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Tag [新作レビュー] 2015.04.28
71YXOxK0rXL.jpg水沢めぐみ「日南子さんの理由アリな日々」(1)



すみません わたし
孫 います。




■一ノ木日南子、36歳。ワケあって仕事も恋人もいっきになくしちゃったけど、まだ30代だし(後半だけど)、若いし(気持ちだけでも)、心機一転頑張ります!……って、実はこう見えて、娘も孫もいるおばあちゃんなんです!?こんなのアリ!?日南子さんの理由アリすぎる青春の日々、スタートです!!

 「姫ちゃんのリボン」などを描かれていた水沢めぐみ先生の「姉系プチコミック」連載作品でございます。水沢めぐみ先生ってりぼん黄金期を支えた漫画家さんの一人っていう印象が強くて、小学館系の、しかもプチコミ系列のレーベルで単行本を出しているというのが、個人的にものすごく違和感があります(笑)ただ表紙を見てもらってもわかる通り、絵柄や色使いはなんとなく当時のりぼんの伊吹みたいなものを感じられるんじゃないでしょうか。

 物語はこのレーベルにしても少し高めの、アラサー(36歳だとアラフォー?)ヒロインです。恋人と別れ、さらには派遣先をクビになり、36歳にして独身彼氏ナシ&仕事ナシという状況に陥ってしまった一ノ木日南子。けれども捨てる神あれば拾う神あり、幼なじみが編集長を務める雑誌編集部でバイトさせてもらうことになったのでした。メンズファッション誌ということで、若くてイケメンなモデル達も出入りする職場で、心機一転頑張る決意をする日南子。そしたらいきなり、売れっ子モデルの陸に告白をされて…。普通だったら喜んでお受けするその告白にたじろぐ日南子。それもそのはず、日南子には、れっきとした娘と孫がいるおばあちゃんなのです!!


日南子さんの理由アリな日々0002
36歳で孫というのは、別にアレコレとややこしい背景があるわけではありません。至極真っ当に代を重ねての孫です。ヒロインは高3の時に妊娠・出産をするも、相手とは結婚せずに母親の助けを借りながらシングルマザーとして過ごします。そして育った娘は、16歳にして結婚相手を見つけて来て、間もなく妊娠・出産。かくしてヒロインは36歳にして祖母となったのでした。


 メンズ雑誌の編集部にコネで運よく採用されて、そこでひょんなことから年下のモデル君に気に入られて告白をされて「こんな私なのにどうしよう!?」と戸惑う。さらには別で知り合った、これまた年下のツンツン男性絵本作家とも急接近して……という、なかなか最近見ないくらいの都合の良いストーリー。「普通な私が、ステージが上の男の子に見初められてさて困った」というのは、ちょっと前の少女マンガでよく見られた展開で、最近では「今日は会社休みます」で、再び熱を帯びてきた429という印象があります。また絵柄は見てもらえればわかる通り、どこまでも水沢めぐみ先生で、黄金期のりぼんを彷彿とさせます。展開・絵柄共に全く刷新されることなく、ある種手垢さえついているような構成なのですが、それらがありつつも単なる“回顧系”の作品としていないのは、「ヒロインが36歳にして孫持ちである」という設定があるからにつきます。この一点だけで全てを支え、突破するというものすごいパワープレイな印象のある非常に潔い作品。で、自分はその設定が気になってまんまと手に取ってしまったので、もう完全に術中にハマっているというワケですね、はい。

 家ではヒロインの母に、娘、孫、そして娘の旦那と一緒に5人で暮らしており、祖母という立場ながらも自身の母も健在ですので、その続柄らしい立ち居振る舞いはあまりありません。むしろ母がいるせいか、36歳という年齢の割に幼く自立しきれていない印象で、見ていて心配になるぐらいにはガードが甘いです。ユルいというか、アホそうというか。孫がいるということでの円熟味というか、苦労みたいなものが表立って出て来ていないのは、それこそ「理由あって」のことなのでしょうか。

 モデルの男の子に言い寄られていますが、もちろんそれは孫がいるなんて知らないから。また年齢もサバ読んでいるという。一方でもう一人の相手役候補はひょんなことから全て知っているという状況で、最初の印象が良くないところなどを見ても、どう考えてもこちらが相手本線だろうという(孫持ちという設定以外は全て少女マンガのお約束を進むのであれば)。正直これ以上語ることがないくらい、孫がいる設定以外の部分では既存ルートの踏襲なので、ある意味それも時にネタ的に、時に懐かしみながら楽しむことができるかと思います。「心がポキッとね」の山口智子さんを見るような気持ちでしょうか……(この例えは正しいのだろうか)。


日南子さんの理由アリな日々0001
ほとばしる80~90年代感。


 物語的には、孫がいるのが周知の事実になってからの方がきっと面白いと思いますので、そちらでの広がりを期待したいと思います。


【男性へのガイド】
→ザ・少女マンガという展開に、36歳孫ありヒロインというイロモノなんですが、普通だったら振り落とされそうな予感が。ともあれ水沢めぐみ先生だとか、りぼん黄金期の少女マンガ群を愛している人などは結構楽しめるのでは。
【感想まとめ】
→正直別にめちゃくちゃ面白いとか感動したとかはないのですが、謎の満足感と「負けた」という感覚がすごい。またすごい作品を拾っちゃったなというか。


作品DATA
■著者:水沢めぐみ
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックス
■掲載誌:姉プチ
■既刊1巻
■価格:円+税


■試し読み:第1話
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Tag [続刊レビュー] 2010.10.12
1102969066.jpg吉原由起「チョコレートガール」(1)


乳なら間に合っておる
押しつけんな
暑苦しい



■熱意はあるものの、超ネガティブでミスばかりの芸能マネージャー・今日子。売り込みたい、仕事を成功させたいと思うばかりに空回り。今日も今日とて、新人の売り出しに失敗した今日子は、担当を外され、とある劇団俳優のスカウトに任命される。その男・陸をスカウトしてこれなければクビ…背水の陣で臨んだスカウトだったが、平気で手を上げる・笑わない・テレビ業界を毛嫌いしているなど、強烈な個性を持つ陸に、今日子はドン引きしてしまい…!?

 「蝶よ花よ」(→レビュー)などを描いている吉原由起先生の新連載でございます。今度の舞台は芸能界。といってヒロインは芸能活動をするわけではありません。ヒロインの職業は、芸能事務所のマネージャー。ネガティブ思考で失敗ばかりの彼女は、ある日社長に呼び出され、「担当は全て外れて、ある劇団俳優をスカウトして欲しい。もし失敗したらクビ。」と告げられます。早速その男・陸のスカウトに向かった今日子でしたが、芸能界嫌いの彼は、当然のことながら門前払い。しかし、これで諦めるわけにはいかない今日子は、その後も熱心に彼の元に通い続けます。手を上げられたり、無視されたり、暴言を吐かれたり…それでもめげない彼女を前に、ついに折れた陸は、最終的に事務所に入ることになったのでした。クビを免れて一安心…だったのも束の間、あろうことか陸のマネージャーに任命されてしまった今日子は、その後も気難しい陸相手に、お仕事を続けていくことになるのでした。


チョコレートガール
「貧乳」と書いて「マネージャー」と読む。これはネガティブとは、ちょっと違う気が。


 吉原先生といえば、ハイテンションでおくるコメディが売りですが、今回もコメディ成分強めに出ております。ヒロインはネガティブといっても、言う事は言う、割とハッキリとした性格の女性。一方の陸も、俺様とは違うものの、自分の信念は曲げず、頑固に自分の意見を主張するタイプ。そんな二人が一緒になるわけですから、当然のことながらぶつかり合いが発生します。そこから生まれる勢いの良い笑いと、トキメキ。普通だったら考えられないような展開も、勢いがあってこそ、読んでいると、意外とすんなり受け入れられてしまいます。多分あまりにコメディ然としているから、ある程度のことが起こっても「コメディだしね」てな感じに許されてしまうのかな、と。それも含めて、また上手さなのだと思います。
 
 吉原先生の作品に登場するヒーローがまた個人的に好きなのですが、今回のヒーローもまた味があっていいですね。主張は強いが、俺サマではないし、とにかくストイックに高みを目指すその姿がカッコ良いです。それでもって、恋愛…というか人付き合いがかなり下手で、過去のトラウマからベッドシーンは大の苦手というあたりもなかなかかわいらしいです。ハイテンションにテンポよく進むので、恋愛方面でも多少進みが早い印象があるのですが、比較的早い段階で完結するのかな、という気がします。5巻完結が目標くらいで、長過ぎず短すぎず、今のままのバランスを保ったままに進んでほしいところですね。今回も安心して楽しむことができる一作となっていました。


【男性へのガイド】
→吉原先生の作品は、プチコミ比較でいうとかなり男性にも読みやすい部類には入ると思います。まぁあくまでプチコミ比較なのですけれど。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→安定感良く、期待通りに楽しむことができました。これからどう展開するのか、動機付けやタネが弱い気がするので、オススメ手前くらいで。


■作者他作品レビュー
吉原由起「ヴィーナスにあらず」


作品DATA
■著者:吉原由起
■出版社:小学館
■レーベル:プチコミフラワーコミックス
■掲載誌:プチコミック(連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon
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Tag [新作レビュー] 2010.08.15
1102949833.jpg藤原晶「ロストガールは恋をする」(1)



自分がどうしたいかわからない?
自分で住むところも決められないヒト?
バカなの?



■ヒロミは平凡な家庭で平凡に育てられた、ごくごく普通の女子。中小企業で普通に働きながら、普通に幸せになりたいと思っている。孤立を恐れる彼女は、同僚で個人主義を貫く変人・勝馬幸宏が大の苦手。ところがそんなある日、見つけた下宿に引っ越すと、そこには彼の姿が。なんと下宿先は、勝馬家だったのだ!やたら童顔でかわいらしいお母さんに、勝馬の双子の弟でとっても人懐っこい高宏くん、そして家でも相変わらずの幸宏。最初はどうなることやらと思っていたけれど、料理も出来るし振る舞いもキレイな幸宏との生活は、実に快適で…!?

 藤原晶先生の新作でございます。藤原先生の作品を読むのって、これが初めてだったりします。いつも表紙とかタイトルでスルーしていたのですが、今回はスッキリとした表紙に帯で、買ってみようかなぁと。物語のヒロインは、ごくごく普通の家庭に育てられた、ごくごく普通のOL・ヒロミ。母に昔から、普通の男と結婚すれば幸せになれると言われ、いつも「普通」を理想に置いてきたものの、なかなか理想通りの男性は現れず。それもそのはず、普通って、意外と難しいのです。そんなある日ヒロミは、今と同じ家賃で、倍の広さの部屋に住める下宿先を発見します。とりあえず様子見…とその下宿先に向かったヒロミでしたが、そこには何故か同僚で仕事は出来るが変人と噂の勝馬の姿が。そんな彼に、「自分の住みたいところも自分で決められないのか」とけしかけられたヒロミは、勢いで居住を承諾。勝馬と、その双子の弟、そして二人の母と、あわせて4人での生活がスタートします。



ロストガールは恋をする
仕事をバリバリこなすといっても、スパービジネスマンという様相ではなく、どちらかというとゆったり風流な生活を送る方。しかしそれでも、現代社会においてはなかなか浮くもので。


 一緒に住むという触れ込みから、二人で同居するのかなと思いきや、下宿でしかも相手の母までついているという変わった状況に。しかしながら、その環境が、面白い。とことん客観をベースに考え、普通を追い求めるヒロインに対して、とことん主観をベースにして、我道をゆく勝馬。料理上手というところや食べ方がキレイだとか、含蓄があるという面では、それだけでも十分に魅力となるのですが、彼はかなりの変わり者であるわけで、直接コミュニケーションしているだけではすれ違いが多発してしまいます。価値観の相違は致し方ないものの、二人の場合はそこに差がありすぎるため、中継者が必要となってくるのです。その役目を務めるのが、勝馬家の母と、勝馬の双子の弟。その考え方はやはり勝馬家ベースであるものの、一般的な感覚を持ち合わせている部分も多く、ヒロインにとって大きな手助けとなります。
 
 自分の頭で何が正しいのか考え、自分のしたいことをする。何一つ自分で決められないヒロインにとって、そういった存在は衝撃でもあり、そしてやがて魅力的に映ってきます。しかし優柔不断さが災いし、想いとは裏腹にあらぬ方向にいってしまったり…。一方の勝馬は、自分自身も含め人の気持ちに対してはかなり疎く、相手の意図や欲求を汲み取れない人間。ですからヒロインがそういった気持ちを持っても、なかなか気がついてくれません。そのため、二人の歩みはレーベル的に見ると比較的ゆっくり。序盤もお互いの考え方や、生き様を説明するためにあったという感じで、ロマンチックさはあまりございません。その分コメディとしてはしっかり成り立っており、楽しさはあるわけですが。一対一で完結するのではなく、異世代を巻き込んでの物語展開であるので、当然話も広げやすいし転がしやすいわけで、退屈せずに読み進めることができました。また全体的に、ありがたい言葉や教訓などが点在。読んでいて思わずメモしたくなるようなものも結構ありました。


【男性へのガイド】
→これから先、プチコミ展開になりそうではあるものの、1巻時点では肩肘張らずに見れるコメディ昼ドラみたいな感じで、レーベルの割に読みやすい部類には入るのだと思います。ヒロイン、苛つく人もいるかもしれませんが、振り回されおののく姿はなかなかかわいらしいですよ。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→納得の出来。テンプレなぞるのではなく、オリジナル感たっぷりで進めてくれるので、飽きずに読むことができます。


作品DATA
■著者:藤原晶
■出版社:小学館
■レーベル:プチコミフラワーコミックス
■掲載誌:プチコミ
■既刊1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazonbk1

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Tag [新作レビュー] 2010.05.10
あなたに花を捧げましょう表紙大海とむ「あなたに花を捧げましょう」(1)


お前にも誰かに押しつけられてじゃなく
おまえの意思で決めてほしいんだ
俺と結婚することを



■全国でも有数の資産家の娘・畑中セリには、10歳の時に決められた結婚相手がいた。その相手は、幼なじみで年下の古御堂柚月。同い年で幼い頃からお互い知っている二人だったが、セリは家同士が勝手に決めた時代錯誤な政略結婚に不満たらたら。結婚は自分の決めた相手としたいし、柚月は無愛想でなんだか気に食わない。そんなある日、所用で入った柚月の実家にて、不思議な体験をする。目の前に、昔の格好をした幽霊たちが現れ、セリに柚月と早く結婚をしろとけしかけてきて…!?

 前作「ミッドナイトセクレタリ」(→レビュー)では、ヴァンパイアというファンタジックな要素を投入して物語を展開してきた大海とむ先生。今回は、幽霊や呪いといった和風ファンタジックな設定で勝負してきました。ヒロインは、国内でも有数の資産家の娘・セリ。彼女には親に決められた柚月という結婚相手がいるのですが、彼女はそれが気に入らない。今どき許嫁なんて時代錯誤もいいところだし、そもそも相手の事が好きではない。断固として反対するセリでしたが、発言権の強い双方の両親の意見を、そう簡単に曲げることはできません。結局、自分の意志が固まるまで待ってもらうという方向で保留となったのでした。そんなわけでとりあえず相手の実家に向かったセリは、そこで不思議な体験をすることに。誰もいないはずのふすまの向こうから声がするので覗いてみると、そこには無数の古御堂家の先祖の幽霊が。突然の出来事にびっくりしたのも束の間、セリはさらに驚きの事実を知らされることになります。古御堂の男子が早世しやすい家系であり、柚月もその危険にさらされているということ。そして早く跡継ぎを残すためにも、セリにヨメになって欲しいというのでした…。


あなたに花を捧げましょう
ヒロインのセリは極度の恐がり。優しい幽霊でもなかなか慣れない。そのリアクションや良し。


 親の持ち出した結婚話に反発するヒロインと、それを反対することなく受け入れようとする相手、そしてそんなふたりを見守る相手の先祖の幽霊という構図のお話。相手の家系は男子が生まれにくく、生まれたとしてもすぐに亡くなってしまうという、イワクツキの家系。それは体質遺伝的なものではなく、「呪い」のような類いの不自然さ。そしてヒロインの結婚相手である柚月もまた、そんな呪いの危険にさらされているのでした。最初は反発していたヒロインも、そのことを知り柚月に理解を示し、徐々に彼に歩み寄るように。しかし大きくなっていくのは恋愛というよりも、同情や義務感といった感情。恋心であれば大手を振って彼の側にいられるものの、そうではないので思い悩む日々が続きます。序盤はお互いの想いをどう結びつけていくかというのが見所。こういった状況に置かれている中で、どう相手と自分を納得させ、歩み寄れるのか。先祖の幽霊の助言などもありつつ、設定を上手く使いこなしながら物語は進んで行きます。
 
 大海とむ先生は少し変わった設定を用意しても、さらっと使いこなしてしまうからすごい。今回も、ちょっとしたところから本筋に至るまで、ビシッと辻褄が合っています。物語の好き嫌いはともかく、この設定使いの上手さは誰もが唸るはず。物語自体は、幽霊に呪いという少し不思議な存在が出てくるラブストーリーということで、絵柄なども相まってかどちらかというと秋田書店のボニータとかで連載していそうな感じ。序盤にて両想いが確定し、「結局この運命の中どう選択して行くのか…というところが焦点になるのかな」なんて思っていたのですが、そうではなく、呪いの所在からその解決という方向に行く気配。2巻へ続くにあたって、もう一回り物語が大きくなりました。それでこその幽霊たちなのでしょうし、やっぱり上手いなぁ。


【男性へのガイド】
→ややお耽美な絵柄・作風。プチコミ作品は男性には難しい所があるのでは。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→キレイにまとめて、1巻ラストにもう一回り大きく。この流れは上手い。時代感はちょっと懐かし目ですが、そういった少女漫画に触れてきた方であれば、問題無く楽しめる作品だと思います。


作品DATA
■著者:大海とむ
■出版社:小学館
■レーベル:プチコミフラワーコミックス
■掲載誌:プチコミック(2010年1月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税


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Tag [続刊レビュー] 2010.02.12
作品紹介→*新作レビュー*円城寺マキ「はぴまり~Happy Marriage!?~」
2巻レビュー→プチコミ作品でお薦めするならコレかな《続刊レビュー》円城寺マキ「はぴまり」2巻


1102875361.jpg円城寺マキ「はぴまり~Happy Marriage!?~」(3)


だからもう
演技とかしなくていいから
私はもう
そんなことしなくても離れない



■3巻発売です。
 契約結婚のはずが、いつしか彼を愛しはじめた千和。そんな時、北斗の優しさは、ある目的のための演技だったことを知ってしまう。現状を変えようと転職を考えたが、それを止めに彼が追いかけてきてくれた。その事実を嬉しがった千和は、もう少し彼を信じてみることに決めたけど…!?

 3巻出ました。3巻ぐらいで終わるかなぁなんて思っていたので、更に続いてくれてありがたいです。さて、では3巻をさくっとふりかえってみましょう。


~お互いの認識のズレ~
 1巻では契約結婚の成立、2巻ではお互いが意識しはじめるという段階、そして3巻はお互いの抱える関係の認識の差が浮き彫りになっていきました。この契約結婚の狙いはお互いに異なり、千和は借金を帳消しにしてもらうことで、一方の北斗は間宮家のすべてを手に入れるという野望(?)によるもの。双方にメリットがあるわけですが、同時に相手への負い目を感じてしまいます。千和はそれを超えて北斗を想いはじめていますが、北斗が彼女のことを意識しつつあることにはこれっぽっちも気づいていません。また北斗は、千和にこのような契約結婚をさせてしまったことに負い目を感じており、未だ距離の取り方を計りかねています。どちらも不器用丸出しでかわいくはありますが、北斗さん、相手は処女で恋愛全然ダメダメの女性なんですからもっと優しくしてあげないと…。そして千和はなんだかんだでいい子でございますね。苦労性が染み付いている気もしますけど。


~なんか昼ドラみたいになってきましたけど~
 後半では北斗の生い立ちと、昼ドラにありがちなお金持ちの家特有の安っぽい裏事情が明らかになります。あくまでコメディとして楽しみたいのですが、こっちに流れてっちゃうのでしょうか。こういう背景だからこそ、ドラマチックに仕立て上げれば仕立て上げるほど安っぽくなってしまうような気もするわけで、ヘタにシリアスにならないうちに、さくっとまとめてもらえれば…。


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東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
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