作品紹介→*新作レビュー*モリエサトシ「白磁」
関連作品紹介→モリエサトシ「ラブ シック」
モリエサトシ「白磁」(2)
そうだった
ぼくが好きになったのは
あの純粋で健やかな君
■2巻発売、完結しました。
病気で光を失った生花の、彷徨って焦点を結ばない瞳…。明春に全てを委ねるようになった生花の白い肌に、全てをぶつけられる快感は、明春の感情の発露であった絵への執着を失わせてしまう。変化する環境。掴んだと思った幸せ。買われると思った自我。人はどうしてこんなに弱いのか、人はどうしてこんなに苦しいのか。運命は、あまりに残酷で…!?
~完結。素晴らしかったです~
1年以上続刊を待ちわびていた「白磁」が、2巻の発売をもって完結いたしました。完結自体は結構前にしていたことは、モリエ先生のブログで存じていたのですが、単行本発売まで時間がかかった!しかし2巻も素晴らしい内容。読んだときに受けた衝撃を、どのような言葉で表そうか、色々と思案したものの、これはちょっと難しいかな、という結論に。もうね、だれかに伝えようなんて考えず、纏まらない気持ちのワルい文章をダラダラと並べようと思ったわけですよ。
~エロいけど、それだけじゃない~
そもそも万人受けするような内容ではないですし、物語は終始二人だけの世界で完結しています。それはあまりにも不健全で、少女漫画的にもいかがなものかと思わせるのですが、あまりに無垢で純粋で幼い二人が構築するその世界は、同時にとても美しく、言いようのない力を持って自分を取り込んでくるのです。どちらの視点にも、共感という意味での介入の余地があまりないにも関わらず、その二人の作り出す世界にのめり込んでしまうというのは、あまりない経験で、だからこそこんなに興奮するわけで…。エロティック…だけどああいうエロとは違うのさ!エロい目じゃないほうの目で見たエロってのを、二人の関係の中に、なんとなく垣間見たような気がしました。

こんな、男性向けエロ漫画にありそうなシチュエーション&台詞回しでも、なんだかとても美しく純粋であるように映るから、不思議。
~内面・魅力を象徴する格好~
物語の終盤にて明春が、「やっぱりぼくの好きな彼女はこれ(セーラー服姿)なんだ」と言っているのですが、これには本当に納得。彼にとっては、セーラーを着た生花こそが、最も彼女の魅力を映し出している姿なのです。
明春が生花の外見でこだわっている部分といえば、その美しい白い肌。彼女の内面を映し出すようであり、彼女との繋がりを確信できる部分です。そんな白い肌を、最も美しく映えさせることができるのは、やはり他でもないセーラー服。学生という、穢れなき純粋さと若さの象徴(現実とは別として)。濃紺と、透き通るような白の対比。この美しさは、ブレザーなどでは表せません。また、彼女の髪は黒髪ロングで、その肌の白さを映えさせるにはうってつけ。このことは、1巻の冒頭にて語られているのですが、最後にこういった形で反映させてくるとは思っていなかったので、出てきたときは「おお…」と思わず唸ってしまいました。そしてラストも、その姿で締める。さすが、モリエ先生わかってる。

なーんて、私服姿の生花もかわいらしいわけですが。こちらはこちらで、色みを持った柔らかな印象を与えてくれて素敵です。
またその純粋さを格好で表しているのは、何も生花だけではありません。明春は、一貫して白シャツを身にまとい、創作活動を行っています。白いシャツもまた、彼の純粋さないし、純粋さに憧れる気持ちを表しているようで、良いですよね。汚してダメになるので、量産型で安い白シャツを…ってことなのかもしれませんけど(笑)
~締め方も、ベタながら素敵でした~
最後は実にベタでしたが、感動できたので良し。二人だけの世界に固執していた明春が、生花のために恐怖に打ち勝ち外の世界へと足を踏み入れる姿は、更なる物語の広がり(ふたりのこれからが、明るいものになること)を示しているようで、本当に素敵だったと思います。とりあえず、今年の作品の中でも、個人的に5本の指に入るくらいお気に入りの新刊となりました。と言っても、決して万人受けするとは思えないのですが。それでも好きなのだから、私はそれを素直につたえるだけです、はい。
■購入する→Amazon
/
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そうだった
ぼくが好きになったのは
あの純粋で健やかな君
■2巻発売、完結しました。
病気で光を失った生花の、彷徨って焦点を結ばない瞳…。明春に全てを委ねるようになった生花の白い肌に、全てをぶつけられる快感は、明春の感情の発露であった絵への執着を失わせてしまう。変化する環境。掴んだと思った幸せ。買われると思った自我。人はどうしてこんなに弱いのか、人はどうしてこんなに苦しいのか。運命は、あまりに残酷で…!?
~完結。素晴らしかったです~
1年以上続刊を待ちわびていた「白磁」が、2巻の発売をもって完結いたしました。完結自体は結構前にしていたことは、モリエ先生のブログで存じていたのですが、単行本発売まで時間がかかった!しかし2巻も素晴らしい内容。読んだときに受けた衝撃を、どのような言葉で表そうか、色々と思案したものの、これはちょっと難しいかな、という結論に。もうね、だれかに伝えようなんて考えず、纏まらない気持ちのワルい文章をダラダラと並べようと思ったわけですよ。
~エロいけど、それだけじゃない~
そもそも万人受けするような内容ではないですし、物語は終始二人だけの世界で完結しています。それはあまりにも不健全で、少女漫画的にもいかがなものかと思わせるのですが、あまりに無垢で純粋で幼い二人が構築するその世界は、同時にとても美しく、言いようのない力を持って自分を取り込んでくるのです。どちらの視点にも、共感という意味での介入の余地があまりないにも関わらず、その二人の作り出す世界にのめり込んでしまうというのは、あまりない経験で、だからこそこんなに興奮するわけで…。エロティック…だけどああいうエロとは違うのさ!エロい目じゃないほうの目で見たエロってのを、二人の関係の中に、なんとなく垣間見たような気がしました。

こんな、男性向けエロ漫画にありそうなシチュエーション&台詞回しでも、なんだかとても美しく純粋であるように映るから、不思議。
~内面・魅力を象徴する格好~
物語の終盤にて明春が、「やっぱりぼくの好きな彼女はこれ(セーラー服姿)なんだ」と言っているのですが、これには本当に納得。彼にとっては、セーラーを着た生花こそが、最も彼女の魅力を映し出している姿なのです。
明春が生花の外見でこだわっている部分といえば、その美しい白い肌。彼女の内面を映し出すようであり、彼女との繋がりを確信できる部分です。そんな白い肌を、最も美しく映えさせることができるのは、やはり他でもないセーラー服。学生という、穢れなき純粋さと若さの象徴(現実とは別として)。濃紺と、透き通るような白の対比。この美しさは、ブレザーなどでは表せません。また、彼女の髪は黒髪ロングで、その肌の白さを映えさせるにはうってつけ。このことは、1巻の冒頭にて語られているのですが、最後にこういった形で反映させてくるとは思っていなかったので、出てきたときは「おお…」と思わず唸ってしまいました。そしてラストも、その姿で締める。さすが、モリエ先生わかってる。

なーんて、私服姿の生花もかわいらしいわけですが。こちらはこちらで、色みを持った柔らかな印象を与えてくれて素敵です。
またその純粋さを格好で表しているのは、何も生花だけではありません。明春は、一貫して白シャツを身にまとい、創作活動を行っています。白いシャツもまた、彼の純粋さないし、純粋さに憧れる気持ちを表しているようで、良いですよね。汚してダメになるので、量産型で安い白シャツを…ってことなのかもしれませんけど(笑)
~締め方も、ベタながら素敵でした~
最後は実にベタでしたが、感動できたので良し。二人だけの世界に固執していた明春が、生花のために恐怖に打ち勝ち外の世界へと足を踏み入れる姿は、更なる物語の広がり(ふたりのこれからが、明るいものになること)を示しているようで、本当に素敵だったと思います。とりあえず、今年の作品の中でも、個人的に5本の指に入るくらいお気に入りの新刊となりました。と言っても、決して万人受けするとは思えないのですが。それでも好きなのだから、私はそれを素直につたえるだけです、はい。
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