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Tag [新作レビュー] 2010.07.17
1102940637.jpg松月滉「王子と魔女と姫君と」(1)


   これが本当なら
何してくれとんじゃ
前世の私   



■女子にモテモテの王子系女子・大路昴は、昔住んでいた街に引越し&転校することに。数年ぶりに会った幼なじみの仁は、小さく弱々しかったかつての姿はなく、凛々しく気怠さをたたえたイケメンに成長していた。そんな仁を筆頭に、転校先で待っていたのは、元親、真白、零時の「プリンス」と呼ばれる男子たち。イケメンよりも、もっぱらカワイイ女の子に興味のある昴だったけど、とある事実を告げられて、事態は思わぬ方向に…。どうなる、昴の学園王子生活!?

 「幸福喫茶3丁目」(→レビュー)を連載していた松月滉先生の新作でございます。今度のヒロインは、ボーイッシュな王子様系の女子高生。幼い頃はお姫さまに憧れていたものの、気がつけば男の子っぽく過ごし、女子校では王子様的ポジションを獲得していた昴は、根っからの王子様気質。女子の好意を素直に受け取り、優しい言葉と笑顔で返しハートを打ち抜く。そんな彼女が、親の都合でかつて育った街へ再び戻ることになります。そこで待っていたのは、見違えるようにイケメンになったお隣さんの幼なじみ・仁。さらに彼を筆頭に、転入先には、元親、真白、零時という「プリンス」と呼ばれる男子たちがいるという状況。そんな彼らと、なぜか行動を共にすることが多くなる昴は、ある日彼らから、思いもよらない事実を告げられます。それは、昴の前世が女たらしの王子様で、プリンス(元親、真白、零時の3人)の前世がお姫さまだということ。そして、その姫たちは、前世にて王子の争奪戦を展開、そんな状況を見かねた魔女が、王子にとある呪いをかけてしまったということ。そしてそして、その呪いとは、女に転生するるというもので、本物の運命の相手と結ばれるまで、呪いは解かれないというものでした。


王子と悪魔と姫君と
 元親はおやゆび姫。真白が白雪姫。零時がシンデレラ。それぞれおとぎ話に登場するお姫さまが前世となっている。


 女たらしの王子様の生まれ変わりということで、昴の王子様気質は生まれ持ったものであることがわかります。そんな彼女を恋人に…と争奪戦に参加してくるのは、元親、真白、零時のプリンス3人。前世でヒドい目に遭ったんだから、放置して呪われたままにしておけばいいじゃないかと考える人もいるかもしれませんが、王子と結ばれた姫には、もの凄い幸運が訪れるという特典つき。そのため、狙うことはあれど、嫌うことはないのです。そんな4人をよそ目に、一人だけ前世が明かされない人物が。それが昴の幼なじみであり、プリンスの一人である仁なのですが、まぁそれは読んでからのお楽しみということで。前世のプリンスが、現世のプリンス達に求愛されるという、不可思議なシチュエーションの学園コメディ。ノリ自体は前作同様ライトで、比較的親しみやすい内容となっております。ただ恋愛色がどちらかというと強めですので、その辺苦手だとどうだろうとは思いますが。
 
 前作が15巻も続いて驚きだったのですが、今作は果たしてどのくらい続くのでしょうか。相手候補が多いからこそ、最終的な着地点は逆にハッキリと見えてきますし、前世という設定を使っているからといって、「僕の地球を守って」であるとか「NGライフ」(→レビュー)のような、壮大ないしドラマチックな展開になることはあまりなさそうで、意外と決着は早いのかもしれません。ただ学園が舞台で、いかようにも物語を転がすことができるのも事実であり、そういった進め方は、松月先生も出版社も得意そう。なんとなく印象が似ていると思った、別マの「ファイブ」(→レビュー)的なポジションで、堅調な人気を獲得しそうな気もします。さすがに魅せ方は心得ていて、1巻買ったら2巻も買わずにはいられないような締め方。やはり上手いです。


【男性へのガイド】
→逆ハーレムで、王子様系のヒロイン。そこに耐えられるかどうか。序盤はニヤニヤ要素少なめで、これから増えてくるとは思いますが、敢えてこの作品で…という強みがあるかというとうーむ。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→良くも悪くも、手堅い印象。飛躍のためには、お姫さま要素をいかにして投入するかといったところでしょうか。魅せ方・展開のさせ方は、やっぱり上手い。

作品DATA
■著者:松月滉
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(2010年1号~)
■既刊1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「花とゆめ」コメント (4)トラックバック(0)TOP▲
コメント

はじめまして、ゆきといいます。

本文の
「元親はシンデレラ。真白がおやゆび姫。零時が白雪姫。」
は正しくは
「元親はおやゆび姫。真白が白雪姫。零時がシンデレラ。」
になります。
From: ゆき * 2010/12/13 12:37 * URL * [Edit] *  top↑
このコメントは管理人のみ閲覧できます
From:  * 2011/02/02 14:05 *  * [Edit] *  top↑
記事修正させて頂きました。
From: いづき@管理人 * 2011/02/06 09:06 * URL * [Edit] *  top↑
 誰が1番好きですか?
 ちなみに私は雪梨君です。
From: さわこ * 2014/03/11 16:22 * URL * [Edit] *  top↑

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