
今日のあなたのお弁当は
どんなかんじ?
■谷黄理子。32歳。毎朝の日課は、20年使っている“わっぱ”にお弁当をつめること。雑穀米とつけ物は、欠かせない。ちょっぴり家庭が複雑で、職場の上司にも振り回され気味だけど、毎日コツコツ。おいしく食べて、おいしく生きる。それが黄理子流。
佐野未央子先生オフィスユー連載作でございます。Cocohanaの「チマちゃんの和簞笥」は同時発売。こちらは巻数がついており、現在も連載中です。
それではあらすじをご紹介。ヒロインは毎日お弁当を作っている、デザイン会社の社員・黄理子、32歳。一人暮らしで、食事は基本全て自炊。禅寺育ちの彼女の食事は、雑穀米と漬け物が基本。禅寺育ちということで、家庭事情はちょっと複雑。母親は認知はしているものの、お互い険悪な関係で、弟は人懐っこいけれども、25歳にもなってヒモなフリーター…。仕事は仕事でやりがいはあるけれど、自由な上司に振り回されがち。それでも毎日お弁当を持って、今日も一日頑張るのです。

弁当は登場するが、よくある「料理を食べれば人生の悩みが全て解決しちゃう」ような料理マンガとは異なります。弁当は人を映し出す鏡であり、コミュニケーションのツールであるという。あくまで主人公を補う立場のもの。
複雑な家庭事情を持つヒロインの、弁当を通して描く奮闘記。タイトルから、弁当主体のグルメものをイメージされるかもしれませんが、そんな雰囲気は皆無。もちろん弁当が描かれるシーンは数多くあるものの、弁当そのものにスポットが当てられるわけでもなく、レシピめいたものが書かれるわけでもなく、あくまでヒロインの心身の状態を映し出す鏡のような存在として描かれます。物語の進行が、20年連れ添った弁当ということで、要するに相棒みたいな感じなんです。
物語の中心は、ヒロイン自身の生き様的なもの。母親は有名女優ながら、ヒロイン自身はずっと禅寺に預けられ育ち、一方弟は母親によって育てられたという複雑な過去があります。二人との親交はあるものの、弟は頼りなく、また母親はかなりの自由さで、なかなか歩み寄るきっかけをつかめません。そんな関係に一石を投じるのが、彼女の職場の上司である荒井。偏食家でだらしない性格と、黄理子が一番嫌がるような男性なのですが、とある経緯で彼女の母親と知り合っており、仕事を通じて仲を取り持とうとするのでした。
一人で気丈に生きていく覚悟があるヒロインながら、一方で周囲の人に振り回され、凝り固まった考え方を徐々に変えて行く…そんなヒロインの人間関係と心境の変化を楽しむことのできる物語です。その後上司のことは、恋愛対象として意識するように…。禅寺育ちのヒロイン×弁当というちょっと渋めのモチーフながら、描いているのは成年女性向け漫画でよくあるような内容で、一風変わったテイストで繰り広げることで差別化を図っている印象です。料理物は単発の側面が強いイメージですが、本作はストーリー性の強い内容となっているので、巻数を重ねてなお味わいが出て来るタイプかと。
【男性へのガイド】
→女性向け感強し。女性も割と年齢限定されるような。
【感想まとめ】
→タイトル・表紙と内容とのミスマッチ感は否めませんが、物語としてはなかなか面白かったです。変な先入観を持って読み始めると戸惑うかもしれませんが、それを予め知っておけば大丈夫。
作品DATA
■著者:佐野未央子
■出版社:集英社
■レーベル:オフィスユーコミックス
■掲載誌:オフィスユー
■既刊1巻
■価格:562円+税
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