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Tag [新作レビュー] [4コマ] 2009.08.10
07226421.jpg荻野眞弓「白衣とリボン」(1)


ぼくは理系の学生
研究漬けの毎日に
何故か彼女が出来ました



■理系の院生で、研究漬けの毎日を送る森くん(通称もりそば)。そんな彼に、ある日突然彼女ができる。彼女の名前はゆりちゃん。ゴスロリスタイルで、声優の養成所に通い、お弁当屋さんでバイトをしている永遠の17歳(つまるところ年齢不詳)。道で偶然彼女にぶつかり、言われるがままされるがままに、彼女になられてしまったのだ。妄想力豊かな理系男子の森くんは、そんなゆりちゃんにメロメロ。今日も研究の合間を縫って、彼女との距離を縮めようと奮闘中!?

 同じ作者さんの「たまのこしかけ」(→レビュー)が結構気に入ったので、期待して読みはじめたのですが、コレはヒドい…でも、これは素敵。今日確信しました、私は荻野眞弓の作品が問答無用で好きなんだということに。というわけで、「白衣とリボン」のご紹介です。タイトルに白衣とあったので、てっきり病院が舞台なのかと思いきや、白衣は白衣でも研究者のほうの白衣でした。主人公は、理系院生の森くん。女性とは縁遠い、穿った像のたてられつつある理系男子の典型を行くような男の子です。そんな彼に、突然彼女が出来、右往左往するというお話。しかも彼女というのが、ロリータファッションに身を包む、声優志望の少し変わった女の子。なんだかとっても変わったカップリングの二人が繰り広げる、おのろけチックなラブコメ4コマとなっております。


白衣とリボン
開始3ネタ目でまさかの超展開。だがそれがいい。


 とりあえず、誰が得するんだろう、この作品。特に主人公の森くんがヒドい。作者さんのあとがきだと、実際にモデルがいるらしいのですが、コレは怒っても良いレベルだと思いますよ。まず当然ながら童貞で、手を握るどころか、それ以前の妄想の時点で息子が起立してしまうという状態。お前は中学生か!さらに声優オタクで、意志が弱く、高所恐怖症と、非常に頼りない男で、肝心の優しさも、ゆりちゃんにはなかなか出せずにいるという始末。どうしてこの男に彼女がいるんだ?という疑問に狩られるわけですが、ゆりちゃんは白衣萌えでかつ彼のことは前から気になっていた(偶然ぶつかったというのも、彼女の仕掛けた演出だったりする)という設定があり、一応理想の相手らしいですよ。お互いニーズが一致していれば、カップルは成立するわけで、またお互い幸せだったら、もう誰も口出ししちゃいけないわけで、ある意味では究極のカップルなのかも。でも少しくらいは惹かれる要素を出していただきたいものでございます。

 一応テーマは理系男子となっているのですが、これは理系男子舐められすぎな気が。あとがきを見るに、荻原先生の旦那さんが研究者で、東大の方っぽいのですが、東大の院って実際こんな感じなの?いや私も理系出身なので、理系男子の悲哀みたいなものはよーくわかるのですが、ここまではさすがに。日本最高学府ともなるとケタが違うのでしょうか。せめて、せめてもうちょっと森くんのかっこよさを出してあげてください。


【男性へのガイド】
→どういった層が狙い目なのかもわからんです。男性でも余裕でOKだと思いますけど。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→だから荻野作品が好きなんだってば。しかしながらさすがにこれはオススメは出来ないです。アホっぽくて楽しいですけどね。


作品DATA
■著者:荻野眞弓
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムジャンボ(H18年9月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:619円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [新作レビュー] [4コマ] 2009.08.08
07226423.jpgかたぎりあつこ「ハッピーカムカム」(1)


「家庭科部?」
「ふふふ…
 かつてはそう呼ばれていた部もありました…」



■ユルく、正しく、美しく!家庭科部改め、家庭的部は、家庭的な女子…ではなく、家庭的な女子になるのを夢見る女子達が集う、ユル~い部活。部員はギリギリの5人で、うち家庭的なことが得意なのは、2人だけ。ついには部費の支給までもがストップする始末。でもみんな、めげない、しょげない、気にしない!変わり者揃いの家庭的部は、今日も家庭的な女性を目指してがんばります!

 家庭的な女性を目指す女子達の集まり「家庭的部」のユルい日常を描いた4コマ作品です。ちなみに舞台は中学校ですよ。最初登場人物と設定を見たときは、「きららじゃないの?」と思たのですが、なるほど、読み進めていくとなんとなくその辺がわかってきます。一応作者さんは萌えを目指しているらしいのですが、萌えではなく、萌えに近いファミリー路線という感じですかね。このことについてはあとがきにも書いてありますね。
 
 基本的にユルいです。部員全員が家庭的な女性を目指しているわけではなく、一部は居心地の良い空間として部活を利用している生徒もいたりします。肝心の家庭的な子たちも、そろいも揃って頼りにならない&どこか抜けているという感じで、どうにも前に進んでいきません。そもそも大会などの目標がない部活なので、前に進まないことが逆に良いとも言えますけど。


ハッピーカムカム
放課後ティータイム。2コマに部員全員が揃うという奇跡の一コマ…もとい、二コマ。いや、実際は結構あります。直前に「となりのなにげさん」(→レビュー)を読んだせいか、やけに1コマ1コマ描きこんでいるな、という印象が。


 とっても楽しい作品なのですが、全体的にインパクトに欠けるなぁ、と。最初は雰囲気のユルさから来ているのかなと思ったものの、それ以外にも要因があるのかも。この作品、主役がいないんだ。部員全員が主役とも言えますが、その分視点がばらけてしまい、1巻だけだとどうにも薄味感が残ってしまったような気がします。登場数的には唯一の黒髪であるみずきがヒロインなのでしょうが、彼女の立ち位置が未だに定まっていない感が。一番の個性派・ホコはなぜかマスコット的な存在になり、個人的に好きなハナエをメインに据えると、途端に気だるさがMAXに。ボーイッシュなアミは主役って柄じゃないでしょうし、部長は頼りないしなぁ…。ここは生徒会長を家庭的部に持ってきて…いや、それはないか。多分イニシアチブを取れる生徒がいないからアカンのだろうなぁ。でもユルい部活って得てしてこういう感じなので、その辺は実にリアルなのかもしれないですね。

 比較しちゃいけないんでしょうが、同じ女子中学生で、部活ではないけれど恋愛をテーマに送る「恋愛ラボ」(→レビュー)は、その辺実にしっかりしているなぁ、と感心。夏緒という暴走キャラがいて、恋愛がしっかりテーマとして機能している。こちらももっと部活の色を出していけば良いものの、いかんせん明確な目標がない以上、どうすることもできないという。いっそ恋でもさせてみてはいかがでしょうか?でも根本がそもそも違うのかなぁ。それに「それが魅力だ」と言われたらそれでお終いなわけで。


【男性へのガイド】
→余裕でOK。ただし萌えへの期待はほどほどに。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→使い方次第でもっと良くなりそうなんだけどなぁ。一応2巻も買うつもりです…って結構ハマってるのか?あと全然関係ないですが、タイトルから競走馬のドリームカムカム号をふと思い出しました。


作品DATA
■著者:かたぎりあつこ
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムジャンボ(平成17年9月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:619円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [4コマ] 2009.07.08
07134132.jpg師走冬子「あおいちゃんとヤマトくん」(1)


(あれ…何で私、ヤマトにときめいてるんだろ?)
「あっ!!ヤマトお菓子隠してるでしょ   !!」
「隠してねーよ!!」
「先が思いやられるわねー…」



■5巻発売しました。
 本屋「クローバー」でバイトをしているあおいとヤマトは、同じ大学に通う幼なじみ。狙ったわけでもないのに、大学もバイト先も同じ。そこまで偶然が重なれば、当然お互い意識しあ…うこともなく、ずっと同じ距離感のまま。一応ヤマトにはその気があるみたいだけど、肝心のあおいは色気より食い気。果たしてこの二人の関係に、変化は訪れるの!?

 ラブコメ的な4コマ?本とお菓子が大好きで、色気より食い気な紺野あおい。そしてそんなあおいの面倒を、長い間見続けてきた幼なじみの田代ヤマト。いつまでたっても成長しないあおいが原因なのか、恋が芽生えるなんて気配はナシ。そんな二人の関係に(良い意味で)やきもきしつつ、「クローバー」に集う人達との関わりあいを楽しむというコメディです。一応舞台は本屋さんですが、「暴れん坊本屋さん」的に書店員の仕事をクローズアップするわけではなく、あくまで“枠”として用意しているという感じ。多分バイト先がケーキ屋さんだったとしても、このお話は成り立ったんじゃないでしょうか。

あおいちゃんとヤマトくん
色気より食い気。こんなのはジャブ程度ですけどね。


 舞台背景の重要性が希薄ということは、その分キャラクターの魅力で作品を支えなくてはなりません。メインキャラ二人はもちろんのこと、「クローバー」の店長・長谷川匡と、その妻・香澄の掛け合いも魅力。またヤマトに恋する妹のかえでを配置し、さらに話を動かしていきます。その他にもキャラは登場しますが、総数自体は少なく、少数精鋭。ぶっ飛んだキャラもあまりいないですし、あくまでキャラたちの関係性で魅せるスタイル。パターンにはめている感も強いものの、それで充分もってしまうのだからスゴい。これといった決めてはないですが、4コマの一つのお手本のような存在と言えるのではないでしょうか。


【男性へのガイド】
→スタイル自体は女性的ではありますが、シチュエーション自体は男性に嬉しいって感じでしょうか?オーソドックスな職場もののコメディに、やきもき感たっぷりの恋愛要素をミックス(ただし甘さは控えめ)。こういう作品が好きな男性は、それなりにいるはず。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→上手いと思いますし、個人的には好きなのですが、オススメとなると一歩決め手に欠ける印象。一定の満足感は誰しもが得られるでしょうが、そこから先はその人次第って感じ。


作品DATA
■著者:師走冬子
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムジャンボ(2002年7月号~連載中)
■既刊4巻
■価格:各571円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [オススメ] [新作レビュー] 2009.04.11
nanohanaflowers.jpg青木俊直「なのはなフラワーズ」(1)


「このアパートって
庭に菜の花が咲くから『なのはな荘』っていうんですか?」
「それもあるわね」
「それも?」



■青砥奈央、ただいま絶賛漫画家修行中。そして、絶賛アパート生活修行中。彼女が住むのは、四畳半一間・風呂なし・トイレ共同・女性限定の安アパート「なのはな荘」。住んでいるのは女医さんから美大生、ミュージシャン志望にメイドコスの外国人、そして管理人のおばさんと、多種多様。もっと面白いマンガを描きたい、そして、担当の高中くんに喜んでもらいたい。仕事に恋に苦悩する、駆け出し漫画家・奈央を、なのはな荘の住人たちが、優しく温かく支えてくれます。誰もが通る青春の一ページが、ここにあります。

 昔ながらの安アパート「なのはな荘」を舞台に送る、漫画家志望のヒロイン・奈央の成長と、住人との触れ合いを描いた青春ストーリーです。個性的な面々が揃うなのはな荘。序盤は新入りとして、どう彼女たちと仲良くなっていくかが描かれます。そして後半は、密かに想いを寄せる担当の高中くんとの関係を描いていきます。漫画以上に恋に悩む奈央を、住人たちは興味半分、親切心半分で励まし、背中を押してくれます。1話1話でそれぞれの話が完結し、かつ明るさや希望を残して終わるので、読み心地が非常に良いです。


なのはなフラワーズ
高中くんとの恋愛模様は1巻で一応終結。今後どう展開させるのか。

 
 ヒロインの青砥さんは、いかにも漫画家志望という感じの地味目の女子。クラスに一人はいたよね、こんな子という感じ。加えてなのはな荘の面々も、女的な意味での勝ち組はおらず、それぞれ一長一短ありといった感じで、親しみやすいです。
 内容はよくある共同生活ものではあるのですが、ほのぼのに終始せず、恋愛を上手く絡めて展開させるのは好印象。それがまたみんな温かいんだ。そのミックスの仕方が絶妙で、絵柄も話もコメディタッチなのに、妙に心に染みます。
 
 恋愛ミックスが絶妙と言ったのですが、高中くんとの関係は1巻で一旦完結を見せることに。1巻完結でも良さそうな感じなのに、あれ、これでまだ話は続くんだ…。これからどうやって展開させるんだろうか。なのはな荘の面々との掛け合いだけでもそれなりに面白くはあるのですが、それだけではマンネリズムが生まれそうな気も。2巻に注目ですね。


【オトコ向け度:☆☆☆☆ 】
→こういうお話は男性にも読みやすいんじゃないでしょうか。色モノキャラはいますけど、それを踏まえて読んでいただければ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→今後のことを考えると若干不安ですが、1巻時点では十分楽しめたので。また、まんがタイム連載ですが4コマではありませんので。


作品DATA
■著者:青木俊直
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS STORY
■掲載誌:まんがタイムジャンボ(2008年7月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:619円+税

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Tag [4コマ] 2009.04.11
boystima.jpg藤凪かおる「Boy’sたいむ」(1)


葉山ひろむ
寮の中では
男として生きます!



■3巻発売。
 大学に合格し、辛い浪人生活を抜け出したひろむ。今日から大学寮での新生活がスタート!と、思いきや、地図を頼りに辿り着いた先はなぜか男子寮。すぐに兄に電話すると、どうやら申し込みを兄が電話で行ったために勘違いされたらしい。早急に変更の手続きをしようとするが、女子寮はもう満室。だからといって一人暮らしするお金もない。こうなったら道は一つ、男装して男子寮に暮らすしかない!しかしさすが男子寮。乙女が住むには余りにも厳しい環境で…。負けるなひろむ!
 
 男子寮で男として暮らす女の子を描いた4コマです。メインキャラはひろむの他に3人。明るいけれど能天気な龍太郎、暑苦しい筋肉野郎の寮長、そしてイケメンで女の子大好きな置島。そんな個性派揃いの面々の起こす面倒に、何かにつけて巻き込まれていきます。日々男として生活するひろむ。しかし女の子として生活する場面ももちろんあります。それがファミレスのウェイトレスのアルバイト。この時だけは、女として心置きなく振る舞える!…ワケもなく(だってマンガだしね♪)、レストランが寮のメンバーの行きつけという設定だったり。おまけに龍太郎が、ひろむのウェイトレス姿に一目惚れ。寮内だけでなく、そちらでも話を展開させます。


boysタイム
これは男子寮生活で身に付いたモノなのか、はたまた元々持っていた資質なのか…。


 寮が舞台で、その延長として大学生活が出てくるのは当然だと思うのですが、本作では登場せず。うむ、不思議だ。とはいえ既存のフィールドで十分話を回せているので、物足りないということはありません。一応ハーレム環境にはあるものの、当のひろむにその気はほとんどナシ。いや、この状況なら無理はないか。あくまでコメディを貫きます。 


【オトコ向け度:☆☆   】
→4コマで、コメディメインではあるのですが、やっぱりシチュエーションは女性向けかな、と。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→キャラクターを上手く使った4コマです。もうちょっと女モードのひろむを増やして欲しいと思うのは私だけ?


作品DATA
■著者:藤凪かおる
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムジャンボ(2004年9月号~連載中)
■既刊3巻

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