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Tag [新作レビュー] 2009.01.10
青年のための読書クラブ桜庭一樹/タカハシマコ「青年のための読書クラブ 」


正義感ってのは誰かに迷惑をかけるものだ
だけど だからこそ
それでも常に正しいのだよ



■話の舞台となるのは東京・山の手にある聖マリアナ学園。広大な敷地と長い伝統を誇るその学校は、お嬢様が数多く通うことで有名であった。華族・政治家の血を引く者たちが生徒会を形成し、貴族院と呼ばれ実権を握る。毎年投票で選ばれ、生徒たちから憧れの眼差しを浴びる「王子」の存在。そんな学校に、校内の異端者が集うクラブがあった。『読書クラブ』。このクラブには長きにわたって語り継がれる秘密の「クラブ誌」というものがあり、そこには学園史上から消し去られた数々の事件が、脈々と記録され続けていた。

 桜庭一樹さん原作の小説をコミカライズ化。お嬢様学校という閉鎖的な場所で起こった事件を、詩的な語りと共におくる数話読切り形式の連作短編。学園史上から消される事件というのは、閉鎖的な環境の中に異端者が入り込み、何かをしでかすというもの。そうした異端者を、変わり者の集まりでかつ存在の薄い読書クラブが、時に傍観者にそして時に手助けをするという内容。
 
 この物語設定に、タカハシマコさんの絵柄はぴったりなんじゃないでしょうか。なんというかスタイリッシュな百合。「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない」はあまり好みではなかったのですが、こちらの作品は面白く読むことができました。
 

【オトコ向け度:☆☆☆☆ 】
→桜庭一樹ファンは男性のが多いのだろうか?男女云々ではなく桜庭一樹ファンは買っとけという作品です。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→この絵が気に入った方も、桜庭一樹さんのファンも、どちらも満足させることうけあいです。ただ桜庭一樹作品は好きキライが激しそうなのであえてお薦めはできないというか。今回は私はハマりましたが。


作品DATA
■著者:桜庭一樹/タカハシマコ 桜庭一樹公式サイト→「Scheherazade
■出版社:ソフトバンク クリエイティブ
■レーベル:Flex Comix
■掲載誌:Flex Comixフレア(2008年5月号~連載中)  
■既刊1巻
■定価:560円+税

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