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Tag [新作レビュー] 2012.12.07
1106228478.jpg皆月つなみ「弾丸ハニー」(1)


結婚するなら
この人しかいないでしょう!



■「幸せな結婚」を夢見る保育園児・梨乃の前に現れたのは、イケメンで料理が上手いのに、なぜか人目を避けるように生きている給食のお兄さんだった…!見ためはイケメンで文句なし、職業も栄養士で資格モノで手堅い!そして何よりその頼りなさ、どうしたって守りたくなっちゃう!一目惚れした梨乃は、その日以来積極的にアプローチをするけれど…!?おませな梨乃の恋心はヒートアップ、恋の暴走が、今始まる…!

 皆月つなみ先生の新作単行本です。Flexコミックスフレアの作品のレビューは本当に久々な気がします。描かれるのは、恋に生きる園児と、人見知りな栄養士さんの二人の姿。物語の主人公は、とある幼稚園に通う女の子・梨乃。目下の夢は、幸せな結婚。「今のうちから男を見極めておく」と息巻く彼女がある日見つけたのは、イケメンだけど人目を避けるように生きる給食のお兄さん・和樹さん。資格持ちのイケメンで料理上手ということで燃え上がった梨乃の恋心は、その頼りなげな仕草でさらにヒートアップ。この人は私が守ってあげなくちゃ!と、張り切る梨乃ですが…というお話。


弾丸ハニー
幼稚園児のプロポーズ。本人は至って真剣なんです。そして、それをちゃんと受けとめてくれる、和樹さん。こんなに目線の差はあっても、心の目線は一緒なんです。


 恋愛ものかと言われると、そうではないような。どちらかというと、幼稚園を舞台にしたホームコメディ的な位置付けの作品かと思われます。とにかくヒロインの梨乃がかわいいんです。思い込みが激しいってのは、幼稚園児ならではだからなのですが、とにかくパワフルに好きな人に向かって進んで行く姿は、かわいいの一言。結婚相手を見極める際のものさしのようなものはありますが、それも相手が和樹さんのみなので、ふるい落とすためのものではなく、選び出すためのポジティブな使われ方で、印象は良し。相手の作ってくれた料理はおいしいとか、好きだから嫌いになって欲しくないとか。とにかく素直に、シンプルに相手を想う姿には、恋愛の原型のようなものが浮かび上がっている気がして、梨乃に見習わされることすらあるのではないかと思えてしまいます。
 
 またこんな暴走系の女の子が生きるのは、他でもない相手役の和樹さんの内気な性格があるからこそ。イケメンでありながら、それが元でトラブルに巻き込まれて以来、女性が苦手な彼にとっては、幼稚園児であれど梨乃は立派な女性のお相手。「子供が言っていること」と無下にするのではなく、一人の女の子が言っていることとして、しっかりとその言葉を受けとめてくれます。だから関係がちゃんと成立するという。
 
 梨乃の中では「結婚を前提にお付き合いの告白」→「両想いになりました」→「おウチにまで来ちゃった」と、着実にステップアップしている気でいますが、実際はそんなに進んでいないという。着地点として、結ばれるってことはまずなさそうではありますが、そんな元気な空回りを引き続き見れると思うと、思わず頬が緩んでしまいそう。わかりやすい&読みやすいお話で、多くの人が楽しめる一作になっていると思います。フレアでここまでキャッチーな作品が登場してくるっていうのは少し意外でした。


【男性へのガイド】
→ロリコンには訴求してこないような気はするものの、こういう女の子見るのは可愛らしくて楽しいかと。
【感想まとめ】
→こういう年下の女の子が一生懸命年上の男の人にアプローチするマンガって、個人的に大好きなんですよね。終始楽しく読むことができました。


作品DATA
■著者:皆月つなみ
■出版社:ソフトバンククリエイティブ
■レーベル:FlexComicsフレア
■掲載誌:COMIC ポラリス
■既刊1巻
■価格:571円+税


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Tag [新作レビュー] 2011.09.29
1106066933.jpgもとなおこ「葬儀姫」(1)


誰もが延命を望むわけではない…か…


■葬儀屋を営む、美しいブロンディ姉弟。姉のアッシュは、葬儀のほかに、不思議な力を用いて死者を蘇らせる“延命術”を施している。一方弟のダストは、姉への強い想いを胸に秘めながら、彼女の仕事を手伝っているのだった。そんな中、アッシュを獲物を狙う目で見つめるもうひとつの存在が…。逝き行く者と残されるものの想いを繫ぐ、19世紀英国葬儀屋ファンタジー!

 「コルセットに翼」(→レビュー)などのもとなおこ先生の、フレアでの連載作品になります。もとなおこ先生については、「コルセットに翼」ぐらいしかまともに作品を知らず、勝手にプリンセス専門の漫画家さんかと思っていたのですが、なんとフレアでも描いていたとは。というわけで、「葬儀姫」のご紹介です。舞台となるのは19世紀のイギリス。ここで葬儀屋を営むのは、姉・アッシュと弟・ダストの美しき姉弟。葬儀屋を営むと同時に、二人は別の稼業も行っています。それが、死者の魂を期間限定で蘇らせる“延命術”の仕事。この世界では延命は正式に認められており、正当な理由と資金があれば、延命が認められているのです。その理由は様々。ただ一つ、決められているのは「死者と契約をしてはいけない」ということ。そんな中、淡々と延命を行うアッシュと、特別な感情を抱きつつ彼女の手伝いをするダスト、そして遠くから、アッシュを見つめる視線が…というお話。


葬儀姫
生き返ることはできるが、そこには様々な制約が。約束を破ると、当然のことながら罰がくだる。

 
 蘇生術というか延命術が登場する漫画は結構たくさんありますが、それは基本的にカリスマ的な術師がおり、それに付随して物語が派生していくみたいな面が強い印象があります。一方こちらは姉と弟そろってやっとひとチーム。また延命というファクターがあるからと言って、容易にお涙頂戴の生温い物語を展開するわけでもありません。1話完結を繰り返して大筋を作り上げるというスタイルを用いているために、もちろんそういった展開はありはするのですが、それはメインディッシュにあらず。この物語の核となるのは、主人公であるアッシュの秘密と、彼女を狙う一人の少年の存在。あくまでもファンタジーということで、より器の大きな受け皿を用意しています。
 
 そのため1巻時点では謎の端っこが明らかになった程度で、物語が本格的に動くのは2巻からという予感が。なんとなく一筋縄ではいかなそうな物語となっており、シンプルすぎるファンタジーはちょっと…なんて思うことがある方にはぴったりかもしれません。コルセットに翼は明るい面がすごく出た作品だと言えますが、こちらはダークな面が醸成されて香り引き立っている感じ。死人を扱うという時点で生臭い感はあるのですが、それでも最大限美しく見せているのはさすが。上手い具合にバランス取れています。
 
 ヒロインがキャラ立ちしすぎているため、視点を重ねる余地があるとすれば弟のダストになるのでしょうか。とはいえシチュエーション的には、男達に見守られるヒロインという形になっていて、羨ましいのはヒロインの立場という。読み手によって様々感想が分かれそうでもあります。とりあえずみんなクセ者ということだけ、念頭に置いておいてください。


【男性へのガイド】
→もとなおこ先生の作品は本当に少女漫画然としているというか。そういう純少女漫画がお好きな方は是非とも。
【感想まとめ】
→ちょっとダークなもとなおこ先生の世界を堪能。物語としてのサイジングも絶妙で、これから盛り上がりもあると思いますし、気になった方はお手に取ってみてはいかがでしょうか。


■作者他作品レビュー
もとなおこ「ドリーナ姫童話」


作品DATA
■著者:もとなおこ
■出版社:ソフトバンククリエイティブ
■レーベル:フレックスコミックスフレア
■掲載誌:フレア(連載中)
■既刊1巻
■価格:571円+税


■購入する→Amazon


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Tag [続刊レビュー] 2010.09.12
作品紹介→*新作レビュー*タカハシマコ/桜庭一樹「青年のための読書クラブ」
関連作品レビュー→「泣いちゃいそうよ」/「乙女座・スピカ・真珠星」/「デビルくんとエンジェルちゃん」



1102957016.jpgタカハシマコ/桜庭一樹「青年のための読書クラブ 」(2)


諸君、
世界は本当に空っぽか?
本当に空っぽか?



■2巻発売しました。
 乙女の楽園「聖マリアナ学園」。その創立者・聖女マリアナは、女生徒たちにこよなく愛された。しかし彼女は、ある日突然、学園から姿を消してしまう。校内の異端者だけが集う「読書クラブ」に語り継がれる、秘密のクラブ誌。そこには、聖女マリアナに関する謎も記されており、密かにクラブ内で語り継がれているのであった。聖女マリアナの、明かされる事のなかった秘密とは…
 

~なぜ私は…~
 およそ1年半ぶりの新刊は、読書クラブのある聖マリアナ学園の創設者・聖女マリアナの生涯を描いたものでした。1巻では、学園の少女達が様々なことを繰り広げる物語が多数収録してあったのに対し、2巻は聖女マリアナの秘密に関してほぼ1巻を費やしています。正直表紙はこれではなくて、マリアナのほうが良かったのではと思いつつも、1巻からのイメージを継続させるのはこちらの方が良いのかもしれません。とりあえず、コレだけは言っておきたかった。「なぜ私は1巻の時点でこの作品をオススメにしていなかったのか」と。
 

~言い訳~
 言い訳ではないですが、1巻の時はすごくツボな物語がありつつも、前後の話の断絶と落差が大きい印象で、オススメするのはどうかなぁ、と思ったということがありました。しかし今回は、1巻の殆どを使って一つの物語を描き上げるという形になっており、またその物語が素晴らしかった。表紙からもわかる通り、本来のこの作品の売りは、お嬢様女子校で繰り広げられる正史に残ることのない珍事件の数々。それに翻弄される少女達と、それを見守る読書クラブ員という、閉じられた中で完結する物語にその面白みがあるのです。けれど聖女マリアナの物語は、学園外での出来事。でも結果的に、自分はこの物語に痛く感動してしまったのですよ。
 

青年のための読書クラブ2-1
学園外での出来事と言っても、読書クラブとの関わりは当然持つ。最後に繋がるだけではあるが、物語には欠かせないファクターとなる。


~占い師が視た未来とは~
 聖女マリアナを巡る物語は、奇跡からの入れ替わりという、かなりセンセーショナルな内容となっているのですが、物語としてはむしろ「フィクションであるのならとことんフィクションとして楽しませてやろう」というようなつくりで、逆に清々しく物語を享受することができます。聖職者として、日本での布教を夢見る出来の良い妹と、「神などいない」と、教えに背くように生きる兄。その兄を変えるきっかけとなったのは、奇しくも妹が呼び寄せた「奇跡」でした。この奇跡に依って、彼はさらに神の存在を信じることをしなくなるのですが、同時に空っぽであった世界にものを詰めることを始めるようになります。
この因果が、なんとも。さて、そんな物語で最も気になったのが、占い師が放った一言。コレに限らず、物語中に登場する占い師の的中率は異常なわけですが、この占い師もまた、フラグ建築士でございます。入れ替わりが起こる事を見通したのですが、その後…

 
「百年経つと他者がやってくる」
「男たちだよ
 あんたが連れてくるんだ」
「そうしてあんたたちは
 混ざることになるんだ」

 
 学園が出来て100年後、男たちがやってくる。恐らくこれは、聖女マリアナの物語の次の物語にて持ち上がっている、男女共学化のことでしょう。そして気になるのが次。「あんたが連れてくる」という部分と、「そうして混ざることになる」という部分。「あんた」とは恐らくミシェールではなくマリアナのこと、しかし彼女はすでに亡くなっています。だとしたら、どういった形で連れてきて、そして混ざるのか。そのヒントは、その相手が「系列の男子校」であるということ。はてさてどのような結末が訪れるのか、今から楽しみでございます。そしてそこが恐らく、この物語の最後になるのではないでしょうか。ってことは第4章、3巻がラストかな。
 
 そうそう、そういえば占い師と言えば、はじめに…
 
青年のための読書クラブ2-3
未来を見たいかね
過去を呪いたいかね



 との問いかけをするのですが、「過去を呪う」との言葉の時に、描かれたのはミシェールの姿。その時も、そしてマリアナが亡くなったときも、彼は過去を呪ったはずですが、数十年後学園から姿を消す際に、放った一言は、未来を案ずるものでした。気がつけば、空っぽだと思っていた世界は、中身が詰まっていて、未来を知りたいと思えるようになっていた。じんとしました。改めて、「青年のための読書クラブ」オススメです。


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Tag [新作レビュー] 2009.09.13
32307243.jpg時東ぁみ/唐花見コウ「花咲く王子と青山で」(1)


今日やっと…
あなたに一歩近づくことが出来る
名前も知らない
私の王子様   !!



■11年前に出会った初恋の王子様に会うため、大学入学を機に青山にあるマンションへやってきた清宮雫。ところがマンションの住人は、たくさんの老人と、意地悪な先輩だけ!?叔母の管理するマンションで、管理人手伝いをするという話で来たはずなのに…。なんとここ、実はマンションではなく、自立型の老人ホーム。両親と叔母の差し金で、本当のことを聞かされずにやってきてしまったのだ。果たしてこんな所で、王子様は見つかるの!?王子様探しは前途多難の予感…!!

 タレントの浜田翔子さん原案の「コスプリ!」(→レビュー)と同じく、こちらも芸能人が原案を担当した物語。こちらの原案者は、一時期メガネアイドルとして話題を集めた、時東ぁみさん。だから女性メインの連載媒体で、男性ファンが多いと思われるアイ(ry…。久々に時東ぁみさんの名前聞いたんですが、未だにつんく♂プロデュースなんですか?ま、それはさておき、作品のレビューを。お話は、過去に出会った王子様との再会を夢見るヒロインが、老人ホームのお手伝いをしながら、王子様探しに奔走するというもの。前述の「コスプリ!」が、少女マンガっぽさバリバリの内容だったので、「老人ホーム」が出てきた時は驚きました。時東ぁみ…侮れん。賑やかで変わり者揃いの入居者相手に、同じ大学に通う先輩の指導を仰ぎながら、老人ホームの一員として溶け込んでいく様子が描かれていきます。その結果として、メインである王子様への道筋が示されるという感じ。ちなみに舞台は老人ホームですが、自立型老人ホームであるので、介護云々といったお話は出てきません。


花咲く王子と青山で
自立型老人ホームということで、皆さん健脚でとっても元気。そんな中にヒロインは飛び込んでいく。


 王子様探し×老人ホームという組み合わせが非常に目新しい、面白い試みとなっているのですが、現時点では「バランスが上手く取れていないなぁ」という印象が強いです。多分この違和感は、入居している老人たちと、ヒロインの目線の高さによるものなのかも。序盤からヒロインは「王子様を探しているので協力してください!」と言い、紆余曲折ありながらも、事実上老人ホームでの“主役”の座に就き、さらにそんなヒロインと、同じレベルでやりあったり楽しんだりしている入居者たち…この流れに、違和感を感じざるを得ないというか。別にそういう感じでも良いのですが、老人ホームをせっかく舞台に選んだのだから、同じラインでやり合うのではなく、ヒロインたちを一段上から優しく見つめ、時に受け入れ、時に道筋を示してあげる…みたいな方が物語としては深みが出そうな気が。歳の差がありながら、やっていることは同居もの・学園ものとそう大差ない状況。設定が設定だけに、なんとももったいないという印象(あくまで私の好みの問題ですけど)。ただメインの“王子様探し”にはそれほど影響が出ているわけではないので、これでも全く問題ないのか。


【男性へのガイド】
→わからん。…けれど、これから王子様との再会という方向に持っていくのだとすれば、女性向けの感が強くなってくるのかな。ただ何かありそうな長髪の老人が、パワー炸裂させれば、色々な意味で万人向けの感じになるのかも。
【私的お薦め度:☆☆   】
→もっと面白くなって良いはず…。少女マンガとしてなら「コスプリ!」で、もっと枠を広げたマンガとしてならこちらがオススメ。


作品DATA
■著者:時東ぁみ/唐花見コウ
■出版社:ソフトバンククリエイティブ
■レーベル:FlexComicsフレア
■掲載誌:フレア(2009年6月~連載中)
■既刊1巻
■価格:560円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [新作レビュー] 2009.09.10
32307245.jpg浜田翔子/津々巳あや「コスプリ!」(1)


オレが魔法をかけてやるよ


■天パにメガネ、クラスでも地味なほうの中学生・翔子。彼女の夢は、アイドルになって可愛い服をたくさん着ること…だけどこんな見ためじゃそれは無理…ということで、最近のもっぱらの趣味は、ちょっとマニアックな衣装を作って、自室で密かに一人ファッションショーをすること。そんなある日、彼女の家に、職業不詳の若い叔父さんが転がり込んでくる。彼の登場が、翔子の運命を大きく動かしていくことになろうとは   !?

 人気グラドル・浜田翔子さん原案の、アイドルサクセスストーリーでございます。女性向けのレーベルで、男性ファンの多いと思われるアイドル起用の意図は読めないものの、色々な意味で注目ということで、早速レビュー開始。
 
 まずヒロインは、アイドルになることを密かに夢見みていた、地味な中学生・翔子。そんな彼女の家に、突然叔父の隆裕が転がり込んできます。叔父さんと言っても年齢は若く、なかなかのイケメン。何をしているのかは一切不詳ではあるものの、有名ブランドのブティックでバイトをしているとか。そんな彼に弁当を届けにいった際、店員さん(性悪)の服を誤って破いてしまうというトラブルを起こしてしまいます。そして何故か、弁償の代わりに売り子をやらされることに。こんな見ためじゃ無理!と絶望にうちひしがれていたところに、隆裕の助け舟が。何と彼の正体は、芸能界でも一目置かれている、天才スタイリストでだったのです。彼の手によって、見違えるような容姿を手に入れた翔子は、無事売り子の仕事を完遂。さらに、かつて夢見ていたアイドルへの想いを再燃させるようになります。


コスプリ
天パメガネの地味子が、一気の大変身を遂げる。そこから「アイドルへ」って発想はなかなかスゴいが、そういう勢いってのは大事。


 隆裕自身は、すでに何らかの理由で芸能界からドロップアウトしており、芸能界への直接的な繋がりは持っていません。そんな二人を、芸能界へ導くのが、大役者の息子で、自身も役者の卵である幼なじみ。魔法使いのような歳上の男性と、ツンデレメガネの幼なじみとの板挟み…という展開で、どちらも芸能界への影響力は強めと、まさにおあつらえ向きな設定。これから恋愛色が出てくるのかな?ヒロイン自身はアイドル志望であるものの、行動力には欠けるため、進み方自体は巻き込まれ型。その辺はまさに、シンデレラ・ガールという感じで、ヒロインに感情移入できさえすれば、存分に物語を楽しむことが出来るはず。実際、低年齢向けの少女漫画誌とかで連載されていれば、それなりに人気しそう。ヒロイン中学生ですしね。フレアのメイン読者層の年齢はどうなんでしょ?
 
 浜田翔子さんが原案で、ストーリーは、田中翔子改め浜田翔子のアイドルサクセスストーリーってのは、どう考えても強気すぎないかい?という気がしなくもありません。原作ではなく、あくまで原案なので、そこまで深くは関わっていないのでしょうが、読んでいてちょっと恥ずかしかったです(笑)実体験に基づく、リアルなお話というわけではなく、あくまで少女マンガ用のファンタジーなんだ、と割り切るのが吉。


【男性へのガイド】
→基本的には少女漫画でございます。浜田翔子さんのファンの方は。
【私的お薦め度:☆☆   】
→展開のやや早い、オーソドックスな芸能界のシンデレラストーリーもの。ストーリー的に目新しさはないものの、こういった話が好きな女の子ってのは一定数いるはず。


作品DATA
■著者:浜田翔子/津々巳あや
■出版社:ソフトバンククリエイティブ
■レーベル:FlexComicsフレア
■掲載誌:フレア(2009年6月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:560円+税

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。