
つらい時ぐらい
つらいって言ってもいいんじゃねぇの
■財閥・大鳥家の次期当主・セイ。学業、振る舞い、容姿、全てにおいて秀でており、その家柄に相応しい者として、華麗に育っている。そんな彼女に仕え守るのが、第一騎士(ファーストナイト)と呼ばれる誉れ高き存在。現在その座に就くランは、セイと同じ高校に通いながら、日々彼女のガードにあたっている。そんなファーストナイトは、大鳥家に仕える他の騎士の挑戦を受け、勝ち続けなければならないという、過酷な試練が課されており…!?
西形まい先生の新作です。前作は、イケメンに変身したものの、かつての地味時代の性格が抜けきらず、なかなか新しい環境に適応できない男子高校生を描いたコメディでしたが、今回は一風変わった設定で送る、シリアスロマンスとなっています。物語の舞台となるのは、名門私立・聖ログルス学園。そこに通うのは、財閥・大鳥家の次期当主・セイ。そんな彼女に仕え守る、第一騎士(ファーストナイト)と呼ばれる役職に就いている、黒野ランがこの物語の主人公となります。主人の側に付きっきりで、その身を守るのが、ファーストナイトの務め。そのポジションに就くのは、非常に困難な道のりであり、同時に大鳥家につとめる騎士達の挑戦を受け、その座を守らなくてはいけないという、非常に過酷な運命の待ち受ける位置だと言えます。そんなファーストナイトの黒野ランは、実は女の子。そのことを隠してまで、ファーストナイトにこだわるランと、そんな彼女を見守るセイ、そしてその秘密を知りやたらと関わってくるようになる、セイのフィアン・天王イバラたちの関係を中心に、彼らを取り巻く過酷な運命を、華やかに描き出していきます。

ファーストナイトの座を懸けて、選りすぐりの挑戦者達が挑んでくる。もちろん命を落とすことさえある、極限のステージ。
前作が、非常に爽快でおバカなコメディであったので、今回もそうくるのかと期待していたのですが、まさかの完全シリアス。しかもかなり特殊な設定の、学園ロマンスを描いてきました。本来はこういう路線でいきたかったのでしょうか?その雰囲気の違いに、かなり驚きました。さて、本題の内容のほうなのですが、独自の設定をかなり投入して物語を展開した生花、序盤がかなり説明的な内容になってしまっています。特に主人公のランの台詞が、ほぼ説明的なものとなっており、主人公への感情移入への手伝いが、若干疎かになってしまっているような。その分、主人公および次期当主・セイの過酷な運命と、強い絆が確認できるのですが、説明だけだとシチュエーションで萌えろってのは、あまり美味しくないんじゃないのかなぁ、と。
セイとランの信頼関係は、はじめから強固なものになっており、そこに困難が降りかかることで物語が盛り上がり…という定番パターンが軸。ただそれだけでは終わらず、そこにセイのフィアンセで、どちらかというと自由に動くタイプのキャラクターが参戦し、その二人の関係性に変化を与えるようになってきます。彼とランの関係がどうなってくるのかが、今後の物語の鍵を握りそう。毎回のように、ファーストナイトに挑戦する騎士達(12人いるらしい)が現れ、戦いを繰り広げ、話のネタはそれなりにありそうです。
個人的には、前作のようなおバカコメディみたいな作品のほうが好みなのですが、こちらの方が読者受けしそうな気もします。コミナビ(コミックスに入っている白泉社の小冊子)でもトップでプッシュされていますし、出版社の期待も高いのかもしれません。
【男性へのガイド】
→男性受けする要素はあるのでしょうか。このシチュを好むのは、やはり女性が多いような気がします。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→少々ややこしい設定で、序盤説明に終始した割に、新キャラ投入で状況的に落ち着かないなど、シチュエーションを気に入れないと物語が美味しく感じられないような作り。ちょっと期待していたのと異なっていたので、拍子抜けしたってのもありますけど…。
作品DATA
■著者:西形まい
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ
■既刊1巻
■価格:400円+税
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