ・エッジ」も1巻時点での印象はぼやけ気味。個人的にはスロースターターのイメージで、そういった上積みも期待しての選出とさせて頂きました。



松本ひで吉「さばげぶっ!」
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…サバイバルゲームと少女漫画というわけのわからない組み合わせで、しかもそれが低年齢向けのなかよしだってんだから恐ろしい世の中になったものだ、しかし侮るなかれ、これものすごく面白くて、そしてつくりも丁寧な良作コメディなんです。元々少年誌で連載を持っていて、賞も獲っていらっしゃる、実績十分の先生の手腕にかかればこの通り。こう出オチっぽい印象が強かったりネタありきの作品って、高確率で後半垂れるので、オススメするのを躊躇してしまったりするのですが、これは大丈夫だと思います。ひとつ気になるのは、まだサバイバルゲームやってないところが…なんて、それでも十分成立してるので、全く問題ないのですが。



チカ「これは恋のはなし」
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…絶対に転けると思ったARIAが生んだ、強力作。これは完全に予想外でした。31歳の男と10歳の女の子の間に芽生える“恋”(?)を描いたお話。もちろん正面から「恋」という形で提示するわけではなく、寄添わなくてはならない関係性をベースに、お互いの絆を築いていくというアプローチで。これが本当に恋愛作品として転がっていくかはさておき、とにかく愛おしい31歳のツンデレ男と、健気すぎて可愛い10歳の少女のどちらも素敵すぎるのです。今年の新作で一番プッシュしたかったのが、こちらでしょうか。



中村明日美子「鉄道少女漫画」
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…短編からはこちらを。中村明日美子先生の、楽園掲載作を中心とした、鉄道にまつわる物語集です。幸せに溢れるお話もあれば、青春の甘酸っぱさに溢れる切ないお話もあり。どれもブラックさはなし、白美子全開な読み心地の非常に良いお話たちになっています。個人的に好きだったのは、「彼の住むイリューダ」でしょうか。海外へと発つ高校生の女の子が、好きだった男の子の下駄箱に手紙を忍ばせ、一日中彼のことを駅で待ち続けるというお話なのですが、とにかく純粋で青春で、美しかった。




 というわけで、振り返れば集英社3作、講談社2作、白泉社1作という形になりました。白泉社は花とゆめCOMICSがなかったですね。もちろん面白い作品はたくさんあったのですが、印象に残るのはどちらかというと新作よりも既に連載している作品の新刊が多かったです。集英社が多くなってしまうのは、私が「りぼん」→「別マ」という形で少女漫画に触れてきたからだと思います。ちなみに月間オススメでは、「やじろべえ」より「シトラス」を上にしているのですが、未だに印象に残っているのが「やじろべえ」なので、今回はこちらをピックアップしました。この中で話題になるのは、おそらく講談社の異色2作だと思います。どれもそれぞれ違った形で面白い作品ですので、興味のある方はチェックしてみてください。

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Tag [オススメ] 2011.07.03
■6月はレビュー数が少なかったということもあり、ちょっと少なめで。とはいえ6月はここ最近稀に見る豊作の月で、10作でも全然問題ないな、という感じでした(笑)



1.南波あつこ「隣のあたし」7巻
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…ついに完結しました(という妄想)。もう本当に噛ませ犬(と思われる)三宅くんが頑張ってくれました。一瞬の夢…で終わらぬよう、これからもこの勢いを保って欲しいものです。




2.やまがたさとみ「12」
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…12才前後の少女達の身体、心情、性などをテーマに描いた作品。問題作と言っても良いかもしれません。子持ち女性であるやまがた先生が描いているということが免罪符という、担当さんの言葉が本当に的確というか。とにかく衝撃的なお話でございました。




3.松本ひで吉「さばげぶっ」1巻
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…ここ最近すこぶるフリーダムななかよしが贈る、最終兵器。少女漫画でサバイバルゲームという異色の組み合わせながら、実力派作家の手腕によって立派なコメディへと昇華。ネタありきじゃない、ちゃんとしたコメディ作品として全力でオススメです!




4.神寺千寿「妹と恋なんかしたくない」2巻
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…18禁ですが、やっぱり好きだし、良かったので。相変わらず、いや、より一層切なさとやるせなさを増し、心をガッツリ掴んでくるこの破壊力。禁忌絡みの悲恋がお好きな方は是非ともチェックを。




5.小畑友紀「僕等がいた」15巻
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…完結へ向けた手前の1巻。数年前から既に決まっているというラストへ向かって、15巻では着々と舞台を整えました。竹内くんのプロポーズ、山本さんのあの言葉、みんなみんな既定路線だったんだろうなぁ。それだけでもなかなかくるものがあるのだから、最後はどうなるのか。楽しみです。




+α.りさり「いつか見た青い空」
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…話題のWebコミックが単行本化。施設で育った時の思い出を、子供の時の視点と大人になってからの語り口で、静かにけれどしっかりとした言葉で伝えていきます。実際に施設育ちでなければ語れないであろう言葉の数々に、胸を打たれました。
 
 
 
■その他オススメタグを付けた作品&続刊
遠山えま「わたしに××しなさい!」6巻
山川あいじ「チョコレート・アンダーグラウンド」
ねむようこ「午前3時の危険地帯」3巻
松本テマリ「キュビズム・ラブ」1巻
ジョージ朝倉「溺れるナイフ」12巻
木々「天然王子の宝石箱」2巻
鈴木有布子「歩くんの○○な日常」1巻
こうち楓「LOVE SO LIFE」7巻


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2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。