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2012.01.06
■お待たせしました、継続作編のお届けです。今年も「おとなもこどもも、おねーさんも」を念頭に置きつつ、「2011年の充実度」+「2012年へ向けての期待度」の二つの観点からピックアップ。2012年を迎えるにあたり(もう迎えていますが)、これだけは抑えておいて欲しい作品たちとなっております。こちらもリンク先は各巻のレビューです。ではでは、前置きもほどほどに、どうぞ…




1.雲田はるこ「昭和元禄 落語心中」(既刊2巻)
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…昨年はとにかくこのタイトルの登場に尽きました。個人的にはダントツの1位。落語の世界に飛び込んだのは、ムショ上がりの青年。シチュエーションだけ見るならば、「タイガー&ドラゴン」のような落語ものなのですが、その面白さたるや。主人公の奔放さが生み出す軽妙な笑いと、彼らを囲む色とりどりの面々が作り出す濃密な人間模様が絶妙にマッチングし、なんとも味わい深い物語を形成。本日2巻が発売されましたので、この機会に併せてチェックを!





2.やまもり三香「ひるなかの流星」(既刊1巻)
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…恋愛オムニバスシリーズ「シュガーズ」を完結させたやまもり三香先生の新連載は、田舎育ちの女子高生の都会生活を描いた青春ラブコメディ。都会ではちょっとズレた感覚を持つヒロインのすずめに、一癖も二癖もあるクラスメイトたちが織り成す青春模様は、なんともヘンテコで、けれどもとってもキラキラ輝いている。初めて読んだ時の感覚は、「となりの怪物くん」を読んだときのソレに似ていました。まだ1巻のみですが、個人的に非常に期待度の高い一作です。





3.ろびこ「となりの怪物くん」(既刊8巻)
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…とにかく充実度に溢れた2011年。脇役達が頑張り輝いた前半に、主人公たちが頑張りひとつの区切りをつけた後半。8巻での告白のシーンは、今までの二人の重ねた時間が全て集約されていたようで、本当に素敵でした。一つの区切りは、新たなスタート。このまま収束させようなんて考えは毛頭なく、場をかきまわす存在としての新キャラも登場し、これからますます面白くなりそうな予感がいっぱいです!





4.水城せとな「失恋ショコラティエ」(既刊4巻)
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…爽太の一人よがりで残念な妄想のみならず、周囲の面々の思考も徐々に漏れ出してくるようになり、ますますダークに濃厚に。ついに幸せになったキャラクターが現れたと思えば、ますます泥沼にはまるキャラ、そしてますます臆病になるキャラと、十人十色の片想いの様子が本当に面白い。個人的にはアラサー薫子さんの哀愁に、親近感を覚えずにいられません。





5.小玉ユキ「坂道のアポロン」(既刊8巻)
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…このマンガがすごい!で1位と獲ったのも、気がつけばもう3年も前のこと。一時期話題をさらった本作が、もうすぐラストを迎えようとしています。出会った頃、まだ何も知らず無邪気だった主人公たちは、共に挫折と再生を繰り返し成長を重ね、段々と大人に。高度経済成長の最盛期に多感な時期を送る少年少女たちは、一斉に前を向く時代の流れとは裏腹に、常に迷い振り返りながらゆっくり坂道を歩み、そして今一番の急坂に差し掛かろうとしています。どんな結末だとしても感動必至。彼らが選び進む道筋を、最後まで追いかけてあげて下さい。





6.南塔子「360°マテリアル」(既刊5巻)
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…メインよりも脇役の恋路が気になるから、買う。そんな作品があったっていいじゃない。正直本作の主人公カップルとかあんまり興味ないんですよね(問題発言)。それでもオススメしたいのは、報われないスペック高いヘタレかませ犬くんと、後輩のツンツン女子の脇役コンビの恋の行方が気になって仕方ないから。真面目で時に生意気だった女の子が、はじめて恋を自覚し、赤面まみれで慌てふためくその様子が、とにかく愛おしい!





7.末次由紀「ちはやふる」(既刊15巻)
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…単行本の刊行数は実に4冊、加えてアニメ化と、商業ベースでの充実度もさることながら、まるまる全国大会で送った本編がとにかくアツかった。個々での勝負と、団体としての戦い、その両方をバランス良く織り交ぜ、全編に渡って手に汗握る戦いを再現。初戦からエンジン全開で、その熱量を落とすことなく決勝まで駆け抜けた勢いに脱帽です。15巻まで巻を重ねて今なお全く変わらず面白いというのは、まさに名作の証と言っても過言ではないのでは。この勢いで2012年も駆け抜けて欲しいものです。





8.咲坂伊緒「アオハライド」(既刊3巻)
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…「ストロボ・エッジ」の咲坂伊緒先生が贈る新連載。直前の期待度の高さに比べ、1~2巻はややもの足りない感もありましたが、3巻にて見事に挽回。前回のリア充の良い子たちとは異なり、クセのある問題児たちがメインを構成する分、御するのに時間がかかったのかもしれません。しかし一旦御してしまえばこちらのもの。早々にヒロインがあざとく仕掛け、ドキドキさせられっぱなし。無邪気に恋愛力高い子たちがいるから、もう。今回も青春の甘酸っぱさに満ちた、良き恋愛少女漫画となりそうです。





9.阿仁谷ユイジ「テンペスト」(既刊1巻)
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…舞台となるのは2000年後の地球、そして男が全て滅び去った、女のみで構成される世界。そんな中生まれ落ちた一人の男と、迫り来る人類滅亡の危機。ITANの新作では先に挙げた「昭和元禄落語心中」と並んでこちらが抜きん出て面白かった印象。人類の危機という大きな枠と、その中に生きる男女の関係を描いた小さな枠が絶妙に絡まり合うため、読みやすさと引き込む力は抜群。要注目のSF作品です。





10.葉月かなえ「好きっていいなよ。」(既刊7巻)
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…昨年も期待大としましたが、今年も入れます。いよいよめいと大和が…!?と見せかけての寸止め連発でテンション下がるかと思いきや、脇役…特にめぐみの魅力が多いに爆発した2011年でした。自分自身が抱えるトラウマと、それを克服し努力して成り上がったそのプライド。華やかな見ためとは裏腹に、泥臭さ溢れる彼女に一気に惹き込まれました。彼女が良い意味で生まれ変わり、再び強力なライバルとして立ちふさがる今度は、きっと今までにないほどに清々しい恋愛バトルが拝めるのではないでしょうか。





11.岩本ナオ「町でうわさの天狗の子」(既刊8巻)
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…こちらもまた大きなターニングポイントを迎えようとしています。一見何も起きずに穏やかに進んでるのですが、その後ろで何か大きな出来事が…。言うなれば嵐の前の静けさで、9巻になって何が起こるのか今から怖くもあり、楽しみでもあり。加えて日に日に増して行く、瞬ちゃんの包容力。どうせ何か起きるなら、良い方向に倒れるサプライズがあってくれると嬉しいなぁ。





12.チカ「これは恋のはなし」(既刊3巻)
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…10歳の少女と31歳の男との間に芽生える恋のお話。こちらの作品も昨年大きな話題となりました。タイトルこそ恋だと謳っているものの、そもそもその感情は恋なのかすら判然としない、様々な想いが入り交じる中で関係は築かれていきます。ツンデレなオッサンのかわいさもさることながら、寄添うべき相手を見出した少女のその頼もしさと美しさといったら。刊行ペースも良く、2012年も新雑誌・ARIAを引っぱってくれる存在となることでしょう。





13.亜樹新「フェティッシュベリー」(既刊2巻)
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…幾つものフェチを抱えて、結果そのアンテナに引っ掛かる男の子を見つければ、だらだらヨダレたらして夢中になっちゃう、そんな女の子がヒロインです。スタートはフェチまみれのド変態少女とジャイアニズムの継承者な男の子のドタバタコメディ。けれども2巻になってからは、一気に青春の香り立つ群像劇に変貌します。かわいげのある絵柄で送るポップな物語が、これからさらにどのように変化していくのか、楽しみです。





14.おかざき真里「&」(既刊2巻)
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…刊行ペースはやや遅め。けれども出ればやっぱり面白い。「サプリ」のおかざき真里先生の作品の高め安定感は異常。恋愛において立ち止まり癖のあるOLのダブルワークライフを描いた本作は、突っ走れない大人であるからこそ抱える恋愛感情や恋愛模様を具に切り取っており、登場してくるどのキャラクターにも少なからず共感してしまえるという。飛び出すフレーズが、いちいち的確で思わず唸ってしまったり。大人になればなるほどにまわりくどい恋愛をしがちで、そんな大人たちの残念さと可愛らしさが詰まった、ある種とてもフィーヤンらしい一作と言えるかもしれません。





15.黛ハル太「ダダダダン。」(既刊2巻)
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…昨年最も心奪われたコメディ。とにかく女の子に免疫のないショタッ子に、とにかく女の子が嫌いなイケメン、そしてとにかく3次元の女の子に興味のないおぼっちゃま。そんな残念な3人組の前に現れるのは、いつだってワケありの女の子たち。女性向け作品でありながら、強烈な個性を放つかわいらしい女の子たちが毎度登場するため、割りとどちらも楽しめると個人的には思います。テンション高く、とにかくおバカにテンポよく、心を無にして一気に読める一作です。





 以上15作でした。今年は上位数作以外はかなり迷っての選出で、多分選んだ日が異なればその顔ぶれもだいぶ違ったものになるはずです。迷った作品の筆頭としては、これまたITANの会田薫「梅鴬撩乱-長州幕末狂騒曲-」であるとか、山川あいじ「やじろべえ」、西炯子「姉の結婚」など。昨年から引き続いてという意味ではこうち楓「LOVE SO LIFE」や、紺野キタ「つづきはまた明日」、椎名軽穂「君に届け」あたりもまよった作品達になります。この辺も期待度高いのですが…。そういえば白泉社の作品がひとつもない…毎年何かしら選んでいるのに。昨年1位の「八潮と三雲」も迷ったのですが、いい意味で安定してしまっているので…。原作付きでは、「ランウェイの恋人」が特にお気に入りでした。


 一年の総括というよりは、むしろ2012年も引き続きないし、瞬間最大風速が訪れそうというような上がり目のある作品を選ぶ傾向にあるため、例えば昨年とんでもなく盛り上がった南波あつこ「隣のあたし」などは、今年確実に辛いゾーンに入ってくるので泣く泣く選外にしてしまったりとかあります。ということで、もし少しでも気になる作品がありましたら、チェックをして見てください。後悔はさせないと思いますよ!たぶん絶対なんとなく! 


関連:この女性向けマンガがすごい!2011(完結作編)

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Tag [オススメ] 2012.01.04
■今年もやります、年間総まとめ記事。今年も『完結作編』と『継続作編』の二つに分けてお届け。こちらは2011年に完結した作品及び、短編集等の単巻に絞ったセレクション。完結作編は、もうレビューすることはありませんので、ここで是非ともチェックしていただきたいところです。今年は選びあぐねて5作品多く、15作品を選定しました。リンク先は各作品のレビューとなっています。簡易的にコメントを書いていますが、詳細はリンク先にてご覧いただければ。タイトルは某ムック本より。完結作なのに2012っておかしいやろとかいうツッコミは無しでお願いします(笑)→やっぱり違和感あるので変えました(・ω<)☆テヘペロ

それではどうぞ…




1.高屋奈月「星は歌う」(全11巻)
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…「フルーツバスケット」の高屋奈月先生が贈る珠玉の長編作が、今年ついに完結しました。要点が明かされず不可解なまま進行した序盤により、「もう読むの止める」と幾度となく思わされましたが、パズルのピースがはまり始める後半は極上の再生物語に。本当に最後まで読んで良かった。不条理さと絶望、周囲の人の支えと再生。決して明るい物語ではありませんが、静かに深く心に響くラストは必見です。





2.勝田文「ちくたくぼんぼん」(全3巻)
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…完結巻である3巻のレビューはまだですので、後日お届けします(リンク先は2巻のレビュー)。昭和初期の女中・イワと時計屋のおぼっちゃん・三五との恋を描いた作品。とにかく純粋で元気一杯なイワと、そんな彼女の心をつかむ三五のやりとりがとにかく軽妙で痛快。喜劇のような賑やかさに加え、作者さんの遊び心がそこここに落とし込まれより深い味わいに。読んでいてこんなに楽しい気持ちになる作品は、そんなにないです。





3.海野つなみ「小煌女」(全5巻)
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…当初より面白さはあったのですが、3巻4巻5巻がそれぞれ違う形で神がかっていました。タイトルからもわかるように、元となっているのは「小公女」。けれども描かれるのはSFで、しかも原作再現ではありません。作者さん自身が一番伝えたかったことを描いて以降(3巻)、一気にその魅力が爆発。4巻は恋愛に友情に、実に少女漫画らしい物語となっており、5巻ではスケールの大きいSFとしてのまとめもしっかり。昨年最も密度が濃かったのはこの作品ではないでしょうか。





4.つばな「見かけの二重星」(全1巻)
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…「第七女子会彷徨」のつばな先生のKISS連載作です。ある日科学者によって自分の分身が出来上がってしまうことからはじまる、ちょっと不思議な日々を描いたお話。つばな先生らしい独特の世界観で贈る、なんともヘンテコでおかしな作品なのですが、最後に心に落ちるのはほっこりとした切なくも温かい気持ち。一体何を伝えたかったのか、何が面白いのか…その魅力を言葉で伝えるのが難しいのがなんとも歯がゆい。





5.尾崎あきら/誉田哲也「武士道シックスティーン」(全4巻)
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…元々2巻くらいで終わる予定だったらしいのですが、好評につき4巻まで続きました。評判の良い原作が、コミカライズで台無しなんてことがままあるわけですが、この作品はそんなことはありませんでした!(たぶん)。部活というよりも、メインヒロイン二人の関係の醸成と成長にスポットが当てられる青春物語は、全4巻という尺の中に無理無く収められ、ちょっと青臭さもある青春の息吹を存分に感じることができます。原作付きの少女マンガとしては出色の出来だと個人的には思っているのですが、いかがでしょう。





6.びっけ「赤の世界」(全1巻)
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…昨年猛威を振るったITAN勢の一冊。短編集としては、田中相先生の「地上はポケットの中の庭」が年末のムック本で推されまくっていましたが、いやいやこちらだって負けていないです。稀代のストーリーテラーであるびっけ先生が贈る、つながりのある読切り集。戦争を巡る人々の想いが、時代を超えてつながり合う瞬間の気持ち良さたるや。びっけ先生をご存知ない方も、ご存知の方も是非とも読んで頂きたい1冊です。





7.えすとえむ「うどんの女」(全1巻)
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…うどんはエロい。この作品を読み終わった後に、あなたはきっとそう思うはず。とある草食系の美術学生と、学食のうどん担当のおばちゃん(といっても30歳)の、うどんに重ねる恋物語。設定からしてシュールで馬鹿馬鹿しいのですが、それがなんとも面白い。うどん食べつつ好きな人を見ていれば、パブロフの犬的にうどんにすら性的興奮を覚えるってものです。単なる歳の差の恋愛にちょっとした変化球を交えて、けれどもふざけず淡々と読ませる物語に仕上げるのは、BLで実績のある作家さんならではと言ったところでしょうか。





8.中村明日美子「鉄道少女漫画」(全1巻)
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…鉄道(小田急線)がモチーフとして描かれる読切り少女漫画。いや、正直少女漫画なのかよくわからんのだけれども。少女マンガ×鉄道だからといって、無難に電車通学でイチャラブ…なんてことはなく、描かれるのは少女たちの非日常。一風変わった目まぐるしく動くお話が多く、お話毎に違った良さを味わうことができます。





9.小椋アカネ「絶対平和大作戦」(全4巻)
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…こちらも完結していました。敵対する隣国の王子とお姫さまが、和平のために表向き結婚。最初は仲が悪かったけれど、次第に王子の優しさに惹かれ…とベタな展開見せつつも、まさかあんなに甘えん坊なお姫様になるとは想像もしておらず。とにかく甘えたがりだけど甘え下手な姫に心惹かれました。また最終4巻では、一転シリアスに。きっかけとなった“戦争”というエッセンスでもしっかりと決着をつけ、物語はよりよい形での完結を迎えることができました。





10.藤原よしこ「だから恋とよばないで」(全5巻)
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…5巻にて完結しました。藤原よしこ作品の一番の特長でもある、魅力溢れるキャラクター達が今回も切ない切ない恋物語を演じてくれました。先生との恋という、少女マンガでの言わば王道とも言える設定で、しっかりと自分の色を出せるというのは、なかなか難しいこと。誰一人として悪い人がでてこない、イノセンスさに溢れた珠玉の王道少女漫画をどうぞ!





11.やまがたさとみ「12」(全1巻)
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…小学生から中学生までの、未発達なカラダと成熟した思考を持て余す『少女』たちにスポットを当てた本作は、担当さんが「子どものいる女性というのが担保ですから!」と言い放ったというほどに、危うい内容。“危うさ”にはもちろん犯罪的な匂いするものもあり、ロリコン男と対峙する、不完全さを自覚した少女なんてお話も。「少女性」なんてありふれた記号的な言葉に当て嵌めるのはちょいともったいない気もする、強烈に印象に残った一冊でした。





12.西炯子「兄さんと僕」(全1巻)

…今年は何気に落語作品が充実していた気が。「昭和元禄落語心中」がその最たる例かもしれませんが、こちらもまた非常に面白かった。名手・西炯子が描く、落語の世界…というよりも、落語家の家でのドタバタを描いたホームコメディ。奔放な馬鹿が一人いて、周りにお気楽な人間が集まるだけで、こうも賑やかで阿呆らしい風景が生まれるのか。時折クセが強すぎる感もある西炯子作品ですが、本作ではそれもなりを潜め、割と万人が楽しめる間口の広いつくりになっているのも是非強調しておきたいポイントです。





13.田中相「地上はポケットの中の庭」(全1巻)
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…ITANが送り出す超期待大の新人さんの、デビュー単行本。既に各ムック本にて絶賛されていますが、確かに今年初単行本の漫画家さんの中では一番の注目株だと、個人的にも思います。大きな動きはないけれど、その精緻さと独特の風合いに魅了される、ビビッドな作品が多数収録。好きな人はどハマりするような作品。その鮮烈な才能を、とくとご覧あれ!





14.斎藤倫「僕の部屋へおいでよ」(全2巻)
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…めちゃくちゃ子供っぽい見ためで、世間知らずな女子高生と、愛想の悪い、けれども心の優しい獣医学部生との同居生活を描いたお話。2巻完結であっさり完結でしたが、お互いが持つトラウマとその克服、そして自分にとって大切なものの再発見を描いたストーリーは、非常に読み心地が良く救いが感じられるお話でした。何よりヒロインの京がかわいくてかわいくて。





15.やまもり三香「シュガーズ」(全6巻)
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…全員が主人公となる、甘味と恋を描いたオムニバスシリーズ。読むと絶対あなたも恋をしたくなるはず。個々のお話は、少女マンガの王道を行くような青春の匂い溢れるスタンダードな恋愛もの。けれども第一話からつなぎにつないだ人間関係とその恋模様の絡まり合いは、他では見られない程に隅々まで伸び、圧巻の一言。ありふれたような恋模様だからこそ、自分に重なるものもあるかもしれない。酸いも甘いも含んだ恋物語のアソートを、あなたも味わってみてはいかが?



 以上15作です。割と迷った作品多いんですが、なんとか絞ってここまでに。「花と悪魔」「RealClothes」といった10巻以上になった作品であるとか、「フィンランディア」「祓魔師な嫁ですが。」といったオタク系作品なんかは特に。こちらももし余裕がありましたら、チェックしていただけると嬉しいです。継続作版はまた後日お届けする予定です(早ければ明日)

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。