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Tag [4コマ] 2009.12.09
07194879.jpg森ゆきなつ「タマさん」(1)


わかったやろ?
アンタらが気づかないだけで
この世の中は不思議なモンでいっぱいなんやで



■耳が垂れてて丸々の体、しっぽは2本で関西弁を話す、ごくごく普通のどこにでもいる猫(自称)、タマさん。如月さん家のひとり娘で保育園児のふるるちゃんと、そのパパでイラストレーターの夕人、そして如月さん家に入り浸るお隣さんの女子高生・杏ちゃんと一緒に日々を過ごすタマさんの毎日は、平穏なようで実はとっても不思議でいっぱい。みんなの前に立ちふさがる、不思議生物たちに、タマさんたちはどう立ち向かう!?

 ネコ漫画…ではありません。猫っぽい不思議生物を軸に描く、なんとも不思議な日常の風景を描いた、色モノ4コマでございます。物語の主人公となるのは、タイトルにもなっている猫(?)のタマさん。しっぽが2本で関西弁をしゃべる彼ですが、飼い主である如月夕人にはそのことは内緒。不思議耐性が極端にないのです。その代わり、娘のふるるちゃんと、お隣りの杏ちゃんには秘密はナシ。いつもいっしょにつるんでは、次々現れる不思議生物たちと戯れます。


タマさん
いつどこに不思議生物があらわれるか分からない。油断は禁物。


 不思議な存在であるタマさん。どんな存在が一番近いのかと考えると、おそらくそれは神さま。しかし関西弁であるが故に、どうにもうさんくさい。そんな彼を中心に、メインキャラ数名で話を進めるのかと思いきや、さらにそこに単発キャラとして不思議生物たちを投入。不思議さはより一層強くなっていきます。そんな不思議現象に驚き慌てるレギュラー陣に、冷静に対処するタマさん、そして何事にも動じないふるるちゃん。この誰も遠慮せず、自分の動きたいように動いている感じが、独特の作風を作り出していて、ひとつの魅力に。絵的には萌絵に近いのかもしれませんが、一応ファミリー要素があるからということでこっちのレーベルなのかな。杏ちゃんかわいいですよね。
 
 タマさんのフォルムだけ見るならば、「夏目友人帳」(→レビュー)のニャンコ先生ですが、関西弁でより神的というところを見ると、むしろイメージとして近いのは、小説「夢をかなえるゾウ」のガネーシャだったりする。マイペースながらも、なんだかんだで良いこと言ったりやったりしているし。


【男性へのガイド】
→絵的に押す。ファミリー層がターゲットとは思えないものの、かといって萌えラインでもないという、扱いが難しい存在です。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→不思議生物で、自由に広げる4コマ。いわば何でもありの状態を、カオスで面白いと捉えるか、ちょっとまとまりがなさすぎるととらえるかの違い。全体的に可愛らしいです。


作品DATA
■著者:森ゆきなつ
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイム,まんがタイムオリジナル
■既刊3巻
■価格:各571円+税

■購入する→Amazonbk1

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Tag [オススメ] [4コマ] 2009.10.13
07192164.jpg宮原るり「みそララ」(1)


ライターのお仕事をちょとずつ始めました
一人前には程遠いけど
ほんの少しの自信と
肉がつきました



■3巻発売でございます。
 務めていた企業がつぶれ、再び就職活動を始めることになった麦田美苑。4年間働いたけど、潰れても何の未練もないってのはどうなのだろう…。そう思った美苑は、今度はやりがいのある仕事を!と、昔憧れたデザインの事務所に応募する。募集は経理だったが、社長(ベートーベン似)にデザインの勉強もしたい旨を伝えてみると、あっさりOK。個性派揃いの同僚たちにからかわれ支えられながら、美苑はライターとして新たな道を歩み始めた…!

 「恋愛ラボ」(→レビュー),「となりのネネコさん」(→レビュー)も絶賛連載中の宮原るり先生の、もう一つの連載作です。先の2作がそれぞれ中学と高校が舞台であったのに対し、こちらは社会人がヒロインとなり、物語はデザイン事務所にて展開されます。ヒロインは、4年間の社会人生活を経た後、会社の倒産を機に憧れだったデザインの仕事を目指しはじめた麦田美苑。経理としての採用だったが、デザインの勉強も同時にさせてもらえることに。彼女の担当はライター業務。クールだけど熱血なデザイナー米原梨絵、体育会系のノリで場に元気を与える営業1年生・粟屋真琴、口の悪さと外面の良さが際立つ先輩営業・梶浦修平、超マイペースな自由人・棚橋裕也、キャリアウーマン臭漂う営業チーフ・大島真理子、笑顔の絶えないデザイン担当チーフ・松山宏、そしてベートーベンルックの変人社長・増田孝作など、個性派スタッフに囲まれながら、ライターとして成長していきます。


みそララ
何気ない瞬間すら、ネタに変換。このキャラ、ステキです。いないんだけど、実際にいそうなんだよなぁ。


 世界観を「恋愛ラボ」と共有しており、「恋愛ラボ」ファンはさらにこのお話を楽しめるかも。スタッフの棚橋さんは、恋愛ラボのレギュラーである鈴音の兄で、本作にもちょこっと登場したりします。あちらは夏緒という爆弾娘を中心に据えてはちゃめちゃなストーリーを展開しますが、こちらは社会人ですからそういった爆弾は用意できません。ヒロインである美苑がやや変度が高めで物語の展開を引っぱりますが、スタッフそれぞれが適度に変わっているので、どこからでもネタを展開できる面白さがあります。「恋愛ラボ」が夏緒という柱をど真ん中に据えて、それを生かす(邪魔しない)形で他のキャラが個性を伸ばしているのに対して、こちらはスター不在ながらも、非常にレベルの高い組織プレーをしているイメージ。どちらも全体として形が整っているので、面白いです。もうね、気がつけばニヤニヤしてるっていう。キャラに萌えてニヤニヤ…ではなく、キャラ同士の掛け合いの中から伝わってくる、恥ずかしさやバカらしさやクサさに起因するようなニヤニヤ。同時にしっかりと成長を感じられる作りになっていますので、マンネリ化せず、常に新鮮さも感じられるという。

 私はどう考えても大島さんが好きなんですが、誰が一番人気なんでしょうか?やはりヒロインである美苑?それとも貧乳でツンデレっぽさ漂わせる米子?いや、この作品はキャラというよりも、その関係性が魅力なのか…。でも大島さんがいるからこそ、この作品はお仕事漫画(仕事場漫画)としての空気を保っているような気がしてならないんですよね。そういった所がステキ。ステキメガネです。


【男性へのガイド】
→芳文社だし、宮原るりだし。もう説明不要ですよね。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→もちろんオススメ。いい塩梅でそれぞれにキャラがたっている、そのバランス感が好き。


作品DATA
■著者:宮原るり
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイム(2007年7月号~連載中)
■既刊3巻

■購入する→Amazonbk1

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Tag [新作レビュー] [オススメ] [4コマ] 2009.09.11
07228459.jpg井上トモコ「はこいり良品」(1)


木下しおり27歳
祖父の古書店を継ぎ
店長になりました



■木下しおり27歳。幼い頃から本が大好きで、この度念願叶って祖父の経営する古本屋を引き継ぐことになりました。小さい頃から商店街の人たちに愛されて育ち、今ではすっかり、木下家ではなく、商店街の娘状態に。両親は共に単身赴任で不在だけど、高校生の妹と、まだまだ現役の祖父と一緒に毎日楽しく過ごしています。小さな古本屋には、なかなか厳しいご時世。でも、本が好きだという気持ちと、商店街の人たちの温かさで頑張ります!

 1巻発売までに、連載開始から実に4年を費やしたというからスゴい。いや、4コマでは得てしてこういうことが起こるのですが、それでも4年ってのはなかなか。ということで、「はこいり良品」のご紹介です。ヒロインは、27歳にして古本屋の店長になった木下しおり。昔から本が大好きで、その上しっかり者。単身赴任で不在の両親の代わりに、妹の面倒を立派に見ています。放浪癖のある祖父と、まだ高校生の妹ということで、店の切り盛りはほぼ彼女一人でこなすという状況。本が好きという気持ちと、売り上げアップさせなくてはという商魂の兼ね合いから、時折不思議な方向へ彼女を走らせるのですが、それが一つのネタに。ま、基本的にはしっかり者なので、そういう意味では読んでいて安心ではあります。


はこいり良品
思わず「欲しい…」と呟いてしまった本棚。しおりさん、かなりのアイデアマン(ウーマン?)でもあるのです。


 古本屋と商店街の面々、そして家族との変わらぬ温かい日常を描くのかと思いきや、それだけには留まりません。妹と、その幼なじみである魚屋の倅でラブコメチックな展開を用意。最初、倅はしおりに憧れていたものの、周囲の意図によってかよらずか、段々と妹のほうが気になるように。当の妹はというと、その気は一切ナシで、あくまで彼を見るのは「幼なじみ」という目線だけ。それでも二人の関係に、若干の変化が見られているから、これから先が楽しみです。またしおりも、お見合い話から同業者の青年との知り合いになるなど、これから先動き出しそうな要素アリ。ま、彼女も妹と同じく、彼のことははあくまで「同業者」としてしか見ていないわけで…普段は正反対の性格でも、根は似たもの姉妹ですね。
 
 まとめると、古本屋ないし商店街軸で、日常という変わらぬ物語を描き出し、同時に恋愛軸で、変わっていく人間関係を描き出すという構成。変わらぬ良さと、変わっていく面白さ。その二つを、見事なバランスでミックスさせた良作と言えるのではないでしょうか。一冊で二度も、4コマの醍醐味を味わえるようになっています。おすすめ。


【男性へのガイド】
→芳文社4コマですからね、読みやすいに決まってます、はい。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→続きが出るのはいつ?…待ち遠しいぜ。このバランス感はなかなか出せるもんじゃないと思うんですけど、どうなんだろ。あ、わかりにくいかもですが、オススメですよ。


作品DATA
■著者:井上トモコ
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイム(2005年3月号~)
■既刊1巻
■価格:619円+税

■購入する→Amazonbk1

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。