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2014.02.14
1200932154.jpgMdN (エムディエヌ) 2014年 03月号


■「アオハライド」「ひるなかの流星」「放課後カルテ」「ぼくらはみんな死んでいる♪」「俺物語!」「シュガーソルジャー」「君に届け」などなど…これ、何かが共通しているのですが何でしょう?はい、実は装丁のデザイン事務所が一緒なのです。

 デザインとグラフィックの総合情報誌「MdN」で、少女漫画の装丁についての特集が組まれています。特集の対象となるのは、別冊マーガレットをメインに活躍されている、川谷デザインの川谷康久さん。雑誌自体の表紙絵は、山川あいじ先生です。川谷デザインで手がけられた作品で、ウチのブログでご紹介したことのある作品を適当に挙げてみるとこんな感じに…


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三十路目前、彼氏に振られて残ったのは“家族”でした。:鳥飼茜「おんなのいえ」



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笑って泣ける友達がほしい:乙ひより「お友達からはじめましょう。」1巻



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君にまた会えたこの奇跡を、新たな軌跡に変えて:咲坂伊緒「アオハライド」1巻



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野球に夢中な君に夢中:尾崎あきら「太田川純情ラバーズ」



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人とロボットが未来につなげる恋物語:綾瀬羽美「ハル」



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雨の日も晴れの日も私達は歩き続ける:天堂きりん「そして、晴れになる」1巻



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季節巡り想い募る、淡い淡い中学生の初恋。:羽柴麻央「花と天秤」




 表紙デザインや装丁には疎く「川谷デザイン」という言葉も少し聞いたことがある程度だたのですが、少女漫画を中心に、非常にたくさんの作品の表紙をデザインされていたのですね。メインで手がけているのが、別冊マーガレットやCocohana、B'sLOGなど。別冊マーガレットの単行本で良く見る印象があるのが、白背景にポップな柄を散りばめた系統のデザインなのですが、その辺って大抵川谷デザインだったりするのですね。個人的にはこの系統に当たりが多いというか、好みの作品が多い印象なのですが、作品のイメージを表現して作成されているので、ある程度理にかなっているというか、ただの偶然ということではなさそうです。かと思えば色をベッタリと使ったビビッドな印象の表紙もあり、非常に幅広い。
 
 単に表紙を眺めていても楽しいものですが、特集では、作品に対してのイメージと、それを表紙上で表現するための様々な仕掛けについて解説されており、非常に興味深かったです。例えば「アオハライド」のあのロゴが生まれたきっかけであったり、「ひるなかの流星」の表紙に込められた想いなどは、「おお、そんな考えがあったのね!」と。
 
 また川谷デザインは表紙だけでなく、別冊マーガレットのロゴなども手がけています。例えば単行本の背表紙上にある王冠も、僅かにマイナーチェンジしているのですよ(全然知らなかった)。それを知って、別マの単行本の背表紙を見比べてみたのですが、あんまり違いがわからなかったり…。

 不勉強で全く知らなかったのですが、一枚絵の上にロゴやフォントを重ねて行くだけかと思いきや、バラバラの絵を重ね組み合わせて表現していたりと、デザイナーの力量というものが割と大きめのウェイトで入り込んでくるのですね。よく見ることはあるものの、一つの作品として装丁を捉える事がなかった私にとっては、なかなか目からウロコな特集でした。
 
 川谷デザインのお仕事については、良いコミックさんの記事が明るいですので、興味のある方は見てみてはいかがでしょうか。


【装丁】 川谷デザイン(良いコミック)

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2010.08.10
1102954708.jpg僕等がいた 小畑友紀作品集 (原画集・イラストブック)


いっぱい
思い出作ろう



■ベツコミで連載中の「僕等がいた」(→レビュー)のイラスト集が発売になりました。今月末に、久々の続刊発売。その前にこちらでちょいとアピールを…という感じでしょうか。そういえば小畑先生、今度サイン会もやるらしいですね。連載の方は正直なところボロボロという感が否めないですが、これは本格復活の証でしょうか。さて、話をイラスト集の話に戻しまして…。こちら、今までに発表されていた「僕等がいた」のカラーイラストを、一冊にまとめたもの。そこに、過去に付録などに収録されていたオマケ漫画や、小畑先生のインタビュー、そして新たに録ったインタビューやカラーイラストの制作過程レポなども一緒に収録されています。

 連載もかれこれ8年ということで、絵柄もかなり変化しています。連載開始当初に比べると、だいぶ矢野が老け込み猿っぽくなったような。そして七美は相変わらず。そのほとんどが見たことのあるイラストなのですが、文字なしで大きな形で改めて見ると、なかなか嬉しいものがあります。
 





僕等がいたイラスト集2
個人的に一番お気に入りなのが、11巻の表紙にもなっていた、幣舞橋でキスをする二人。これ一時期壁紙に使っていました(笑)




僕等がいたイラスト集
懐かしのイラストも収録。






僕等がいたイラスト集3
また、僕等がいたにまつわる写真たちなんてコンテンツも。これは個人的に嬉しい内容。
 





 かきおろしのイラストは計3枚。といっても本格的な一枚絵は一つだけで、あとは小さなイラストとなっています。2000円ということを考えると、決して安い買い物ではないですが、基本的にファンが買うものなので、これに不満を言う人はあまりいないのかな、と。新鮮さはあまりないですが、それでも形になったものをまとめて見れるというのは嬉しいもので。しかしイラスト、わかっていたけど矢野と七美ばっかりですね(笑)もっと竹内くんとか千見寺さんとか出せば良いのになあ、なんて。竹内くんはともかく、千見寺さんはイラスト映えしそうな気がします。

 インタビューでもおっしゃられていましたが、結末は既に大分前から決まっており、今はそこに向けて進行中とのこと。あと残り少し、ゆっくり待とうじゃないですか。とりあえずは今月末発売の14巻のレビューを。どんな展開なんだろうなぁ…。


■購入する→Amazon

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2009.12.10
konomanngagasugoi.jpgこのマンガがすごい! 2010



■毎年年末に発行される、その年のスゴかったマンガをオトコ編,オンナ編でランキング形式で送るガイド本、今年も発売しました。すでに各所にランキングなど貼られているので、とりあえずオンナ編を10位までご紹介…


1 『ちはやふる』 末次由紀 講談社(→レビュー
2 『君に届け』 椎名軽穂 集英社(→レビュー
3 『ママはテンパリスト』 東村アキコ 集英社(→レビュー
4 『海月姫』 東村アキコ 講談社(→レビュー
5 『となりの怪物くん』 ろびこ 講談社(→レビュー
6 『娚の一生』 西炯子  小学館(→レビュー
7 『青空エール』 河原和音 集英社(→レビュー
8 『午前3時の無法地帯』 ねむようこ 祥伝社(→レビュー
9 『潔く柔く』 いくえみ綾 集英社(→レビュー
10 『flat』 青桐ナツ マッグガーデン(→レビュー


 
 一応すべてレビュー対象だったのですが、全部しっかりオススメしてあります。とりあえずそれだけで一安心(笑)4位の『海月姫』のみ☆4つでしたが、そこは3位の『ママはテンパリスト』との比較での4つということで…。また『となりの怪物くん』と『娚の一生』のランクインは嬉しかったですね。今年の上半期新作オススメリストにて、1位と2位に据えた作品だったので、キレイに入ってくれてちょっとテンション上がりました。 
 
 
 20位までを見渡しても、レビューした作品に関しては全てオススメしてあります。12位のヤマシタトモコ先生『Love,Hate,Love』(→レビュー)や、17位の芦原妃名子先生『Piece』(→レビュー)などのランクインには、おもわずにんまり。また雁須磨子先生の『いばら・ら・ららばい』は未チェックでしたので、今度チェックしてみたいと思います。『ガラスの仮面』は巻数で、また『ケーキを買いに』は掲載誌の関係にて、レビュー対象外でした。
 

 個人のレビューサイトなので、こういった順位など気にする必要はないのかもしれませんが、一応誰かにオススメするという前提で運営しているブログなので、最低限このくらいは意識しておこうかな、と。競馬の予想屋さんも、年間◯回は万馬券当てる!なんて公約してる方もいますし、とりあえず私も『「このマンガがすごい!」のランクイン作品はしっかりオススメしておく』という目標でも掲げておきましょうか。
 
 
 基本的にはこのランキング自体にはそれほど大きな意味はないと思っています。エンターテイメントとしてこのランキングを受け取るのであれば話は別ですが、あくまでガイド本として利用するのであれば、選者の中から好みの合う人を見つけ出し、その人がオススメしている作品をチェックする…というのが最も確実なのではないかな、と。お値段は500円(税込)と、それなりにお買い得なんじゃないでしょうか。
 

 またオトコ編では、『モテキ』と『ザワさん』がランクインしててよかったです。あと『この世界の片隅に』と『3月のライオン』はもっと評価されていいはず…って奇しくも挙げた作品みんな作者さん女性っていう・・・。

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2009.04.02
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川原和子「人生の大切なことはおおむね、マンガがおしえてくれた」


■NTT出版から発売された、川原和子さんの「人生の大切なことはおおむね、マンガがおしえてくれた」を読みました。本書は、主に日経WOMANなどで連載されたマンガ時評をまとめたもので、1作品ごとにスポットを当てながら批評が展開されていきます。

全6章で構成されており、それぞれのテーマは以下のようになっています

第1章:恋愛のお手本はいつも少女マンガ
第2章:家族の問題,楽しくもあり難しくもあり。
第3章:女子の自立とか、自由とか。働くだけが自立じゃない、のかも。
第4章:結婚は恋愛のゴール!?
第5章:マンガの中の「オトコノコ」たち
第6章:ボーイズラブという快楽。

 
■分析・考察が半分で、もう半分は自分の過去と照らし合わせたエピソードで展開。とにかくマンガへの愛が伝わってきます。著者さんがマンガを読みはじめたのが大体30年前ぐらいということで、ピックアップされているマンガ達は大体ここ20年ぐらいの作品になっています。なんとなく著者の"世代"が感じられるラインナップにはなっているのですが、最近の作品もしっかりカバー。抜け目はありません。ちょっとタイトルを挙げると、
 
大和和紀「はいからさんが通る」一條ゆかり「砂の城」
といった往年の名作から、

小川彌生「きみはペット」矢沢あい「NANA」羽海野チカ「ハチミツとクローバー」 
といったメディアミックスでも話題になった最近のヒット作、

有間しのぶ「モンキー・パトロール」秋月りす「OL進化論」
といった4コマ作品群、

あきづき空太「赤髪の白雪姫」(→レビュー),八田鮎子「ひよこロマンチカ★」
といった新人の作品、

中村春菊「純情ロマンチカ」山田ユギ「夢を見るヒマもない」
といったBL作品まで、幅広くカバーされています。


■メジャータイトルとマイナータイトルのバランスも良い感じ。知らない作品もあったので、新たに作品を発掘するのにも使えるかもしれませんね。全体的に、集英社・白泉社の作品が多く、いかにも「少女マンガで育ちましたっ!!」って感じがしました。ラインナップを見るだけで、この人はマンガそのものが好きなんだな、ってことがよ~くわかります。それに反比例するように、小学館系の作品はほとんどありません。恋愛偏重しがちな小学館作品は、世代的にも嗜好的にも合わなかったのでしょう。作中でも、ティーンズラブや恋愛大盛りのストーリーは苦手だと言っていたし。



■さて、著者さんは大体70年代からマンガに入り込むわけですが、当時の少女マンガの流れというのは一体どういった感じだったのでしょうか。その辺も知っているとさらに面白く読めると思うので、ちょっと振り返ってみましょう。
 
 丁度70年代というのは、社会が成熟化を始めるころに当たるのですが、それに合わせるように少女マンガのスタイルも変化していきます。成熟化以前は、運命で結ばれるべきふたりが、様々な障害によって邪魔されるというパターンで、本書でいうと上原きみ子「ロリィの青春」がコレに当たりますかね。そして社会の成熟化が進むと、その障害がディスコミュニケーションに移行していきます。要は、「自ら理想に向かって上昇する」というスタイルから、こんな取り柄のない自分でも、大好きな相手にそのままを承認してもらえる、「ありのままの自分」というモチーフに変わっていきます。それを本書では「乙女ちっく」と読んでいますが、まさに著者は少女マンガが「乙女ちっく」全盛の頃。「こんな私なのに…」と思っていたら、憧れの人から「そんな君が好きなんだよ」と言われて感動みたいな。
 第1章には「恋愛のお手本はいつも少女マンガ」とありますが、この頃の少女マンガはまだ実践で生かせるようなリアルな題材の作品は少なかったはずです。もしイメージそのままに実践したとしたら、きっと実際とのギャップに苦しんだことでしょう(笑)


■だいぶ話は逸れましたが、そろそろまとめ。本書はとにかくマンガ愛が濃縮されてます。女性向けマンガに絞った批評集というのもあまりないので、気になる人は一度手に取ってみてはどうでしょうか?掲載されている作品を知っていれば、「うんうんあるね」とか「おお、そんな見方が」という感想を持つことが出来ますし、知らなければ知らないで、ガイドブックとして活用することも出来ます。世代横断的に良作を集めてあるので、少女マンガガイドとしては申し分ない内容だと思いますよ。
 
 しっかし少女マンガといえば藤本由香里さんの批評が読みたいなぁ、なんて思っていたら、一枚噛んでたんですね、この企画に。さすがです。


■関連リンク
日経WOMAN『恋愛のお手本は、いつも少女マンガ
NTT出版Webマガジン『此れ読まずにナニを読む?
著者ブログ→『マンガラブー


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。