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2011.11.03
作品紹介はこちら→*新作レビュー* びっけ「あめのちはれ」
2巻レビュー→女子化以外は至って普通の学園漫画《続刊レビュー》「あめのちはれ」2巻
3巻レビュー→梅雨の雨も、これを読めば素敵なひとときに:びっけ「あめのちはれ」3巻
4巻レビュー→素直に明るい明日美ちゃんはモテるに違いない:びっけ「あめのちはれ」4巻
関連作品レビュー→びっけ「貘-BAKU-」「真空融接」「壁の中の天使」「赤の世界」



1106076613.jpgびっけ「あめのちはれ」(5)


たとえ相手が自分でなくっても
恋してる女の子はホントにかわいいと思ったよ



■5巻発売しました。
 入学式の春雷を境に、雨が降ると女の子になってしまうという特異体質となった葉月たち。おしゃれのことや、好きな人、内緒の話…気になる子のあれこれを聞いたり知ったりできるのはあくまで女の子の姿だからで…!?名門男子校・雨谷学園の5人の男子が悩み成長する、男女入れ替わり群像劇第5弾!!


~真城ちゃんの過去がなかなか~
 5巻発売しました。相変わらず素敵な物語です。5巻にもなったというのに、未だに女体化を止める術を見つけるきっかけすらないという状況。もう、このまま男女兼用で行こう!なんて。
 
 今回5巻を通してスポットが当たったのは、表紙にも描かれている通り、唯一の関西人・真城ちゃん。静かそうな感じに見せて、意外とちゃんと恋していたというのが驚き。というか、何気に5人の中で一番恋愛らしい恋愛しているような。しかもなんとなく忘れがちですが、あれ普通に中学生の時の話ですからね。ただ好きな相手を想うだけでもいっぱいいっぱいな年頃なのに、年上の相手を好きになって、さらにもっと年上の男の人を意識しなくてはいけない。なかなかに壮絶な、しかしだからこそ想いも一層強くなる恋です。正直よくあそこから挽回したなぁっていう(笑)年上からビンタされたら私は間違いなくしょげて諦めます。それをちゃんと会いに行くってんですから、カッコいいですねー。いや、前半カッコ悪かったからプラマイゼロか。


~レギンスにロマンはあるのか~
 さて、今回本編とは関係なしに、こんな話題が出てきました。それは葉月の女体化の時の私服を買いに行った時のこと…


あめのちはれ5-1
トレンカやレギンスにはロマンがない


 確かにこれは同意したい…!元々多かったのかもしれませんが、「けいおん!」以降やけにレギンス穿いてる女子が増えた気がしていまして。冬場とかも結構多いではないですか。黒のレギンス。女性がレギンスはくのってやっぱり機能性から?暖かいのでしょうか。そういえば、一時期流行った「レギンス男子」ってどこ行ったんでしょ。。。逆にあれの女性側の意見も聞いてみたいものです。もしあれが女性からの評判よくなかったら、もうレギンスはやめましょう、お互い!(誰へ向けたメッセージだよ) なんて個人的には女性のふくらはぎが好きなので、レギンスでもなんでもふくらはぎが拝めるのならOKだったりします。一番女性的でないですか?女性のふくらはぎって(どうでもいい語り)
 
 さて、ここで面白いのが、別に誰か気を惹きたい男の子がいるってわけではないのに、そして葉月に気があるっていうわけでもないのに、自分が女の子に着て欲しい服を優先するという。この無意味だけど、とりあえず好みに…ってのが実に男の子らしいというか。多分私も女装したら好みの格好というか、まず萎える格好はせんよなぁ、と。この心理ってなんなのでしょうね。そしておめかしして、いざ出陣…
 

あめのちはれ5-2
明日美ちゃんがレギンス着用


 びっけ先生さすが狙ってます(笑)でもレギンスでも、かわいいものはかわいいですよね。レギンスっていわば色気ダウンでがっかり…という系統だと思うのですが、そこまで色気を求めていないのであればレギンスでも全然ありなのかも。そして一方葉月はニーソックス(…でいいんですよね?)
 
 
~女子同士のチェックの方が俄然すごい~
 しかしまぁいかんせん男のチェックなんて甘々なわけですよ。女性だけの世界の内側に入って改めて気づかされるのは、その女の子同士の関係性の保ち方。それは、とにかくチェックがすごいということ。女子同士のチェックについて、ちょいと一花咲かせています。ウチの職場も半分以上が女性で、会話が良く耳に入ってくるのですが、めちゃくちゃチェックしててビックリします。おかげで私もその会話を耳に留めつつ、ついつい一緒にチェックしてしまったり。そしてその話題は当たり前ではあるのですが、当人がいない時にされているわけで。「私のこともきっとアレコレ言われているのだろうなぁ。少しでも評判良くしておいた方がいいかなぁ。」なんて思い悩んだ末に、期待に応えることをやめるという選択をしました(笑)そんな世界で、日々お互いのチェックに耐えつつ、自らを磨く女性たち、本当にすごいと思います。そしてそれをちょっと発想転換して…



あめのちはれ5-3
ちょっとしたプラス思考
 
 
 ここがモテる子とそうじゃない子の違いなのかも。贅沢な考え方ですが、私もちょっと見倣ってみたいです。てか葉月かわいいなおい。なんだか回を重ねるごとに女の子成分増えてる気がしてならないんですが。最終的には女の子から戻らないとか、そういうのちょっとみてみたかったりします。



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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.06.19
1106033319.jpg松本テマリ「キュビズム・ラブ 」(1)


「涙だって出ません
 だって箱だもの」
「だが心は泣いているのだろう?」



■陸上部の試合に向かう途中で、交通事故に遭ったノリコ。目が覚めるとそこには、ノリコを心配そうに見つめる青年医師・篠田の姿があった。笑うと子供っぽくなる篠田に、すぐに好感を持つノリコ。けれどもなんだか違和感が…視界がヘン、声がヘン、体が動かない…そんな彼女に篠田が告げたのは、衝撃の事実だった。事故に遭ったノリコは肉体を失い、小さな黒い箱に入った、“脳”だけになってしまったのだと…

 「今日から㋮のつく自由業! 」の挿絵、コミカライズなどをされている松本テマリ先生の、ビーズログでの連載作品となります。こちらも原作付きの作品になります。物語の主人公は、表紙に映る男の人…ではなく、その男が抱えている“箱”になります。陸上の試合に向かう途中で事故に遭った中学生のノリコは、気がつくと見知らぬ一室で、白衣を着た青年に見守られていました。どういった状況かわからず困惑するノリコに、その白衣を着た青年・篠田は衝撃の事実を告げます。それは、今ノリコに残されているのは“脳”のみで、姿は“中くらいの黒い箱”になってしまったということ。視覚はある、思考もできる、会話もできる…けれど、動かす体はどこにもない。言葉を発する以外何もできない彼女は、優しく接してくれる医師・篠田との会話を通して、徐々に現状を受け入れていくのですが…というお話。


キュビズムラブ
自分が箱であることのためらい、そしてそれはやがて悲観へと変わっていく。


 研究の一環という形で、脳のみ救われる…というシチュエーションは、例えば戸田誠二先生の読切り集「説得ゲーム」の中にも全く同じ形で出てくるなど、SFチックなお話であれば比較的出てくるものなのかもしれません。しかしこの作品では、タイトルからもわかる通り、人間の尊厳とかいうものよりも「恋愛」推し。ある意味では恐ろしい状況であるにも関わらず、意外なほどにすんなりとその状況を受け入れたのは、まだヒロインが中学生であるということ以上に、真摯に接してくれる青年医師・篠田の存在があったからに違いありません。自ら動くことができないという状況で、かつ接する人間もごくごく僅かという中、自分のことを第一に考え色々と考え接してくれる男性に対して、並々ならぬ好意を持つというのは、至極自然な流れなわけで。
 
 外見が“箱”である以上、心情表現に於いて表情などを用いることが出来ない分、若干の不利はあるのですが、それを補って余りある描写の数々。機能として、白い息を出せるようにしたというのはナイスです。絵的に動揺やドキドキが見てとれるのは、マンガとしては非常に大きなプラスです。
 
 このプロジェクトのメイン担当ということで、なんとなくマッドサイエンティスト的な側面を感じる方もいるかもしれませんが、篠田は非常にお人好しで、あまり裏表もなさそうな性格。ヒロインはヒロインで、自らは想うことしかできないという状況下で、切ない切ないピュアラブっぷりを大爆発させています。ここからどう転がして、着地させるのか気になるところではありますが、先の戸田誠二さんの作品とは違う終わり方が良いなぁ。。。でもシチュエーション的には悲恋しか望めないような気もあり…。またこの作品、以前ご紹介したことのある「公僕の警部」(→レビュー)と連動しているようで、あちらを読んでいる方はより楽しめるかもしれません。こちらの方が、視点として一段上にいる感じなので、多分こちらを読んでおけばあちらを読まずとも状況はある程度把握できそうではあります。


【男性へのガイド】
→なんとなく男性キャラに女性向け作品のそれっぽさは感じるものの、絵柄から受けるほどの読みにくさはないはず。切ないピュアラブがお好きな方は。
【感想まとめ】
→結末がどうなるのか、最後まで恋愛メインでいくのか、その2点のみだけでも非常に気になります。追いかけたいですね。


作品DATA
■著者:松本テマリ/芝村裕吏
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:B's-LOGコミックス
■掲載誌:コミックビーズログ キュン!(連載中)
■既刊1巻
■価格:620円+税


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Tag [続刊レビュー] 2011.03.02
作品紹介→乙橘「少年メイド」
2巻レビュー→千尋の意見を尊重すること《続刊レビュー》 乙橘「少年メイド」3巻



1106010696.jpg乙橘「少年メイド」(4)


来年も来ようか
それでまた
一緒にここで日の出を見ようよ



■4巻発売です。
 掃除・洗濯・料理が超完璧な優秀メイド。ぎこちないながらも、暖かい家庭を築いていた千尋と円。今日も今日とて掃除に気合いが入るけど、年始ぐらいはゆっくり過ごそうと、円が別荘での年越しを提案。日野くんや美耶子たちと一緒に、別荘へGO!!一方その頃、鷹取の本家が絡んだ、不穏な動きが…。試される二人の絆!?一体どうなる、千尋の運命!?
 

~千尋くんがかわいすぎて生きるのが辛い~
 待ちに待った4巻がやっと発売されました。もうこの表紙がすごくかわいいじゃないですか。寒さに顔を赤らめつつの、この黄色いマフラー!これにつられ、黄色いマフラーの購入を検討しております(千尋に似ても似つかない24歳の男が)。
 表紙裏ないし、最初のあらすじ紹介が内容が、基本的に2巻から変化がないのは、これがそういうお話であるから。今回も微笑ましい日常を、送ってくれています。それでも徐々に深まる、円たちとの絆。それでも未だに、出会った当初の感覚というのは残っていて、それが顕著に現れたのが、別荘に行ったときでした。

 千尋は家事全般が好きな子だったのですが、今回は家政婦さんがいたことで、それら一切をストップされてしまいます。そして千尋はうずうず。。。そんな彼をみて、皆は「所在無さげ」「ストレス溜めてる」と表現するのですが、その裏にあったのは、単純に日常的にやっていること、好きなことができないというところからくる不満ではないように思えるのです。


少年メイド4-1
家事ができなければ、所在無さげ。それがひとたび、家事ができるとなると、途端に活き活き。そして「ありがとう」と言われれば、うれしい。家事で繋がる、人との関係が、この千尋の表情に集約されているような。


 元々彼が、円の家で預かってもらえることになったのは、「家事をしてもらう」というギブアンドテイクの契約を提示されたから。もちろん円からすれば、そんなことはどうでもよく、千尋が側にいてくれればそれで良いのですが、千尋からするとそうはいきません。家事をすることで、この家にいれる。いわば家事をする千尋というのが、彼が円たちと共に生活する上での、ひとつの存在意義となっているのです。それはもはや、彼の意識の奥底に沈み、自覚することのできない感覚になっているかもしれませんが、だからこそ根深い。それを越えてこそ、真の家族になれるような気もしますが、それだと千尋っぽくないので、しばらくはこのままでいて欲しいかなぁ。だって我慢してる千尋の表情もまた、いとをかし。


~可愛いだけかと思ったら、カッコ良かったんですけど…~
 そうそう、散々かわいいかわいい言ってきた千尋ですが、今回はかわいいだけでなく、カッコイイ一面も見せてくれました。それは、普段の舞台である家ではなく、メイドの服を脱いだ学校での一幕。掃除の際、窓ふきでもたもたしていたクラスメイトの女の子・乃村さんに…
 

少年メイド4ー2
だれだこのイケメン


 こういうことをサラッと言える小学生が、どれだけいるというのでしょう。そりゃあ乃村さん、顔も赤くなりますとも。というか4巻で抜群にかわいかったのは、千尋でも美耶子でもなく、この乃村さんでした。もう顔を赤らめてるこの表情だけで、すごくかわいい。そしてこの後から続く、乃村さんの赤面の波状攻撃。とにかく破壊力抜群でした。


~一生懸命なバレンタイン~
 一瞬にしてラブの香りが立ち、そして時期は丁度良くバレンタイン。乃村さんも当然本命チョコを千尋に渡そうとするのですが、引っ込み思案な彼女は、なかなか渡すことができません。朝の下駄箱で…授業の合間に…休み時間に…そして下校の時間に…。自分のことを「これじゃストーカーみたい(安定の赤面)」と言ってしまうほどに、ずっとついて行ったにも関わらず、渡すことは叶いませんでした。ここでふと気がつくのは、千尋はクラスでも友達が多くて、結構な人気者なんだな、ということ。乃村さんにとってのライバルが多いとかいう描写はありませんでしたが、手堅い人気を獲得していそうな雰囲気があります。
 結局校内では手渡せなかった乃村さん。「もしあげられなかったら、お父さんに2個渡そう」と言っていたのですが(お父さん…)、よほど千尋への想いが強かったのか、結局彼の家までついて行ってしまいます。そしてついに…


少年メイド4-3
こ…これっ…!


 ジャミラごっk…違う違う。千尋にチョコを、一生懸命に手渡す乃村さん。一生懸命すぎて、言葉は味気ないものになってしまいましたが、それがまたかわいいところです。下駄箱や机に忍ばすといった手段もあったはずなのに、それでも手渡しにこだわって、見事渡すことに成功した彼女の頑張りには、なんだかすごく勇気づけられました。今回だけの、一発キャラでは終わって欲しくない、これからも是非とも登場してもらいたい子です。 
 
 

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Tag [続刊レビュー] 2011.02.16
作品紹介はこちら→*新作レビュー* びっけ「あめのちはれ」
2巻レビュー→女子化以外は至って普通の学園漫画《続刊レビュー》「あめのちはれ」2巻
関連作品レビュー→びっけ「貘-BAKU-」「真空融接」「壁の中の天使」



1106000246.jpgびっけ「あめのちはれ」(4)


ざわざわざわざわと
心が波立ってくる
メロディー



■4巻発売しました。
 雨が降ると、体が女の子に変化してしまう。入学式の日に落ちた激しい春雷をきっかけに特異体質となってしまった5人。雨が降り女子化したときは、寮監の計らいで隣の女子校に通うことに。心は男子、体は女子というやっかいな状況のなか、見えてくるのは男子のままじゃわからなかったことで…!?厳しかった寮長の素顔、女の子同士の葛藤、そして…


~のっけからあざとい~
 今回の表紙は円かな。オレンジが基調の、目を引く素敵な表紙です。しかしスカートが長い!下からのアングルなのにひざ下しか拝めないなんて…!とか読む前から邪な気持ちを持っていたら、表紙めくってびっくり。
 
 

あめのちはれ4-1
そこには明日美ちゃんの御々脚が。その横の桜子もまた…ね。


 なんて桜子に関しては、これに留まらず次の扉絵(モチーフが百合とはまた良いです)から、本編でも脚出しまくり。普段はしっかり者として、ある種鉄壁のガードを張っている彼女が、家では無防備に…というか半ば反動めいた形でガード甘々にするあたり、このギャップが素敵です。とはいえこの可愛らしい様子は、家人以外は決して目にすることができない光景なわけで。要するに桜子さん、普段は憧れの的でありながら、本命相手にはなかなか美味しい目にはあってないんだろうなぁ、と容易に想像できます。とはいえ彼女の場合、想い人があの子である分、そういったこと余り関係ないのかもしれませんけれど。というか、完全な脇役だと思っていた彼女が、気がつけばかなり存在感を発揮する重要なポストにいることにビックリ。報われない恋する乙女として、これからも切なさを届けてもらいたいものです。


~明日美ちゃんナチュラルにモテるだろうなぁ、と~
 女子人気は桜子が圧倒的なわけですが、男子からモテるのは間違いなく明日美ちゃんだろうなぁ、と。今回、葉月とツーショットになるシーンがあるのですが、葉月が700円(てか高いよ)するスープを買っていったとき、「いくらだった?」と尋ねた後に、葉月が「べつにいいよ」と答えたあと
 

あめのちはれ4-2
じゃあおごられちゃおう
 ありがと!
」(素直な笑顔)

 
 この無自覚な甘え上手っぷり。これ大体の子は、例えおごられるにしても、お金払います的なやりとりを幾度か繰り返してってパターンが多い気がするのですが、彼女の場合は一発。これをナチュラルにやれるってのはなかなかだと、個人的には思うのです。男の方も、悪い気はせんですよ、はい。


~葉月・明日美組が好きです~
 幾多あるカップルのなかでもこの二人のやりとりが一番初々しくて、青春を感じさせてくれて、とってもニヤニヤできます。多くは言えないけれど、思うことはたくさんある。そんな様子が、そのまま描かれるわけで、例えば「カップル参加だよ」なんて言われた時、お互いに聞こえないふりをしつつも、
 

あめのちはれ4-3
意識してる意識してる…
思い出しての顔を赤らめるってのが良いです。


~絡まり合う思いの行き先は~
 素直にいけばこの二人で最後まで…を願いたいところなのですが、物語はそう簡単に人々の想いを繫いでくれず。それぞれの想いは複雑に絡まり合っています。特に気になるのが、葉月(男)と明日美と、葉月(女)と寮長の組み合わせ。兄妹の間で板挟みの葉月、一体どうするのでしょうか。とりあえず勘の鋭そうな寮長が気づきそうな勢い。従弟同士で怪我というところをヒントに、どこで気がつくのか。クッキーの味とか、色々と考えられるわけですが、果たして。いやー巻を追うごとに気になるキャラが出てきて止まらないです!早く続きが読みたい!



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Tag [新作レビュー] 2011.02.13
1106000600.jpgおおきぼん太「赫の廃墟」


物語のはじまりと
終わりを予感させた



■両親の急逝により、育った東京を離れ、生まれた田舎の村へと戻ることになった譲葉。よく知らない村を彷徨い歩いた先に見つけたのは、薔薇が赤く咲き乱れる廃墟。誰もいないはずなのに、そこにいたのは一人の少年と、執事のような男だった。。。恐るべき宿命に生まれついた少年・セルジュとの出会いは、やがて2人の運命を大きく変化させる。やがてセルジュの双子の弟・リュかが現れ、譲葉が知らされた衝撃の真実とは…

 おおきぼん太先生が贈る、シリアスホラー作品。表紙を見て頂いても分かる通り、繊細なタッチの絵が特徴の、スタイリッシュな印象のある作品となっています。お話の舞台は、とある片田舎。両親を亡くしたヒロイン・譲葉は、住んでいた東京を離れ、生まれたこの土地へと戻ってきたのでした。何もないこの土地を彷徨い、辿り着いたのは、赤い薔薇に囲まれたお屋敷。誰も住んでいないはずのそこで、彼女は一人の少年に出会います。会って早々に、自分のことをバンパイアだと伝えた彼・セルジュは、譲葉に血を飲ませてくれと頼んでくるのですが…という導入になっています。


赤の廃墟
テンション低めのヒロイン。そんな彼女が時折見せる優しさが、個人的にツボ。


 山に囲まれた田舎の山奥に佇む、立派なお屋敷。そしてそこに住むのは、ヴァンパイア…というと、アニメ化もされた「屍鬼」を思い出しますが、こちらは1巻完結で、かつ住人たちとの対立構造を見せることもありません。滅び行く種族であるヴァンパイアの少年と、そんな彼に手を差し伸べる一人の孤独な少女、そしてそんな2人を巻き込んでいく、哀しき運命。独特のヴァンパイアの設定から繰り広げられるのは、ごくごく少数の登場人物たちの間で完結する、狭い世界でのお話。人物が少ない分、集中すべきポイントは一点に集中し、コンパクトにまとまったストーリーとなっています。
 
 テンポが良いのか、スピード感があるのかわかりませんが、とにかくあっという間に読み終えてしまいました。元々スケールの大きいお話ではなく、その他の作品でいえば導入で終わってしまいそうな内容を、1冊かけて展開。とんとんと進んで、サラッと完結。途中結構重苦しい状況に陥っているのですが、それでも必要以上にお涙頂戴に持っていかないのは、狙ってのことという気がします。こんなに激しい戦いがあったのに、誰にも知られることなく、過ぎ去っていく。その寂しさ、虚しさが、ラストのヒロインの心情に重なり、切なさを増幅させる形に。読後感は独特も、爽やか。


【男性へのガイド】
→ヒロインの容姿は男性向け作品でも十分イケルかと。美少年についてどう思うか、それだけ。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→作品としての形はキレイも、ちんまりと纏まりすぎた印象もなくもないです。ただ譲葉かわいいってだけで読むのが楽しいという。キャラの関係性重視という方は。



作品DATA
■著者:おおきぼん太
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:B’s-LOGコミックス
■掲載誌:ビーズログ(連載中)
■全1巻
■価格:650円+税


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
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トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。