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Tag [新作レビュー] 2015.04.16
1106513141.jpg壱コトコ「BABY BABY」(1)



うれしいんだよ結弦が来て
家族ができたみたいでさ




■貧乏学生・侑征の前に突然現れたのは、超~ナマイキなお坊ちゃまベイビィの結弦。両親を亡くし天涯孤独の結弦を、侑征が引き取ることに……。大波乱のふたり暮らしがスタート☆

 壱コトコ先生のビーズログ連載作です。ナマイキな小学生との同居生活を描いた、ほのぼのコメディ。物語は唐突に始まります。親元を離れ一人暮らしをしていた貧乏高校生・侑征の家に突然グラサンにスーツの男が現れます。小さな子供を引き連れたその男は、「遠い親戚の子を引き取って面倒を見てほしい。お金ははずむ。」と通告し、半ば強引に男の子を引き取らせます。遠い親戚というその子・結弦は、お金持ちな家庭で育った世間知らずの生意気小学生。なんとか歩み寄ろうとする侑征ですが、連れない態度で彼を拒絶します。けれどもやっぱり子供は子供。一緒に過ごすうちに、段々と二人の距離は縮まってきて……というストーリー。


ベイビィベイビィ0001
最初は距離がある二人。侑征の持ち前の包容力で、少しずつ距離を縮めていく。とにかく結弦の表情が豊かで、それだけでも楽しめます。


 ものすごく無理やり感のあるスタートはご愛嬌。その勢いのままジェットコースター的に進むのかと思いきや、その後は比較的ゆっくりと、ほのぼのと物語は進んでいきます。高校生と幼い男の子のつながりを描いた作品というと、マッグガーデンの「flat」を思い出しますが、あちらは子供が高校生をかなり好いていて、逆に高校生はそれほどでもないというミスマッチからの面白さがある作品でした。本作は逆に子供からの信用がない中で、少しずつ信用を勝ち取っていくというアプローチ。お互いに一人身であるという環境から、絆を醸成するのにそう時間はかからず、物語の中盤以降は疑似家族、疑似親子、疑似兄弟的なエッセンスを含んだ物語へと変容していきます。

 侑征は割と懐の広い高校生という感じなので、彼目線で物語を楽しむことが多いのかなと思います。一方で結弦はなかなかの食わせ物。自分が可愛いことを自覚しており、甘えるべき人には甘え、侑征に対しては生意気な態度を取り続けます。物語的にはこの子の可愛さを楽しむという部分が7割ぐらいを占めており、この子が可愛いと興味を持った方はとりあえず手に取って損はないかと思います。ナマイキなところから、ふと見せる寂しい表情とか泣き顔が本当に可愛らしくて。。。
 物語は2人の閉じた関係で終わらず、侑征の同級生たちが頻繁に彼の家を訪れることで、関係性の広がりを見せていきます。加えて同級生の一人に妹がおり結弦と仲良くなるという、2世代による関係構築あり。侑征の友達は、女子2人と男子1人。女の子はそれぞれタイプが違い、ふんわり女子とちゃきちゃき幼馴染ということで、物語が進めば恋の匂いもしてきそうな雰囲気もあります。


ベイビィベイビィ0002
こんな感じの幼馴染。結構普通に家にくるあたり、オタク好きする作品にありそうなシチュエーションが羨ましい。


 温かい人間関係や小さな男の子を愛でるという以上には特に強調すべきところはないのですが、そこに絞って存分に楽しめるというシンプルさは魅力で、疲れた心を癒してくれることでしょう。とにかく悪意を持った人間が登場しないというのも個人的には好きなところで、安心感を持って読むことが出来ました。


【男性へのガイド】
→男2人の関係性を愛でるってのは、男子受けするのだろうかという所はありつつも、優しいつながりを描くというような話がお好きであれば、さほど抵抗なく読めるのではないかと思います。女の子も可愛いし。
【感想まとめ】
→表紙から受ける印象をそのまま信じてもらえばいいんじゃないかなと思います。ちょっとクサさはありますが、デフォルメされたキャラ造形からも、このくらいの濃い味でちょうど良し。


作品DATA
■著者:壱コトコ
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:ビーズログコミックス
■掲載誌:ビーズログ
■既刊1巻
■価格:620円+税


■試し読み:第1話(pixiv)
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Tag [続刊レビュー] 2014.02.16
作品紹介→乙橘「少年メイド」
2巻レビュー→千尋の意見を尊重すること《続刊レビュー》 乙橘「少年メイド」3巻
4巻レビュー→赤面する男の子女の子がかわいすぎるっ…!:乙橘「少年メイド」4巻
5巻レビュー→まったく…かわいいなぁおい!:乙橘「少年メイド」5巻



1106364289.jpg乙橘「少年メイド」(7)


…円
ありがとう



■7巻発売しました。
 「オカン」な、ちーちゃんがビシバシ、ドタバタ大活躍する待望の第7巻が登場!掃除・洗濯・料理が完璧な優秀メイドが男子小学生だなんて、可愛すぎるに決まってる!!夏祭りに修学旅行、楽しい事をみんなで過ごす中で、千尋はもどかしい気持ちを抱えて「おばあちゃん」との距離を少しずつ縮めていく。


〜夏祭りで恋祭り〜
 7巻発売しております。なかなか進まない本作ですが、そもそもゴールが明確でないので、問題ないのです。というわけで、7巻も日常的なコメディがメイン。夏祭り、修学旅行とイベントは意外にも豊富でございました。特に印象的だったというか、楽しかったのが夏祭り。
 
 夏祭りと言えば、恋ですよ、恋。はい、乃村さんです。今回は周囲の協力なプッシュによって2人きりになるという、彼女にとっては思っても見ない展開に。しかしこのチャンスをあざとくものに出来るほど、乃村さんにはテクニックはありません。せっかく2人きりになったというのに…
 

少年メイド7−1
無理ー!!!


 この反応が可愛い。良いですね、初々しいです。そしてもう一つ驚くのが、千尋の反応。普通小学生の男子だったら、意図的に女の子と2人きりにさせられているのを察したら、恥ずかしがって冷たい態度を取ってしまったりするではないですか。そんな状況に気づいていないというのもあるのでしょうが、実に自然に、そして時に気遣いすら見せるという、その大人な反応に感心し通しでした。この子は良い子ですよ、ほんとに。乃村さんは男見る目あると思う。うん。


〜日野くんがオトナすぎてビビる〜
 さて、大人っぽいと言ったらこっちでも。日野くんです。乃村さんと千尋が2人きりになっている一方で、日野くんも美耶子ちゃんと二人きりに。美耶子ちゃんが「日野くんは他の誰かと一緒になりたかったのでは!?」なんて想いを抱えていたところ、


少年メイド7−2
この反応


 お上手すぎるだろ。「こんな男子小学生いないぞ、おい」と思わず突っ込んでしまったのですが、スマートすぎてビビります。これ、美耶子さんを安心させるための言葉であり、同時に彼女をエスコートするためにお手を拝借しようとしている図ですからね。言葉でも行動でもカッコイイ。この作品の少年達はオトナすぎて、素敵であると同時に、もっとダメな子が居てもいいんだよ、とかちょっと思ったりします。なので、久々に登場した竜児が好き放題やっていたのを見て、不思議と安心してしまったのでした。


〜離れてわかるつながり〜
 7巻は今まで以上に、千尋と円のつながりの強さを再確認させられた巻だったかな、という印象が強いです。祭りの後のシーンから、修学旅行でのやりとりも。日がな二人の絆は深くなっていっているんでしょう。そしてそれをちゃんと自分達で認識出来ている、その事実が大事なのだと思います。
 
 しかし円と千尋の関係を見ていると、完全に母と息子ですよね。息子は母の愛を時にうざがるわけですが、円の場合はそれはなし。与えられる愛をありのままに受けているという。これぐらいの素直さをもって接する事ができれば、親子はもっと良好な関係を築けるんじゃないかと、少し思いました。

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Tag [新作レビュー] 2014.02.03
1106364290.jpg衣丘わこ「銀盤男子-フィギュメン-」(1)


このクラブに入れてください!


■西国原宗太は、マスクがないとキョドってしまう寝暗な高校1年生。周りに流され生きてきた宗太だが、彼には譲れない夢があった…。「昔あきらめたフィギュアスケートを、もう一度やりたい!!」その夢を叶えるため、スケートの名門・高南高校(全寮制・男子校)に入学するも、お目当てのフィギュアスケートクラブは別名・変人クラブと呼ばれ、生徒たちから敬遠されていた。オネエなマネージャーにゲイコーチ、天才スケーターはかなりの電波ちゃん…と、奇人だらけの中、宗太の銀盤ライフはどうなるの…?

 ソチ五輪が近づきつつある中で、こんな単行本が登場。“銀盤男子”と書いて、「フィギュメン」と読むそうです。というわけで、フィギュアスケートマンガの登場です。スポーツとしてのフィギュアスケートは女性に人気のジャンルという印象がありますが、マンガの題材としても非常に人気があります。ただ多くの作品が、女性主人公であるのに対し、本作は男性が主人公で、競技ジャンルとしては「男子シングル」が扱われます。(小川彌生先生の「銀盤騎士」は男子シングルでしたっけ?)
 
 主人公は人が苦手な男の子。幼い頃にフィギュアスケートをはじめ、そこそこ上手かったのですが、同年齢の男の子たちに「フィギュアなんてオカマみたい」とからかわれ、以来スケートからは離れていました。しかしどうしてもスケートを諦められない彼は、地元から遠く離れたスポーツの名門である高南高校へ入学し、スケートを再びはじめるのでした。やっとスケートを始められたのは良いものの、そこは全寮制の男子校。人が苦手な主人公には厳しい環境です。さらに、入部した先には、オネエ系のマネージャーに、尻をやたら触ってくるゲイのイケメンコーチ、そして他人に全く興味なしな不思議系エースと、変人揃い。対人力の無い主人公は、果たしてこの環境で生き抜くことができるのか…という学園コメディでございます。
 

フィギュメン1
 フィギュアスケートマンガで、ちゃんとスケートも滑っているのですが、如何せん色もの揃いのキャラ構成となっているため、スポ魂的な風合いはあまりありません。ジャンルとして収まりが良いのは、複数の男子が登場する日常系の部活マンガといった所でしょうか。この手のジャンル誌にはありがちな、女性の好みに応じて様々なタイプのイケメンを用意するアレかと思いきや、イケメンはイケメン揃いなのですが、メインキャラ5人のうち2人がオネエとゲイですからね。ややベクトルが逸れている感はあります(笑)


 これだけたくさんの色モノキャラがいながら、意外にもバランスが取れているように感じるのは、ひとえに主人公のキャラの薄さによるものなのでしょう。キャラが薄いというか、前に出ない押しの弱さというか。良い意味でパワーバランスが取れているという。


フィギュメン
フィギュアもちゃんとやります。そして解説もしっかり。テレビで見ていても、サルコウだアクセルだフリップだ言われても良くわからんかったので、結構ありがたかったり。


 フィギュアものとしては、ブランクのある主人公が、既に国内では有名なチームメイトに追いすがって成長していくというストーリーが描かれそうです。主人公はジャンプこそ得意であるものの、極度の恥ずかしがりやで表現力に乏しいところが課題。素質は一級品のようなので、人との関わりあいの中から、成長のヒントを掴んでゆくのでしょう。


【男性へのガイド】
→女性向けの作りではありますが、こういう設定の作品にしてはクセが強くなく、読みやすくし上がっているのではないでしょうか。
【感想まとめ】
→1巻は役者と舞台が揃ったという感じで、真に盛り上がってくるのはこれからでしょうか。部活と日常の絡め方が上手く、読みやすい作品です。


作品DATA
■著者:衣丘わこ
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:ビーズログコミックス
■掲載誌:ビーズログ
■既刊1巻
■価格:620円+税


試し読み ※pixivログイン要
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2013.09.23
作品紹介はこちら→*新作レビュー* びっけ「あめのちはれ」
2巻レビュー→女子化以外は至って普通の学園漫画《続刊レビュー》「あめのちはれ」2巻
3巻レビュー→梅雨の雨も、これを読めば素敵なひとときに:びっけ「あめのちはれ」3巻
4巻レビュー→素直に明るい明日美ちゃんはモテるに違いない:びっけ「あめのちはれ」4巻
5巻レビュー→レギンスにロマンはあるか:びっけ「あめのちはれ」5巻
6巻レビュー→夏の日差しにゆらめき輝く恋模様:びっけ「あめのちはれ」6巻
関連作品レビュー→びっけ「貘-BAKU-」「真空融接」「壁の中の天使」「赤の世界」「王国の子」




1106316363.jpgびっけ「あめのちはれ」(7)


晴子でいたのは
あの時が最後だったわね



■7巻発売しました。
 ついに葉月は、明日美に想いを伝えることを決意する…。それぞれが、それぞれの現実と向き合うなか、季節は8月。波乱の学園祭がはじまり…!?名門男子高雨谷学園を舞台に織り成す、青春群像劇、物語の核心に迫る、第7集!!
 

〜恋する文化祭!〜
 7巻発売しました。7巻はちょっと単行本が厚めです。その分しっかり、内容の方も大増量という感じでございましたよ!季節は夏から秋へ、そして一番恋の盛り上がるイベント、文化祭を迎えようとしています。もうね、7巻はこれでもかというほどに恋愛イベントが盛りだくさんでしたよ。恐らくこれまでで一番出入りが激しかったんじゃなかろうか…。


〜告白・宣言の応酬〜
 爽やかに想い合う葉月と明日美ちゃんですが、それとは裏腹に、これまでなにやら複雑な状況になりそうな雰囲気がありましたが、それが一気に噴出する形に。まず先陣を切ったのは葉月でした。
 


あめのちはれ7−1
誕生日にプレゼントをもらい、「文化祭の日に告白する!」と決めた葉月。もうこうなったら、あとは突っ走るだけです。邪魔するものがあるとしたら、それは天気ぐらいなもの。当日まさかの雨だったら、流れてしまいますからね。しかし葉月の想いが通じたのか、雨雲は1日目にやってきただけで、明日美がやってくる2日目は晴れ。しかし葉月の想い通りにいった天気とは裏腹に、思わぬ所から邪魔が入ることになりました。それが、寮長からの告白という。ついに、遂に来ました。

 
 てか、寮長がこうなってしまうのも納得なんですよね。葉月って元々男の子なものだから、女の子としてのあざとさの自意識みたいなものが無いわけで。だからやけに距離が近いというか。葉月としては、「同性の後輩」のような距離感で接しているのだと思うのですが、それが向こうからしたら距離感が近くて、まるで好きなんじゃないかと思わせるような仕草に映って見えたり。リアクションがいちいちかわいいんですよ、全く。結局葉月の告白は持ち越しとなったわけですが、ここはしっかりと「終わり」まで導いて欲しい所です。
 
 さて、そんな兄妹で一人を取り合うというシュールな状況の中、直接関わらずともなんだか相関図の矢印に変化が加わるような告白をした方がいました。それが如月。こんな中で、葉月の弟に


あめのちはれ7−2
まさかの告白


 さぁ、事態はさらに深刻に…!気持ち的には明日美ちゃんを素直に応援してあげたいのですが、葉月の事情を知った上でなお好きだと思う、如月の愛の強さはなかなかのものなんじゃなかろうか。てか改めて葉月モテまくりですね。何気に弟ともイチャイチャしてますし、あの漂うユニセックス感というか。自然体で男女兼用でモテる感じも、納得出来る仕草・表情の可愛らしさがあります。しかししっちゃかめっちゃかなこの状況、どう収集つけるのか。何より今回明らかになった「物語の核心」において、如月はかなり大変な状況になってしまったわけですから…。


〜物語の核心に…〜
 さて、愛だの恋だのと大忙しの学生たちの傍らで、今回非常に大きな事実が明らかになりました。それは、「女体化を止める方法」。いやーびっくりでしたとも、なんてロマンチックな処方箋でしょうか。ノリ的には王子様のキスとかに匹敵するような感じもあります。いいですね、素敵です。そしてこれは、今後物語を転がすにあたり、これ以上ない設定となってくるはず。形式的なものではなく、「己の中で抑えられないほど」というような条件が加わる必要がありそうということなわけで、事後の「出しきった感」がないと成立しませんから、ハイライトになることは必至なわけで。


〜それぞれにゴールが見えた〜
 さて、そうなった時の各人のハードルですが、それぞれ多種多様すぎて楽しみが止まりません。
 
 寮長からの告白をどうするかという葉月は、これが解決しない限り前進はありません。そしてそんな彼に恋してしまった如月は、もっと大変。円も歳下の女の子相手ですし、五郎丸も相手がなかなか手強い…。個人的にハードル高いな、と思うのは、如月と円ですかねー。
 
 如月は言わずもがなですが、個人的には、円も相当大変なんじゃないかと思います。だってどうしたってお兄さん面してしまうのに、素直になって相手と対峙していかないといけないわけですから。何気にツンデレのツンが際立っているキャラなので、それを崩すのは至難のワザかと。だって年下も年下だから、恥ずかしいですしね。今回だって素直になれなくて、ついついぶつかってしまっているわけですし。

 
あめのちはれ7−3
しかし梓ちゃんかわいいですよ。こんなにかわいいのに、恋になると自信無さげな所とか、余計に。

 
 一方で一番ハードル低そうなのは五郎丸でしょうか。ただ一方的に行っても物語的には面白くなく、恐らくは桜子のアフターケアをどこまでできるのか、というのがプラスアルファで加わってくるのかと思います。何気に一番男らしいのが彼なんですよね。相手に対して一番まっすぐにアプローチしているじゃないですか。自ら積極的に声をかけて、相手の心にも意図して踏み込んで行って。女性がどう受け取るのかはわかりませんが、男性視点で見て、五郎丸はすごくカッコいいな、と思いました。こういう性格に憧れます。
 

あめのちはれ7−4
今回の告白も、なんか勢いに任せたエネルギッシュな感じがすごくカッコ良かった。いきなりこんなのに来られたら、桜子もたじろぐのは納得です。というか、逆切れ気味なのはあんまり印象よくないのかもしれませんけど、これほどまでに真っ直ぐぶつかれるってのが、羨ましくて。


 葉月たちの複雑な恋愛事情も気になる所ですが、俄然楽しみが増してきたのは、この二人だったりします。五郎丸がどこまで男らしく恋愛をすることができるのか、注目ですね。そしてポーカーフェイスな桜子の表情を、どれだけ引き出すことができるのか。今回の赤面とか、結構嬉しかったです(笑)円と梓は割と安パイな感があるので、素直になれない円を見つつニヤニヤしたいと思います。ああ、なんて8巻が待ち遠しい…。

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Tag [新作レビュー] 2013.05.13
1106272441.jpg羽鳥まりえ「ミドリムシは植物ですか? 虫ですか?」(1)


ユーグレナ王子か…


■微生物研究者の松江留架は孤独だった。彼の研究対象のユーグレナ   ミドリムシに対する溢れんばかりの情熱も、愛情も誰にも理解されず、大学ではすっかり変人教授扱いだったからだ。最近入った助手の安川も研究そっちのけで遊んでばかり…。そんな彼の元に、突然全裸のイケメン外国人(?)が現れる。曰く、自分は「ユーグレナ王子」であると…。

 またおバカな作品が登場しましたよ。いや、テーマはとっても学術的なんですが、発想がおバカというか。というわけで、「ミドリムシは植物ですか?虫ですか?」のご紹介です。物語の主人公は、ユーグレナ(ミドリムシ)をこよなく愛する生物学者の松江教授。若くして教授の地位を射止めた才能溢れる彼なのですが、その伝えたいミドリムシ愛を受けとめてくれる人はなかなかおらず、いつも孤独に研究を重ねていたのでした。そんなある日、研究室で「ユーグレナ王子」と呟いたところ(端から見ると結構アブナイ人)、突如目の前に全裸の外国人が登場。どうやら彼は、ユーグレナ王子だと言うのですが…
 
 のっけから興味を惹かれる長いタイトルですが、答えは単行本を読めばわかります。ちなみに作中では、ミドリムシは人間です。いや、ちょっと語弊があるか。擬人化ものとは異なり、完全に人の形をしてミドリムシが登場してきます。普通にものは食べれるし、喋れるし、人間世界に適応している。目的は全く分かりませんが、特に語られない所を見ると、愛が強すぎて具現化してきてしまった…って程度に捉えておくとしっくり来るかもしれません。愛を持て余した孤独な研究者の想いを、全身で受けとめてくれる存在とでもいいますか…。


ミドリムシは植物ですか?虫ですか?
 また本作、イケメンのユーグレナ王子だけでなく、クマムシが人間化したゴスロリ美少女・クマ子も登場します。こちらもまたクマ子の目的はよくわからず、ユーグレナ王子と同じような位置付けで良いかと。画像は、覚醒した後の決めゼリフ。かっこいいです。普段は大人しくて眠そうな女の子です。しかしすごいですよね、本作のメインテーマがミドリムシとクマムシっていう。
 

 ユーグレナは最近栄養補助食品などで注目を集めていますし、クマムシはその過酷な条件への耐性という部分でネットで話題になっていたりしますが、それでも…。ちなみに物語は大学の研究生活でのトラブルを、みんなで解決していくというもので、その中でユーグレナやクマムシの特殊能力は活かされていきます。かといってそれである必要があるかと言われると、疑問ではあるのですが、そもそもこういう発想のお話にそんな考えは無用なわけで。とにかく不思議で楽しい世界を楽しみましょう。楽しんだもの勝ちなんです、こういうのは。また何気に巻数付いていますし、本誌での支持も集められているのかもしれませんね。

 
【男性へのガイド】
→レーベルからもわかるように、モロ女性向け、ということで男性はちょいとハードル高いか。
【感想まとめ】
→いや、正直物語に関して言えばどう紹介して良いのか困るのですが、このインパクトだけは伝えておきたいな、ということで今回ピックアップしてみました。好き放題描いている感は伝わってくるので、全体的に楽しい物語に仕上っています。


作品DATA
■著者:羽鳥まりえ
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:ビーズログコミックス
■掲載誌:コミックビーズログエアレイド
■既刊1巻
■価格:620円+税


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レビュー
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レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。