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2013.11.30
1106321960.jpg慎本真「SSB―超青春姉弟s―」(1)


早く大人になってやりたいと
ずっと思っていたのに
初めて一分一秒が
惜しいと感じた



■多少趣味は違えども、こよなく自分を愛する新本姉弟。かなり不思議な性格だけど、殊更モテる斉藤姉弟。ニート系な姉たちは親友で、リア充系(?)な弟たちも親友同士。見ためはリア充、中身は残念。そんな2人組の姉弟、親友達がおくる、かなりゆるだら、けっこう青春な日常コメディ!

 コミックポラリス連載作、そしてアニメ化もされました(テレ東で放送中のようです)。1・2巻連続発売で、かつアニメ化。単行本の帯もアニメ化の話題で、キャラ名よりも声優さんの名前が大きかったりと、アニメ化前提での作りになっている感が見受けられます。結構なプッシュがあったんじゃなかろうかと、政治的な匂いを感じたりもしますが、アニメをあんまり見ない人間からしたら、あんまり関係なかったり。そこにある単行本を、素直に楽しむだけです。
 

ssb1-1.jpg
さて本作ですが、とある仲良しな2組の姉弟の日常を描いたコメディとなっています。片方の姉弟は、新本姉弟。美形で自分大好きな二人、恋愛にも積極的だけれど何故だかモテない。姉・チコは大学生ですが、男が少ないと嘆きひきこもり気味でかつガチのオタク。弟・チカは高校生で、能天気に日々を過ごす恋したい年頃の男の子。姉がモテないのはオタクが原因らしく、一方のチカはチャラすぎるのがダメなようです。

 

ssb1-2.jpg
一方そんな新本姉弟と仲良しなのは、斉藤姉弟。新本姉弟とは似ても似つかぬ性格で、クール系で不思議な完成の持ち主、そしてこちらは異性にモテる。姉のマコはフリーターで、低エネルギーで効率的に生きたがる性格。そして弟のマオが大好き。弟のマオはいつもチカと一緒。無口であまり感情を表に出さないながら、密かにチコのことを思っています。
 

 姉同士は学生時代からの親友同士で、今は活動場所ころ違えど、お互い暇な学生とフリーターでありインドア派…そのため自ずと一緒に過ごす時間は多くなります。一方の弟同士も高校生と言えど帰宅部であり、気がつけば4人揃うことも珍しくはありません。そんな狭い空間・間柄で繰り広げられる、日常系のコメディ。一応1ページごとにオチが付く形になるので、イメージ的に近いのは4コマとかそういうものかも。「君と僕」なんかに代表されるような、輝かしい青春を送れるはずの年頃の子たちが意外にも狭やかな場所で、けれどもそれが心地よいという、なんともゆるい空気が流れています。

 ただ「日常系」なんて括ってしまうにはもったいないというか、そこには確かに時間が流れていて、けれどもキャラ達がそれに抗うような動きを見せるのです。言い換えるなら「モラトリアム漫画」なのだと思います。姉二人はフリーターと大学生で日々を気楽に過ごしていますが、考えなければならない将来というものがすぐ目の前に。また弟二人も高校生で楽しく過ごしていますが、こちらも高校卒業後の進路を考えなければならない。そんな問題があるのはわかっているのですが、けれども考えたくなんかないし、今この瞬間が結構楽しい。そして今すぐ考えずとも、なんとか間に合うだけの時間がそこにはあるという。2巻までの間、彼らはそれぞれに自分の将来を考えるのですが、2巻までかけてようやく半歩進んだだろうかという感じ。この一挙手一投足が遅く、時に一日二日当たり前のように消費してしまう感じ。自分の大学生活が思い起こされて、なんだかとっても不思議な気分になりました。
 
 というわけで、表面上は変わり者同士の日常ゆるコメディを描いているのですが、その後ろには迫り来るモラトリアム期間の終焉という緊張感が見え隠れしており、なんだか不思議な雰囲気の流れる作品となっています。そして基本ゆるく流れている中で、ふと本音がこぼれる瞬間があり、それがやけにあったかかったりプチ感動を生んでいたり。
 

SSB1.jpg
そういった感覚というのは、問題意識の有無という所に起因するのですが、能天気な新本姉弟よりも、若干真面目(な気がする)斉藤姉弟の方がそれが強め。というかもの凄く色々考えていて、如何にも一人立ちできそうな風に見せているのに、むしろ相手への依存度が強いのは斉藤姉弟なんですよね。だから余計に変化に敏感というか。前に向かって進もうとするチコ姉の姿をみてちょっと落ち込んだり、他に友達がいることを知ってイラッとしたりするマコの感覚は、ものすごく分かるので、このキャラクターが大好きになりました。
 

 弟同士でもやっぱりマオの方が好きですかねー。というのも一途にチコのことを想っていて、人一倍青春の匂いを感じさせるのが…!静かながら何気に相手のことを思って色々やっているのですが、それが素敵。そしてあんまり報われないという。大きな一石を投じる要素を持ちえているのですが、さてそれはいつ出てくるのか。変わらぬ日々が愛おしい、けれども変わったら変わったで面白そうな、そんなお話です。


【男性へのガイド】
→メインキャラ4人の誰かしらに共感する部分はあるかもしれません。絵柄や話題は女性が好みそうなものは多いですが、コメディとしてだけでなく、モラトリアム漫画としての側面から見れば男性も好みそうな要素はあるんじゃないかと思っています。
【感想まとめ】
→先入観を持って読んだらちょっと違うテイストだったので面食らったのですが、慣れれば結構面白い。2巻は勢いそのままにキャラに共感しつつ楽しめました。


作品DATA
■著者:慎本真
■出版社:ほるぷ出版
■レーベル:ポラリスコミックス
■掲載誌:COMICポラリス
■既刊2巻
■価格:571円+税


■試し読み:第一話【PC】/【スマートフォン】
二話目以降

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Tag [新作レビュー] 2013.11.26
1106330159.jpg桜庭ゆい「本日、あかね日和」(1)


夏彦も秋ちゃんも
みんな頑張ってるんだ



■時は明治。和食屋「かすが亭」の看板娘・あかねは、若き板前・夏彦と共に、店を切り盛りしていた。そこへ、あかねと子供の頃に結婚の約束をした許嫁・秋次が、洋食を学ぶ留学から帰国し、改めてあかねにプロポーズをする。恋の三角関係と明治の食べ物をめぐる、かわいくってドキドキなLOVEを、どうぞ召し上がれ。

 桜庭ゆい先生のCOMICポラリスでの連載作です。なんか覚えのある作者さんの名前だと思ったら、「なぎさ@ホーム」(→レビュー)の先生ですね。新レーベルにその名前ありという印象が、私の中で今回でハッキリと付きました。
 
 さて、本作で描かれるのは明治時代の三角関係。物語のヒロインは、食事処の看板娘として働くあかね。そしてこのヒロインのお相手として登場するのが、彼女の働く店で板前をしている夏彦と、かつて結婚の約束をした許嫁であり、海外から帰ってきた・秋次。当然秋継と結婚…と思っていたけれど、海外帰りの秋次はなんだか雰囲気が一変。また洋食文化を拡げようとする秋継に、頑固者のあかねの父はご立腹で、結局結婚の話は破談に。そんな中、夏彦が見せるふとした優しさに触れ、あかねの心は揺れ動くが…というようなお話。


本日、あかね日和1-1
相手役の一人、夏彦。口が悪く、何かにつけてちょっかいを出してくる男。けれども料理に対しては真面目で、たくさんいる弟・妹たち思いでもある。不器用な日本男児的なイメージです。


 ついつい厳しい言葉をぶつけてしまうなど、不器用な性格だけれど一本気で男らしい夏彦と、優しい性格で外国人のように素直で明るく愛情表現をしてくる秋次。全く正反対のタイプの間で揺れるヒロイン。本作は、恋愛と共に明治時代の料理事情についても描いていきます。明治時代と言えば、文明開化の音がしだした頃。牛鍋をはじめ、続々と肉食文化と共に洋食が入ってきた頃です。そんな洋食の登場に戦々恐々とした和食。そんな食文化の対比みたいなものを、本作の恋模様にも重ねます。夏彦は和食、そして秋次は洋食。和食屋の娘としては和食の肩を持ちたくなりそうに思えますが、あかねは意外にも食に対してはリベラルで、秋次の作る洋食をちゃんと評価します。一方で和食の美味しさもしっかりと堪能。恋もごはんも、どっちつかずなのです。


本日、あかね日和1-2
もう一人の相手候補・秋次。外国にいたので、スキンシップ多用で愛情表現もストレート。元々はこんなのじゃなかったんですけれど。なので、それにはあかねも若干戸惑い気味。


 本作でスゴいと思うのは、夏彦と秋次という二人の相手候補がいる中で、どちらが有利という感じが一切無く、絶妙に平行線を保ったままに物語が進んで行くという所。普通どちらかに肩入れしている感が見えてきて「ああ、これこっちとくっつくな…」というのがわかるのですが、本作に関して言えばどっちに転んでもおかしくないという状況。ヒロインとしても「こっち!」というのが明確になく、本当に分からない。ヒロイン自身が選びとっても良いと思うのですが、明治時代で女性の意思で相手選びというのが一般的でない…という時代背景もあるのかもしれません。
 
 どちらのキャラも違った魅力を描き出し、かといってそれが過剰になることもない、これって結構難しいことなのだと思うのですよ。個人的な好みでは、不遇なキャラっぽい秋次に頑張って欲しいところです。ただどうしても胡散臭いんですよねぇ(笑)王道だったら、近くにもいて不器用な、夏彦ですかねぇ。ただキャラ達の名前から察すると、ヒロインのあかねに合うのは、夏よりも秋なんですよ。その辺含めて本当にわからない!さてさてこの恋路は、どうなることやら。

【男性へのガイド】
→シチュエーションからわかるように、女性向けの要素強し。
【感想まとめ】
→安定感、安心感のある物語構成で、本当に読みやすいです。何気に料理のちょっとした知識も身につきますし、面白く読むことができました。


作品DATA
■著者:桜庭ゆい
■出版社:ほるぷ出版
■レーベル:ポラリスコミックス
■掲載誌:COMICポラリス
■既刊1巻
■価格:571円+税


■試し読み:第1話 【PC】/【スマートフォン】
2話目以降

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2013.11.12
1106321958.jpg将良「思春期ビターチェンジ」(1)


元に戻して
お願いだから!



■小学四年生のある日、木から落ちてぶつかったことで、互いの心と体が入れ替わってしまった木村佑太と大塚結依。「いつか戻れる…」そう信じて、何度となく元に戻る試みをするものの、一向に戻れる気配はなく、気がつけば入れ替わって1000日。二人は中学生になっていた。オレとオマエが入れ替わって3年目。オレ達、戻れないまま大人になる……?誰も知らない、切ない青春交換デイズ!

 先日ご紹介した「会長クンのしもべ」(→レビュー)と同じ、COMICポラリスの新刊でございます。こちらも元はWebで連載されていたオリジナル作品で、「ちぇんじ!」という名前で掲載されていました。それではストーリーをご紹介。
 
 主人公は二人。正義感が強く元気一杯で、賑やかな家族の元に育った男の子・木村佑太と、ちょっとフクザツな家庭に育ったためか生真面目で友達付き合いがヘタな女の子・大塚結依。小学4年のある日、木から落ちてぶつかったことで中身が入れ替わった二人。すぐに戻れるかと思い、何度かぶつかってみるも、一向に戻れる気配はなし。結局その日は諦めて、双方の家に行くのでした。その後も何度となく戻ろうと試みるも戻れず、気がつけば中学校に入学…。意外と入れ替わっていることはバレず、今でも秘密を知っているのは、当人たちと、小学校の友達である和馬だけ。入れ替わってから3年が達ち、いよいよ思春期真っ盛りなお年頃になるのですが…というお話。


思春期ビターチェンジ1−1
お互い常に助け合うというよりは、付かず離れず、いざというときだけ手を貸し合う感じ。ベッタリでないからこそ生まれる掛け合いみたいなものが絶妙な雰囲気を作り出します。


 入れ替わりものは数多くあれど、ここまで長期間に渡って入れ替わっている作品というのもそうあるまい。本作の特長というか、セールポイントをあげるとしたら、まずそこになるかと思います。あらましではすぐに中学生になるかのように書いていますが、1巻の半分くらいは小学生編が描かれています。
 
 小学生編では、お互いの家庭事情であるとか、本人達の性格を描き出すのがメイン。佑太は快活なお兄ちゃんという感じで、戦隊ものだったら間違いなくレッドだろうなぁという印象。一方の結依は、生真面目すぎた結果人付き合いが苦手になったような不器用なタイプで、なんだかとっても気になるというか、放っておけない存在。普通であればなかなか接点のない二人が、結果的に誰よりもお互いを知り合い、支え合う存在になるというのは、ひとつ入れ替わりものの醍醐味でもあります。双方の足りない部分を中身が入れ替わりながら補い合う感じとか、やっぱり見ていて「いいなぁ」と。
 
 実際にその“補い合い”が効いてくるのは、中学生編になってから。この作品のもう一つのポイントとして、入れ替わったままで新生活の環境を作っていくという所。多くの作品は、既にある環境の中で入れ替わり戸惑い新たな発見をするというのがベースとなるのですが、本作の場合はそれとは違う形での物語を描いて行きます。なので、それまで友達のいなかった結依に、中学になって友達ができたり、過去の自分に似ている女の子が登場して、やっと客観的に自分を振り返れたり…。これからまだ中学生編は続くものと思われますが、人間関係がそれ相応に出来上がってきてから、様々な出来事が起こってくることが想像され、非常に楽しみであります。
 

思春期ビターチェンジ1−2
定番のトイレ問題とか、そんなのは序の口。お月様どころか、初潮を入れ替わりの状況で迎えるという。まぁでも、もし本当に入れ替わったとしたら、非常に重要な問題なわけで。


 元が元だからなのか、あまり物語として大きな流れがあるような印象はなく、シチュエーションは保持しつつも、エピソードは単発という感じが強いです。非日常なシチュエーションにおいて、日常を切り取るような描き方なわけですが、それゆえに肩肘張らずに読めて良いといいますか。一方でラストは先々を期待させるようなフレーズで閉じており、しっかりと作品をまとめあげて次巻へとつなげています。

 元となっている「ちぇんじ!」では、どうやら高校生編まであるようですね。てっきり中学生で終わるものだと思っていたので、このひっぱりぶりには驚きでございます。おおよそ人生の半分を入れ替わって過ごしているようなもんでしょうから、どんな精神状態になるのやら。てか恋愛とかどうなるんでしょうか。1巻時点ではそういった気配はあまりなく、これから出てくるのかも不明。いや、でも出てこなかったら思春期の美味しい所がなくなっちゃいますから、2巻以降、是非出て欲しいところです。
 

【男性へのガイド】
→入れ替わりものが好きな人は垂涎ものかと。そういうのって、男性にも需要はあると思っております。
【感想まとめ】
→発売のちょっと前から設定等は知っていて「あー好きそうな設定と絵柄とタイトルや…」とか思っていたのですが、案の定ピンズドでして。オススメです。


作品DATA
■著者:将良
■出版社:ほるぷ出版
■レーベル:ポラリスコミックス
■掲載誌:コミックポラリス
■既刊1巻
■価格:571円+税


■試し読み:step.1 ちぇんじ 【PC】/【スマートフォン】
第2話以降

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2013.11.04
1106321957.jpgほずの都「会長クンのしもべ」(1)


皆さん聞いてください
超優等生生徒会長は
真正ドS極道男でした



■高校で隠れオタクライフを満喫していた地味女子・平山。最後尾の席で、日々同人誌作成の内職の日々。平穏な日々が続いていたが、ある日そんな彼女の秘密が、人望厚き生徒会長にバレてしまった!しかも会長の真の姿は、笑顔の似合う爽やかイケメンとは正反対の、鬼畜な極道だったなんて…!「いいのか?バラすぞ、お前の趣味」その一言で、平山の下僕ライフが始まった…!

 「あした恋する女の子のための新WEBコミック」とのフレーズで運営されていますCOMICポラリスより、この度5冊の単行本が創刊されました。前身はFlexコミックスフレアになるようです(Wikipediaなんかを見つつ…)。本作はそんな中の1冊で、作者はほずの都先生。元々「となりの極道くん」として同人連載されていた作品のようです。ガンガンに読切り掲載された過去もあるらしく、ご存知の方も結構多いのかもしれませんね。
 
 さて物語ですが、隠れオタクな地味女子・平山が、ひょんなことから人望厚い爽やか生徒会長・九条くんにオタクであることがバレてしまうという所から始まります。それだけならばまだ良かったものの、今度は逆に彼がヤクザ一家の後継者であることを知ってしまいます。それをきっかけに、「バラしたらバラす」と脅され、下僕としての生活がスタート。爽やかとは正反対の鬼畜さに、日々踊らされ続けるのですが…というコメディ。


会長クンのしもべ1−1
思いの外テンション高め。会長はやがてアホ要素が強くなってくるのですが、ヒロイン平山さんがボケからツッコミまで自由度の高い動きをしてくれるので、それでもちゃんと引き締まりネタが成り立つというバランス感。


 一見爽やかな人気者ながらヘタレでアホな相手役の男の子。そしてそんな彼に勉強で上回り、貧乏からかちょっと浮世離れした性格のヒロイン。ヒロインのことを男の子はライバルとして意識するが、一方のヒロインは彼のことなど眼中にない。そんな設定に加え、このキャラ造形、さらに一方の名前が「九条」というところから、「ラストゲーム」(→レビュー)インスパイアな匂いを感じていたのですが、こちらの方がスタートは先なんですよね。また、設定・キャラ造形こそ似た感じではあるものの、あちらが恋愛要素たっぷりであるのに対し、こちらは恋愛要素は殆どなく、徹底してコメディを貫きます。
 
 本作の紹介にあたって特筆しておきたいのが、台詞・ネタの多さでしょうか。とにかく1ページあたりの文章量が多いので、最後まで読切るのに時間がかかります。かなりの読み応え。そう言う場合、後半にかけて得てして食傷気味になってきたりするものなのですが、個人的な感覚ではそういったことはなく、最後まで満足感たっぷりに読切ってしまいました。


会長クンのしもべ
 この二人の他にも個性的な脇役達が登場します。イチオシは九条くんの従姉妹で美少女の亜子ちゃん。とにかく九条くんに対してめっぽう強いのですが、彼女が登場することで、ヒロイン・平山が一時ばかり九条くんより優位に立てるという。物語に良い形での動きが生まれます。


 一応触れ込み的にはラブコメという扱いらしいのですが、今のところラブに倒れる気配は殆どなし。こういうのはアホな会長が恋愛感情に気づいてくれないと進展しないものですが、未だライバル&下僕という視座でしか相手を捉えられていないので、まだまだ道は長そうです…。


【男性へのガイド】
→ガンガンでも掲載ということですから、男性でも全然OKかと。というかたぶんこのレーベルは男性も取り込むぐらいのスタンスでいるんじゃないかと。
【感想まとめ】
→どこか飛んだ設定のあるキャラ達の個性をベースに回すコメディは、古き良きりぼんのギャグ枠的な匂いも感じられて、懐かしさと共に安心感を覚えつつ読み進めることができます。面白かった。オススメです。
表紙の表記が「会長くん」となっていますが、これ誤植みたいですね。正しくは「会長クン」です。


作品DATA
■著者:ほずの都
■出版社:フレックスコミックス
■レーベル:ポラリスコミックス
■掲載誌:COMIC ポラリス
■既刊1巻
■価格:600円+税


■試し読み:第1話(PC)第1話(スマホ)
2話目以降

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