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Tag [続刊レビュー] 2011.08.24
作品紹介→御徒町鳩「腐女子っス!」
3巻レビュー→1話まるまる「とらドラ!」コスネタでテンション上がりました:御徒町鳩「腐女子っス!」3巻
関連作品紹介→*新作レビュー*御徒町鳩「みどりのまきば」おとなもこどもも、おねーさんも:御徒町鳩「みどりのまきば」2巻




1106050838.jpg御徒町鳩「腐女子っス!」(4)



受け入れられる?
2次元キャラに入れあげる自分を



■4巻発売です。
 出会ってから時が経ち、いつしか高校3年生に。順調なオタクリア充ライフ…と思いきや、マンガ部新入部員とぎくしゃく…。それに加えて、テスト・大学受験・進路という更なる問題が…。このピンチ…腐女子パワーで、どう切り抜ける!?新入生男子同士の“萌え”談義も収めた、益々濃密なオタクライフ青春グラフィティ、第4巻!!


~漫画を描くということ~
 4巻です。彼女達も高校3年生。恋に趣味に…とだけ言っていられる時期も終わり、いよいよ自分の進路について、考えなくてはいけない時期に差し掛かってきます。もちろんオタク趣味はずっと続けたい。同人活動は、学校や仕事をしていても続けられる“趣味”ですから、進路決定においてその存在が影響を与えることは、まずないと思われました。けれどもとある後輩の出現によって、主人公の一人であるめぐみは「マンガを描くこと」について真剣に向き合って行くことになったのでした。
 

漫画家になろうと思えばなれるっていうものでもないですけど…
それでも思わない限りなれないと俺は思います


 趣味だと割り切っていたはずが、同じ漫画部に入部してきた後輩の言葉によって動揺、そして葛藤します。割り切っていたわけではなく、ちゃんと“描くこと”に向き合っていなかった。そして同人仲間であり、プロの漫画家として活動している方にお話を聞くことに。そして言われたアドバイスが、なんだか達観しているというか、ちゃんと“描くこと”に向き合っているんだなぁ、と思わされる良い言葉でして…
 

腐女子っス4-1
自分と戦わねば漫画は描げね
それを続けてく覚悟だけで
プロになってもいんでねえかと思ったのさ



 マンガに登場する漫画家さんの言葉って、どこか作者さんの考えとかが投影されているような気がして、妙に説得力を感じるというか、ありがたく聞いてしまう傾向があるのですが、これもまたまさに。漫画を描くことは自分と戦うことであり、その“覚悟”が必要というのは、漫画だけに限らず、様々なことに置き換えて言えるような気もします。シンプルではあるのですが、なんだかちょっと心に残った言葉なのでした。めぐみもまた、彼女の言葉に感化され、自分なりの答えを導き出しました。うーん、青春だなぁ。その答えがどういったものであれ、こういう大事な時期に軸となる考えとかがあると、全然違いますよね。同じくらいのときに、将来のことや、好きなことすらもわからなかった自分は、その後結構苦労したというか、なんだかフラフラと時間を浪費してしまった気がしているので、ちょっと羨ましかったりします。


~この子高校1年にして達観しすぎてないか~
 さて、今回登場した新キャラ。先のめぐみへ強い言葉を言い放った彼も非常に強烈な存在なのですが、一層強く印象に残ったのは、彼の友達で非常にマイルドな男の子・米川くん。ほんわか当たりの柔らかいその物腰から既に、高校1年生には思えないのですが、その発言がまたですね。事の発端は、先のアツい眼鏡・中村君の「萌えがわからない」発言。そんな彼に対して、萌えの講義を始めるわけですが、その説明の仕方というか、萌えへの理解が達観しすぎているというか…とりあえず友達の好きな女の子のキャラを引き合いに、ブラジャーつけたのいつだどうだと、ありえないほど手さばきよく友人を誘導し、萌えの引っ掛かりを作ったところで…
 

腐女子っす4-2
受け入れられる?
2次元キャラに入れあげる自分を



 この顔こわいー!しかしながらこれは「萌え」の世界に足を踏み入れるにあたって、向き合わなければいけない命題でもあります。ここまでどっしりと、順序を踏んで萌えをレクチャーできる人っているのかしら。萌えって、こう感じるものというか、内側から知らぬうちに湧き上がるものであって、誰かの導きによって強制開花ってパターンはあまりない気がするのですが、だからこそ怖く感じるこの手際の良さ。彼優しい顔して、この物語で一番の曲者なんじゃないかと思うのです。なんかその細い目で全てを見通しているような気さえするというか。5巻では、彼の動きに要注目ですよ。そしてそんな彼に手ほどきをうけた、中村君の変貌ぶりにも…(もう変貌するという前提かよ)


■購入する→御徒町鳩「腐女子っス!」(4)

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.08.24
1106073298.jpg黛ハル太「ダダダダン。」(1)


最終兵器彼氏
ここに登場!!!



■女の子が苦手で、お人好しのシロ。女の子が嫌いで、イケメンのリョータ。女の子に無関心で、オタクのミナ。とある高校の男子寮で同室となった3人は、「女の子なんていなくても困らない!というか、いなくていい!」という、思春期男子にあるまじき、ダメダメ男子。日々部屋の中に引きこもり、趣味に没頭しています。そんな彼らの元に、ある日突然やってきたのは、大の苦手な女の子!?どうする、絶対絶命!?ダメダメ男子3人が繰り広げる、ドタバタミッション、第一巻!

 黛ハル太先生の初単行本ということで、おめでとうございます。二次元オタク、シャイボーイ、女嫌いの美形の3人が繰り広げる、ドタバタアンチガールズコメディでございます。もうね、説明しろったって、先の説明が全てなんです、本当に。二次元趣味に没頭しすぎて、とにかく三次元に興味がないミナ(それなりにイケメン)、とにかく女の子への耐性がないシロ(とにかくかわいい容姿)、そしてトラウマでもあるのかやたらと女子を毛嫌いするリョータ(めちゃ美形)が基本ユニット。そんな彼らが暮らすのは、とある高校の、女子禁制の男子寮の一室。女子なんていらない3人からすれば、天国のような環境で、普通に引きこもっているのですが、なぜかトラブルに巻き込まれる…しかも決まって、女性絡みの…というコメディでございます。


タ#12441;タ#12441;タ#12441;タ#12441;ン
この残念さ。もうね、強い口調で言っておきながら「怖いだけだ!」とか言っちゃうリョータとかほんと残念すぎて萌えます。そして安定のシロちゃんのモジモジ。一人称の「ぼく」がかわいいです。


 残念な男子たちを愛でる、女性向けの作品かと思いきや、めちゃくちゃ女の子登場します。しかもみんな可愛いので、これ普通に男の人読んでも大丈夫なんじゃね?と思うほど。主人公たちの魅力を、ドタバタの中で表現するには、女性絡みで彼女達の視点から映してあげた方が良いという狙いもあるのかもしれません。そしてなんといっても、そろいも揃ってみんな変人です。まともな人なんて一人もいません。基本的に引きこもってる男どもの所に掛け合ってくる女子なんて、普通なわけないんですよ。とにかく強烈に強引な子が多く、それに気がつけば3人が巻き込まれているというパターンが多いです。
 
 だんだんと女性に対する耐性もついては来るのですが、それでも恋愛に発展するには至らず、ゲスト方式で毎度変わるヒロインとの恋愛路線はまずないと思われ。とにかく終始ハイテンションにおバカに、以下のサイクルを繰り返すだけの作品です。悩める女子(変人)の登場→3人がなぜか彼女の目に留まるなどしてターゲットに→抵抗するもなぜかトラブル解決を手伝わされる→開き直って大活躍→めでたしめでたし…。ある意味ワンパターンと言えなくもないのですが、毎度登場するキャラ達がみな個性的であり、また主人公3人の絡みも安定して面白いので、決して飽きさせずに最後まで走り抜けてくれます。そして終始馬鹿だからこそ、その合間にふと訪れるシリアスな瞬間やときめく瞬間が、イヤにキレイに映るという(笑)


タ#12441;タ#12441;タ#12441;タ#12441;ン1
先にも書いたとおり、めちゃくちゃ女の子登場します。だけど女子もちょっと残念。残念な女の子を引きつけているかのような、驚異の遭遇率。そして必ずトラブルに巻き込まれるのです。そういう意味では、巻き込まれ系のコメディとも言えるかもしれません。


 ハイテンションでかつ、非常に動きがあります。なんでも力づくで解決しようとするリョータという存在が大きそうですが、そのためにテンションを途切れさせることなく、また絵面的に飽きさせることもなく進行。個人的には姉が寮に来襲して、全編バトルアクションを繰り広げるエピソードが、あまりにフリーダムすぎて好みでした。もうわけわからんのですが、そのわけわからなさが楽しくて面白くて、心地良いんです。誰が好きかって?そりゃあもじもじショタッ子のシロくんですよ!でもキャラ的にはミナが好みでしょうか。
 
 こういうおバカでハイテンションなお話は、大好物。またしても楽しみなコメディが、シルフから登場しました。これはちょっとおいかけたい一作。オススメするかどうかは悩みどころではあるのですが、ちょっと誰かに読んでみてもらいたい気持ちもあり、やっぱりオススメタグつけます。いや、むしろ全力でオススメで!


【男性へのガイド】
→表紙や設定からは、女性向けのそれしか漂っておりませんが、圧倒的な女子の存在感などは、むしろ男性でもいけるかと。これはあえてオススメしてみたい気もします、はい。
【感想まとめ】
→ツボ以外に、この作品をオススメする言葉がないのですが、好きなのでオススメで。同士の方はいらっしゃいますでしょうか?


作品DATA
■著者:黛ハル太
■出版社:アスキーメディアワークス
■レーベル:シルフ
■掲載誌:シルフ(連載中)
■既刊1巻
■価格:580円+税


■購入する→黛ハル太「ダダダダン。」(1)

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Tag [続刊レビュー] 2011.08.19
作品紹介はこちら→*新作レビュー* 松本花「星屑町のパンのミミ」



1106062030.jpg松本花「星屑町のパンのミミ」(2)


とっても素敵なことが よ


■2巻発売しました。
 ここは燈京都星屑町。パンの耳のような形をしたおうちに住むミミは、メガネ男子たちとの同居生活にもようやく慣れてきた。けれども、また新たなお客人が、彼女の前に現れる。霊媒師と名乗るその男は、腕利きらしいけど風体はだいぶ怪しい。でもどうやらお父さんのことを知っているようで。。。誘拐事件に霊媒師登場にユーレイ騒動にと、ミミの周りで次々起こる、あたたかくて、ちょっぴり切ない事件簿、第2巻。


~久々の2巻です~
 久々の2巻登場です。1巻発売が2010年の1月になっていますから、実に1年半ぶりの新刊。ファンの方は待ちわびたのではないでしょうか。こうたくさん作品を読んでいると、1年振りとかの新刊となると前の内容はすっかり忘れてしまうのですが、この作品はなぜか覚えていました。読み返してみても、「やっぱり思ってた通りだ」という感じで、特に思い入れというか、強烈な印象などはないのですが、不思議と覚えているものですね。というわけで、2巻のご紹介です。
 

~自分の想いに鈍感な子には、他人の手助けが不可欠~
 1巻も2巻も、非常に表情豊かで元気一杯なミミが可愛らしいわけですが、彼女自身の連続した心の移り変わりというのは、意外とその表情から読み取るのは難しかったりします。彼女の行動は比較的単純というか、直感的な所がある分、一瞬の輝きはすごいものがあるのですが、じゃあずっと見た中ではどうなの?という。特にわからないのが、彼女の恋愛感情。人物配置を見るに、確実に晶が相手役なのですが、なかなか二人の仲は進展しません。お互いに相手にも、そして自分の心にも鈍感すぎるのです。そんな中必要不可欠になるのが、周りにいる脇役の皆さん。今回も全く自分の気持ちに気づかない…というかそもそも芽生えているのかも怪しい気持ちを、無理矢理発芽させ成長させるという荒技を、大人二人が繰り出してくれました。まずは田さん…

 
「少し妬けますね」


という彼の言葉に、思わずボッ。彼女がどんなことを思い浮かべたのかわかりませんが、少なからず晶のことを意識したのではないでしょうか。そして何よりすごかったのが、スタアのルナさんですとも。


「晶さんとはどうなの?」
この一言で…
 

星屑町のハ#12442;ンのミミ2-1
 これですこれ。そしてからかうのではなく、優しく丁寧に、そしてシンプルにアドバイス。これが見事にハマることになります。さすがスタアの一言は違います。ぐるぐる目を回すミミがなんとも可愛い。そしてその後に、「名前で呼ばれたこともないし、名前を呼んだこともない」と言い訳とも不満とも取れることばを発するわけですが、その様子もまた可愛いではないですか。というか名前で呼んだことなかったのですね。比較的人付き合いは得意なタイプに映っていたので、さらりと名前を読んでいるのかと思いきや、見返してみると確かに一切名前で呼んだことないのですよ。思うことはあっても、言葉には出さない。意外と気ぃ遣いというか、オクテな面を覗かせた彼女。鈍感そうに見えて、しっかりと自分の状況は把握していたではないですか。そして意を決して…
 

星屑町のハ#12442;ンのミミ2-2
おはよう晶くん!
 
 
 頑張る女の子って、こんなにも可愛いんです!キラキラと光る彼女の表情に、これから先も私は夢中になることでしょう。
 
 しかしながら、この作品の落としどころってどこになるのでしょう。2巻と言えど、肝心のお父さん探しは難航。というか探せずにいるし、お父さんもなんだか楽しんで帰ってきていない感じで、オチはさらっとお父さんがある日帰ってくるって感じな気がします。それかスタアが連行してくるか。千里眼にて思わぬ結末を晶が見ることから、暗い方向に倒れる懸念もありますが、そういう時こそ男の子の頑張りどころ。試練を越えて築かれる、真に優しい世界、優しい関係というのも、見てみたい気がします。3巻発売はいつになるやら、気長に待ちたいと思います。


■購入する→Amazon

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Tag [新作レビュー] 2011.07.26
1106062036.jpg長神「花檻草子」(1)


この街を守りたい


■遠い昔、季節ごとの植物の力で災いを祓い崇め奉られてきた子供たちがいた。その名前は「節句の子」と言う。だがしかし、彼らはある術者に呪いをかけられ、不老不死の身体とされてしまう。時は流れ現在、今なお生き続ける彼らは、一人の少女と出会う。“死を求める少年”と“死を恐れる少女”が出会う時、運命は動きはじめる。運命に抗う少年と少女の、ロスト・ガーデン・ストーリー開幕。

 なんとも耽美な雰囲気漂う美麗な表紙が目につく「花檻草子」のご紹介です。第1回シルフ乙女コミック賞入選者である、長神先生のデビュー単行本になります。節句と呪いを紐解く、学園ファンタジー。主人公となるのは、表紙の子…ではなく、ごくごく普通の女子高生・双葉千晴。幼くして両親を亡くした彼女は、現在シスコンを大爆発させている兄(ものすごくイケメンで秀才かつ運動神経抜群)と一緒に暮らしています。そんな彼女の前にある日表れたのが、兄弟という新任教師と、転校生の初見兄弟。初日から、なんだかやたらと関わることが多いと思っていたら、その夜には自分の家に尋ねてきたりと、なんだかちょっと怪しげ。しかも何やら真剣な眼差しで「俺を殺せ」なんて言ってくるのです。そんな彼の謎の行動を紐解くヒントとなるのが、ここ最近頻発している傷害事件。千晴の目の前でまさにその事件が起きようとしていた刹那、転校生の初見寿弥の目の色と服装が一変、人を襲おうとしていた人物を倒してしまう…という所から始まるストーリーでございます。


花檻草子
基本は学園コメディです。特殊な力を持っている他、結構な生きる術を持っている子も。


 この導入だけじゃ全然わからんって感じでしょうが、正直私もあんまりわかってないです(おい)。できるだけ簡単に、この物語の背景を説明してみましょう。時は数百年前、“箕門”と呼ばれる宗教団体があり、“花織”と呼ばれる術者を使って人々を導いていました。やがて彼らは野心を持ちはじめ、人の負の感情を増幅させる“胤”と呼ばれる装置を作り出し、それを自ら鎮圧することによって、名声を得ていったのでした。しかし胤自身が力を強めてしまい、自らの手に負えない状態になってしまったのです。そんな中、箕門が目をつけたのが、植物の能力を持つ“節句”と呼ばれる子供たちでした。彼らの魂には強い浄化能力が備わっており、箕門は節句の子の魂を抜き出し胤に吸着させて暴走を抑えるのですが、やがてそれも限界に。そしてついに花織は、節句の子達に不老不死の呪いをかけ、この世につなぎ止めてしまうのでした。そうしてこの世に放たれた、節句の子が、転校生である初見寿弥。そして忌まわしき花識の生まれ変わりであるのが、ヒロインの千晴だったのでした。
 
 転生して、今はどういう関係になっているかというと、花織は忌まわしき存在であるのだけれど、その呪いを解けるのは花織のみであり、また胤を浄化することができるのもまた、花織の生まれ変わりである千晴しかいないのです。ここ最近頻発している傷害事件は、その胤が原因。それらを全て根絶やしにするため、呪われた節句の子(季節ごとにおり、6人くらいいます)は千晴と協力し、胤と向き合っていくというのが本筋となります。学園バトルファンタジー的な様相が強いでしょうか。というわけで、序盤でその出自が殆ど明らかになる登場人物達なのですが、唯一怪しい、千晴の兄。彼が今後の物語の鍵を握ってきそうですが、果たして。
 
 学園コメディのノリを取り入れつつも、非常に複雑な背景のある歴史ファンタジーをベースとしているので、取っ付きは若干しづらいところがあるかもしれません。デビュー作からこれってのはなかなかチャレンジングだと思うのですが、振り落とされ率も高そうで、本誌での人気は一体どの辺なのでしょうか。しかしながらストーリーに反して、登場するキャラクターは皆々愛嬌たっぷりで、良い味出してます。個人的にはメガネ先生と、ワガママ双子がお気に入り。不老不死ということで、見ためだけではなく、中身もそのまんまって感じなのでしょうか。長生きしている割には、子供らしさたっぷりで、場を非常に賑やかにしてくれるのが良いですね(あ、双子の話です)。先生については、安定のメガネということで。冷静な指南役かと思ったら、別にそうでもなくて、結構メンタル弱そうなところに、涎が出ます。


【男性へのガイド】
→キャラクターとかは特に違和感なく読めると思うのですが、このストーリーはどうなのでしょ。男の子視点であれば、また違ったのかもしれませんが。
【感想まとめ】
→複雑な割には、そこまで濃いというか、重苦しい方向にはいかないような気がしていて、それが良いのか悪いのか。キャラ萌え的には大満足。やがて彼らの過去回想も見られるのでしょうが、それが楽しみですかね。絵は表紙見て頂いてもわかるでしょうが、とってもキレイです。


作品DATA
■著者:長神
■出版社:アスキーメディアワークス
■レーベル:シルフ
■掲載誌:シルフ(連載中)
■既刊1巻
■価格:580円+税


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Tag [続刊レビュー] 2011.06.19
作品紹介→草食系吸血鬼と眼鏡のツンツンエクソシストが繰り広げる、かわいい学園ラブコメ:村崎翠「緋色王子」1巻
2巻レビュー→驚きのアバウトさ!!:村崎翠「緋色王子」2巻



1106039355.jpg村崎翠「緋色王子」(3)



マナちゃんのこと好きだよ!



■3巻発売、完結しました。
 輸血で生きるヘタレ吸血鬼・岡本くん。デレではなく、ツン100%のエクソシスト・マナ。くっつきそうで、くっつかない2人。そんな彼らに訪れたのは、思いもかけない別れ…?まだ何も始まっていないのに…。岡本くんの兄上も登場で、益々賑やか、けれどもゆるゆるな学園ラブコメディ、完結です!
 

~あっさりと完結~
 3巻で完結してしまいました!すごく好きなお話だっただけに、ちょっと寂しかったりしますが、お話としては面白く、最後までしっかりレビューをお届けできればと思います!しかし表紙が黒色と、大分印象が変わりましたね。書店で表紙見ても気づかず、背表紙の文字を見てやっと気づいたという。
 
 さて、相変わらず非常にユルいので、全体を通したあらすじというあらすじもないのですが、3巻だけに絞ればメイントピックとなったのは、岡本くんのお兄さんの登場でしょうか。元々岡本くんもイケメンなイメージがあるのですが(だって“王子”ですもん!)、お兄さんがまた強烈キャラでした。なんてったってイケメン、そして女好き。名前は「一夜」と言うのですが、源氏名っぽい感じそのままに、ホストをやっています。ちなみに岡本くんの名前は暁良ということで、朝と夜。そして名は体を表すと言いますか、行動原理はこんな感じです…
 
 
緋色王子3-1
その方が吸血鬼っぽくてカッコいいからさ!


 というわけで、現代でも吸血鬼らしく振る舞う一夜さん。どこか流されやすい岡本くんとは違い、結構ポリシーを持って人生を歩んでいるみたいです。発言はアレですけど。しかしホストってことは、やっぱりお酒は仕事柄たくさん飲むのでしょうか。それとは別に、血も飲むわけですが、やっぱり血は別腹って感じなんですかね?


~岡本くんが男を見せた!~
 さて、そんなプレイボーイな兄の登場で、ますます無害感というか、ほんわかっぷりが際立った岡本くんですが、今回は最後に男を見せてくれました!


緋色王子2-2
 これです、これですよ、ヘタレな男の子が勇気を振り絞って告白する姿!もうここまで来たら、お兄さん「良く頑張った!」とか言って駆け寄って抱きしめt(自主規制)なんだかしっかりと告白するイメージがなかったので、2ページぶち抜きで場面を描いたのは、すごく感動しました。シンプルに、力強く。青春って感じがして、何度も見返しちゃいました。
 

~最後までツンだったなぁ…(笑)~
 そんな変化を見せた岡本くんに対して、マナはブレずに最後まで。もうね、告白されてくっついて、なんか今までにないくらい赤面でテレテレしてデレデレするのかな…!とか想像して楽しんでいたのですが…
 
 
緋色王子3-3
ラストまでこんな感じでした


 えーと、最後までツンツンだったなぁ(笑)デレもあるんですけど、もうその成分が少なすぎて少なすぎて、デレと言うには余りに弱いという。これはもう、なんかエクソシストとバンパイアという関係でなくても、こんな態度なんじゃないかと思ってしまいます。相手をする男の子は、すごく大変です。いや、絶対ドMじゃないと務まらないと思います…あ!ってことは、マナの相手として岡本くんって最適なんじゃ…。いや、岡本くんドM設定とかないですけど、絶対Mだもの。チグハグだけど、なんだかんだで相性が良さそうな2人の未来を思い描きつつ、最終巻を堪能したのでした。



■購入する→Amazon/

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