
秀麗どのの
お手並み拝見といこうではないか
■5巻発売しました。
「彩雲国」の名家・紅家に生まれ育った紅秀麗は、国でも一・二を争う名家の育ちであるにも関わらず、家系は火の車で日々バイトに大奮闘。屋敷はボロボロ、家臣は静蘭一人だけと、楽しいながらも決して楽な生活ではない毎日を送っていた。そんな所に舞い込んだ、とっても美味しい仕事の話。金五百両で、“若きダメ王様”の教育係になって欲しいとのこと。家の財政難っぷりを考え、すぐさまその仕事に飛びついた秀麗だったけど、期間中は貴妃として入れと言われ…!?
人気小説のコミカライズ作品でございます。舞台となるのは、中国を思わせる彩雲国という国。モデルは唐らしいですね。先代王の死後、跡目争いを経て後継者が決定したという時期。ヒロインとなる秀麗は、国でも一・ニを争う名家の娘でありながら、跡継ぎ争いの煽りを受けて家は困窮。今では父と家臣一人と三人で生活しており、秀麗も日々バイトに明け暮れる毎日を送っていました。そんなところに舞い込んだ、“若きダメ王様”の教育係になって欲しいという依頼。金五百両という大金を提示されたことから、秀麗はすぐに承諾するのですが、条件が一つ。それは教育係ではなく、名目上は貴妃として後宮に入って欲しいということ。それを呑みいざ後宮へ向かうのですが、王様がなかなか食えない相手。噂どおり、政治には興味がなく、男色の気ありではあるものの、それはどうやら演じているらしく、その真意は見えません。その眠ったやる気を、秀麗をはじめ周りの人間たちが動かしていくことになるのですが…というところが導入になります。

意志の強い真っ直ぐなヒロインであるので、個性的で優秀な男たちの中に女一人でも負けることがない。良いヒロインです。
そこからスタートし、ゆくゆくは秀麗が官吏を目指していくというお話になっていきます。お話の開始当初は、官吏の登用試験は男性しか受験できないという決まりがあり、その道のりはなかなかに厳しいものがありますが、導入にて王様はじめ王宮の人間たちと親交を深めていることもあり、しっかりとそれが効いてきます。この辺のストーリー設計はさすがというところ。王宮が舞台ではありますが、国全体を巻き込んで…というような壮大な大河ドラマが展開されることはほとんどなく、それなりにこじんまりしているという印象。ただ地理スケール的な小ささは、内部構造をやや複雑にすることでカバー。しっかりと伏線を用意して、読み手を飽きさせません。
書評を見ると、原作にかなり忠実に物語が描かれているみたいですね。原作未読の私でも、世界観を始めキャラクターの出自など、すんなり理解することができました。全体的に丁寧に描かれているので、読み手に非常に優しいと思います。ただ多数の眉目秀麗な男たちが、ヒロインを取り巻いており、ビジュアルおよび名前(中国語っぽい感じ)で区別を付けることが若干難しかったりするかもしれません(私か)。
【男性へのガイド】
→読みにくくはないでしょうが、好んで読むような類いの作品ではないかと。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→安定感は抜群。全体的に丁寧に描かれているので、非常に読みやすいですが、そのぶんインパクトには乏しいかも。ってそういうのを求める作品ではないんですけどね。
作品DATA
■著者:由羅カイリ/雪乃紗衣
■出版社:角川書店
■レーベル:ASUKA DX コミックス
■掲載誌:ビーンズエース(2005年vol.1~連載中)
■既刊5巻
■購入する→Amazon
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