このマンガがすごい! 2013
■もうすぐ「このマンガがすごい!2014」が発売になりますね。当方も今年も参加していますので、一つ宜しくお願い致します。さて、たまったマンガを整理していたら、このマンガがすごい!の過去分が出てきたので、ちょっと気分転換がてらデータの整理をしてみました。
以前も
「男性選者を排除してみた」という試みをしてみましたが、今回検証するのは出版社というか、掲載誌ごとの選ばれやすさみたいなもの。毎年ランキングを見るたびに、「ヴィレバンの店員がドヤ顔で薦めてきそうなもの+インパクトものだな」なんて思っていたのですが、実際の所どうなのかを調べてみました。
【集計方法】・対象期間:2009年〜2013年の過去5年分
・対象作品:30pts.以上を獲得した作品
※過去5年間でTOP20の最低ポイントが30pts.(2012年&2013年)のため
・掲載誌は管理人の感覚で分類
※増刊等は本誌に丸めています(凛花→flowers)とか。
KISSとKISS+は別。
・個人の手集計ですので、もしかしたらデータ間違いがあるかもしれません。悪しからず。
出版社別

以上14社でした。やはり御三家が強いです。中でも集英社の強さが圧倒的。大差を付けた要因は、2009年と2013年でしょうか。1位を獲得したのは昨年のみですが、とにかくランクインする作品が多く、作品層に厚みがあります。また1位を獲得していない中では、白泉社が4位と検討。ここ2年は芳しくありませんが、巻き返しに期待したいところです。
多くの出版社がランクインしている印象ですが、私のブログで取り上げている所では一迅社あたりがいないですかね。この手のランキング受けするレーベルでないのももちろんですが、例えばB's-LOGなどのマイナーレーベルはそもそもオンナ編に入れられていないことがままあったりします(宝島社が当該期間に発売された単行本のリストを予めオトコ編/オンナ編に分けた形で送ってきて、そこから選ぶのが基本線となるため)。あの辺はどういう基準で分けられているのか、結構謎だったりします。
掲載誌別

実際にはもっとあったのですが、得票数の多かった20社をリストにしています。上位5誌が際立っている印象でしょうか。そこから下はどんぐりの背比べ。集計対象が30pts.以上としているので、この程度の差は誤差の範囲と言えるかもしれません。それでは1位〜10位までの、作品別の内訳を見ていきましょう。
1位:flowers (1,059pts. _小学館)

flowersには凛花と増刊flowersも含んでいます。書店ではどこか地味な印象があるものの、連載陣の豪華さは目を引くものがある本誌。それがそのまま出た形となり、唯一の1000pts.オーバーとなりました。実に12作品がランクインしており、寡占度で見ても最高で14%と、層の厚さも圧倒的。複数年に渡ってランクインしている作品(「町でうわさの天狗の子」「姉の結婚」「海街diary」など)あり、単年でガッツリポイントを稼ぐ作品(「坂道のアポロン」「式の前日」など)もあり、一発の強さと安定感の両方を備えています。まさに「このマンガがすごい!」受けの良い雑誌No.1と言えるでしょう。
2位:別冊マーガレット (927pts. _集英社)

2位となったのは別冊マーガレット。中高生向けの恋愛メインの作品はランクインしにくい傾向にある印象がありますが、本誌はターゲット層以外のハートも捉えて、しっかりと上位にランクインしてきます。筆頭となるのが昨年圧倒的な得票で1位に輝いた「俺物語!!」と、実に4年の長きに渡ってランクインした「君に届け」。「俺物語!!」の334pts.は過去5年では最高で、次点は「坂道のアポロン」の148pts.なのでその傑出っぷりがわかるかと。
3位:Cocohana (711pts. _集英社)

3位はCocohana。あまり馴染みのない名前かもしれませんが、2011年までは「コーラス」という名前でした(よって上記にはコーラス分も含んでいます)。名前を変えるというと、どうしても「売上げが芳しくないのかな…」なんて思ってしまうのですが、そんな心配とは裏腹に、毎年話題作を送り込んできています。本誌の特徴は、複数年に渡ってランクインした作品がないということ。これは毎年話題作を生み出せているという一方で、どうしてもその後頭打ちになりがちということの現れかもしれません。昨年ランクインした「かくかくしかじか」と「今日は会社休みます。」が今年もランクインするかに注目です。
4位:フィールヤング (534pts. _祥伝社)

恋も仕事も!な、働く若い女性がメインターゲットとなるフィールヤングも、このマンガがすごい!と相性の良い雑誌です。2011年にはヤマシタトモコの「HER」が堂々のランキング1位となりました。ほかでもヤマシタトモコ作品がランキングを賑わせることが多く、7作品のうち実に4作品がそれ。ランクインする際は割と上位に食い込む印象が強く、「うどんの女」は3位、「夏雪ランデブー」と「ひばりの朝」はそれぞれ4位にランクインしています。
5位:BE・LOVE (479pts. _講談社)

BE・LOVEというか、「ちはやふる」です、はい。他の連載作はカスリともせず、1作品だけでこの位置。むしろ清々しいとは思いませんか。この作品ほどこのランキングと相性の良い作品もなく、毎年確実にランクイン。ここ数年の得票数は右肩下がりですが、今年もランクインするのか注目です。ここ数年は話題を集める連載もあり、そろそろ他のタイトルが食い込んできても良さそうですが、果たして。

つい最近創刊されたばかりの本誌、実質2年でこの位置はすごいの一言。ランクインした作品はのべ3作品で、作者さんは2人。元々この手のランキング受けの良さそうなレーベルで、今後も引き続きランキング作品を送り込んできそうです。「昭和元禄落語心中」は読んだ時に「これは間違いなく1位だ」なんて思っていたのですが、そこは「花のズボラ飯」によって阻止。悲願を達成するのは、田中相先生か、雲田はるこ先生か、それともその他の新鋭か。ちなみに編集部はBE・LOVEと同じです。

アニメ化もされた「海月姫」が全体の7割を越える得票。東村アキコ先生もヤマシタトモコ先生とならんでこの手のランキング受けの良い漫画家さんのひとりです。「見かけの二重星」はつばな先生、「つなぐと星座になるように」は雁須磨子先生。最近のKISSは外から思わぬ人を呼んできて連載するパターンが見られるので、これからもランクインすることがあるやも。

「大奥」「大奥」アンド「秘密」。ここ数年のメロディの戦いは、順位よりも何よりも、「大奥」の新刊が集計期間内に発売されるのかがポイントになっていたような印象が。ほぼ確実にランクインしてくるので、ランキング予想をする人にとっては割とありがたい枠でした。本編も区切りの10巻発売で益々面白くなっており、これからも度々ランクインしてくるのではないでしょうか。
9位:エロティクス・エフ (237pts. _太田出版)

この雑誌が女性向けかというと微妙な所ではあるのですが、「このマンガがすごい!」ではオンナ編として扱われています。「ウツボラ」を筆頭に、ランキング系常連の漫画家さん達が名を連ねます。今ひとつ突き抜けられないのは、レーベル的に「オンナ編」という意識がそこまでされていなからか(という超個人的な見解)。

アニメ化もされた「となりの怪物くん」が引っぱる形でこの位置に。実に3年間、ランキングに顔を出しています。かつてのデザートはこの手のランキングに名前が挙るような作品が出る印象なんてまるでなかったので、ここ最近の充実ぶりには驚きます。「となりの怪物くん」はついに完結したため、今後はその後釜探しとなるでしょうか。
以上です。みなさんはどのような印象を持たれたでしょうか。ちなみに「ちはやふる」現象はその他でも見られ、アヴァルスは「flat」のみでした。また複数作品を送り込んできている雑誌の中では、「LaLa」と「マーガレット」がそれぞれ3作品ずつで健闘しています。
この手のランキング本は、事前のランキング予想も楽しみ方のひとつ。果たして今年はどのような結果・勢力図となるのでしょうか。このマンガがすごい!2014は12/9発売予定です。
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