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Tag [新作レビュー] 2010.03.13
1102884788.jpg小野直美「メッシュ!!」(1)


なんか謎だな
この人時々……
だけど すごく
知りたくなる



■超引っ込み思案の初瀬一花は、大好きな仏像や寺院の勉強をするため、生まれ育った島を離れ、ひとり奈良の大学へ。期待と不安に胸躍る入学初日。一花はサークル勧誘の波に揉まれる中、阿修羅像に似た男の先輩に出会う。春日と名乗るその彼に、半ば強引に連れて行かれた先は、発掘現場!?そして明らかになる、一花の「当たり屋」の才。考古学オタクと仏像オタクが出会ったとき、運命は大きく動き出す…!?

 KISS得意のワンテーマもの。なんて今作は欲張りにダブルテーマでおくっています。ヒロインは、とある島で育った引っ込み思案の仏像オタク・初瀬一花。興味のすべては仏像に向けられ、唯一の友達はお寺の住職という彼女は、まだ見ぬ世界=まだ見ぬ仏像を求めて、ひとり奈良へ旅立つことを決めます。初めての大学生活、はじめての一人暮らし…仏像への熱情はあるものの、やはり不安はつきません。そんな中迎えた入学初日、サークル勧誘の怒濤の波に揉まれているところに、ひとりの男性が。名も名乗らず、そして名前も聞かれないうちに「暇そうだから」と勝手に彼にどこかへ連れて行かれ、辿り着いた先は発掘現場。そこで作業を手伝わされた一花は、そこで思わぬ「当たり屋」(掘るたびに凄い発見をする人のこと)の才を覗かせます。そんな怒濤の一日を終えた後、やっとゆっくり自己紹介。春日と名乗る彼は、同じ大学で考古学を専攻する先輩で、現在ゼミ生を絶賛募集中なのだとか。押しに弱い一花は、ゼミに入らずとも、なんだかんだで春日をはじめ彼の所属する三輪ゼミの面々と行動することに。そしてだんだんと、春日先輩と考古学に興味を持っていくようになるのですが…というお話。


メッシュ
突っ込み所の多い変人ばかり(ヒロイン含む)の中、唯一まともなのが友人の斑鳩さん。ツッコミ役の彼女がいるから、それなりに締まった物語となる。


 考古学と仏像という、女性向けマンガではまずありえないようなテーマでおくられる、大学生活物語。個性派揃いの考古学研究室の面々(と言っても教授含め4人)との出会いから、だんだんと考古学に、そして先輩の春日くんに興味を持っていくという流れ。二つとも取っつきにくいテーマではありますが、考古学に関してはヒロインが全くの素人、そして仏像に関しては研究室の面々が全くの素人ですので、それぞれ初歩からの解説が入ります。またそれをメインで展開するというよりは、テーマによって入れ物を作っておいて、その中で大学生活を描いていくという色が強く出ているため、そこまで小難しい内容にはならず、どちらかというと親しみやすい内容に仕上がっています。この作品の場合、入れ物を作っているのが考古学で、スパイスに仏像、そしてメイン素材に恋愛模様を絡めるという感じでしょうか。「もやしもん」などは最も成功した例だとは思いますが、学問的な要素が強くなってしまうテーマを使う際に、大学を舞台にするというのは、ある程度専門性を加えられる上に、青臭い青春ストーリーも絡められるわけで、なかなかに使い勝手が良いですよね。
 
 ストーリー的には、彼女の恋愛が成就したら終了=短期終了の匂いがしなくもないですが、どうなんでしょうか。とりあえず表紙と帯でこれだけ仏像仏像あおってるなら、もうちょっと仏像使って欲しいなぁ、とは思います。もうそのネタだけにしちゃうのは、ちょっともったいない。「海月姫」(→レビュー)なんかしっかりクラゲを使ってますし。ちなみにタイトルの「メッシュ」の意味は、作品を読めばわかります。こちらは考古学発信なのですが、気がつく方はどれだけいるのだろうか。 


【男性へのガイド】
→こんなテーマでも、しっかりと女性に読める作りに。ということはそのぶん男性にとっては美味しくなくなっている可能性もあるわけで。専門知識も、あくまで初歩の初歩なので、ご注意を。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→こういうテーマものは、失敗も少なくなるかわりに、大成功も少なくなってしまうような気がします。ドラマと知識をいかに融合させるかが難しいのですが、こちらの場合は二つ使っているので、そのハードルは自然と高いものに。


作品DATA
■著者:小野直美
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS PLUS(2009年5月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:419各円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [新作レビュー] 2010.01.14
1102828954.jpg森下薫「少女共和国 」(1)


だってさ…
俺らまだ
14歳だぜ?



■有名公立中学に通う透子は、クラスで委員も務める優等生。母親の再婚相手とも上手くやり、成績も優秀でクラスメイトともそれなりに仲が良い。一見順風満帆な学生生活を送っているように見えるが、それは透子が空気を読んで事なかれ主義を貫き通してきた結果で、ストレスや無力感もそれなりに感じている。それでも問題が表面に出なければ大丈夫。そう考えていた透子だったが、変わり者で周りと同調しない真っ直ぐな心の持ち主・ルイが転校してくることで、毎日は一変する。一人の友を得た透子が見つめる先にあるものとは…!?

 イジメ・学級問題ものに定評のある講談社さんが、またしても送り込んできました。今度はKissで、事なかれ主義を貫くヒロインが、一人の女の子との出会いによって変化していく様子を描いた、学校ものでございます。舞台となるのは名門公立中学校。地元の優秀な生徒たちが集うこの学校は、一見平穏なように見えるものの、それぞれに何かしらの鬱屈を抱えており、それが表面に出てくるのをそれぞれが抑え、かりそめの平穏を手にしているのでした。生徒たちに求められるのは、空気を読むこと。とにかく同調が最優先の中、ある日それとはまったく正反対の生徒が転入してくることになります。名門校ではどうしても浮いてしまう、茶髪にピアス穴、そして物怖じしないハッキリとした性格の持ち主女の子・ルイ。最初は空気の読めない彼女を迷惑がっていたヒロインでしたが、日々の歪みの積み重ねに我慢がきかなくなってきた彼女は、幾つかの出来事を乗り越え自分の信じる道を進むように。そして、いつも彼女たちの前に立ちはだかるのは、大人。大人相手に立ち向かっていくヒロインの姿を、怒濤の展開で描き出していきます。


少女共和国
悪者となる大人は、その悪さが強調されたようなキャラになる。そのためぎょっとするようなことをすることも。テーマが決まった上での手法としては、とっても有用だと思います。


 イジメとか学級問題を描いた作品ってのは、やっぱり中学生だからこそしっくりくるように思います。大人にも子供にもなりきれていない、微妙な年頃。大人の理不尽さを知り、少しずつ染まっていくものの、やはり染まりきることはない、微妙な年頃というか。このお話は、その中でもやや汚れが根深い、名門中学が舞台。その中でもより上手く立ち回っている女子がヒロインで、ある意味、その学校の象徴的存在として描かれています。そんな中に、何も汚れていない力強い光を放つ存在が投入されたらどうなるのか、そして汚れを生み出す根源である、大人という存在との対峙を、ヒロインの視点から描いていきます。
 
 徹底されているのが、悪者は大人であるということ。それはヒロインやクラスメイトの親であったり、担任の教師であったり様々ですが、非常にわかりやすい形で描かれています。この手の作品では、教師が一番腐ってる感じで描かれることが少なくないのですが、この作品もご多分に漏れず。実際どうなんでしょうね、とはいえそうしたほうが主題は描きやすくなるのか。ちょっと“良い子”な普通のヒロインに、真っ直ぐな心の持ち主である女友達、そしてそれを静かにサポートする男の子。恋も一応あるのかも。とはいえ全体的には重苦しく、やっぱりどこか後味の悪さも残りますね。ってこれはこういった作品の宿命か。


【男性へのガイド】
→人間の汚いところを増幅させたような部分が見えますが、それは大丈夫でしょうか。クラス問題とか、そういうものが好きな人は買って損は無いと思いますよ。セオリーをしっかり踏襲している。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→読み応えがあり、しっかりと描きたいことが描かれているように思えましたが、正直目新しさは皆無。大人対子供という、複雑に見せかけた単純なテーマも、個人的にはそこまで興味ないですかねぇ。。。いや、読み応えはスゴくありますよ、ええ。


作品DATA
■著者:森下薫
■出版社:講談社
■レーベル:KCKiss
■掲載誌:Kiss Plus(2009年5月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [新作レビュー] 2010.01.14
1102828998.jpg五郎丸えみ「コンビニ座敷童」(1)


ここに集う人たちみんなにとって
ここは
もうひとつのホームなのかなって



■幼い時に親の借金で、家族とは散り散りに。マグロ漁船に乗り、帰ってきたら20歳になっていた麻子。行くあてもなく空腹で倒れた所を、コンビニの店長をやっている青年・尾崎に拾われ、バイトとして働く代わりに店のバックヤードに住まうことを許される。小卒、家なし、金なし、家族なし、けれども住む場所と食べ物があるだけで幸せ!と思ったら、コンビニは潰れかけの経営危機!?それでもめげずに、一生懸命頑張る麻子は…!?

 波瀾万丈の人生を歩んできた女・麻子が、コンビニに住み店員や地域の住民と触れ合い、頑張っていく姿を描いたコメディです。ヒロインの麻子は、借金まみれでマグロ漁船に乗り、家族とは離別、学校には殆ど行っていないという波乱の経歴の持ち主。日本に帰ってくるも、行くあてもなく、野宿に拾い食いなどでなんとか凌いできたものの、それも限界。そして行き倒れたところを、コンビニの店長(と言ってももの凄く若い)に拾われ、そこで住み込みで働くことになったのでした。そんな麻子を拾った変わり者の店長・尾崎は、亡くなった親から店を引き継いだ二代目店長。経営にやる気はなく、友人の協力も空しく店は閑古鳥が鳴いているという状態で、このまま行けば半年後には閉店という。そのことを知った麻子は、始めてできた居場所を守るため、立ち上がるのですが…?という流れ。


コンビニ座敷童
不思議な温かさを含んでいます。この感覚は、ホームコメディのそれに近いような気も。


 波乱の人生を歩んできた影響からか、ヒロインの麻子にとっては、普通であることそのものがまず珍しく、様々なことに感動、非常に表情豊かに毎日を送ります。それがプラスに作用して、やる気の無かった店長に影響を与えたり、近隣住民から慕われたり、経営も良いほうに転んだりと、まさに“座敷童”のような活躍(失敗も多いけど)。 言ってみれば大きな子供が一人いる感じで、その純粋さ・真っ直ぐさが良い作用を及ぼしていくんだよ、という読んでいて非常に気持ちの良い展開が続きます。ヒロインがよく動く作品は、退屈にならないのですが、この作品もそう。

 コンビニ経営に関してなどは、やや現実感のない部分もあるように思いましたが、そういった狙いでやる作品ではないので、気にしたらだめ。軸となるのは、ヒロインと周辺人物たちとの触れ合いで、コンビニというのはひとつの器にすぎません。とはいえそれでも立派な「意味」が与えられるわけで、コンビニという無機質で画一的な枠に、物語を付与したという部分は評価したいです。コメディ昼ドラっぽいチープさはありますが、それは同時に読みやすさと親しみやすさをもたらしてくれて、まさにこの作品自体がコンビニ的要素を持ち合わせているのではないかな、と思ったのでした。


【男性へのガイド】
→コメディっぽい感じなのでとっても読みやすいです。そこにほっこりあたたかい感じが加わる。そういった系統のお話がお好きな方は。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→一応「閉店回避」という目標はあるものの、そこまでストーリーの流れを感じないです。オススメまではいきませんが、読みやすく親しみやすい作品だと思います。


作品DATA
■著者:五郎丸えみ
■出版社:講談社
■レーベル:KC Kiss
■掲載誌:Kiss Plus(2009年5月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税

■購入する→Amazonbk1

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2009.07.16
07184962.jpg松本小夢「GREEN FINGER-小花の庭」(1)


うん!
お父さんお母さん
あたし
グリーンフィンガーになるからね!!



■5巻発売しました。
 国民的売れっ子グラビアアイドル・木下おりおんが、突然の引退宣言。世間の混乱を他所に、彼女が次の仕事先に選んだのは、なぜか園芸センター。両親の他界をきっかけに、残された家族を養うため、上京しグラビアアイドルに。そして弟の大学卒業と共に、グラビアを引退し、長年の夢だった園芸への道を踏み出しはじめたのだった。心優しい同僚に、職人気質で気難しい上司、それからイケメン御曹司の若手専務…仕事も人間関係もキツい世界、それでも「植物が好き!」の気持ちで、日々ステップアップしていく。さらには恋の花まで咲きそうな気配が…

 元売れっ子グラビアアイドルが、心機一転園芸の道を突き進むというお話。ヒロイン・木下小花は、元々園芸を志していたものの、両親の他界によってその道を断念。飛び込みでグラビアアイドルになってみたら、一気にブレイク。以降27歳になるまで一線で活躍し続けたという売れっ子中の売れっ子。しかしその見ためとは裏腹に、恋愛経験は全くのゼロで、もちろん処女。そんな彼女が、弟の自立をきっかけに芸能界を引退。断念していた園芸の道を再び歩きはじめます。新しい勤め先は、大企業の傘下にある園芸店「泉勝ガーデン」。そこで植物への情熱を存分にぶつけるとともに、27歳にして初の“恋愛”を経験していきます。


greenfinger.jpg
超無邪気。しかし処女設定は必要だったのでしょうか。田代さやかをイメージしながら読めばいいんですかね?いやでも27だし、堀田ゆい夏あたりで…ってどうでもいい話に。


 お相手となるのが、泉勝グループの御曹司で、修行のために泉勝ガーデンに専務としてやってきている泉武三司。園芸の知識はあるものの、植物への情熱はさほどないという彼は、植物へ情熱を傾ける小花に一気に惹かれていきます。そんな彼のよくわからないアプローチに応えるように、小花も段々と武三司に惹かれていきます。ってこのふたり、1話目で付き合っちゃうんですけどね。とはいえ小花自身は恋愛経験ゼロなので、付き合うってことすらよくわかっていないご様子。この設定は果たして必要だったのだろうかと、いまだに疑問なんですが、そのほうが爽やかに話が進められるのかな。なんとなくチグハグなふたりのやり取りも、魅力といえば魅力。
 
 ちなみに「グリーンフィンガー」とは、イギリスで園芸の才能に秀でた人を差す際に使われる言葉だそうです。基本は園芸についてのお話。そしてそこに絡めるように、恋愛のお話。さらに各話でお客様を登場させ、小さな物語を展開させるというスタイル。園芸の知識自体はつくのかな…わからないですね。それから恋愛云々のストーリー展開は非常に単純。というか、Kissでこの展開はOKなの?というくらい行き当たりばったりな感じ。ただ決して暗い方向にはいかないので、読んでいて気持ちがいいことは確かですが。テンポもいいですし、読みやすさはありますね。ヒロインがグラドルってこともあるのですが、「モテかわ★ハピネス」(→レビュー)のヒロインと被ります。恋愛には疎く、欲もなくサッパリ、そして自分のやりたいところに没頭するってところがソックリ。


【男性へのガイド】
→敢えてオススメする要素はないんですが、良い意味で軽さがあるので、ちょっとした時に読んでみるのに良いかもしれないですね。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→ストーリーを考えるとオススメはしづらいです。ただ全体的に明るく楽しげな雰囲気で展開されるので、そういうのが好きな方は良いかもしれません。それと私は、農学系統の学部出身で、園芸も若干趣味だったりするので、こういうお話は無条件で好き。植物が好きって人も是非。


作品DATA
■著者:松本小夢
■出版社:講談社
■レーベル:KC Kiss
■掲載誌:One More Kiss,Kiss Plus(連載中)
■既刊5巻

■購入する→Amazonbk1

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Tag [オススメ] 2009.06.15
07212871.jpg海野つなみ「回転銀河」(1)


…誰にも内緒で
一瞬の視線を
心をこめて 受けとめる



■6巻発売しました。
 とある高校が舞台の中心となる、恋愛オムニバスシリーズです。その発端となるお話が、1巻の最初に収録されている「イノセント・インセスト」。とりあえず、そのあらましをご紹介しましょう。
 
 病気療養で2年ぶりに家族の元に戻った衿子。前と変わらない家に、両親。しかし2年前とは大きく変わったことがひとつ。中2から高1に成長した弟が、見違えるような男の子になっていたのだ。離れる前は、本当に頼りない子供だったのに、今は思わずドキドキしてしまうほど。この気持ちは一体…?別人のように成長した弟を前に、衿子がとった行動とは…

 スタートは、姉と弟の危うい恋愛を描いたストーリー。その他にも、女子に恋してしまう女の子や、父×娘というカップリングを扱ったお話もあります。これだけピックアップすると、タブー恋愛がテーマの作品のように思われるかもしれませんが、そうではないと言っておきます。スタンスは、あくまで「高校生の恋愛模様を綴ったオムニバス」であって、タブー云々ありきではありません。ただしオーソドックスな少女漫画のように、恋愛のキレイな部分だけをすくいとって描くといったことはなく、かなり深い部分にまで突っ込んでくるようなお話を描き上げてきます(あくまで印象ですが)。恋愛マンガではあるものの、少女漫画ではない。そういった捉え方で読んでいただければ良いのかな、と。


回転銀河
寝ている姉に対する弟の欲情(?)、胸を触り、その後キス。こういうシーンもがっつり組み込んでくるあたりも、魅力のひとつ。でもドロドロ感はないですよ。


 少女漫画とは違う。何かが足りなくて、同時に少女マンガには無いものを持っている。そんな印象を受けるのですが、その理由は判然とせず。結構生々しい要素(設定ではなく)を落とし込んできているので、そのせいなのかなぁなんて思ったのですが、それもこの作品の特徴のひとつにしか過ぎないような。でもやっぱりそこなのか?そういった要素がありながらも、根底にあるのは恋愛に対する「イノセンス」さ。そのギャップに、若干の違和感とイライラを重ねつつも、最後にはきっちり感動させられてしまう。イライラ感やもやっと感は、読後も少しだけ残るのですが、それが一種の快感のように自分の中に残り、いつまでも印象づけられているというか。うーん、なんでか読んでしまうんですよね。絵も話もインパクトがあるようなものでは無いんですが…。


【オトコ向け度:☆☆☆  】
→人によるとしか。重苦しい作品というわけではありませんが、明るいわけでもありませんので。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→どうしようか迷ったのですが、なんだかんだで読んでいますし。ポンポン単行本が出るような作品でもないので、オススメにしておきます。そういう方が買いやすいでしょ?


作品DATA
■著者:海野つなみ
■出版社:講談社
■レーベル:KC Kiss
■掲載誌:Kiss Plus(08年3月号~連載中)
■既刊6巻

■購入する→Amazonbk1

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レビュー
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