
これは
個人的な復讐なんです
■人は巨大な地下シェルターに囲われ、大企業・ペンフィールド社の管理の下に暮らしていた。不思議な瞳を持つ少年・ルカと、彼に従う黒服の従者(自称保護者)・ユーリ。そして、個性派揃いの仲間たちが、それぞれの覚悟を胸に、体制への反旗を翻す!その先に待つのは絶望か、それとも…!?新感覚SFロマン、ここに開幕!!
黒山メッキ先生のコミックビーズログでの連載作になります。黒山メッキ先生は、以前「戦場のヴァルキュリア」を連載していたり、BLで単行本を出したりはしていたのですが、非BLのオリジナル連載は本作が初のようですね。本作で描かれるのは、とある大企業が世の中を支配する近未来都市。戦争の災禍で荒れ果てた世で、生き残った人々を地下の安全なシェルターへと誘導、以降管理しているのが謎の巨大企業・ペンフィールド社。彼らの存在なくしては生活はありえないというレベルなのですが、本作の主人公達はその巨大企業に反旗を翻そうとする者たちになります。不思議な瞳を持つルカを筆頭に、個性派な男達5人が集い、目指すのはペンフィールドへの復讐。しかしその道のりは遠くはてしなく…

5人の中でもリーダー的なのが、特徴的な大きな瞳を持つ少年・ルカ。彼が何故PF社に恨みを持っているのかは、明らかにはされない。
はい、こういう話大好物です。所謂ディストピアものなのですが、なかなか物語の枠は大きそうです。企業転覆を狙うのは若者5人組なのですが、それぞれ性格も特徴も点でバラバラ。体力バカがいるかと思えば、コンピューターを自在に操るものがいたり。ペンフィールドに対する想いもそれぞれ異なっているようで、それぞれの背景は1巻時点では明らかになっていないものの、「良く思っていない」という点でのみ一致しているようです。これまでの説明からもお分かりかと思うのですが、1巻時点では謎が多すぎて物語の全容を把握するのは難しいと言えるでしょう。主人公達5人のキャラがバラバラで、それぞれ個性的なのは、そこに行きつく前に読者を飽きさせないという狙い(?)もあるのかもしれません。
女性向けの王道SFですから、見所は男子たちの掛け合いと、バトルシーン。1巻でも早々にカーチェイスから、白熱したバトルが繰り広げられます。相手は大企業ということで、出してくる手は様々。1巻ではなんだか明らかに小物っぽい敵がドジする感じでしたが、これからどうなってくるのか。主人公達の出自が徐々に明らかになるに連れ、巨大企業の正体というのも明らかになってくるはずで、謎が明らかになればなるほどまた敵もエグくなってくるのかな、と。巻を重ねて旨味が出てきそうな作品で、また絵もお上手ということもあれば、がっちり一定の支持を集めそうな予感があります。それなりに長く続いて、丁寧にその過程を描いて行ってくれれば、とは個人的な想いなのですが。ビーズログということで、そもそも続き出るのかなぁ、と…。
【男性へのガイド】
→登場人物が男のみという所をどう捉えるか。いわゆる癒し的な存在はいないのですが、物語自体はそれなりに骨太感はあります。
【感想まとめ】
→ありきたりと言えばそうなのですが、そういった設定も如何に丁寧に描くのかで大きく差が出てくるのも事実。1巻時点では如何とも言いがたい程度には、全容が明らかになっていませんが、物語としての外枠が属人的になりすぎなければ結構面白くなるんじゃないかと予感させてくれました。
作品DATA
■著者:黒山メッキ
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:ビーズログコミックス
■掲載誌:コミックビーズログエアレイド
■既刊1巻
■価格:620円+税
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