このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2015.04.24
1106512720.jpg高木しげよし「いつかの青春」



いつか追った夢はつかめなくても
今君は
確かにまばゆく輝いている




■古都・金沢から少し離れた温泉街。高1・結衣のクラスに現れたのは、昭和生まれの25歳の“同級生”井塚だった……!ふたりが作った“ルール”とは――!?他、世界に色を与える人たちが住む島のお話、傑作ファンタジーよみきり「イロトリドリの世界」も併録。

 高木しげよし先生の別冊花とゆめ連載作です。「いつかの青春」というタイトルですが、青春と書いて“はる”と読みます。高校に入学したら、クラスに25歳の新入生がいたというお話です。主人公は少しマイペースで、何かと事を押し付けられがちな女子・結衣。高校に入学してみたら、クラスにはなんと25歳の新入生・井塚が。担任の中学時代の先輩ということもあり、初日からかなりの浮きっぷりを見せる彼は、無口でなかなか群れようとしないことから、あっという間にクラスメイト達との溝を深めていきます。「井塚のことを頼んだ」と先生から言われた結衣は、見かねて声をかけるのですが、話を聞くと、思っていたよりも優しくしっかりした人で……というストーリー。


いつかの青春0001
結衣のこの一言で、井塚との青春づくりが始まる。


 いきなり25歳で高校というと不良組でやり直しとかを想像するのですが、井塚の場合はちょっと違っていて、実家の醤油屋を急きょ継ぐために高校に行かなかったという背景があります。弟が高校を卒業し、醤油屋に入るということで、未練が残っていた高校に入ることを決めたのでした。周囲と群れないというのは別に彼自身が壁を作っているのではなく、年相応に動きたくなかったり、遠慮をしていたりと、実にフラット。そういった誤解が解ければ、その余裕や姿勢は大人の魅力に早変わりするわけで、ヒロインの結衣もいつしか彼に惹かれるようになっていきます。

 物語の軸は、結衣が井塚に青春を楽しんでもらえるよう奔走するというものになるのですが、彼女が頑張れば頑張るほどに、彼の魅力に気づく女子が増え、複雑な気持ちが生まれだんだんと大きくなっていくわけですな。1巻完結ですので、劇的な展開というのはないのですが、短い中にもそれ相応に青春の楽しさや辛さみたいなものが落とし込まれており、満足度は高めです。井塚の青春を後押しするという体ではあるのですが、どちらかというとそれを通してヒロインの結衣が青春していくという感じが強いですかね。

 また同時収録されている「イロトリドリの世界」がなかなか良かったので、こちらについても触れておきたいと思います。世界の片隅にたたずむイロトリドリの島が舞台のこのお話。島民は何かしらの色を持ち、世界に色彩を与える仕事を請け負っています。そんな島には、すべてを飲み込んでしまう漆黒を持つ“黒”という男の子がいるのですが、そんな彼に“ピンク”の女の子が興味を持ち近づいていくという物語。典型的な禁断の恋物語なのですが、世界観とオシャレな雰囲気の絵柄・作風も相まってなかなかにロマンチック。


いつかの青春0002
いつかの青春がまさに青春を押し出した、少し汗臭いというか、青春の匂い立つ話であったので、そことの対比も良かったのかもしれません。短いながらも綺麗にまとめ上げており、読後感が非常に良かったです。こちらはファンタジックでロマンチックなストーリー。


【男性へのガイド】
→少女マンガ感は強いのですが、比較的地に足ついた物語展開ですので、男性も抵抗なく読めるのではないかと思います。
【感想まとめ】
→振り返れば収録されていたどちらの作品もしっかり着地でその読後感やよし。オシャレ感漂う良い雰囲気の作品でした。


作品DATA
■著者:高木しげよし
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめコミックス
■掲載誌:別冊花とゆめ
■全1巻
■価格:429円+税


■試し読み:第1話

スポンサーサイト



カテゴリ「別冊花とゆめ」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2014.02.09
110635940711.jpg氷堂涼二「切っ先3寸」


毎日みんなで
一緒に帰れるぞ!



■女の子の言うこと聞いちゃうドレイ体質だけど、剣道大好きの初心者・ヤサオ。剣道系美少女、鈴音と出会い、地味な同級生・佐々の正体を知った時から本気の「ブカツドウ」が始まった!天才剣士の出現に、たった5人の高校男子剣道部が本気になる夏がくる。ひと夏に懸けた、剣道部ボーイズグラフィティ。

 氷堂涼二先生の別冊花とゆめ連載作になります。氷堂涼二先生というと、新書館(ウイングス)のイメージが強いのですが、白泉社でも描かれております(「はらぺこバンピーノ!」全3巻)。本作は、とある普通の高校の剣道部の奮闘を描いた青春グラフィティでございます。
 
 主人公は女好きで軽いノリのヤサオ。放っておけば女の子と遊ぶ道に進んでしまいそうな彼が、高校では剣の道と出会い、それに夢中に。初心者なので当然ヘタクソ。けれどもへこたれず、日々部活に打ち込んでいました。そんな中出会ったのは、謎の剣道美少女と、そんな彼女が憧れる、元天才剣士のクラスメイト・佐々。剣道からは距離を置きたがっている佐々を、その積極さから半ば強引に剣道部に誘い出し、一緒に剣道をすることに。一人の初心者と、一人の実力者の1年生コンビによって、剣道部に思わぬ変化が…。人数はギリギリ5人、弱小剣道部のアツい夏が始まる…的なお話。


切っ先3寸
孤高の剣士・佐々。とはいえ気難しいというよりは、内気で人との距離の取り方を良くわかっていないというタイプ。ゆえに心に飛び込まれると、こんな反応に。これが魅力でもあるのですが、この赤面シーンだけやたらBL臭いっていう(笑)


 とある事情から剣道から距離を置いた孤独な実力者の心を、何も知らない明るい性格の初心者が掴み、一緒に剣道に打ち込むというストーリー。剣道部という題材もそうですが、男だらけで結構汗臭いストーリーでございます。とはいえキャラクターは割と爽やかだったりひ弱っぽい感じの男の子が多く、無骨な印象の男子はほぼゼロ。その辺でバランスをとっているのかもしれません。またマドンナチックな女の子も登場。しかし彼女は主人公には目もくれず、孤独な実力者・佐々に惚れているという。そのため青春ならではの恋愛の甘酸っぱさはほぼ無し。あ、でも先輩同士の恋愛めいた関係、結構良いです。

 弱小剣道部と言いつつ、5人のうちひとりは最強クラス(佐々)。先輩3人のうち2人もそこそこの実力者ということで、チームとしての力はそこそこあったりします。そのため初心者の主人公が育つ下地もあり、加えて人数も少ないので居心地が良いという。割と憧れる部活風景です。
 

【男性へのガイド】
→BLめいた感じとかは、ちょっと匂いたつかも。ただ基本的に間口は広く、とっつきやすい内容だと思います。あとはキャラ萌えできるか。
【感想まとめ】
→緩くも真剣ないい塩梅の部活もの。そんな力加減の青春モノがお好きな方は、是非どうぞ。


作品DATA
■著者:氷堂涼二
■出版社:白泉社
■レーベル:別冊花とゆめコミックス
■掲載誌:別冊花とゆめ
■全1巻
■価格:429円+税

カテゴリ「別冊花とゆめ」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [続刊レビュー] 2011.09.29
作品紹介→あきづき空太「赤髪の白雪姫」
4巻レビュー→読んでて素直に嬉しかった《続刊レビュー》「赤髪の白雪姫」4巻
5巻レビュー→新章スタート!:あきづき空太「赤髪の白雪姫」5巻
関連作品紹介→*新作レビュー* あきづき空太「青春攻略本」




1106069642.jpgあきづき空太「赤髪の白雪姫」(6)


白雪は、
私が妃に望む娘です。



■6巻発売です。
 白雪はオビと共にタンバルンの城に滞在中。一方、白雪を狙う謎の輩を捜索するゼン達は、彼らに白雪の居場所がばれたことを知る。白雪の身を案じたゼンは、イザナの反対を押し切り、自らタンバルンを目指すが、白雪はゼンの到着前に捕まり、さらに思わぬ状況下に置かれることに…!迫り来る身の危機に、震える白雪だが…!?
 
 
~謎の少年の正体が明らかに~
 6巻発売しました。前回不穏な動きを見せていた、白雪を追う少年ですが、ついに動き出しました。手際よく連れ去られ、さらにヤバいレベルの危機に見舞われているという。攫われるだけならまだしも、どうも二重で攫われるという。。。二番目に攫った鉤爪の目的は至極単純なのですが、だとしたら最初に連れ去った少年のその目的は…?
 

赤髪の白雪姫6-1
自分と白雪を重ねて
馬鹿の手の届かない場所に連れ出す


 えーヘ(-′д`-)ゝ もうね、こういう無駄な正義感掲げての勝手な行動って、ホント嫌(いきなり厳しい言葉)。馬鹿の手の届かないところって、お前が一番馬鹿じゃないのかとか、逆に馬鹿の手の届くところに連れてっちゃったじゃんとか、めちゃくちゃ思うわけですよ!こういう苛立ちは「ハリーポッター」とか見ているとたまに覚えるのですが、今回ばかりはちょっと擁護できないレベルでひどくて、この鹿月少年への心証は正直めっちゃ悪いです(笑)だって相手の事情も聞かずに勝手に攫っておいて、挙げ句さらに危険な状況に巻き込んで、本人は何も活躍できずに、結局助けるのはゼン一行っていう。彼がプラスに働いたシーンがゼロなんです!ゼロ!これこのあとも挽回せずに終わりそうで、、、一体どうなるんでしょ。正直助かって、ちょっとした仲間的に迎え入れられるパターンとか往々にしてあり得ると思うんですが、おじさんそういうのイヤだな!(駄々)
 
 そして上がるのは、ゼンの株。もうめちゃくちゃカッコイイじゃないですか。兄を前にして、言い放った…
 
「白雪は
私が妃に望む娘です   

 
 ここでバシッと言えるところが、王子らしいというか。本人を前にしたら言わないんでしょうけど。そしてちゃんと助けにきて、仲間の力を借りつつしっかりと結果を出すというところも、王子らしいというか。なんて、ここまで彼を王子らしくさせているのは、白雪という守るべき存在がいるからかもしれません。人の上に立つ王となった場合、守るべき対象は国民全てとなるわけですが、まずは身近にいる大切な人から。王子としてのゼンにとっても、白雪はなくてはならない存在と言えるかもしれません。
 

~仄かに浮かび上がるオビの…~
 さて、もうゼンと白雪で確定な雰囲気ですが、このタイミングで思わぬ恋の萌芽が…
 

赤髪の白雪姫6-2
オビ
 
 
 このタイミングで意識し出すってのはまた珍しい。さすがにもう期待薄ではありますが、だからこそこの想いをどう形作り、決着させていくのか非常に気になるところです。ポイントとしては二つあって、まず ①自覚するのかどうか。まだなんとなく気になるっていう程度で、またゼンと白雪の関係も認めています。そのためちょっと認めたくないというか、押し込めている感が強いんですよね。でもここまで描いてるんだから、自覚はしちゃうのかなぁって気はします。そうなった時に俄然気になってくるのが、②進むのか引くのかというところ。王子相手なんだから、となんとなく身を引きそうではあるのですが、身分差という意味では白雪とゼンの間にこそあって、白雪とオビはむしろ身分的には何の障壁もないはずです。壁としてあるのは、ゼンとの折り合いだけ。お互いに信頼はし合っているけれど、仲良しという感はない二人。ここで出し抜いて…なんて、「僕等がいた」的な展開にですね…。もちろんオビは竹内くんですよ、だって成就しないもん(ひどい)


■購入する→Amazon

カテゴリ「別冊花とゆめ」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2011.08.29
1106035714.jpg潮見知佳「ゆかりズム」(1)


僕はこの人を知っている


■まるで見てきたかのように、江戸時代の物語を書く、17歳の歴史小説家・小早川紫。学校に通いつつ、小説家生活を送っている彼は、ある日学校で立花真秀という少女に出会う。初めてあったはずなのに、まるで彼女を知っているかのように感じられる、不思議な感覚。以来、紫は不思議な夢を伴う目眩に襲われて!?

 「らせつの花」(→レビュー)の潮見知佳先生の新連載でございます。今度のお話は、歴史小説家の男子高校生が主人公となっています。その若さで既に人気の歴史小説家で、高校に通いながら小説を書くという生活を送っています。歴史小説と言っても、彼が書き出すのは江戸時代だけ。けれどもその情景があまりにリアルであるため、その若さにしてその地位を得たと言えなくもありません。彼からすると「実際に見てきた」と言えるほどに鮮明な記憶があり、それをただ文章として書き出しているだけという感覚だと言います。そんな彼が、ある日学校で立花真秀という少女に出会います。彼女とは初対面のはずなのに、どうしてか「彼女を知っている」という感覚を覚えて以降、紫は不思議な夢を伴う目眩に襲われて…気がついた時には自分は花魁の姿をしていて…


ゆかリス#12441;ム
わかってはいてもそう簡単に花魁の生活に順応できるわけではない。着物だけでも相当な重さ。真っ直ぐちゃんと歩くこともままならなかったり。でも本人は至って冷静で、慌てない。


 主人公の前世は、江戸時代の人気の花魁。目眩に襲われた結果、前世へと舞い戻ってしばらくの間花魁として行動をすることになります。元々物事に動じない性格の持ち主であるのと、前世の記憶を断片的に持っていたということもあり、意外とすんなり順応。振る舞いは不自然ながらも、前世での生活を楽しむことになります。そしてその先で出会う、現世の自分の周りにいる人たちの前世の姿。タイムスリップのきっかけとなった真秀も、前世で同じ遊郭で働く青年でした。そしてタイムスリップしたのも束の間、すぐに現世へと戻ってくることになります。以降物語は今と昔を行き来する、プチタイムスリップストーリーが展開。徐々に鮮明になってくる前世の記憶を手繰り寄せ、物語の焦点は前世でなぜ自分が亡くなったのかという所に当てられることになります。
 
 現世での歴史小説家という肩書きはあまり機能せず、基本的には前世で謎解き、現世でそれの補強という感じで物語は進んでいきます。実際にタイムスリップしているという感じではなく、夢でトリップしているような感覚で、厳密に言うとタイムスリップものとは一線を画するのかもしれません。花魁ということで、エロいシーンもあるじゃないかという話なのですが、都合の良いところで現世へと舞い戻るという、お色気シーン前に入るCMのような都合の良さがあり。男の子が女体化して、エロいことされちゃうというのも見てはみたいものの、物語の方向性としてそういうのは邪魔なのでしょう。とりあえずはタイムスリップにミステリーミックスという感じで、コメディ要素や恋愛要素は薄め。前世との絡みから、真秀が本線なのでしょうが、そもそも主人公が不思議ちゃん系統なので、心が読めずわかりにくいところがあります。これは結構時間がかかるかもしれませんね。


【男性へのガイド】
→男性主人公ですが、なんとも掴みどころのない主人公のため、感情移入等々は難しいか。真秀かわいいですが。表紙から受け取る印象そのままという、受け入れの壁といいますか。
【感想まとめ】
→タイムスリップという要素を使って、あれやこれややりたいというのはわかるのですが、結局何をしたいのかという目的がぼやけて映るのは気のせいでしょうか。巻き込まれ系でありながら、行動は自分の意志で縛りも結構ユルいため、ちょっと1巻では消化不良気味。2巻以降に期待です。


■その他他作品レビュー
潮見知佳「KEY JACK」



作品DATA
■著者:潮見知佳
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:別冊花とゆめ(連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税


■購入する→潮見知佳「ゆかりズム」(1)

カテゴリ「別冊花とゆめ」コメント (2)トラックバック(0)TOP▲
このエントリーをはてなブックマークに追加
2011.01.09
1102992543.jpgサカモトミク「ジョシの制服」


自分なのに
なんか違う人みたい



■突然のリストラにあった女子力0の崖っぷちガール、砂原翼・23歳。年頃の娘であるにも関わらず、メイクもファッションもヘアケアも無頓着。稼いだ金は全て愛猫・殿へと貢ぐ日々。それもリストラで、破綻の危機!!殿との生活を守るため、必死のアピールで転がり込んだのは、人気の制服専門デザイン会社。超おぼっちゃまで超スパルタな代表・天童のもと、ド素人の翼も次第にその魅力に惹かれはじめ…!?

 「とらわれごっこ」(→レビュー)、「愛のもとに集え」(→レビュー)などの作品を描いているサカモトミク先生の新作でございます。1巻完結。愛猫との生活が第一の、猫愛にまみれたヒロイン・砂原翼(23)がヒロイン。Webデザイナーとして働き、給料の大半を愛猫のためにつぎ込んで来た彼女は、不況の煽りを受けて、突如のリストラ通告を受けます。このままでは愛猫・殿が死んでしまう!(自分は結構どうでもいい)と、再就職を目指し飛び込んだのは、制服専門のデザイン会社。その面接で「デザインやってました!」と嘘をつき、見事入社を果たした翼でしたが、当然のことながら、嘘はすぐにバレ…というお話。


ジョシの制服
意識が変わる瞬間を、切り取る。


 まったくその道を志していない者が、あろうことかプロ意識の高い制作現場に飛び込んでしまい、揉まれ成長していくというコメディ。制服専門で、かなりの人気を誇るデザイン会社ながら、仕事はおろか、ファッションにも全く興味を示さない彼女がクビにならず置いて貰えたのは、このデザイン会社が少数精鋭の個人事務所だから。代表にはクビを言い渡されろうになるも、回りの人間の保護があるために、置いてもらえるという。はじめは全く興味を持てないヒロインでしたが、仕事に情熱と信念を注いでいる人見れば、自ずと自分も影響を受け、一度完成品を見れば、その素晴らしさは嫌でも伝わり感化され、次第にのめり込んでいくようになります。そのため基本はお仕事コメディのノリ。
 
 それじゃあ恋愛はどうなんですか?となるのですが、序盤はかなり薄め。しかし中盤にヒロインが家を追い出されるというハプニングが起こり、結果代表の家に転がり込むという形に。そう、同居ものですよ、同居もの。色気のないヒロイン+ふてぶてしい猫がセットになっているので、ドキドキ感は出ないわけですが、それでも一緒にいれば起こることは起こるわけで、ドタバタコメディへのネタ提供は万全。終始かけ足で進む、テンポの良い進行となっています。向上心が芽生えるまでを描くので、お仕事マンガとして捉えると肩すかしをくらうかも。それよりは、それまで一つのもの(=猫)にしか興味を示さなかったヒロインが、他人に感化されて違ったものに興味を示して行くという、一人の人間の価値観の変化を楽しむ作品として捉え楽しんだ方が、より自然と受け入れられるかと思います。しかしこの猫、「夏目友人帳」(→レビュー)のニャンコ先生よりブサイクですね。。。


【男性へのガイド】
→ジョシの制服というタイトルにもある通り、ジョシ向け色が強い作品。恋愛要素薄めも、仕事での考え方・感じ方もジョシ的で、やはり女性が読んだ方がより楽しめるのかな、という印象の強いさくひんでした。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→ヒロインの女子力は低くとも、女子力向上に寄与する要素にあふれた、ラブリーな作品。敢えて外しているような感覚も受ける、個性的なコメディでした。


作品DATA
■著者:サカモトミク
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:別冊花とゆめ
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「別冊花とゆめ」コメント (0)トラックバック(1)TOP▲
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。